Biting Angle

アニメ・マンガ・ホビーのゆるい話題と、SFとか美術のすこしマジメな感想など。

「SFなんでも箱#7 ウルフ!ウルフ! ウルフ! 大事なことなので三回言ってみました。」に行ってきた!

2014年05月15日 | イベント・観覧レポート
今年はSFセミナーに行かなかったのでナマのSF話に飢えていた私ですが、5/10という絶好のタイミングで
<池澤春菜&堺三保のSFなんでも箱 #7>が開催されるとの情報をキャッチ。
しかも今回のサブタイトルは「ウルフ!ウルフ! ウルフ! 大事なことなので三回言ってみました。」
私がラファティと並んで偏愛するジーン・ウルフを取り上げるとくれば、これは参加するしかない!

会場のLive Wire Biri-Biri酒場に到着してみたら、なんと真裏の建物が教会でした。
これはますますウルフめいてきましたよーと勝手に盛り上がってたら、入場待ちの放克軒博士
(Formerly Known As さあのうず氏)と遭遇、さらに入場後は去年のSFセミナーでお会いした
グリーンフロウさんとも再会、さらに若きウルフ読みの隼瀬茅渟さんとも感動の初対面を果たし、
スタート前からテンション上がりまくり。
やっぱりこういうイベントで知り合いがいるってのは心強いもんです。

会場に入ると、店の奥でギターを爪弾くダンディな男性とその向かいで静かに本を読む男性の姿が。
ギターを弾いているのはミュージシャンにして作家・翻訳家・歌人であり、1月にウルフの『ピース』を
共訳された西崎憲さん、その向かいで『ピース』を読んでいたのは、『ケルベロス第五の首』などを訳された、
映画評論家にして特殊翻訳家の柳下毅一郎さんでした。
こっち側だけ見るとまるで文壇バーっぽい感じですが、部屋の反対側では野球帽をかぶった堺三保さんが、
パソコンとにらめっこしながらアメリカ滞在中の池澤春菜さんとの通信を確立しようと苦心する姿があって、
こっちは秋葉原のネットカフェを思わせる雰囲気。
さすがはウルフイベント(?)、なんだかひとつの室内で時空のねじれが起きているみたいで面白かったです。

今回はアメリカ短期留学中の池澤さんに代わって、ゲストの二人が進行役の堺さんをサポートしつつ、
ジーン・ウルフの謎と魅力に迫ろうという企画です。
20人くらいのお客さんの中にはSF関係の編集者も見受けられ、さらには前回のゲストだった宮内悠介さんも
来場されるなど、来場者側も相当に濃い感じでした。

なお、池澤さんは滞在先からのネット中継による参加ですが、その滞在先がワシントンDC…。
そこって「アメリカの七夜」の舞台じゃないですか!
せっかくなので誰かそのことについて池澤さんに振らないかなーと思ってたのですが、
最後まで話題に出なかったのが残念でした。

さて、前半は西崎憲さんの経歴をたどる形で、ミュージシャンから翻訳家へ、さらに小説家へと
歩みを進めてきたことについてのお話を伺いました。
ミュージシャンを目指して上京し、やがてアイドルに曲を提供するまでに至ったものの、
思い通りにいかない部分もあって挫折感を感じたこともあったそうで、そんな時期にもともと好きだった
怪奇小説やミステリを訳す機会を得て、翻訳家の道へと進むことになったそうです。
それ以前にコッパードの翻訳ファンジンを出そうとして果たせなかった事はあったものの、
本格的に英語を勉強したのは20代半ばを過ぎてからということで、西崎さんいわく
「がんばれば誰でもウルフを訳せるようになります!(にっこり)」
これを聞いた語学留学中の池澤さんと、観客一同の動揺っぷりたるや・・・。

ちなみに西崎さんは声優の野中藍さんのファーストアルバムにも編曲で参加されてますが、
その野中さんの初主演アニメ『宇宙のステルヴィア』でSF設定と脚本を担当されたのが、
本日の進行役である堺三保さんなのです。遠いようで近いのが人の縁ですねー。

そしてアメリカからネット経由で曲のオファーをする池澤さんに、西崎さんから
「曲も作りますし、バックでギターも弾きますよ」との力強い答えが。
もしこの組み合わせが実現したら、ぜひSF大会でライブをやってもらわなくては!

音楽と翻訳が楽しくて小説を書くことは考えていなかった西崎さんですが、ある日夢に出てきた女性から
「賞に応募しなさい」とお告げがあり、ちょうど募集していたファンタジーノベル大賞に応募するべく
1ヶ月で300枚を書き上げたのが『世界の果ての庭』。
これが受賞作となって小説家としてもデビューし、今に至るということです。
最初は体力的な要因等で長編が書けないと思い、デビュー作は連作短編という形になりましたが、
受賞後に担当編集者の勧めで長編も書くようになったとのこと。

堺さんからの「怪奇小説が好きなわりに、小説ではそういう作品を書かないですね」との質問には
「怪奇を単なる道具にしたくないという気持ちがある。自分としては雰囲気、atmosphereを大事にしたい。
(読者が)忘れないようなものを訳したい、書きたいと思ってます。」と回答されてました。
1作目はダンセイニ風の異世界、2作目は架空の日本という風に作風を変えたのは意識してのもので、さらに
「ファンタジーの楽しみを単なる素材にしたくない、(物語世界が)現実と強力につながっているほうがいい。」
とのお話も。
『蕃東国物語』のラストについては「現実でも予想外のことが起きるものですから」と語り、
『ゆみに町ガイドブック』に見られるアンチクライマックスについては「クライマックスという概念はなくて、
例えばラヴェルのボレロのように“曲の始まる前から音楽が演奏され、曲が終わった後も演奏が続いている”
というような、始まりも終わりもないものが好き」とのお話がありました。

今後のお仕事では、入手難で古書価がうなぎのぼりのコッパード『郵便局の蛇』が待望の文庫化、さらに
ウェブ連載で高校生を主人公にしたジュブナイル(三鷹に渓谷があったり、民間信仰が色濃く残っている
パラレルワールドの東京で、物語の解析をする資格が存在するという設定)が始まるそうです。
他には『蕃東国物語』の続編や、55人の海外作家を集めた怪奇小説アンソロジーの企画も進行中とのこと。

後半は西崎さんが訳した『ピース』を中心に、「ジーン・ウルフはこう読め(るかも)」という内容のお話。
西崎さんが『ピース』を訳したのは、国書刊行会の樽本さんからの依頼によるものだそうで、会場に来ていた
御本人によると「ウルフを頼める人は少なくて、宮脇孝夫さんや西崎憲さんくらいに限られる。宮脇さんには
『ジーン・ウルフの記念日の本』を頼んであるので、『ピース』は西崎さんにお願いした。」
という事情だそうです。
(そういえば2012年11月にファン交で樽本さんに聞いた『記念日の本』の話を
「宮脇さんの担当作品待ち」とツイートした記憶が・・・あれからもう1年半が経ちました。)
このとき『ピース』以外に候補として挙がったのが「Castleview」「Free Live Free」「There Are Doors」で、
西崎さんが4作を読み比べたときに「一番地味だけど、深そうに見えた」のが『ピース』だそうです。

堺さんからは「ウルフを読んでると、常に裏を読まなければいけない気がしてしんどい。『新しい太陽の書』は
長いのでさすがにほとんどの謎が説明されるけど、『アメリカの七夜』なんてさっぱりわからない。『ピース』も
4回挑戦したけど90ページくらいで挫折した。解説を読んでから最後の30ページくらいを読んでみたけど、
ますますわからなくなった。」と告白があり、これには柳下さんと西崎さんから「100ページまでがつらい。
第三章の「錬金術師」はすごくおもしろいから。」とアドバイスがあり、それをネット経由で聞いた池澤さんが
「帰国したら三章から読みます!」と冗談交じりに答えてました。
さらに柳下さんが「デス博士の島その他の物語」のラスト一節を朗読、私の隣ではデス博士ならぬ放克軒博士が
感極まってすすり泣く(ちょっと誇張)という一幕も。

柳下さんからは「好きな本は読み終えたくない、いつまでも読んでいたい。」、西崎さんからは
「本なんて人生で数冊読めばいい程度なのに、チェーンスモーキングのように何冊も読み続けてしまう。
それは1冊の本を切れ目なく読み続けているようなもので、つまりは終わらない本を読みたいのではないか。」
という言葉で、ウルフの作風に魅了される心理が語られました。
これに堺さんが「切れ目のない話は苦手」と返し、柳下さんは「語りの層が何層もあって、主人公の回想が
そのときその場面で読んでいた本の中の物語として語られている。こうして物語の中の物語を読み続けることが
できる。『ピース』は謎解きではない。ジーン・ウルフに謎はないんですよ。」と答えます。
ここで池澤さんがエンデの『はてしない物語』を引き合いに出して「はてしない物語なんだーと思って読んだら、
果てがあってガッカリした!」と絶妙な例えを放り込み、これには聴衆みんなが「なるほどー」と納得の表情。
西崎さんは再びボレロの例を引いて「(冒頭の)木が倒れる前から、物語は存在する」という視点を提示。
柳下さんの「回想は回想だけど、死者の回想にも見える」という指摘については、どちらでもいいのではとの
読み方を示しました。
柳下さんがウィアの家を「記憶の館」であると説明した際には、横に座っていた隼瀬さんが『ハンニバル』の
記憶の宮殿だ!と反応。
これを聞きながら私は「主人公の回想が、読んでいた本と紐付けられている」という点とも共通性がありそうだ…
なんてことを考えてました。

ウルフを訳すことについて、西崎さんからは「翻訳には英文の解釈と小説の解釈の二つがあって、まず文法上で
正しく訳してから、小説としての翻訳にする。『ピース』は時制が厄介な上に話の中の話が出てきて小説として
訳すことが難しいので、英文として正しく訳すよう心掛けた。」と説明があり、さらに「いくら難解といっても、
出てくる風景や道具立ては普通のもの。例えば三人で陶器の卵を買いに行く場面など、ビジュアル的に見れば
映画を観るように読める。」とアドバイス。
これを受けて柳下さんは『新しい太陽の書』で「剣舞の塔」が実は宇宙船だったとわかる場面について、
「アポロ宇宙船の写真が飾られている場面でそれがはっきりするけれど、それまでに飛び飛びに置かれたシーンが
ぱっとつながるおもしろさがある。ひとつ見つかると次から次へと見つかっていく。」と、ウルフ作品における
読みどころを説明してくれました。
お茶のポットに持ち主の顔が浮かぶエピソードもいいねーという話題になったので、お茶とくればやっぱり
池澤さんからひとこと・・・と思ったのですが、この期待は叶いませんでした。

最後に両ウルフ訳者よりジーン・ウルフのマイベスト作品を紹介してもらったところ、順当に
『ケルベロス第五の首』と『ピース』が挙がりましたが、柳下さんは未訳のヤングアダルト作品
『The Devil in a Forest』がわかりやすくていいとも話してました。
柳下さんはウールス・サイクルからのスピンアウト作品"The Book of the Long Sun"と
"The Book of the Short Sun"も好きで、特に前者は訳してみたいとのこと。
(実はこのシリーズ、別のウルフ作品とも関係がありそうなんですよね・・・。)

今後のお仕事告知では、柳下さんが手がけたアラン・ムーアのスーパーヒロイン物『プロメテア』の1巻が
5月末に発売。
巻を追うごとに異常さが増して行き、最終巻は本の構成そのものがとんでもないことになるそうなので、
みなさん買いましょう!(私はもちろん予約済みです~。)
西崎さんはSF寄りの作品として、魔術的なマイクロフォンをめぐる物語(シナトラがレコーディングに使い、
それが南米に渡って革命の演説に使われ、やがて争奪戦が繰り広げられる)を構想しているそうで、これも
相当おもしろい作品になりそうです。

そして国書の樽本さんからは、2年前のSFセミナーで話が出た2部作『ウィザード』と『ナイト』が今年中に
(分冊で)刊行予定との話が・・・これが実現すれば、ジーン・ウルフの本が1年で3冊出るという快挙!
しかも全部が国書の本!これは樽本さんに(『記念日の本』も含めて)がんばっていただきたいものです。

イベント終了後は来場者の半分くらいが残って、西崎・柳下両氏を囲んでの懇親会に突入しましたが、
卓の両端と真ん中で別々の話題を話していたので、全体を聞き取ることはできませんでした。
自分が聴いて記憶に残っている話題を箇条書きにすると、次のとおりです。

・(名称は変えてあるけど)『屍食教典儀』や『ネクロノミコン』が登場するあたりは、ウルフというより
 クトゥルフ物。さすが『ラヴクラフトの遺産』に短編を寄稿しただけのことはある。

・セヴェリアンの仮面と黒マントという姿は、アニメ『DARKER THAN BLACK 黒の契約者』に引き継がれたのでは?
 との意見から、続編『流星の双子』のラストはケルベロスのオマージュだろうという話にまで発展。

