今年もよろしくお願いします。
うさぎ年を機に、うさぎのように敏捷な肉体を入手すべく、歩くことにした。
以下、壮絶なる吾輩の歩く日記。
一月一日
最寄り駅(しかし徒歩二十五分かかる)まで歩く。駅前の店が軒並みやっていない! かろうじて開いていた喫茶店でコーヒーを飲み、排尿し、むなしく帰路につく。途中で小さな酒屋さんが営業していることを発見。ワインを二本購入。夕飯のときに飲み干す。ワイン二本と夕飯ぶんのカロリーで、歩いたことなど帳消しなのではないか? むしろ、歩いたからこそ安心してカロリーを過剰摂取してしまう傾向にあるのではないか? 歩く意義を早くも見失いそうだ。
一月二日
箱根駅伝をテレビで見たあと、近所にある大きめの公園を経て、二駅ぶんを歩くルートを選択する。父(糖尿)も一緒についてくる。公園ではさまざまな犬が楽しそうに遊んでいた。見たことのないような犬種もいっぱいいる。毛が極端に短くて、耳が大きくて、なんか「ぬるり」とした感じの犬だ。かわいい。思わず「かわいいなあ」と言ったら、飼い主の男性に会釈された。その男性がまた、すごくかっこいい。恋の予感? 「なんていう犬種ですか。お名前は」と矢継ぎ早に問いたかったのだが、犬を餌に接近しようとするあさましい性根の女と思われたくなく、男性も異性より犬に夢中といった風情だったので、黙って会釈を返すにとどめる。独身者がペットを飼いはじめるとますます婚期が遠のく、という言説があるが、あながちまちがいではないのかもしれん。とか言いつつ、あのかっこいい男性にはマンションで待ってるパートナーがちゃんといて、「おかえりー。お昼もお雑煮でいいかな。チロル(犬の名)にもクッキーあげるね」なんて、いちゃいちゃしてるのだろうけれどな。けっ。自分の妄想に自分でいらいらする正月だ。
二駅ぶん歩く途中で、「もうお父さんはダメかもしれない」と父(糖尿)が言いだす。低血糖になってしまって、ふらふらするのだそうだ。なんで飴を常備しておかないのだ。しかたがないから、タクシーで帰宅する。歩く意義を早くも見失いそうだ。
一月三日
箱根駅伝をテレビで見たあと、最寄り駅B(しかし徒歩三十分かかる)まで歩く。川べりの道を選んだら、ジョギングしている老若男女がいっぱいいた。意地でも走らない。そういう意気込みで、川に集まってるカモを眺めながらゆるゆる前進する。それほどきれいな川とも思えぬが、カモはしきりに顔を水につっこんでは、小魚かなにかを食べているようだ。ずいぶん巨大な鯉も泳いでいる。カモ数羽で協力して巨大な鯉を捕獲すりゃいいのに、と思うが、カモにはそういう発想はないらしい。にもかかわらず、日向で五羽ぐらいがまったく同じ姿勢で座っていたりもする。不可解。そういえば昨日見た犬も、しきりに互いの尻を嗅ぎあっては、突如として全員で駆けだしたりしていた。動物の行いのほとんどが不可解。
正月も三日となると、いろんな店が営業している。サラダと揚げ物を買い、バスで帰宅。歩く+サラダ<揚げ物+バス。歩く意義を早くも見失いそうだ。
一月四日
三日間も歩きづめだったせいで(誇張表現)、疲労が蓄積してしまったようだ。一日、うとうとする。便所と寝床の往復以外は歩かず。
歩く意義を早くも見失った。
そして今日に至る。
おそるおそる体重計に乗ってみたら、微増傾向にあり。
生きるってなんだろう。
うさぎ年を機に、うさぎのように敏捷な肉体を入手すべく、歩くことにした。
以下、壮絶なる吾輩の歩く日記。
一月一日
最寄り駅(しかし徒歩二十五分かかる)まで歩く。駅前の店が軒並みやっていない! かろうじて開いていた喫茶店でコーヒーを飲み、排尿し、むなしく帰路につく。途中で小さな酒屋さんが営業していることを発見。ワインを二本購入。夕飯のときに飲み干す。ワイン二本と夕飯ぶんのカロリーで、歩いたことなど帳消しなのではないか? むしろ、歩いたからこそ安心してカロリーを過剰摂取してしまう傾向にあるのではないか? 歩く意義を早くも見失いそうだ。
一月二日
箱根駅伝をテレビで見たあと、近所にある大きめの公園を経て、二駅ぶんを歩くルートを選択する。父(糖尿)も一緒についてくる。公園ではさまざまな犬が楽しそうに遊んでいた。見たことのないような犬種もいっぱいいる。毛が極端に短くて、耳が大きくて、なんか「ぬるり」とした感じの犬だ。かわいい。思わず「かわいいなあ」と言ったら、飼い主の男性に会釈された。その男性がまた、すごくかっこいい。恋の予感? 「なんていう犬種ですか。お名前は」と矢継ぎ早に問いたかったのだが、犬を餌に接近しようとするあさましい性根の女と思われたくなく、男性も異性より犬に夢中といった風情だったので、黙って会釈を返すにとどめる。独身者がペットを飼いはじめるとますます婚期が遠のく、という言説があるが、あながちまちがいではないのかもしれん。とか言いつつ、あのかっこいい男性にはマンションで待ってるパートナーがちゃんといて、「おかえりー。お昼もお雑煮でいいかな。チロル(犬の名)にもクッキーあげるね」なんて、いちゃいちゃしてるのだろうけれどな。けっ。自分の妄想に自分でいらいらする正月だ。
二駅ぶん歩く途中で、「もうお父さんはダメかもしれない」と父(糖尿)が言いだす。低血糖になってしまって、ふらふらするのだそうだ。なんで飴を常備しておかないのだ。しかたがないから、タクシーで帰宅する。歩く意義を早くも見失いそうだ。
一月三日
箱根駅伝をテレビで見たあと、最寄り駅B(しかし徒歩三十分かかる)まで歩く。川べりの道を選んだら、ジョギングしている老若男女がいっぱいいた。意地でも走らない。そういう意気込みで、川に集まってるカモを眺めながらゆるゆる前進する。それほどきれいな川とも思えぬが、カモはしきりに顔を水につっこんでは、小魚かなにかを食べているようだ。ずいぶん巨大な鯉も泳いでいる。カモ数羽で協力して巨大な鯉を捕獲すりゃいいのに、と思うが、カモにはそういう発想はないらしい。にもかかわらず、日向で五羽ぐらいがまったく同じ姿勢で座っていたりもする。不可解。そういえば昨日見た犬も、しきりに互いの尻を嗅ぎあっては、突如として全員で駆けだしたりしていた。動物の行いのほとんどが不可解。
正月も三日となると、いろんな店が営業している。サラダと揚げ物を買い、バスで帰宅。歩く+サラダ<揚げ物+バス。歩く意義を早くも見失いそうだ。
一月四日
三日間も歩きづめだったせいで(誇張表現)、疲労が蓄積してしまったようだ。一日、うとうとする。便所と寝床の往復以外は歩かず。
歩く意義を早くも見失った。
そして今日に至る。
おそるおそる体重計に乗ってみたら、微増傾向にあり。
生きるってなんだろう。