さて大いに期待して読み始めた本書であったが、著者の地橋氏とは肌が合わないのか、読み進めるのには骨が折れた。(参照「サティ考――『ブッダの瞑想法』(春秋社)を読む(1)」)
《理論編》
まず、著者はヴィパッサナー瞑想の効果を三種に大別して述べる。
・ 頭が良くなる等の「能力開発」
・ 人間関係の改善や健康回復等の「経験事象の変化」
・ 心の否定的要素等が無くなる「心の変化」
上記の好ましい変化 . . . 本文を読む
19世紀のインドでのお話です。
カルカッタ北方にカーリー女神を祀ったダクシネッショル寺院がありました。
寺院に付属する庭園の掃除人にラシクと言うパリアがいました。
当時のインドはカースト制度の締め付けが厳しく、そのうえパリアといえば、4カーストにも入らないほど低い階級でした。もしバラモンがパリアの顔を見たときには、「断食をしたうえに、祈りの言葉を唱えなければ再び清められることはない」、と言われて . . . 本文を読む
パーリ語「サティ(念)」は、サンスクリットの「スムリティ」に対応する。
「サティ」という用語は、八正道の「正念」などとしても用いられるが、自分にとっては分かりにくさの伴う用語である。
ここ十数年来、南方上座部(タイ、ミャンマー、スリランカ等)の「ヴィッパサナー瞑想」が、瞑想を志す多くの方々に受け入れられ、実践されている。この「ヴィパッサナー」は、「止観」の「観」にあたり、「サティ(念)」は「ヴィ . . . 本文を読む