・キャロル・エムシュウィラーの「順応性」が早い時期にSFMに載ってるのはすごい。
 せっかくだから700号記念で取り上げて欲しかった。

・小畑健の描くセヴェリアンは優男すぎる、ウルフのイメージはもっとマッチョなはずという声に対し、
 2巻のセクラと3巻のテルミヌス・エストはカッコいいという擁護の声もあり。
 (どんないきさつで小畑さんに頼んだのか、会場内にいた早川の方に聞けばよかった・・・。)

・ディッシュの評論集『On SF』(邦題『SFの気恥ずかしさ』)も今年中に国書から出る予定。

・プリーストの『夢幻諸島から』は単体で読むより、他のシリーズ作品とあわせて読みたい。
 あと『逆転世界』はやっぱり面白い。

・ディックとラファティとウルフを読むとモテる説。

・『ピース』は他のウルフ作品に比べると読みやすい。ひとつの理由として、西崎さんの
 柔らかい語り口のおかげではないか。

いろんな人の話が入り混じっているので、個々の発言者については勘弁してください~。

さて、次回の「SFなんでも箱」のゲストは、幻想小説研究家・翻訳家の中野善夫氏です。
お題はダンセイニか、はたまたヴァーノン・リーか?乞うご期待!
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日本と世界の自然派ワインが渋谷に集合!「FESTIVIN 2012」

2012年12月10日 | イベント・観覧レポート
昨年に引き続き、自然派ワインのお祭り「FESTIVIN(フェスティヴァン)2012」に行ってまいりました。

今年は恵比寿から渋谷ヒカリエに会場を移し、20を越えるインポーターが200を越える
海外生産者のワインを提供。
そして国内からは8つのワイナリーが、丹念に醸した自社の逸品を携えて参加しています。
これらのワインが、参加費7,000円(前売6,000円)で全て試飲可能!
(ただし一部のレア銘柄は有料試飲になります。)

会場もワインも昨年よりスケールアップしてますが、さらに今年は食の面でも大幅増強され、
50を越えるレストランブースが参加していました。

二部構成の第一部は、昼12時~15時30分まで。
開場30分前には既に列ができていましたが、その後も次々と参加者が集まってきて、
最終的にはかなり長い行列になったようです。
私は開場から10分くらいで入場できたので、さっそくブースを回って試飲を開始。



さて、この日飲んだ作り手を、覚えてる限りで以下に並べてみます。
(飲みすぎて細かい銘柄は忘れました~。)

◎海外生産者
ジョスコー・グラヴネル
ビネール(2種)
アゼリア
ラ・ビアンカーラ
マッサ・ヴェッキア
ラディコン
パーネヴィーノ
ジェラール・シュレール(2種)
マルク・テンペ(2種)
シャソルネイ(3種)
ショサール
シャトー・ラ・バロンヌ
アリス・エ・オリヴィエ・ドムール(4種)
ティエリー・アルマン(有料)


◎国内生産者
四恩醸造(2種)
タケダワイナリー(2種)
ヴィラデストワイナリー(3種)
酒井ワイナリー
ルミエール(3種)

他にもいくつか飲んだと思うけど、記憶がはっきりしません(^^;。

2年続けてFESTIVINに参加して再確認したのが、自然派の主流はいわゆる
「フルーツ爆弾」とか「こってり濃厚」とは明らかに異なるもので、無理な醸造や
余計な装飾を施さない、まさしく「自然な味わい」であるということ。
例えばシラー種のワインでも、新世界のガツンとくるボリューム満点なタイプとは違い、
柔らかい芳香と軽やかな口当たりが身上の、飲み疲れしないタイプが多い感じですね。
・・・とはいっても、3時間で30種以上も飲めばさすがに疲れますけど(笑)。

海外生産者でまず挙げたいのが、ゲストとして来日したアリス・エ・オリヴィエ・ドムール。
シャブリといってもキレまくるスタイルではなく、自然の甘さとミネラルが溶けあっていて、
実に厚みのある味わいです。
今回は赤のブルゴーニュやアリゴテもいただきましたが、共通のスタイルを持ちながらも、
それぞれの品種を生かす造りをしていると感じました。
特にアリゴテの良さにはビックリ!個人的にはヴィレーヌのブーズロンを越えてると思います。

さらに生産者のド・ムール夫妻から、グラスホルダーにサインしていただきました!


ビネールやシュレール、テンペといったアルザス組は、今年も安定したおいしさ。
他にはシャソルネイのアンフォラ醸造もの(既に入手不可)や、パーネヴィーノも印象に残りました。

面白かったのは、ラディコンのリボッラ・ジャッラととショサールのパタポンですね。
どっちも曲者自然派ワインとして有名ですが、今回の試飲では特にヘンな香りも感じませんでした。
ラディコンは白ワインと思えないトロっとした風味、パタポンは絞った果汁のフレッシュなうまさ。
どちらもフツーのワインとはひと味もふた味も違うけど、やっぱりおいしい!

今回はおみやげに、パタポンマークの缶バッチをもらっちゃいました!


1杯だけ有料試飲したのが、ティエリー・アルマンのコルナス。
さすがお高いだけに、ある種の貫禄めいたスケールの大きさを感じました。
シャイヨかレイナールか見てこなかったけど、たぶん後者じゃないかな。

そして国内生産者では、昨年に続いて楽しみにしていた四恩醸造の小林さんが、
今年もまた良いワインを届けてくれました。
ここのワインには、かしこまった席ではなく毎日の暮らしに寄り添ってくれるような
「やさしさ」を感じるのですが、それは作り手の人柄も表しているのだと思います。

自らワインを注いでくれた小林さんが、今年は派手なアフロじゃなかったことだけが
私にとってはちょっとだけ心残りです(笑)。

昨年は飲めなかったタケダワイナリーですが、今年は岸平社長から注いでもらいました!
サン・スフルのフレッシュさとベリーA古木の複雑さ、どっちもタケダらしい造りだと思います。

ヴィラデストのシャルドネは、さすが日本のトップクラスだと感じさせる重層性を持っています。
ピノ・ノワールも良い出来ですが、今後さらに優れたワインに成長しそうな感じでした。

そして国産で最も力強さを感じたのが、酒井ワイナリーのバーダップ鳥上坂。
ボルドーに負けないほどしっかりした赤ワインは、長期熟成も期待できそうです。

なお、ココ・ファームとボー・ペイサージュ、それに小布施ワイナリーは残念ながら
飲めませんでしたが、小布施の曽我さんとは直接お話しすることができました。

曽我さんに限らず、日本の自然派ワイン生産者は特に自分たちの仕事に対して強い誇りを持ち、
その気持ちがワインにもはっきりと表れているように感じます。
そうした造り手の人と仕事を直接知ることができる場としても、この「FESTIVIN」のような
「生産者と直接触れ合えるイベント」の役割は重要でしょう。

欧米のように「長期保存・貯蔵」を前提とした濃い目の食文化が根付いている土地柄に対し、
日本には「新鮮さ、みずみずしさ」を大切にする繊細な食文化があると思います。
そうした食文化には、自然派ワインの持つフレッシュさや繊細さが最もふさわしく、また既に
それを受け入れるだけの下地もできているのではないか・・・などと感じることも。
この考えが間違っていなければ、日本の食卓にワインがより根付くために、自然派の国内生産者が
担っていく役割というのは、非常に大きいものでしょう。
そしてこの日会場で話を伺った生産者たちは、そうした流れの中で強いリーダーシップを発揮し、
日本におけるワインシーンを確実に変えていくはず・・・私はそう信じています。

さて、ワインだけでなく食べ物のほうもスゴイのが、FESTIVINの素晴らしさ。
こちらは別途支払いが必要ですが、ほとんどが500~1,000円程度とお値打ち価格。
去年は早い時間帯で食べ物がほとんど売り切れてしまって困りましたが、今年は
ワインのアテに困ることはありませんでした。

Le Velle Vole a Tokyoの「ブーダンノワールとじゃがいものピュレavecピクルス」


Rossiの「短角牛のフトラコット」


うずら屋の「うずらの唐揚げ」


山下ワイン食堂の「九州和牛のローストビーフ柚子こしょうソース ピタパンサンド」


ブラッセリー・ノートの「ひつじやの羊と大崎バークシャ黒豚のパテ」


SALUMERIA69の「ハム盛り2,000円プレート」


オザミ&竹とんぼの「黒毛和牛ロースト ポムピューレ添え」


Libertinの「ローストポークとシュークルート」


そして店長が「日本一のチーズショップ」と自負するレクリューズの「チーズ盛り」


シメはACQUOLINAの「ジェラート3種盛り」

9品目食べたら腹いっぱいになっちゃいましたが、本当はもっといろいろ食べたかった!

さらに特設ステージでは、今年も多彩なミュージシャンがステキな音楽を聞かせてくれました。

スタンダードナンバーを次々と繰り出して会場を沸かせた「BLACK VELVETS」


昨年に引き続き、魅惑のアフリカ音楽を聴かせてくれたママドゥ・ドゥンビア。


ステージの外、まさに観衆の眼の前で演奏を披露した「Zipangu Steel Orchestra」。


そして伝説的シンガーにしてフラの伝道者であるサンディーが率いるハワイアングループ
「サンディー アンド オリ オリ ティアレ タヒチ」。


サンディーさんはハワイアンだけでなく、「私の友人であるどんとの歌を歌います」と紹介して、
「波」も披露してくれました・・・これにはぐっときたなぁ。

入場時の手際や会場内のレイアウトなど、改善して欲しい部分もありましたが、始まってしまえば
特に混乱もなく、あっという間に3時間半が経ってしまいました。
運営サイドの皆さんには大いに感謝すると共に、今年の経験を生かしてさらに良いイベントとなるよう、
来年にも期待したいと思います。

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文化庁メディア芸術祭2012を観てきました

2012年03月04日 | イベント・観覧レポート
ここ数年、必ず見に行っている「文化庁メディア芸術祭」ですが、今年は最終日に観てきました。

年々混雑がひどくなる会場ですが、今回は短いながらもとうとう入場待ちの列までできる盛況ぶり。
中に入っても人だかりがすごくて、あまり細かくは観られそうにありません。
そんなわけで、まずは一番お目当てのマンガ部門コーナーへ直行しました。

ノミネート作品の試読コーナーも、やっぱり人の山です。

ここでは『アンカル』『氷河期』『ファン・ホーム』『皺』にざっと目を通してきました。

大賞受賞作『土星マンション』のコーナーでは、カラー原画や設定画のほかに、
窓ふきをイメージしたこんなディスプレイもありました。

不覚にも今回の受賞で初めて知った作品ですが、原画の美しさや設定の細かさなどには
目を見張るものがあり、思った以上に本格的なSFマンガであることも判明。
うーん、これはそのうち読まないといかんなー。

優秀賞に選ばれた清水玲子先生の『秘密 ―トップ・シークレット―』のコーナーには、
表紙や口絵のパネル展示がありました。

また、平置きの展示台にはカラー口絵の原画が2点置かれ、その美しさに来場者からは感嘆の声が。

カラーパネルの向かいの壁には、マンガの製作過程がわかる資料を展示。
原稿については、ノートへの下描き、ペン入れ状態、完成の三段階に分けてコピーが並んでました。

さらに興味深かったのが絵を描く前の構想メモで、薪はもともと妻帯者の予定だったとか、
田城(メモでは田代)についての意外な設定など、知られざる“秘密”が明らかに。
また、メモの段階で貝沼の遺言がほとんどできあがっていたというのにも驚かされました。
それぞれのメモには薪の表情や印象的な場面のラフも描かれていて、プロットを練りつつ
それにあわせた作画イメージも探っているのだろう・・・ということが伺えます。

ちなみに「秘密-2002-」のメモはベネツィアのホテル・ダニエリのテレファクス用紙に
書かれていました。アイデアってどこで思いつくかわからないものですね。

優秀賞を受賞した『アンカル』と『氷河期』のカラーパネル。

『皺』も含めて、昨年はバンド・デシネ(B・D)の秀作が多かったことを、改めて思いだします。
これには日本から荒木飛呂彦先生も参加した、ルーブルBDプロジェクトの影響もあるのでしょうね。
(しかし、21世紀になってB・Dの古典である『アンカル』を表彰するってのも、なんだか微妙・・・。)

アニメ部門の大賞受賞作『魔法少女まどか☆マギカ』は、展示コーナーが他と分離されて一室になっており、
入場制限&歩きながらの鑑賞となるほどの人気っぷり。

室内の大型モニターには「ワルプルギスの夜」の登場シーンがリピート上映され、その向かい側には
矢をつがえたまどかの等身大フィギュアが飾られていました。
なるほど、この配置は「ワルプルギスの夜と対決するまどか」を演出してるのか・・・と思うまもなく
後ろから来る人波に押されて、会場の外へと放出。
蒼樹うめ先生の設定画とか4コママンガとか、もう少し長く見たかったのに・・・!

しょうがないので歩いて5分ほどのところにあるメルセデス・ベンツ・コネクションで
電気自動車「smart」とまどマギのコラボによるラッピングカーを観てきました。


こちらは魔法少女バージョン。電気自動車だけに、充電用ケーブルが「コネクト」されてます。


正面から撮影。右側の白い敏腕ディーラーが「ボクと契約してsmart買ってよ!」とか言ってる気がします。


…と思ったら、バンパーのステッカーにおなじみのセリフが!


反対側はほむほむ。


後ろから見ると、全体がキュウべぇの顔になってます!

