一杯の水

動物であれ、人間であれ、生命あるものなら誰もが求める「一杯の水」。
この「一杯の水」から物語(人生)は始まります。

「王様と宮廷ごっこ」

2005年07月25日 10時39分41秒 | インドの小さな物語
今回のお題は「好きなスポーツは?」ということですが、熱く語れるほど好きなスポーツと考えると、もはや思いつくものがありません。

ということで、スポーツには「娯楽」や「楽しみ」という意味もあるので、この際思いっきり拡大解釈して書かせていただこうと思いました。

近代インドの聖者にスワーミー・ヴィヴェーカーナンダという人がいました。
マハートマ・ガンディー(マハトマ・ガンジー)が出る以前に、イギリスの植民地支配に喘ぐインドに喝をいれ、誇りを持つように説き続けた人です。
彼は後年、「弱き者」、「貧しき者」、そして「病める者」のために血の涙を流しながら、東洋と西洋をまたにかけて働き続け、39歳の若さでなくなりました。

その彼の子供の頃の大好きな遊びが「王様と宮廷ごっこ」だったのです。
当然、王様の役は常にヴィヴェーカーナンダでした。

この、常に王様たらんとした剛毅な性格が、弱きものへ憐憫の情に浸されたときに姿を変え、困難にあっても超然として揺らぐことのない性格へと練り上げられていったような気がします。(当然、彼の人格形成においては、師ラーマクリシュナとの出会いや、ヨーガの修行による「悟り」がもっとも大きな要因であることは言うまでもありません。)

この「王様と宮廷ごっこ」のエピソードは、幼きヴィヴェーカーナンダの微笑ましい姿を伝えているようで、私の大好きなお話です。

さて、最後になりますが、ちょと付け加えて、本文の訂正とさせていただきます。
先に「病める者、貧しき者、弱き者」と書きましたが、実はヴィヴェーカーナンダにおいては「病める神、貧しき神、弱き神」という表現になります。「上の立場から援助を施すのではなく、下のものとなって、神である人々に仕えなさい」、という意味と、「自信を失っている弱き人々にも、自らの神性に気づかせる」、という意味がこめられているのです。

こう考えてくると、ガンディーがインドの不可触民を「ハリジャン(神の子)」と呼んだことにも、一脈通じているような気がします。


なお、当ブログのメインサイト「Hinduism & Vedanta」に、ヴィヴェーカーナンダの伝記を連載しております。興味がおありの方はお立ち寄りくださいませ。メインサイトのトップページにあるヴィヴェーカーナンダの写真をクリックしていただければヴィヴェーカーナンダのページに入れます。
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4 コメント

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超拡大解釈ですね(笑) (吟遊詩人)
2005-07-25 19:54:55
私も、ヴィヴェーカーナンダは大好きですが、まさか、「スポーツ」と「王様と宮殿ごっこ」を強引に結びつけるとは・・・。

ヴィヴェーカーナンダも、びっくらこきこきしているのでは?



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やっぱり強引だった? (便造)
2005-07-25 23:05:32
吟遊詩人さん、こんばんは。



たぶん、ヴィヴェーカーナンダは喜んでいるよ(笑)

唐突だけど、書いていて改めて勉強になった。



返信する
初めまして (mugi)
2005-08-04 22:01:16
こんばんは、初めて書込みさせて頂きます。



ヴィヴェーカーナンダの言葉で、私がいいと思ったのは以下のものです。



「もしもこの世に罪が存在するとすれば、それは弱さである。全ての弱さを避けよ、弱さこそ罪である。弱さは死である…真実の試金石とはこれだ。彼方を肉体的に、知的にそして精神的に弱めるもの全てを毒として拒否せよ、その中に命はない。それは真実でありえない。ああ神よ、過去に延々と拘泥する事から、我々の国土はいつ解放されるだろうか?」 



映画「ガンジー」を見た印象を書きましたので、TB貼らせて下さい。
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コメント&TBありがとうございました。 (便造)
2005-08-05 22:17:34
mugiさん、はじめまして。



ヴィヴェーカーナンダのこともよくご存知でいらっしゃるのですね。

嬉しいコメントをありがとうございます!



私が大好きなヴィヴェーカーナンダの言葉は、

「理想を千度でも振りかざせ。そして千度失敗しても、もう一度企てよ」というものです。

真っ直ぐ見つめている彼の眼差しも良いですね。



私からもTBさせていただきます。

ぜひまたいらっしゃってください。
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