昨年まである非常に偏差値の高い大学で非常勤で教えていました。教養部のゼミで、企業経営者や政治家が世襲されていく世の中のあり方はおかしいのではないか、という話をしたことがあります。するとこの大学の附属高校の出身者がこういいました。「先生のいまのご発言は、もてる者への妬みにしか聞こえません」。この大学の創設者は、「天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らず」といった人です。
超エリート大学ばかりではありません。私の勤務校の学生も、「お金持ち」=「頑張った人」=「道徳的に優れている」という図式を無邪気に口にする傾向があります。ホームレスの支援活動を行っている学生がいる一方で、「ホームレスは怠け者」と公言する学生も少なくありません。
社会ダーウイニズムともいうべき、優勝劣敗思想の蔓延にぼくは心底頭にきているところがあります。ある日勤務校の授業でぼくは、ソースタイン・ヴェブレンの話をしました。19世紀末のアメリカは「金ぴか時代」の名で呼ばれています。ロックフェラーやバンダービルドのような「泥棒貴族」と呼ばれた新興成金が多数生まれた時代です。彼らは開拓農民や先住民の土地を詐術と暴力で収奪して、巨富を築いたのです。
巨富は勤勉ではなく、詐術と暴力によってもたらされるものであり、私有財産とはうまくいった収奪劇のトロフィーだとヴェブレンはいっている。ぼくはそれにまったく同感すると話しました。「成功者はがんばった人」。「貧しい人は怠け者」。そう信じて疑わない学生たちを挑発する意味でした発言です。
すると非常に優秀なある学生はこう反応しています。「先生はそうおっしゃいますが、ロックフェラーはがんばったのだと思います」。「そう。がんばった。がんばって暴力をふるったり人をだましたりした」とぼく。「でもがんばったのですよね。開拓農民や先住民の方々は、残念ながらがんばりが足りなかったのではないでしょうか」。
超エリート大学ばかりではありません。私の勤務校の学生も、「お金持ち」=「頑張った人」=「道徳的に優れている」という図式を無邪気に口にする傾向があります。ホームレスの支援活動を行っている学生がいる一方で、「ホームレスは怠け者」と公言する学生も少なくありません。
社会ダーウイニズムともいうべき、優勝劣敗思想の蔓延にぼくは心底頭にきているところがあります。ある日勤務校の授業でぼくは、ソースタイン・ヴェブレンの話をしました。19世紀末のアメリカは「金ぴか時代」の名で呼ばれています。ロックフェラーやバンダービルドのような「泥棒貴族」と呼ばれた新興成金が多数生まれた時代です。彼らは開拓農民や先住民の土地を詐術と暴力で収奪して、巨富を築いたのです。
巨富は勤勉ではなく、詐術と暴力によってもたらされるものであり、私有財産とはうまくいった収奪劇のトロフィーだとヴェブレンはいっている。ぼくはそれにまったく同感すると話しました。「成功者はがんばった人」。「貧しい人は怠け者」。そう信じて疑わない学生たちを挑発する意味でした発言です。
すると非常に優秀なある学生はこう反応しています。「先生はそうおっしゃいますが、ロックフェラーはがんばったのだと思います」。「そう。がんばった。がんばって暴力をふるったり人をだましたりした」とぼく。「でもがんばったのですよね。開拓農民や先住民の方々は、残念ながらがんばりが足りなかったのではないでしょうか」。