おまけに口元には「ボクと契約してよ!」のセリフつき。
これを見せられたら、後続車はかなりイヤな気分になりそうですね。

黒いほうは魔女バージョン。こっち側はお菓子の魔女シャルロッテの変身前。


反対側は変身後のシャルロッテ。後続車をガンにらみするような目つきです。


そして魔女バージョンにはしっかりと「TIRO FINALE」の文字が入ってました。


リアは魔女軍団勢ぞろい。

見るだけで禍々しい・・・というか、こいつらが事故を誘発しそうで怖いです(^^;。
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世界の自然派ワイン祭り「FESTIVIN」2011

2011年11月28日 | イベント・観覧レポート
11月27日に恵比寿で開催された自然派ワインのイベント「FESTIVIN(フェスティヴァン)」に行ってきました。



そもそも「自然派ワイン」とは何か?という話についてはいまいち明確な定義がないのですが、参考程度に
「減農薬または無農薬の有機栽培されたブドウを使用し、亜硫酸塩を極力使わず醸造」あるいはこれに加えて
「天然酵母の使用」を実践して作られたワイン・・・とでも考えてもらえばよいでしょう。

「FESTIVIN」とは、そんなワインたちを集めてみんなで楽しもうという「自然派ワインのお祭り」。
内外あわせて200種以上の自然派ワインが集結し、事前に参加費さえ払えば出品ワインが飲み放題という
実にうれしい内容です。(ただし一部レアものについては別料金)

二部構成のうち、私は午前11時からの第一部に参加してきました。

まだ午前中にも関わらず、場内は飲む気まんまんの人で大盛況(笑)。


会場では販売者やインポーターに加え、金井醸造場の金井一郎さんやタケダワイナリーの岸平典子さんが
自らブースに立ち、来場者にワインを注いでました。
作り手から飲み手に直接ワインが注がれるという光景に、自然派ワインとしての原点を見た気もします。

中でも四恩醸造の“つよぽん”こと小林剛士さんは、真っ赤なアフロヘアのカツラ姿で目立ちまくり!

見た目は完全にお笑い系ですが、作るワインは実にマジメ。いちど飲んでみればすぐにわかります。
今回持参の「ローズ(白)2011」「ブーケ(赤)4019」どちらもおいしかった~。

西に“パタポン”あれば、東に“つよぽん”あり。めざせ、日本のクリスチャン・ショサール!(笑)

そして海外からの特別ゲストは、アルザスの著名生産者であるピエール・フリック夫妻。

ブースで通訳さんを介してお話しましたが、ワインへの深い情熱と日本文化への強い関心をお持ちの
すばらしい方でした。
今回はリースリングとピノ・グリ、さらにピノ・ノワールをいただきましたが、どれもきれいな香りと
厚みのある味わいを備えており、さすが自然派の一流どころといった風格を感じます。

その他の銘柄について全部は思い出せないけど、だいたい20~30種くらいは飲んだかな。
それでも全体の1割程度ですね~。

既に紹介した生産者はどれも良かったですが、他に印象的だったのはナカザワヴィンヤードのクリサワブラン
(ココ・ファームが醸造を担当)、ジェラール・シュレール、ビネール、マルク・テンペ、ガングランジェといった
アルザス勢、ロシュ・ビュシエールにドラピエのシャンパーニュなど。
シャソルネイはクロ・デ・ザルジリエールを飲めなかったのが残念だったなぁ。

あと、別料金でブルーノ・デュシェンのパスコーレやゴビーのムンタダ、ブロイヤーのテラ・モントーサも
飲んできました。


カーゼ・バッセのソルデーラもあったはずだけど、そっちはお値段的にちょっと手が届かず。

また、やはり別料金にはなりますが、人気レストランの参加による飲食コーナーも充実していました。
第一部では「トラットリア・フェスティヴァン」と銘打って、イタリア料理の人気店がメニューを提供。


まずはポルチーニのリゾット 白トリュフ風味。


そしてこれを手がけるのは、門前仲町の人気店「パッソ・ア・パッソ」の有馬シェフ!

男前の有馬シェフ、この日は場所が場所だけに文字どおりの“えびす顔”。

そして牛ほほ肉と野菜のブラザート、こちらも白トリュフ風味。


他に屋台形式のブースでは、フォアグラ丼が登場!


さらに、熟成チーズ盛り合わせ。


生ハムの盛り合わせは、目の前で切り出してくれます。


香辛料の効いた羊の串焼き。


マグロのホホ肉のリエット。


そしてデザートにはタルト・タタン。


有料とは言ってもこれだけの中身なので、どの出店者も明らかに採算が取れてない感じですが、
そこはイベントを盛り上げるための「お祭り価格」と割り切っての大サービスなのでしょう。
つられてあれもこれもと手を出しているうちに、こちらもつい食べ過ぎてしまいました。
朝飯を抜いてきたのは正解だったなぁ・・・その分ワインを飲む量が、やや少なくなった気もしますが(^^;。

また、ステージでは音楽演奏や参加者プレゼントなども行われ、終始賑やか、かつアットホームなムードでした。

さすがに4時間飲み通し、食べ通しのおかげで口と胃は疲れ気味ですが、気分は大満足。
自然派生産者の励みとして、また自然派ワイン好きの集う場として、今後も末永く続けていって欲しいものです。

2012年も、また行けるといいなぁ。
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東日本大震災チャリティライブ「AAA -Atsuko Akio Autumn birthday-」レポート

2011年11月14日 | イベント・観覧レポート
本日11月14日は、声優の田中敦子さんのお誕生日。
これに合わせて、1日早いバースデーイベントを兼ねた東日本大震災チャリティライブ
『AAA -Atsuko Akio Autumn birthday-』が、11月13日に開催されました。



出演者は田中さんと、11月24日にお誕生日を迎える大塚明夫さん、そして田中さんと
音楽ユニット「Windy’s murmur」で一緒に活動している、ピアニストの発知優香さん。
昼夜2回のステージのうち、私は夜の部に行ってきました。


いろんな方から送られた花の中に、神山監督からのお祝いを発見。

・・・そして会場に入ると、最前列の左側にはなんと神山監督本人のお姿が(^^;。
田中さんのtwitterを拝見したところ、これには出演のお二人もかなり驚いたようです(笑)。

オープニングでは、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の「謡」と「攻殻機動隊S.A.C.」の
「サイバーバード」に合わせて、東京の夜景やIC回路のCGを組み合わせたオリジナルの
ショートムービーが流され、そこに途中から田中さんと大塚さんによる生のナレーションが
被さってくるという趣向。

「久しぶりね」「ああ、久しぶりだな」という感じで、攻殻SSS(もしくはイノセンス)での
素子とバトーの再会を思い出させる掛け合いが行われた後、「じゃあ、夜の部始めるわよ」の
合図と共に、田中敦子さんと大塚明夫さんがステージに登場しました。
田中さんはゼブラ柄のドレス、大塚さんは黒のスーツと、イベント案内状の写真と同じ衣装です。

まずは今回のイベントに関して、東日本大震災に対して何かできないかという思いから、
誕生日の近い田中さんと大塚さん、そして岩手県にお住まいの発知優香さんによる
チャリティーイベントを企画したとのお話がありました。
さらに田中さんは今年でデビュー20周年ですから、まさにアニバーサリーイヤーです。

続いて発知さんが登場、まずはソロで「アランフェス協奏曲」のピアノ演奏が始まり、
そこに田中さんが加わって、『イノセンス』の主題歌「Follow Me」を見事に歌い上げました。

その後に大塚さんも加わり、まずは来場者から寄せられた遠距離恋愛のエピソードを朗読。
続けて田中さんと大塚さんにより「三行ラブレター」から選んだ作品が読み上げられました。

田中さんが読んだ「母への手紙」に対して、大塚さんは「自分の場合、体の弱かった母親が
大変苦労して産んでくれた。みなさんも自分の誕生日には、自分を生んでくれた感謝を込めて
お母さんに会いに行ってください。」というエピソードを披露。

また大塚さんが選んだ「前世から好きでした」という作品については、ご本人が声優養成所で
田中さんと初めて会った思い出に触れて「きっと前世では恋人同士だったと思う。今生では
一緒になることができなかったので、来世に望みをつなげたい。」と熱い思いをぶつけますが、
これに対して田中さんはさらりと一言「どこまでもバトーなのね(笑)。」

次は声優仲間で脚本家としても活躍中の山像かおりさんの作品「ダブル・プリン」が、
田中さんと大塚さんの朗読劇で演じられました。
内容はバーで落ち合った昔なじみの既婚男女が心を決めるまでのやりとりを描いたもので、
際どいセリフが交わされる、大人のムードたっぷりなお話です。

朗読劇なので二人とも台本を持っての芝居ではありますが、触れ合う肩、見交わす眼、握られる
手と手のしぐさなどは普通の芝居となんら変わりなく、そこにはないバーのカウンターがまでが
目の前に浮かんでくるようでした。
それにしても、田中さんの手を握る大塚さんの手つきがなんともエロいこと(笑)。
・・・いや、ここはむしろ指の先まで役になりきっていたと賞賛すべきですね。

ちなみに開演前のステージは、こんな感じでした。

イスの位置関係から、二人の近さがだいたいわかってもらえると思います(^^;。

さらにお芝居の後は、田中さんと大塚さんによるデュエットも披露されました。
その場では曲名がわからなかったのですが、後ほど歌詞を思い出して検索したところ
桃井かおりさんと来生たかおさんの歌った「ねじれたハートで」ということが判明。
「恋は罪 罪は恋」という歌詞が、直前のお芝居と見事にマッチしてました。

衣装換えの後は、二人ともイベント用に作られたチャリTシャツを着用して再登場。
まずは大塚さんが登場しましたが、いきなり「妖怪人間ベム」を歌いだしたのにはビックリ(^^;。
大塚さんいわく「4ビートなのでジャズっぽく歌ってみたらどうかと思って」とのことですが、
まさかあの朗々たる美声で「早く人間になりたーい!」が聞けるとは思いませんでした(笑)。

続いてはTシャツの上にレザージャケットを羽織った田中さんが登場。
ジャケットはTシャツもデザインしたkmcさんによる「素子モデル」の試作品だそうです。
二人揃ったところで、今回のメインでもあるチャリティーのためのオークションが始まりました。

今回はkmcさん提供の「素子コート」、WOWOWさん提供の「コールドケース」グッズ
(手錠型ストラップ、サントラCD、リリーのポスター等)に加えて、出演者の私物も出品。
大塚さんからは“手塚治虫記念館で買ってから使い込んできた、ブラックジャックの革財布”、
田中さんからは“ペンダントとリング、さらにご本人とキャスリン・モリスのサインが入った
「コールドケース」ストラップのセット”という、ファン垂涎のアイテムが提供されました。

コールドケースのグッズはじゃんけんで入札者を決める形式でしたが、はからずも神山監督と
じゃんけんで争うことになったり(負けたけど)、購入はできなかったけど楽しい企画でした。
ちなみにコールドケースのCDは、既にプレミアがついているレア物です。

最後はサプライズとして、スクリーンに「Windy’s murmur」の川田妙子さんが登場。
ビデオレターによるお祝いの言葉の後に、スタッフから11月生まれのお二人への花束と
田中さんへのお誕生ケーキが贈呈され、発知さんのピアノにあわせて参加者全員による
「ハッピーバースデー」の合唱で締めとなりました。
ビデオレターとプレゼントに思わず涙ぐむ田中さんに、思わずこちらもらい泣き。

終演後は出口で来場者ひとりひとりと握手を交わし、気軽にサインをしてくれたお二人。
本当に手づくり感覚の、温かさが感じられるイベントでした。

来場者に渡されたおみやげは、オリジナルのハンドタオルと写真入りのチロルチョコ。

田中さんの似顔絵は大塚さんが、大塚さんの似顔絵は田中さんが書いたもの。
よく見ると大塚さんの顔の横には、ちゃんと「あつを」とサインが入ってます(笑)。
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沖浦啓之さん・西尾鉄也さん出演 『人狼』トークイベント

2011年10月24日 | イベント・観覧レポート
杉並アニメーションミュージアムで開催中の「人狼 JIN-ROH セル画展 アナログアニメーションの魅力」の
関連イベントとして、10月23日(日)に行われた『人狼』トークイベントに行ってきました。
ご出演は『人狼』の監督・沖浦啓之さんと、作画監督の西尾鉄也さんです。

まず最初の話題は、お二人の近況報告から。

西尾:詳しくは言えませんが、新たな作品に取り掛かっています。公表できるのはかなり先になりそう。
沖浦:新作『ももへの手紙』が完成して、今は監督浪人中の身です(笑)。
   『もも』の宣伝をしながら、ちょこちょこと描いてます。

続いて本題である『人狼』の話になりましたが・・・。

沖浦:だいぶ忘れてます。
沖浦:すごい久しぶりに『人狼』見て、ニヤニヤしてしまいました。
沖浦:リハーサルとして予告編を見たけど、映像を見るのは10年ぶりくらいかも。
   製作当時にさんざん見たもので・・・。

