ガラパゴス通信リターンズ

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一瞬の夏3

2007-08-05 01:06:42 | Weblog
 今年も吹奏楽の大会がありました。太郎の小学校は見事東関東大会に出場(何故神奈川が東関東?)。骨子の中学校は、金賞に輝きながら(すべての出場校に金・銀・銅のいずれかの賞が与えられる)、県大会への出場権を獲得することができませんでした。「ダメ金」という奴です。壇上に上がった代表に「金賞」が告げられる。その後で県大会の出場校が発表になる。一度喜んで「残念でした」となる「ダメ金」は子どもたちにとって残酷です。

 しかし家に帰ってきた時、骨子の顔は晴れやかでした。自分たちはベストを尽くした。それでも上にくる学校がいたのだから仕方がない。勝敗は時の運。素晴らしい仲間と過ごせた3年間に悔いはない、と。今回の結果は、彼女にとって誇らしくもあり、悔しさも残るものでした。それまで吹奏楽はもういいといっていたのに高校でも続ける気持ちが強くなったようです。県大会に出場するより、もしかしたらよい結果だったのかもしれません。

 その数日後、私の知人からメールが届きました。こんな内容でした。自分も高校時代に吹奏楽をやっていて「ダメ金」になったことがある。その時腹立ちまぎれに目玉をいれるはずだったダルマをみんなで踏み潰した。高校時代の自分たちには音楽を楽しむ気持ちが全然なかった。「音楽の競技化」は不毛なものだと思う。結果ばかりにとらわれるのではなく骨子さんも末永く音楽を楽しんでもらいたい。私は、二人にこのメールを見せました。

 太郎は紙粘土を買ってきて、ダルマを作り始めました。メールを読んでダルマを踏み潰したくなったのです。東関東大会で銅賞しかとれなかったら踏み潰すのだといって、トランペットパートの人数分ダルマを作ります。よい色の賞をとるより、気持ちはダルマを踏み潰す方に大きく傾いています。本当にどうしよう(銅賞)もない。パートのメンバーは6人ですが、太郎はダルマを7個つくりました。一つは火事で亡くなったH君のものです。