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滋賀県瀬田付近の深井戸(エンコ)における自噴水にかかわる考察

2013-04-10 11:41:44 | ButsuButsu
長い間水が止まっていた深井戸(瀬田ではエンコと呼んでいる)から、最近かなりの量の水が自噴するようになったという報道があった(京都新聞2012年6月)。

2013年3月26日に現地の調査を行ったので、その結果を報告する。

エンコが点在するのは瀬田の唐橋周辺で、深さ約100mあたりから水を汲み出していたようである。

地下水は一般に温度が高く、魚のいけす用として利用されていたらしい。

水は鉄分を含み、排出口あたりはかなり赤茶けていた。





自噴している井戸に高精度な水温計をいれて温度を計測した。

測定時間は15時13分から15時23分の約10分間で、測定間隔は1分間である(図中赤丸)。



最初の5分間は、水温計をロープにくくりつけて井戸の中へ約10mおろした。

その後、水温計を引き上げて自噴した水をためて測定した。

途中で少し水温が低下しているのは外気に触れたためである。

これによると、水温は19.8℃と極めて安定していることが分かった。

自噴の過程で温度が急激に変化している様子もないようである。

問題は、この水がどの程度の深さから噴出しているかである。

そのことを確かめるために、琵琶湖博物館で測定しているボーリング穴の中の温度と比較した(Goto et al. 2005)。
 


この図を用いて19.8℃に相当する深さを求めると、約180mであることがわかる。

つまり、100mの深井戸の自噴水は井戸のさらに下の方から出ている可能性が高い。

このことは、単純な地下水の噴出とは考えにくいものがある。

一方、国土地理院のGPSデータから大津と野洲の間の過去10年間の距離を求めると、次第に収縮していることがわかる。



すなわち、現在入手できる情報を総合的に判断すると、地殻の収縮にともなって少なくとも地下180m付近の水が押し出されている可能性が高い。

今後、化学成分の分析などを行って水の起源を明らかにしたいと考えている。


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