沖浦:最初は『犬狼伝説』のOVA6本のうち、1本を担当しろと言われて「そんなのヤダ」と言ってたら、
   いつの間にか劇場映画の監督になってました。
   押井さんは原作の犬狼をやりたかったんだろうけど、自分は原作読んでも話がさっぱりわからなくて、
   興味が無かった。藤原カムイさんの画はよかったんだけど。
   自分がやるということなら、群像劇ではなく個人にスポットを当てた作品にして、ヒロインも出したいと
   言ってるうちに、今の『人狼』の形ができました。
   それからスタッフを集めるということになった時、『忍空』や、特に『THE八犬伝』の仕事を見て
   「アニメをわかってる人だな」と感じる画を描いていた西尾さんにお願いしようと思いました。
西尾:知り合いが『攻殻機動隊』の現場に入っていて、そこから「次は沖浦さんの作品らしい」という情報が
   入ってきたので、自分としてはぜひ原画で入りたいと名乗りを上げるつもりでいたら、ある日いきなり
   電話がかかってきて「ぜひ作画監督でお願いします」と言われたので、すごく驚きました。
沖浦:約束よりも早くI.G.に来て、周りから「西尾さんスゴイやる気ですよ」って言われた覚えがあるんだけど。
西尾:間違えて一日早く上京しちゃって、I.G.に行ったら完全に不審者扱い。
   ダレだこいつ?みたいな感じ(笑)。

西尾:沖浦さんはアニメーターとしてすばらしい原画をあげてたので、ゆくゆくは監督の道に進むだろうと
   思ってたけど、本人としてはどうでした?
沖浦:『人狼』については、さっき話したとおり押井さんにいろいろ条件を出したら全部丸のみしてくれたので、
   退くに退けなくなった感じ。押井さんはそういう事もできる幅の広さを持つ人。
   監督は初めてだったけど、演出については作画監督などで関わっていることによって、仕事のやり方が
   わかってくる部分もありました。

西尾:自分も劇場作品の作画監督は『人狼』が初めてで、すべてが新鮮だったけど、さすがに沖浦さんこれは
   やりすぎかなと思ったのは、それまでI.G.で使っていたレイアウト用紙を、レイアウト比が気に入らず
   作り直してしまったこと。普通そこまではやらないだろうと・・・確か緑色の枠線で。
沖浦:比率も気に入らなかったし、紙もなぜだか水色。
西尾:そうそう、なに描いてもヘタクソにしか見えない用紙(笑)。
沖浦:さすがにこれはないだろうと思ったから、ジブリの用紙を拝借してちょっと消して「I.G.」と(笑)。
西尾:でもあれから、昔のレイアウト用紙は使わなくなったよね。
沖浦:きっとみんな、前から不満を持ってたんだと思う(笑)。

沖浦:あとは片山(由美子)さんと神山(健治)さんに太陽色彩(セル絵の具の会社)まで行ってもらって、
   普通は表に出ない中間色系の絵の具を探してもらったこともありました。
   そしたらおやじさんと跡取り息子でやってるテレビに出てくるみたいな町工場で、大鍋使って目分量で
   色を作ってるような現場だったとか。

(司会:デジタル化によって現場が変わった事は?)

西尾:撮影は本当にしやすくなった。セルだと下の色が重なることによって、だんだんと色がくすんでくるから。
沖浦:同じ色でも、上のほうのセルの色は明るめにしたりとか。できるだけ色変わりの起きないセルワークを
   したいんだけど、セルは基本5枚までしか重ねられないですから。
西尾:セルだとキズで撮り直しが利かない場合も多いし、何度も繰り返すとタップ穴が広がってセルの位置が
   だんだんズレてくる。
   『人狼』の場合、プロテクトギアが暗い中を並んで歩いてくる場面とか、撮り直す事によって眼の光が
   ズレたりして、余計に悪くなることもありました。
   あと、都電の車内シーンでのセル10枚重ねも、必要だったとはいえ、大変な作業でした。

西尾:デジタルで撮影の苦労はなくなったけど、そのぶん昔より作業が雑になったとも感じます。
   特に昔はセル同士がぴったり重ならないといけなかったのに、今の人はセル重ねがすごく適当だと思う。
沖浦:作業のキメ細かさで言えば、アナログのほうが上かもしれない。
西尾:まあ仕上がりがさほど変わらないのであれば、、作業の敷居が下がったとも言えますけど。

(司会:富野監督の話では、デジタル化で作業の“止めどき”がわからなくなったと言ってましたが)

沖浦:昔なら撮影台に乗せてしまえばそこで区切りがついたけど、デジタル化でその苦労がなくなった分、
   素材に効果を加えるという部分での苦労は増えました。
   『人狼』でもデジタルを使ってますが、最初に思っていた「デジタルは夢の箱で、ブラシも使わずに
   特殊効果がかけられる」というのが勘違いとわかったので、終盤は全部アナログで作業してました。
   とは言っても、後半はデジタル作品の『BLOOD THE LAST VAMPIRE』と平行で作業をしていたので、
   I.G.の現場ではデジタル化の環境が整いつつあった時期でしたが。

沖浦:もうひとつ言いたいことは「劇場アニメに必要なのは、井上俊之である。」ということ(笑)。
   大変な作業の作品は、井上さんなしには成立しない。
   逆に言えば、井上さんのいない現場で、よく作品が作れるなと思います(笑)。
   井上さんの技術の高さ、スケジュール管理の厳しさを見ると、若い人もがんばらざるを得ない。
西尾:沖浦さんの「井上さんは頼れるアニキ」というのもわかるんだけど、自分の場合は井上さんが
   がんばってバリバリ仕事を上げると、自分のやる作業が減っていくわけです。
   だから「全部井上さんがやった」と言われないために、自分もがんばるしかなくなっちゃう。

沖浦:井上さんの絵は、井上節になってるよね。
西尾:終盤の作業ではディズニーのスター・システムみたいに作画の担当が決まっている感じで、沖浦さんは
   ねちっこく(ヒロインの)圭を直して、井上さんが辺見とかの男性キャラ、それ以外が自分という感じ。
   あと、自分の仕事が済んで帰った後に、沖浦さんが最後まで直してた圭の寝返りシーンを、スタッフが
   「できました!」とアパートの玄関先まで持ってきて、作監チェックで「マル」にしたのを覚えてます。
   確か、あれが『人狼』で最後に上がったカットだったと思う。

沖浦:背景の小倉(宏昌)さんの仕事も、『人狼』の世界と合ってました。
   雨宿りのシーンとラストの埋立地のシーン、どちらもすごく気に入っています。
   構図はきっちり決めて、描き方はざっくりとしている背景のほうが、自分としては好きですね。
   描き直しのできない一発勝負の緊張感が出ていると思います。

(以後、会場から寄せられた質問への回答)

Q1 沖浦監督と他のスタッフで折り合いがつかなかった(意見が食い違った)のは?
沖浦:制作担当の堀川(憲司)さんとは、スケジュールを巡って怒鳴りあいになったことがありますが、
   これはお互いに妥協のない中でいい仕事をしようとした結果によるもの。
   それと驚いたのは、半年前にOKを出したカットの撮影が上がってきたので、見たらとんでもないモノに
   なっていたこと。なんでこんなのにOKを出したのかと。
   そのときは見る目が相当甘くなってたんだと思います。それからはチェックが一層厳しくなりました。

Q2 都内の美大に通っていますが、先生が「『人狼』は非の打ち所がない作品だ」と言っていました。
   作り手として見たときの満足度はどうでしょうか?
沖浦:出来ばえはともかく、やれるだけのことはやったという気持ちはあったので、作り終えた時点では
   100%満足でした。
西尾:その時の気持ちを掻き乱されたくないとか、今の技術と比べたくない気持ちがあるから、『人狼』を
   見返さないというのはあるかも知れません。
沖浦:原画だけ担当した作品なら、自分のカットだけ見返すこともあるけど。
西尾:(その部分だけなら)オレ結構イケてるじゃん!みたいな気になることもあるけど(全体に責任のある)
   作画監督の場合、素直に見返せない。

Q3 音響面では何を参考にされましたか?
沖浦:音響については演出上かなり難しい部分。製作当初はあまり考えずに始めましたが、編集の段階で
   音響監督の指示を参考にしながら手を入れるようにしていきました。
   音作りは、当時リュック・ベッソンの作品が好きだったので、エリック・セラのような音を探していて
   溝口肇さんを紹介されました。
   声優については、あまりアニメでは声を聞かないようなタイプの人を選びました。これについては、
   『ももへの手紙』でも同じです。

Q4 製作当時、何を考えて作品に取り組んでいましたか?
沖浦:『人狼』という作品で、自分がどこに寄り添えるかを考えたとき(アニメーターという)信じた道を
   突き進んできた自分と、社会の間にある壁を感じて、それがテーマになるんじゃないかと思いました。
   そこに伏という人間を重ね合わせると、自分にも描けるんじゃないかと。
   あと、滅び行くアナログという作業をしていて、自分たちと特機隊のイメージが重なったり(笑)。
西尾:自分は当時、30前の小僧っ子ですから(笑)。
沖浦:西尾さんに「学生運動とか興味ある?」って聞いたら「あります!」って。
西尾:劇中のプラカードの字は、自分が書いてます。思想的なものはありませんが(笑)。

Q5 2000年の作品ということで、同時多発テロの前年にあたるわけですが、その後の事態に対する
   予見とか、社会情勢への意識はありましたか?
沖浦:そのあたりは脚本の押井さんの個性で、自分としては意識していませんでした。
   未来への予見よりも、むしろ今の経済成長の前段階にあたる時代ということを意識して描いています。
西尾:この作品は第二次大戦後にドイツに占領された日本を描いた、いわゆるIFの世界ですから。
(ここで司会のスタッフより「押井さんはパトレイバーなどでもテロを扱ってきたし、世界的に見れば
 テロは身近であって、それも『人狼』が海外で好評を受けた一因ではないか」と補足がありました。)

Q6 作中で『ここはうまくいったな』というシーンは?
沖浦:伏の夢の中で、圭が狼の群れに襲われるシーンは好きです。
西尾:いい場面は、担当(したアニメーター)に依存しますね。
沖浦:うまい人がゼロから組み上げたシーンは、印象が違う。

西尾:自分の場合、マズルフラッシュ等の火器の描写はうまくいったと思います。
   『人狼』をやるまでは銃器関係に詳しくなくて、これをやるにあたり相当調べました。
   例えば、MG42の銃弾が人体に食い込む場面では、弾の回転による衣服の巻き込みとか、
   弾が骨に当たって体が回転する描写をきちんと描けたと思います。
   ただし後で大体直されてるので、作品にどれだけ貢献したかはわかりません(笑)。
沖浦:それ以前に、銃器設定の黄瀬(和哉)さんのクリンナップが全然上がってこなかった。
西尾:MG42はモデルガンみたいな実物があったので、それを見ながら描いてましたね。
   そのうち設定画が上がってきたけど、そんなのもう誰も見ないという(笑)。

やがて終了時間になり、最後にお二方からひとことずつメッセージがありました。

沖浦:今回のトークも募集直後に申込を締め切るほど好評との事で、製作から11年も経った作品が
   これだけ支持されるのがうれしいです。
   『人狼』の製作当時、スポンサーに「10年後も見られる作品を作る」と言いましたが、その目標は
   達成できたと思います。
西尾:公開当時は迷彩服とかを着た男性客ばっかりだったけど、今回は女性の姿が多くて隔世の感があります。
沖浦:新作『ももへの手紙』のターゲットは小学生ですが、『人狼』のファンからは「日和りやがって」と
   言われそう。
西尾:迷彩服の男に集まられても困るけど、来るなとも言えないし(笑)。
   でも『人狼』のファンにも『ももへの手紙』を見てもらって、演出の共通点を見つけてもらうのも
   面白いと思います。
沖浦:西尾さんもいい場面を描いてますので、『ももへの手紙』もよろしくお願いします。

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今回のトークの内容をまとめていて、ふと思ったのは、『人狼』での沖浦さんたちを特機隊とするなら、
脚本の押井さんはさしずめ室戸部長なのかも、ということ。
押井さんの進めたかった筋書きに沖浦さんたちが素直に従わなかったことで、小難しい設定なのに
きちんとエンターテインメントにもなっているという、I.G.の作品としてはちょっと変わった毛色を持つ
『人狼』という作品が出来上がったのかなぁ・・・なんてことを考えたりしちゃいました。

会場の杉並アニメーションミュージアムが入っている杉並会館は、文化勲章受章者・芦原義信氏の設計。


内部のホールから見える階段もステキ。他にも見所が多く、建築好きにもたまらないスポットです。


企画展そのものは撮影禁止でしたが、撮影OKのコーナーにも『人狼』のセルが展示されてました。








アニメ製作者の仕事場を再現した常設コーナーには、後藤隆幸さんの机もありました。

その机上には攻殻SACのキャラ表と、素子のアップを書いたイラストが!

