ビロウな話で恐縮です日記

日常の隙間を埋める試み
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舞台『風が強く吹いている』開幕←追記あり

2009年01月09日 15時06分35秒 | 出来事
昨日は『風が強く吹いている』の舞台の初日でした。
拙者の書いた小説が原作の舞台について、こんなことを言うのは「親ばか」かもしれん、とも思うのですが、しかし舞台は舞台を作っていらっしゃるかたたちのもの。やっぱり小説とは全然別個の作品ですので、言わせていただきます!
すごくすごくいいです! すばらしいです!
自分でもちょっとどうかとたじろぐほど、舞台を拝見しながらダーダー泣いてしまいました。
もし、「行こうかどうしようか迷っている」というかたがいらしたら、ぜひ行ってみていただきたいです。私はあと三回行くつもりだったのですが(行きすぎ?)、さらに回数増やしたいと画策してます。とてもいい舞台だと思うから。

さて、どこがどうよかったのか、ねっちり暑苦しく記すとするか。
まず、榊ですね! 小説ではどうも榊をうまく書いてあげられなかったなあ、という後悔がちょっとあり、榊の考えかたとか生きかたとか、共感して実践することは不可能なのだけれど(根性ないから)、とても好きだよ! と思っていた。それを表現しきれなかったのは俺の未熟と不徳のいたすところだすまん榊! と思っていた。
しかし舞台では、役者さんの力によって、榊がものすごく深みと痛みのある人間として立ち現れていて、もうもう感極まった。「よかったな、榊!」とすごくうれしくて、こういうふうに表現していただけるとはと思ったら、ドバーと涙が。
それに対してカケルが必死に言葉を発する姿もよくて、ドバーが二乗。
隣の席にいたパンイチくんが、吾輩の膝にポケットティッシュをそっと載せてくれたほどだ。
終演後、「わたしいま、松田○子みたいなことになってないかね」と化粧チェックをお願いしたら、「たとえが古すぎます」とパンイチくんにダメ出しくらったほどだ。あ、これは感動とは全然関係ないエピソードでした。
榊とカケルのシーン以降は、もうとどめようがなく、ずっと泣いてた。そして、くすくす笑えるシーンもいっぱいあった。
誓って言うが、私は自分の書いたもんを読んで泣いたことなんか一回もない(当たり前だが)。ごくごくたまに、エッセイ読んで笑うことはある。「はは、ばかじゃん」て。そりゃ渇いた笑いってやつだ。
じゃあ、どうしてこんなに感動してるのかなあと考えてみるに、やっぱり舞台と小説はまったく別物だからだろう(当たり前だが)。別物として見ることができる機会を与えていただけて、しかも、どの登場人物も小説よりずっと膨らみのある人間像になっていて、ありがたさで泣いた。生き仏に対して、「ありがたい」って涙流して手を合わせる老婆の気持ちがすごくわかった(このたとえは妥当かしら?)。
もうひとつはやっぱり、生身の肉体を持つ、実力ある役者さんたちが放つ迫力と心情に、否応無しに胸を揺さぶられずにはいられなかった、ということがある。アオタケでの暮らしが、ほんとに目の前で繰り広げられている! 住人たちの喜びや苦しみがすぐそこに、手で触れられる(触れたりしませんけれども)人間の形となって表現されている! うれしい驚きと感激で、あやうく成仏するところだ。
あー、もっと細かく記したいのだが、すでに十二分に暑苦しい日記になっちゃったし、あまりネタバレしすぎてもいけないですね。今宵はここまでにしておこう。
舞台のスケジュールやチケットの入手方法については、下記URLに載っています。
詳しいことは、ここで確認していただければ幸いです。
アトリエ・ダンカンの『風が強く吹いている』のページです。

http://www.duncan.co.jp/web/stage/kaze/shedule.html


新年

2009年01月09日 15時02分45秒 | ご挨拶
(大変遅ればせではありますが)明けました。
昨年まで書いていた日記は、催し物の告知などを除き、すべてネット上から削除いたしました。お読みいただき、本当にどうもありがとうございました。新年早々CMするようなさもしい根性の持ち主ではないとご理解いただきたいのですが、過去の日記は今月中に、『ビロウな話で恐縮です日記』というタイトルもそのまま、太田出版から刊行される予定です。日記の内容を取捨選択し、新たに脚注をつけ、おまけコーナーを書き下ろしましたので、本屋さんで見かけられました際には、お手に取ってみてください。
結局CMするんやんけ! この、さもしい根性の持ち主めが!
すまない。そして、どうかお心を平らかに、続きを読んでいただきたいのだが、ただでさえ途切れがちだったこの日記が、なぜ昨年後半からいよいよもって途切れる傾向にあったのか、理由を説明します。ていうか、言い訳します。
それはずばり、拙者現在、長期にわたって逃避行中だからなのである! そのためパソコンをネットにつなげないことが多いのである!
「アナログ派の彼氏の部屋に転がりこんで、同棲をはじめたんです~v」とか言いたかった……。でももちろん、現実とはそんな甘ったるいものではない!
有り体に言うと、火宅のドアを開けた時点ですでに本やら漫画やらゲラやらで足の踏み場がなく、自分ちなのに自分ですら、玄関で靴を脱いでパソコンのある部屋まで辿りつくのに川口探検隊なみの危険と困難をくぐり抜けねばならぬ毎日に嫌気がさし、現在長期流浪の生活を送ってるということだ。「有り体に言うと」と言ったくせに一文が長い。
つまり、汚部屋から脱出して家なき子なんです!
折を見ては火宅に戻って本やらなんやらを片付けているのだが、万里の長城やピラミッドや奈良の大仏を作るために駆り出された人々はこんな気持ちだったのかなと古代に思いを馳せるほど、終わりの見えぬ苦役。以前だったらとっくに腰痛に悩まされている頃合いなのだけれど、近ごろますます肉がついて頑丈になったせいか、掃除してもしてもビクともしない重量級の腰を獲得した点が、現状況下での唯一の救いだ。救いか?
日記が復活するとき。それは火宅が整理整頓の行き届いた姿に生まれ変わったとき。そんな日が本当に来るのだろうか。明けない夜はないと信じて掃除に励む所存です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。