ちなみに企画展では、セル画以外にも原画や背景、実写版のプロテクトギアやMG42等が見られるほか、
I.G.の石川社長、沖浦さん、西尾さんによる色紙も展示されてました。
沖浦さんと西尾さんが色紙に何を描いたかは、実際に見てのお楽しみ。

会期は11月20日まで、入場は常設展・企画展ともに無料です。
「最後の長編セルアニメーション」が遺した貴重な遺産を、この機会にぜひご覧ください。
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夏とコミケと壊れたガンダム

2011年08月14日 | イベント・観覧レポート
8/13から公開される等身大ガンダムのパーツ展示を見るため、お台場へ出撃。
せっかく湾岸まで行くので、ついでのつもりで「エアでない」コミケにも顔を出してみましたが、
駅から続く例年以上の混雑ぶりと、会場周辺の人の収拾のつかなさに早くもげんなり。
企業ブースだけ覗いて、早々に引き揚げました。

サンデーGXブースでは、BLACK LAGOONのマフラータオルと扇子が早くも売り切れ。

お目当てのものが無くなってしまったので、ますますテンションがガタ落ちです。
5,000円以上買い物して、横に飾ってあるショッパーをもらいたかった・・・。

しょうがないので場内をうろついてたら、コスパのブースで強烈なアイテムを見つけました。
まどか☆マギカの刺繍入りワークシャツ、お代は12,600円ナリ。





柄はまどか、ほむら、マミの3タイプで、赤い人と青い人のはありませんでした。

なお、実際に着用していたスタッフの後姿は、こんな感じ。

いろんな意味で、とにかく目立つことは間違いありません。

他には会場限定で「沙耶の歌」Tシャツというマニアックな商品も出てましたが、
そっちは既に完売でした。さすがはコミケ、客層が濃いなぁという感じ。

こちらは、ユーフォーテーブルさんのブースで販売されていたポスターです。

毎年製作している徳島の阿波踊りポスターを、今年は東日本大震災へのチャリティとして特別販売。
徳島市で行われたイベント「マチ☆アソビ」に神山監督が招待された縁で、プロダクションI.G.からも
草薙素子少佐がゲスト出演しています。
ちなみにど真ん中でメインを張っている「空の境界」のヒロイン・両儀式の声をあてているのは、
最近結婚の発表があったばかりの坂本真綾さんです。
さらにこの作品で式の相手役を務めたのが、鈴村健一さん。その意味でもタイムリーなポスターです。

1時間程度でコミケから退散した後は、歩きでお台場まで移動しましたが、ぶっちゃけこれは大失敗。
途中には日陰もほとんど無く、上からの日差しと下からの照り返しでこんがりと焼き上げられました。

そしてようやくお台場までたどりつくと、目の前のフェンスの向こう側になんだか見慣れた姿が、
見慣れない格好で横たわっているのを発見。

うわぁ、なんか終戦ムードたっぷりだ・・・。
これは8月15日に来るべきだったかもしれない。

気をとりなおして、500円を支払ってから会場内へ。

私が行ったのは午後2時くらいでしたが、日替わり入場カードは余裕でもらえました。
ちなみに場内の物販はほとんどなく、公式サイトに出ているガンダムの頭部写真を使った
ポストカードと、ガンダムヘッドのイラストが入ったクッキー缶が売られてた程度。

こちらがガンダムの死体・・・もとい、全体図。

股間の部分に、はっきりと「フンドシパーツ」と書かれてるのがたまりません(^^;

そしてこちらが、バラバラにされたガンダムです。

予想はしてましたが、立っていたときの威圧感はほとんどありません。
せめて下がトレーラーの荷台とか、工場の床をイメージしたパネルとかになっていれば、
もうちょっとマシだったかもしれませんが、さすがにタダの芝生では・・・。

並べられたパーツの横には、組み立てたときの全身像がシルエットで表示されていました。



でも、これじゃ完全に犯行現場だよな・・・これ考えた人は、殺人犯ならぬ確信犯だと思う。

こちらは例の「フンドシパーツ」を近くで撮影したもの。

説明図にあそこまではっきり書かれたら、もうフンドシにしか見えないですね。
さらにこのフンドシを外すと、中からガンダムの秘密兵器が・・・という情報は、
今のところありません(^^;。

そしてみんなが写真を撮りたがる、ガンダムの頭部。

家族連れが入れ替わりたちかわり写真を撮るので、アタマだけ撮るのにかなり苦労しました。

このガンダムの目がときどき光るのですが、その電力はどこから供給してるか?というと、実は・・・

横でお客さんが自転車発電機を漕いで、目を光らせていたのでした。
エコと言えば聞こえはいいけど、これっていわゆる奴○労働では・・・げふんげふん。

せっかく500円も払ったので、周囲を回りながら写真を撮ってきました。










そしてこの会場で一番人気だったのが、ガンダムの手に乗って写真を撮ってもらうコーナー。

ご丁寧に、手の上には座布団まで敷いてありました。
まあ会場が炎天下なので、これがないとお尻が熱くて座ってられないのかも。

別角度から見ると、こんな感じ。ポスターと違って、こっち向きでの写真撮影はできません。


ひととおり写真も撮り終わったので、会場の中を見渡してみると・・・おっ、あった!

静岡でガンダムを見たときに食べて大いにハマった、ハム焼きの売店です。

久々に食べたけど、やっぱりおいしかったなぁ。
今回は一緒に「豚ドッグ」も食べましたが、こちらも腸のパリッとした食感と
スパイスの効いた肉のうまみが絶妙でした。

ハム焼きは500円、豚ドッグは400円。
ハムとソーセージの盛り合わせを頼んだと思えば、そんなに高いわけではありません。
あー、これでビールが飲めれば最高だったんだけど。

場内の端っこには、日清食品のブースが出ていました。

ここはちょっと見逃しがちなので、ヤカンを持ったガンダムを見たい人はご注意ください。

イベント的には家族でガンダムと一緒に写真を撮るのがメインな感じで、大きなお友達が
張り切って来るようなムードではありません。
露天なので日差しのキツさは身にしみますが、雨の日だといっそう盛り上がりに欠けるので、
やっぱり天気のいい日に来るべきだと思います。

そしてガンダムを見終わって外に出ると、向かい側にワンピースの「サウザンドサニー号」を発見。

正直、ガンダムよりも人が入ってました・・・圧倒的じゃないか、お台場合衆国は!

余談ですが、帰りに電車に乗ったときに隣り合わせた家族。
お父さんがベビーカーを押していたのですが、よく見るとTシャツの肩に連邦軍のマークが!
そしてフロントを見ると、ホワイトベース三人娘のプリントが!

少なくともこの家族、お台場合衆国がメインの目的地でなかったことは間違いなさそうです(笑)。
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テオ・ヤンセン展 ~生命の創造~

2010年12月21日 | イベント・観覧レポート
12月12日、お台場・日本科学未来館の『テオ・ヤンセン展~生命の創造~』に行ってきました。


日比谷でヤンセン氏と彼の作るストランドビーストを見たのは昨年1月なので、約2年ぶりの再会です。
ありがたいことに、今回は場内の撮影がOK!ということで、写真を撮りまくってきました。

今回の目玉は最新型のストランドビースト、アニマリス・シアメシス。

双胴型にしてこれまでで最大の巨躯を持つ、世界初公開のビーストです。

公開期間中は1時間ごとに15分程度、歩行のデモンストレーションが行われるみたい。
海に近い会場なので、海風を受けての歩行が見たいところですが、残念ながら今回も屋内展示でした。
(追記:12月23・24日の両日、フジテレビ社屋前の広場で屋外展示&デモがあるようです。)

デモ終了後に不調を見せたビーストの“手当て”をするのは、来日中のテオ・ヤンセン氏。

複雑かつ繊細な構造を持つビーストは、歩行するたびに少しずつ損耗し、いわゆる「死」へと近づいていきます。
動けなくなったビーストは、いわば「化石」ということになり、もはや生き返ることはありません。

さて、ストランドビーストとは何か?ということは昔の記事でも書きましたが、いま要約するならば
「プラスチックチューブを主体にした構造を持ち、自然エネルギーである風を動力にして、自律行動を行う擬似生命」
という感じではないかと思います。

ヤンセン氏の考え方によれば、プラチューブは有機生命における「タンパク質」に相当するものであり、
ビーストの骨格に見える部分は筋肉であり内臓、そして遺伝子構造そのものでもあるとのこと。

プラチューブを経由した空気がビーストの脚部を動かす仕組みは、外骨格がそのまま駆動部を兼ねるという
独創的かつユニークなものです。
その一方で、脚部を構成するチューブの長さは、ビーストの歩行に重要な“聖なる数字”の比率で決められており
この長さは後のビーストにも受け継がれるという意味で「遺伝子」の役割も果たしているのです。
これはビーストが大型化した場合でも同じで、その基礎には必ず“聖なる数字”の倍数が使われています。

今回の展示では、この“聖なる数字”についての解説が冒頭に置かれていました。

これこそ、日比谷で言葉だけは聞いていた“聖なる数字”の真実。

その基本原理をプラチューブに適用すると、下の写真のような構造になります。

左の円は車軸の回転運動で、これがチューブの構造によって脚部の動きへと変換される仕組み。

ヤンセン氏によれば、ビーストの「脚」は、車輪が砂浜などの地形に適応して進化したものということですが、
このチューブの動きを見ると、車輪の代わりに脚がついた、「車」の変種であることがわかると思います。

そしてこの組み合わせを見つけるため、ヤンセン氏はコンピュータによるシミュレーション以外にも、
同じ形の小型ビーストを競争させ、より効率よく歩いた個体の脚部を他のビーストに移植するなど、
ラマルクの用不用説を実践するかのような試行錯誤を繰り返して、ビーストの進化を促してきたのです。

会場内には、そんな「進化」の過程で生まれ、そして化石となった数々のビーストも展示されていました。






立つことのできなかったビースト、縦や横にのたくるだけしかできないビースト、そして木製のビースト
(この種族は進化の行き止まりに達し、もはや絶滅したとのこと)などを経て、やがて立ち上がり、歩き、
呼吸し、単純な頭脳を備えるところまで到達したストランドビーストは、今もなお進化を続けているのです。

そして12月12日には、ヤンセン氏と造形家の高橋士郎氏、写真家の港千尋氏による対談も行われました。

この中でヤンセン氏が話していた内容について、特に興味深かったものをいくつかまとめてみます。

・母は旅館のようなことをやっていて、少年時代は生まれた土地の海辺で過ごすことが多かった。
 だから自分の頭の半分は、いまも海の光景で占められている。

・自分のやっていることは一種のおとぎ話。でも世の中には聖書を含めて、人の想像力から生まれた物語が
 いくつもあり、その中には我々や世界の起源につながることが書かれているかもしれない。

・いずれは自分が死んでも、ビーストが自力で生き続けることを望んでいる。
 しかしそれも、ひとつのおとぎ話だろう。

・ありふれた材料から生物を作るため、オランダにはよくあるプラスチックチューブを使った。
 そしてビーストの形状や機能は、チューブの特性が自ら導き出したものと言える。

・自分は美しい形のものを作ろうとしたのではなく、あくまで機能的で生物に近いものを生み出そうとした。
 完成したビーストを見た人は「よくこんなに美しいものを作った」と私を賞賛するが、私自身もこんなに
 美しいものを作ったとは思えない。ある意味で、この形はチューブが自ら選び取ったものだと言える。

また、トーク終了後にはヤンセン氏によるサイン会が行われました。


会場内では、「大人の科学」1月号の付録を(部分的にですが)いち早く体験できる「ミニ・ビースト」のキットも販売。



併設のショップでは、新作DVDやTシャツ、そして「ミニ・ビースト」の完全版キット(大人の科学はナシ)など、
さらに多数のビーストグッズが出ていました。

私のオススメは“聖なる数字”Tシャツ。左肩にはヤンセン氏の名前ロゴも入ってます。

「テオ・ヤンセン展~生命の創造~」は、2011年2月14日まで開催。
ただし12月28日~元日までは休館となります。
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第23回東京国際映画祭「映画人 りんたろうの世界」

2010年10月31日 | イベント・観覧レポート
第23回東京国際映画祭の特別企画「映画人 りんたろうの世界」に行ってきました。

最初にゲストを迎えたカンファレンスが行われ、続いて『幻魔大戦』『カムイの剣』『メトロポリス』の
新旧3本が上映されるという、とても充実した内容でした。

まずは2時間にわたって行われたカンファレンスについて。
りんたろう監督の代表作といえば、劇場デビュー作品でもある『銀河鉄道999』が思い浮かびますが、
その脚本に石森史郎さんを起用したきっかけであり、劇場版999のイメージの原点にもなっているという
1972年の実写映画『約束』の一部が、最初に上映されました。
この作品の主演女優は当時40歳前後の岸恵子ですが、なるほどメーテルの面影もあるなあという感じ。
この作品の脚本家である石森さんを起用することで「年上の女性と大人になりつつある少年の交流」という、
劇場版999のテーマが確立されたようです。

続いて一人目のゲスト、『幻魔大戦』で主人公の東丈を演じた古谷徹さんが登場。
角川初のアニメ映画である幻魔への意気込みと声優一本でやっていこうという覚悟から、この作品を機に
所属先を青二プロダクションに変えたという逸話を披露してくれました。

古谷さんご自身の演技で特に気に入っている場面は、ベガとの対決シーンだとか。
ちなみに作中で吉祥寺周辺が頻出するのは、アニメで実在の街をリアルに描きたいという監督の意図によるもの。
この当時、りん監督は吉祥寺に住んでいたため、ロケハンなしでも描けたそうです。

なお、この日は参加できなかったものの、『幻魔大戦』『カムイの剣』『メトロポリス』の全てに出演している
小山茉美さんからも祝電が届いてました。

その後にりん監督が虫プロ時代に動画を手がけた作品「ある街角の物語」の一部を流しつつ、アーバン指向や
虫プロ当時の思い出話、手塚作品への思いなどが語られた後、次のゲストとして漫画家でありアニメ監督の
大友克洋さんが登場しました。
当時吉祥寺に住んでいた大友さんを、同じく吉祥寺に住んでいたりん監督が喫茶店で口説いて『幻魔大戦』に
参加してもらったのが、今に至る付き合いの始まりとか。
大友さんには当時のマッドハウスの汚さと居心地のよさがとても印象的で、この体験が自らアニメを手がける
ひとつのきっかけにもなったそうです。
そしてベガのデザインイメージには、辻村ジュサブローの影響も少し入ってるとか。

ルナ姫のデザインについては、当時これを見た現マッドハウス社長の丸山正雄さんからひとこと、
「かわいくねー!もっと可愛くできないか」と言われたとか。
(ちなみに、このカンファレンスでは当の丸山さんご本人が、大友さんの目の前に座ってました。)
さらにマントも着せようという提案に対し、大友さんは「それは無理、オレの中にはマントは無い!」

なお、東京壊滅シーンの群集シーンには大友さん直筆のカットがあるそうで、意識しながら見てみると、
それらしきカットがはっきりと見分けられます。
(追記:MOOKさんからの情報によれば、全部で4カット描いているとのこと。)

続いて大友さんが脚本を書いた『メトロポリス』について。
「自分を含めた多くの作家に影響を与えたのは初期の手塚作品であり、昔ながらの指も手足も太いキャラで、
自分好みのアーバンスタイルなアニメを撮りたい」というりん監督の希望から、初期作品のメトロポリスが
選ばれたそうです。
大友さんによると「原作のお話そのものはかなりアレ」だとのことですが、つぎ込まれたアイデアの量は
半端ではなく、脚本化の過程でそれを膨らます作業が楽しかったとの話。
スターシステムでロックを登場させるというのは、大友さんのアイデアだそうです。
作中では巨大都市とそこにひしめく民衆の姿が印象的で、アニメのほうでもこれを見事に再現していますが、
アニメーターさんには非常に苦労をかけたとか。

この後『スチームボーイ』公開時に応援作品として作られた「48×61」が流されましたが、これがとにかく
メチャクチャで面白かった。
自転車好きのりん監督と大友さんが多摩川べりで自転車レースをするという短編アニメですが、後半部分は
ほとんど自転車版『REDLINE』という内容。
キャラデザの寺田克也さんの描く二人が異様に似ているのがまた笑えるところで、さらにそれを見ながら
当の本人たちがコメントしている、というシチュエーションがシュールでした。
「こういう作品が賞を獲れるようになると、未来は明るいんですけどね(笑)」とは、りん監督ご自身の弁。

続いてのゲストは、『カムイの剣』で音楽を担当された宇崎竜童さん。
劇中音楽に和太鼓を取り入れたいという監督の希望に応えたこと、絵コンテの横に書かれている効果音を
現場で見た体験などが、太鼓と掛け声を駆使する「竜童組」のスタイルへとつながっていったそうです。
また劇中で印象的に使われているケチャの音源は、監督がバリ島のビーチで買ってきたカセットテープを
使用しているとのこと。
「忍者をリアリズムではなくあやつり人形的に動かしたいと考えたとき、ケチャの音が合うと思った」
「尻から太鼓の音がドーンと上がってきて、頭の上からケチャの音がチャッチャッと来るのが面白かった」
(りん監督の発言より)

さらに『カムイの剣』の映像と音楽表現の原点として、りん監督が演出に携わっていたモノクロTVアニメ
佐武と市捕物控』の第一話冒頭も上映されました。

実は番外編として、宇崎さん自身が関わった映画作品の話題も出たのですが、内容があまりに危なすぎるので
ここには書けません(^^;。

そして最後のゲストは、今回の東京国際映画祭「みなと上映会」で『マイマイ新子と千年の魔法』が上映された
片淵須直監督。
「若僧なもんで、今日は何で呼ばれたのか」と謙遜する片淵監督、相変わらず奥ゆかしかったです(笑)。

りん監督の『よなよなペンギン』とほぼ同時期に『マイマイ新子』を製作し、共にマッドハウスを牽引する
片淵監督ですが、意外にもきちんと挨拶するのはこの日がはじめてとのことでした。
しかし大学生時代に属していた池田ゼミで、なんと実習と称して「キャプテンハーロック」の絵コンテを
切らされたという思い出話から、実は昔から間接的なつながりがあったと判明(笑)。
また同じく大学の講師だった月岡貞夫さんがりん監督に仕掛けたというイタズラ話も聞かせていただきました。

実写への意識について問われたりん監督は「そもそも東映動画に入ったのはアニメ指向ではなく、
実写に進むための方便だった」と発言。
そのためあまり熱心に仕事もせず、隣の大泉撮影所へ頻繁に顔を出していたようです。
しかしその後に虫プロへと移籍し、気がつけばすっかりアニメ業界に染まっていたとか。

逆に片淵監督のほうは「(実写)映像は好きだけど人に指図するのが苦手なので、ドキュメンタリー作品を
撮りたかった。それも人間を撮るのは怖いので、自然のアルバムみたいに山の中で延々とフクロウとかを
一人で撮ってたら、きっと幸せだろうなと思った(笑)。」

最後に、最近の「映画としてのアニメ」をどう思うか、という質問に対して、片淵監督からは
「今はいろいろな企画もできるようになってきたけれど、それを世間に知らしめるという部分で
 バランスのとれてない部分があると思う。」
「(マーケティング主体から)作り手が前に立ってモノを作れるようになってきたので(そういう作品が)
 アニメマニアでない一般の人にも伝わって欲しい。」とのこと。
マイマイ新子の実情を知るファンの一人として、深くうなずける言葉でした。

これを受けて、りん監督はアトム以来の日本アニメがたどってきた“浸透と拡散”に触れながら、
日本アニメの閉塞感とこれからの展開に対する期待感を述べられました。
また急速に普及している3Dに対しては、日本アニメの良さである「手描き」の力を評価しつつも、
時代の流れにどう立ち向かうべきかという危機感も滲ませていました。

そしてカンファレンス終了後には、『幻魔大戦』『カムイの剣』『メトロポリス』を連続上映。
3作に共通して感じたのは、スケールの大きな画面構成と壮絶な破滅美でした。
こういう画作りの作品は、やっぱり大画面で見ないと本領が発揮されないものですね。
またどの作品も音楽の個性が映像と緊密に関係して、強固な世界観を形づくっています。
『幻魔大戦』では、幻魔のイメージがブリューゲル的であることにもはじめて気づきました。

さすがに3作品とも優れていますが、やはり全ての面で出色だと思ったのは『カムイの剣』です。
個性的なキャラのすばらしい動き、雄大な背景美術とケレン味たっぷりな特殊効果。
そして矢野徹先生の原作による、世界と歴史を股にかける物語の破天荒な面白さ。
ケチャと和太鼓のミックスによるボーダーレスな音楽が、これらの魅力をさらに増幅しています。
原作の知名度で一番損をしている気がする作品ですが、娯楽冒険活劇にして伝奇アニメの傑作なので、
この上映を機に、もっと正当な評価を受けるようになって欲しいものです。
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括目させてもらおう、1/1ガンダム!

2010年09月27日 | イベント・観覧レポート
さて静岡ロボット探訪記の第三弾は、いま話題の1/1ガンダムです。
「ロボットと美術」展を見るのが静岡に来た主目的とはいえ、ここまで来たなら
ガンダムちゃんを見ない手はありません。瀬名先生も講演前に見てきたというし…。

ということで、静岡県美からの帰りに東静岡駅へ寄ってきました。


1/1ガンダムはお台場でも見てますが、静岡版ではビームサーベルの追加や
デザインのマイナーチェンジ、そして新規のデモ演出があるということ。
そのへんを比べて見ようというのが、今回の主な目的です。

着いたのは夕方5時ごろですが、会場はなかなかの混雑ぶりでした。
とはいっても、お台場での混み具合に比べればずいぶんとおとなしいものです。

お台場で撮ったのとアングルの近い写真を撮ってきたので、並べてみました。

ビームサーベルを持つために右肩と手首の様子が変わってますが、他は同じポーズですね。
一方、マーキングは足首等に施された“GUNPLA 30th”を含めて、全体的に追加されています。
ある意味、これによって良くも悪くもガンプラっぽさが増したような感じ。

ちなみにお台場版は右肩がEFSF、左肩は東京オリンピック誘致キャンペーンのマークですが
静岡版は右肩が機体番号のWB102、左肩はガンダムの型式番号に変わってます。

サーベルが突き刺さってる台座部分は、よく見ると熱で溶けた演出が…。

刀身が白いのでいまいち説得力に欠けるのが、ちょっともったいないですね。

背面から見ると、こんな感じです。静岡版では右のサーベルが抜かれてます。


またこの写真ではわかりませんが、ミストの噴射機構は以前よりもかなり追加されてます。
お台場のときは胸部ダクトと肩から噴射されていましたが、静岡ではさらにランドセルや
ヒザのダクトなどからもミストが出るようになってました。

ヒザのアップを見ると、ミストの噴射口が点々と仕込まれているのがわかりますね。


ところで会場ではガンダムカフェの出張店舗が出てましたが、ガンプラ焼を売ってた店員の
接客態度のひどいこと。
客を待たせてる面前で店員同士が雑談したり、注文内容に不満そうな声を漏らしたり…。
たぶんアルバイトなんだろうけど、そのうち客に怒鳴られるんじゃないだろうか。

そして私のほうはというと、静岡なのになぜか茨城名物を食ってました。
カシマスタジアム名物、五浦ハムのハム焼き。一本500円です。

お台場にも出展してたらしいけど、気がつかなかったなぁ。
まあ劇場版00も公開されたことだし、ハム様を食うなら今が旬!ということで(^^;。
(ここまで引っぱって、ようやくタイトルの前フリとつながりました。)
ゴロッと切られた肉はボリュームたっぷり、油身にも弾力と甘みがあってうまかったです。

夜間のライトアップは8月までのため、いまは6時前のデモでプログラム終了となります。

首ふりアクションはお台場と同じですが、デモ時間は7分間とお台場の倍くらい。
BGMはララァっぽい効果音から入って最初はファーストガンダムの曲が続きますが、
いつのまにやらガンダムSEEDのアレンジ曲に変わってました。

イメージにそぐわないとはいえ、まあガンダム00じゃなくてよかったと思うべきか…。
ラルクとかUVERが流れたら、目の前の機体がOガンダムに見えちゃいますからね。
(ある意味では確かに、お台場からの「リボーンズガンダム」ではありますが。)

9月後半ではあまり暗くなりませんでしたが、もう少し経てば陽が落ちるのも早まるので、
そのうちまた夜空に浮かび上がるガンダムが見られるようになるかも。

追記:10月~11月はガンダムのデモとタッチ&ウォーク、飲食ブースは休止との事。
なお、オフィシャルグッズショップは引き続き営業しますが、一部物販については
販売しないものもあるそうです。詳細については、公式HPなどで確認してください。
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ロボ美展講演会 瀬名秀明先生「機械と生命のあいだ」

2010年09月25日 | イベント・観覧レポート
静岡で9/20に「ロボットと美術展」を見たとき、SF作家・瀬名秀明先生による
講演会「機械と生命のあいだ ロボットの〝いのち〟をどのように展示する?」も
聞いてきました。
公式サイトのブログにも講演内容の紹介がありますので、そちらとあわせてお読みください。

知的な若先生といった姿の瀬名さん、まずさわりではペンネームの由来や最近公開された
電子書籍「AiR」についての紹介。
そして本論では手品やゴシック小説の手法を引用しつつ、こんな考えを説明しました。

「作り物を本物らしく見せるための必須要素」=「自然なふるまいとして見せること」

その実例としてホンダのCMにおけるPシリーズからアシモまでの歴代ロボットの挙動を、
それぞれの映像によって比較。
なるほど、時代を追うにつれて曲がっていたヒザがのび、挙動全般が少しづつですが
人間らしくなっていく様子がよくわかります。

これとは逆に、形態が全く人間ぽくないにも関わらず人間くさい動きをするロボットとして
紹介されたのが、ネットで話題になった米軍の軍事用運搬ユニット「ビッグドッグ」の映像。
こちらは人間を戯画化したような四足の挙動が、むしろタチの悪いパロディに思えます。

両者の比較によって見えてくるのは、“人間らしさ”を定義することのあいまいさ。
つまりヒトの動きそのものを、一概に“人間らしい”とすることにも、やや無理があるようです。

そして瀬名さんは「ロボットを研究することは、人間を研究すること」という考えを説明。
ロボットを人間らしく見せるための取り組みは、すなわち人間とは何かということを
より深く理解するための取り組みでもある、ということですね。

他にも人間社会に溶け込んだロボットの成功例として“ドラえもん”を取り上げて
ロボットの家族と暮らすアトムと比べたり、科学万博で人間に弾けない曲を演奏した
ピアノ演奏ロボットについて話したりと、とにかく盛りだくさんな内容。
ゴシック小説からロボティクスまで多方面の知識が投入されたため、やや本筋が
追いにくくなるところもありましたが、瀬名さんの博覧強記ぶりはさすがでした。

最後に会場からいくつか質問が寄せられましたが、特に面白かったのは

「ポストアトム、ポストドラえもんのロボット作品として、攻殻機動隊をどう思うか」

というような内容のものでした。

これに対して瀬名さんは(今回は身体性がキーワードなので)電子知性を扱った攻殻には
あえて触れなかった…と回答。
さらに興味深い話として、ロボットを動かすには重力を意識する必要があるという点に触れ、
次のような考えを披露してくれました。

「我々が世界を認識するときは、進行方向と重力を常に意識している。」
「それに対して、電子知性は重力という因子に束縛されないだろう。」
「ただし電子的存在も物理的な法則に縛られるから、それが彼らの身体性になるのではないか。」
「そのような身体性を持つ存在は、我々と異なる世界認識を持っているに違いない。」

おお、まるで『戦闘妖精・雪風』についての解説を聞いているみたいですねー。
(瀬名さん自身も講演中に『雪風』の名前だけは出してました。)
今回の講演中では、この回答が最も刺激的に感じました。

偶然ですが、静岡県美に最寄りのJR駅は攻殻つながりの「草薙」という名前でした(笑)。
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『「帰ってきたウルトラマン」庵野秀明監督セレクション10+1』

2010年09月19日 | イベント・観覧レポート
池袋の新文芸坐で『「帰ってきたウルトラマン」庵野秀明監督セレクション10+1』を見てきました。

場内は立ち見も出るほどの大盛況。
そして会場の7割くらいがリアルタイムで「帰りマン」を見てた人のようでした。
逆に1割弱くらいは、初めて見るというお客さんもいたみたい。
この人たちはEVAと庵野さんの影響で来場したのかもしれません。

オールナイトでスタートは夜の10時半、終了は翌朝5時過ぎという構成。
最初の45分は、特別ゲストの郷秀樹役・団時朗さんと作品セレクトを担当した庵野監督が登場し、
司会役のライター・清水節さんの進行でトークをされました。

団さんは新マン登場前は本名の村田英雄で活動していたため、営業先にお年寄りが詰め掛けたとか、
CM出身なので自分から画面に映りに行くという感じがつかめなかった・・・などの体験談を話してました。

団さんからは岸田隊員(攻殻SAC2のゴーダ役でも知られる西田健さん)にも声をかけたそうですが、
今回は残念ながらロケのためお越しいただけなかったそうです。

一方、庵野さんは帰りマン初体験が小学5年生のとき。
小学3年生がメインターゲットな作品を、5年生で見た感じはどうでした?という質問に対しては
「かえってそれがよかった」とのことでした。

「初代マンやセブンが近未来の世界観を描いていたのに対し、帰りマンは放送当時である
70年代のリアルタイムを描いているのがよかった。」
「自分がもっと小さければ、そのよさが理解できなかったと思います。」

なるほど。そういえば無線ひとつとっても普通のトランシーバーを使ってたりと、
旧マンやセブンよりは明らかに現実的な装備でしたね。
その現実味が新マンのコンセプトであることに、庵野さんは気づいていたわけですな。

そんな庵野さんに対して、団さんからはこんなコメントが。
「EVAでは僕もよく勝負してますよ、なかなか出してくれないけど」(パチンコの話ですね)
庵野さんは「それは僕にはわからないとこなので・・・」とかわしてましたけど。

そして上映作品のラインナップについて、庵野さんの解説も加えての紹介がありました。
(破線で区切った部分は、私の感想です。)

◎第5話「二大怪獣東京を襲撃」第6話「決戦! 怪獣対マット」
地底怪獣グドン、古代怪獣ツインテール登場。

いきなり5話からのスタートですが、これは庵野さんの説明によると
「みんなもう見てるだろうから、1話2話は最初はすっとばしてもいいや」と判断したとか。

この回は郷と岸田の対立に加えて、いきなり話がマット解散の危機にまで発展。
「解散という言葉は、これで覚えました」(庵野さん)
ツインテールのデザインは、団さんもお気に入りだとのこと。

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大人の社会の対立は子供の庵野さんにも印象深かったとのことで、これが後になって
EVAの作劇にも影響したんじゃないか、という気がしました。
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◎第28話「ウルトラ特攻大作戦」
台風怪獣バリケーン登場。

脚本にバラエティを持たせて欲しいという円谷側の以降も汲んで、実相寺脚本を選択。
民家の屋根にタンカーが落ちてるというビジュアルにもやられたそうです。
ちなみに22話で隊長が変わってるので、ここでは既に加藤隊長から伊吹隊長になってます。

清水さん「加藤隊長と伊吹隊長はどちらが好きですか?」
庵野さん「僕は伊吹隊長派。加藤隊長はいい人だけど、解散もやむなしというタイプ(会場爆笑)」
なお、演じる根上淳さんは映画スターなので、TV出身の団さんたちはとても緊張されたとか。

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ちなみに台風を怪獣に見立てる天気図は、後に「トップをねらえ!」でも引用されてます。
気象庁とのやりとりでは、山本弘さんの怪獣SF小説『MM9』が連想されました。
そしてバリケーンの“ふわっ”としたやられ方には、場内から失笑が・・・。
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◎第31話「悪魔と天使の間に・・・・」
囮怪獣プルーマ登場。

脚本は市川森一。
庵野さんは「子供の芝居もいいけど、その首を絞める郷の演技がいい」とのことでした。
この回では郷の現住所として、浅草あたりの住所が書かれた履歴書がチラッと映ります。
これに対して団さんは「浅草だった?成城あたりじゃなかったの?(笑)」

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首絞めは劇EVA完結編にも出てくるカットなので、やはりこれも原体験となった映像?
見た後の感想としては、ブラッドベリ「小さな殺人者」の翻案っぽいなというところ。
しかしその後の意外な展開には驚かされます。
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◎第32話「落日の決闘」
変幻怪獣キングマイマイ登場。

行方不明の父がちらっと映るとか、等身大の新マンが子供を抱えて走る姿が好きだそうです。
監督が特撮出身の大木淳さんで、落盤の特撮もいいとのこと。

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迷彩のマットビハイクルというレアなメカも出てるので、これも見どころのひとつです。
上野隊員のコミカルな芝居が、いつにも増して際立つ作品でもあります。
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◎シークレット回 NG2話「タッコング大逆襲」
オイル怪獣タッコング登場。

DVD-BOXにも収録されている、本放送とは異なるバージョンだそうです。
オープニングや変身ポーズなどの演出が異なるほか、主題歌がインストのみになってるのが特徴。
この時の曲の歌入りは、後にDAICON FILM版「帰ってきたウルトラマン」の主題歌として使われ、
意外な形で陽の目を見ることになりました。

◎第33話「怪獣使いと少年」
巨大魚怪獣ムルチ登場。

「帰りマン」ではまず最初にタイトルが挙げられる、傑作にして問題作。
よくこの当時、これを夜7時台に流せたものだ・・・と、皆さん感慨深そうでした。
庵野さんはこれをベスト作に推すそうです。(特撮は好みじゃないとか)
団さんも特に印象深いそうで、特にシリーズ助監督としてがんばってきた東條昭平さんの
初監督作品という意味でも、強く記憶に残る作品だそうです。
団さんにとっての帰りマンは、東條さんそのものである・・・とのコメントもありました。

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差別と貧困、そしていじめの問題を真正面から扱った傑作。
メイツ星人を守れなかった郷の苦悩と、人類への失望感がたまりません。
この感じは横山光輝の傑作マンガ「マーズ」の苦い結末に通じるものがあります。

しかし、いじめっ子の犬がいきなり爆発するシーンには場内驚愕&爆笑。

これはもしや「リア充爆発しろ!」を先取りする表現だったりして・・・(^^;。
まあさすがに、いじめっ子本人を爆破するまでには至りませんでしたが。

そして全体にクセのある映像表現には、どこか実相寺作品との類似も感じられます。
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◎第35話「残酷! 光怪獣プリズ魔」
光怪獣プリズ魔登場。

坂田兄役の岸田森さんが朱川審のペンネームで書いた脚本です。
抽象的な特撮と尻切れな終わり方が特に印象に残ったとの庵野さんに対し、団さんからはこんな言葉が。
「なんか『熱海の捜査官』のラストに似てるよね、なんだこの終わり方(場内爆笑)」

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怪獣というよりは「怪現象の捜査と対策」を重視した物語構成には、ウルトラセブンの後番組である
「怪奇大作戦」の雰囲気に近いものを感じました。
ヒーローものとしては異色ですが、私の偏愛する一作です。
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◎第37話「ウルトラマン夕陽に死す」第38話「ウルトラの星光る時」
用心棒怪獣ブラックキング、暗殺宇宙人ナックル星人登場。

坂田兄妹の惨殺は、庵野さんも子供心にショックを引きずったとかで、団さんいわく
「やっちゃいけないことをやっちゃいましたね~」。
しかしもっとやっちゃいけないのは、2年前の劇場版『大決戦!超ウルトラ8兄弟』での
復活劇だとも言ってましたが・・・。

団さん「もうなんでもありかよと。いまだにビックリしてます。」
庵野さん「僕もビックリしました。」

そしてこのエピソードのラストで、いきなり郷秀樹に別の彼女ができるという超展開。
団さん「この後から郷の浮気性が出てくるんですよ。」
庵野さん「子供ごころに“えっ!”と思いました。もう次の人が・・・。」
団さん「(それが)現実ですよ、現実。」

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ナックル星人の帰りマンに対する執拗ないたぶり方は、今見てもエゲつないですな。
ブラックキングはナディアに出てきた“ロボキング”の元ネタとしても有名ですね。
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◎第51話「ウルトラ5つの誓い」
宇宙恐竜ゼットン(二代目)、触角宇宙人バット星人登場。

最終回は初代マンの終わり方を思い出させる、ゼットンとの対決です。
庵野さんにとってはスーツ姿の郷が、大人の旅立ちという感じでよかったとのこと。
ウルトラ5つの誓いが妙に現実的なところも、地に足が着いててよかったとか。

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庵野さんはこの最終回を見て
「大人はいつかいなくなるんだ、子供もいつかは自分でやらなきゃいけないんだ」と
子供ごころに感じたそうですが、これまたEVAのテーマに通じるものがありそうです。
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トークの総括として、庵野さんにとって帰りマンとは何か?という質問に対する答えは

「良くも悪くも、ウルトラシリーズが続いてしまった作品。」

もうリメイクなのか、という旧作への寄りかかりを感じるものの、子供としては
「ウルトラマン、もう帰ってきてくれたんだ!」と単純にうれしかったとか。

ちなみに後づけの名前である「ジャック」という名前については、団さんも庵野さんも
あまり好きじゃないとのことでした。
庵野さんは新マン、もしくは帰りマンとしか呼べないとか。
(庵野家のネコはジャックという名だそうですが、こっちはむしろマイティジャックが由来とか)

会場には帰りマンのスーツアクターだった菊池英一さんもいらしており、紹介時には庵野さんが
うわずった声で「大ファンですから!」と呼びかけるという一幕もありました。
最後は来年の帰りマン40周年に向けて何か盛り上がれれば、ということで、
団さんはスクリーンの中に帰るという流れでトーク終了。

さて、庵野セレクションを見終えて私が思ったのは
・事件に(次郎ではなく、ゲストキャラの)子供が絡む作品が多い。
・肯定的であれ否定的であれ、高度経済成長という70年代を反映したテーマ性が感じられる。
(スモッグ、公害、トンネル工事、ダム開発)
・大掛かりな社会の動揺を描く作風に、当時の流行だったパニック映画への傾倒が見られる。
・「怪獣使いと少年」は、早すぎる「第9地区」だったのかもしれない。

そして庵野さんの好みは、人間と組織のぶつかり合いやエキセントリックな物語に向けられていて、
本編の鍵となるエピソードや有名な怪獣にとらわれていないのが興味深いです。
また映像とストーリーの両面で、後の作品に見られる要素をいくつも感じることができました。
その点では、今回のオールナイトを「The Roots of 庵野秀明」としても間違いではなさそうですね。

個人的には、丘隊員の活躍がうれしかったですね~!
スタイルも身のこなしも存在感も抜群で、戦闘への貢献度も非常に高い。
少数派かもしれないけど、私にとっては今も最高のウルトラヒロインなのです。

場内のロビーには、トーク出演のお三方によるサインが飾られてました。


そしてその横には、こんな告知もあったりして。

というわけで、次回はいよいよ片渕監督ナイト!こちらも楽しみ~!
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「はやぶさ再突入カプセル」などいろいろ見学

2010年08月01日 | イベント・観覧レポート
相模原の市立博物館で公開された「はやぶさ再突入カプセル」を見に行ってきました。

朝8時に現地着してみると、すでに入場待ちの長い列。
まあこういうときは毎回「夏コミケの入場待ちを思えば・・・」と考えるようにしてるので、
案外と苦になりませんでしたが(笑)。
帽子やタオル、暇つぶしのアイテムなどの用意も慣れてますしね。

ようやく入口手前まで進むと、既に行列は道路の反対側まで達してました。

これは早めに来て正解だったなー。

入口はこんな感じで、残念ながら場内は撮影禁止です。

私の見学中にもどこかのおじいちゃんがケータイかなんかで写真を撮ったらしいのですが、
監視員が飛んできてデータを消させてたみたいでした。

室内には陳列ケースが6つあって、そのうちひとつだけが地上実験用のテストモデル、
残り5つが実際に帰還した再突入カプセルでした。
決して大きなものではないけれど、これが地球から出発して月の向こうの天体まで到達し、
そして地上に戻ってきた唯一の人工物だと思うと、やはり特別な感慨を覚えてしまいます。

パラシュートや内部機器は思ったよりきれいでしたが、外部のカプセルを構成する
ヒートシールド部分はさすがに焼け爛れた感じで、塗装のハゲが痛々しいものでした。
逆に言えば、あの傷みかたでよく中身が無事だったなーという感じ。
そこをうまくやるのがJAXAの仕事とはいえ、よくぞ予定どおりに働いてくれました。
おかげでいま我々が、その成果を目にすることができるというわけですね。
うんうん、みんな遠くからよく還ってきてくれたもんだ。

・・・などと思っているうち、もう出口についてしまいました。
混雑のため歩きながらの見学なので、賞味5分程度でおしまいです。

じっくり見られないのは残念ですが、まあさっきの行列を見れば仕方ないですね。
8月の筑波宇宙センターでの展示を皮切りに、今後は丸の内オアゾなど各所を巡っての
公開が予定されているそうですから、いずれはゆっくり見られるようになるでしょう。

カプセルを見たあとは向かいの宇宙科学研究所に移動して、キャンパス特別公開を見学。
はやぶさ関連では実物大模型のほかにイオンエンジンや説明パネルが出てましたが、
むしろ今回の見ものはイカロスのほうでした。

こちらは予備のイカロス用ソーラーセイル。展開時の4分の1の部分です。

素材は薄くて強靭な特製ポリイミド樹脂膜にアルミを蒸着したもので、耐用年数はおおむね
10年程度を見込んでいるとのこと。
これを細長く折りたたんで、手前の円筒部分に巻きつけると「イカロス」の本体部分が完成です。

こちらはセイルを巻きつけた状態の本体テストモデル。

中身の部品等が入ってない以外は、本物とほぼ同等品だそうです。
本体のスピンにあわせて右の黒いゴムローラーみたいなのが回転して、少しづつ
ソーラーセイルを繰り出していくのだとか。

そして全部開くと、写真等でおなじみのこの形になります。

さっき見た1枚が4分の1なので、全部開いた姿は相当大きく見えるでしょう。
DCAMで撮った写真も良かったけど、できれば宇宙に行って直接見てみたい・・・。

また、ISSで野口さんが着用した服も展示されてました。


胸元には野口さんの名と第22次長期滞在と記されたミッションパッチつき。

日英露の3言語で併記してあるのが、国際宇宙ステーションらしいところです。

屋外では無人探査ローバーの走行とマジックアームの操作実演。

遠隔操作で見事に石を拾って見せました。

このアンテナはニュースなどで見たことのある人も多そうですね。
オーストラリアのウーメラ砂漠でカプセルのビーコンを探知したアンテナです。

横のテントでは探査装置を並べて、実際にキャッチしたビーコン音も流してました。

それでは最後に、博物館の横に出ていた露天で買ったおみやげの数々をご紹介。

まずはこちら、その名も「イトカワアゲパン」。

おもいっきり便乗商法じゃないですか!

そして袋を開けると、中は普通のアゲパンでした・・・イトカワの形ですらないし(^^;。

味も普通のアゲパンです。ちなみにマグカップはJAXAで買ってきたもの。

次は地元名産という酒まんじゅうですが、思わず「なに、これ?」と言いたくなるデザイン。

いちおうはやぶさの形を焼印で押しているのですが、なんといえばいいのやら。
味も当然、普通の酒まんでした。味はともかく、デザインは一考の余地ありですね。

次はこちら、見てのとおりのはやぶさせんべい。大は一枚、小は五枚入りです。

こちらはきちんと(?)はやぶさの絵がくっついてます。
どうせ乗っかるなら、せめてこのくらいはやって欲しいものですね。
これなら一応、はやぶさ見物のおみやげとしても通用しそうです。

これを作った風林堂さんのブログでは、店長さんがはやぶさせんべい誕生のいきさつや
販売当日の様子などを書かれてます。
はやぶさの姿をくっきり写した「ぷりんたぶるせんべい」のことも紹介してますよ。

ちょっとせんべいの大きさがわかりにくいので、何かと比較してみましょうか。
・・・ということで比較用に「マイマイ新子と千年の魔法」のDVD(笑)を用意してみました。

このトールケースとせんべいの大が、だいたい同じ大きさなのがわかりますね。

さらに小さいせんべいを、同じ片渕監督作品の「アリーテ姫」のDVDと並べてみました。

ここまでやると、はやぶさにかこつけて好きなアニメを売り込んでるのがあからさまですが(^^;
まあ商品自体も便乗してるんだし、そこにさらに乗っかったと思ってください。
ここまで盛り上がってるなら、乗っからない手はありませんからねー。

とはいえ、テーマの面ではやぶさと縁の深い「アリーテ姫」との組み合わせを
こんな形でも実現できたことに、個人的には大いに満足しております(笑)。
コメント (2)
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第13回文化庁メディア芸術祭に行ってきた

2010年02月15日 | イベント・観覧レポート
国立新美術館で2月14日まで開催の「第13回文化庁メディア芸術祭」を見てきました。

先にご覧になったshamonさん
の事前情報である程度様子はわかってましたが、
入場無料のうえに最終日というせいもあってか、予想以上の混み具合。
「ベアリング・グロッケンⅡ」など、リピーターが来ている展示も多そうでした。

こんな調子なので、「Nemo Observatorium」等の体験型展示はハナから断念して、
とにかく目に付くものを片っ端から見ていこうという方針に変更。
そして会場に入ると、いきなりエンタメ部門の優秀賞「電気グルーヴ/Fake It!」が
延々とループ上映されてるのに遭遇しました。

電グルのシンセ音にあわせて階段を上り、飛び込み台から延々と飛び込む選手たち。
一見シンプルなアイデア勝負に見えるけど、音と絵の計算されつくしたタイミングや
アナログな手法でデジタル的なループ性を見せる感性はさすがです。

そして映像を見ていてふと思ったこと・・・これってエッシャーの作品の実写化なのでは?
階段を上る同じ格好のスイマーが飛び込み台から次々と落下する様子は「上昇と下降」と
「滝」のイメージをくっつけたものに見えました。
しかし、エッシャーを飛び込み台と競泳パンツで再現するとは・・・その発想はなかった!

マンガ部門では読んでる受賞作がなかったものの、「へうげもの」には思わずニヤリ。
実はここに来る前、五島美術館「茶道具取り合わせ展」で古田織部や千利休の茶道具やら
自筆書簡やらを、ガッツリと見てきたばかりなのでした。
さらにカバンの中には、お土産に買ったぐいのみまであるし。(織部茶碗「わらや」の写し)

アニメ部門では奨励作「アニマルダンス」が、原初的で強烈なイメージを残しました。
洞窟壁画と影絵と墨絵が合体した、暴風雨のようなイメージの数々が走り抜けていきます。
大賞の「サマーウォーズ」では、栄ばあちゃん亡き後の長い横パンで使ったレイアウト図が
展示されてましたが、これは長く貼り合わされた見た目からして、完全に絵巻物でした。
この場面、やはり異時同図法のアニメにおける実践だったのでは・・・ってのは考えすぎ?

人形アニメは、不条理性とユーモアが同居する「屋根裏のポムネンカ」と、ほのぼの作品
電信柱エレミの恋」が好対照。どちらも撮影に使った人形が飾られてました。
東京マグニチュード8.0」では、迫真のレイアウト画に描かれたディテールの情報量に
驚かされます。滝クリ出演と聞いて萎えてしまった私ですが、やはりきちんと見るべきか。
推薦作の中では「CANAAN」「東のエデン」「亡念のザムド」短編だと「センコロール」が、
私の見ていた作品ですね。どれも受賞に至らなかったのがちょっと悔しい。
(悔しいので、会場内で声を出さずに各作品のテーマ曲を歌ってきた・・・意味はないけど。)
そして「とらドラ!」は長井龍雪だったのか・・・来年はレールガンが猛威を奮うんだろな。

そして「東京マグニチュード8.0」の向かいには、特別功労賞「金田伊功」の展示が・・・。

展示原画やレイアウトは「半熟英雄シリーズ」「FFⅨ」「すばらしきこのせかい」など、
スクエニのゲーム関係ばかりでしたが、どれをとっても金田氏らしいものばかり。
映像は「大空魔竜ガイキング」も流してましたが、やはり感動したのはスクエニゲームの
OPアニメたち、そして中でも特に名高い「武蔵伝Ⅱ」のものでした。
この時組んだのが、かの今石洋之監督!アタマっからグレンラガンのテイスト全開の絵が
これでもかと言わんばかりに、金田的なパースと動きを見せてくれます。
・・・というか、ここに出てくるレイアウトってグレンのOPと相当カブってますね(笑)。

そして展示ケースの中には、金田氏自筆のノートが2冊。
そのうち1冊は御本人の信条や作画心得を箇条書きで記したものでした。
含蓄に富んだ言葉が並ぶこの内容は、今後何らかの形で世に出して欲しいと思います。

そしてもう1冊のほうは何かのアイデアノートでしょうか、ロスチャイルドやらダボス会議やら
フリーメーソンといった言葉が書かれており、これらの権力がどのようにして今日の社会を
築いてきたか、その根本思想はなにかといった興味深い記述が見られました。
どうやら金田さんの頭の中には、壮大な骨組みを持つ近現代史の物語ができていたらしい。
それにしても、なぜ誰もそれを映像にしてあげられなかったんだろう。それが一番悔しいです。

他には中身がぎっしり詰まっている「半熟英雄」の筆箱や、第7開発事業部の名札なども。
名札も手作りなのか、下部には「お酒もおねえちゃんも大好き、合コン呼んでね」といった
笑える自己紹介が(ローマ字で)書かれているというお遊びもアリ。

そして伝説となった金田エフェクトの源である「魔法の」円定規なども置かれてました。
これを見ながら、金田さんがどんな効果も円定規で描いてしまった逸話を読んでいると
失った才能と残された作品への思いがさらに強まりました。

金田氏の紹介ではやや不手際も見られた(詳細は今後「究極映像研究所」で書かれるはず)
今回のメディア芸術祭ですが、今後は死後追贈や功労賞の規定についても整備が進むのを
強く願いつつ、今回の受賞者たちの産み出す作品に期待していきたいと思います。
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May’n武道館ライブ「BIG☆WAAAAAVE!!」行ってきた

2010年01月25日 | イベント・観覧レポート
24日、May'nの武道館単独ライブ「BIG☆WAAAAAVE!!」に行ってきました。



ナマ歌で「ノーザンクロス」が聞きたいという一心から、良席でなくてもいいやと思って
追加発売されたステージサイドを確保したわけですが、結果としてこれが大当たり。
何度となくステージサイドの張り出し部分まで来てくれたMay'nをえらく間近に見ながら
どわーっと盛り上がってまいりました。

スタートはいきなり「ユニバーサル・バニー」、もうこの時点で場内は総立ち状態。
この後も「pink monsoon」や「What 'bout my star?」といった新旧のシェリル曲を
惜しみなく聞かせながら、新アルバム「Styles」収録曲を中心にオリジナル作品を
織り交ぜるという構成でした。
「ライオン」のMay'n verや念願の「ノーザンクロス」も聞けたし、もう大満足です。

アンコールでは「射手座☆午後九時Don't be late」も披露してくれましたが、もはや
シェリルの影は微塵も感じさせず、自らの歌としてしっかりと歌い上げて見せました。
その堂々とした姿を見ていると、彼女はこの日自分が本当の歌姫となることによって、
シェリルというキャラの架空のオーラまで取り込んでしまったように見えたほどです。
そして客席からは一斉に「もってけー!」の大合唱、思い出してもアレはすごかった。
ダンサーの動きもキレてたし演奏もグイグイ飛ばしてたし、会場のノリも最高潮でした。

May'n部長がもう何回もステージサイドまで来てくれるんで、こっちもそれに応えようと
気合入れまくってガンガンアピールするもんだから、ライブ終わった後はもうヘロヘロ。
ライブ行くのが久々なせいもあるけど、腕は振るわ声は出すわでカラダがバキバキですよ。
考えたくないが、やはりトシのせいなのか・・・ムチャができた10代のカラダに戻りたい。
でも充実感は一杯なので後悔はしてないけど。

全力で盛り上げてくれたMay'n部長には、ホントにありがとうと言いたいです。
まだ20歳。止まることなく驕ることなく、さらに高みを目指して欲しいと思います。
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