ビロウな話で恐縮です日記

日常の隙間を埋める試み
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日曜夜、ドラマ『舟を編む』第八話放送です

2024年04月06日 09時10分23秒 | 情報
〈前回のネタバレ〉
えっ、ヲタムちゃんさんの正体、○○さんなの!?
あと、いいひとじゃないか、死神社長!
雑誌『ゆうゆうらくらく』も、
なんとか紙版を残していただけませんかね、社長!
編集長がすごく悲しみと憤りをたたえた表情を
なさってて、こちらの胸も痛んだんですけど、社長!
「社長!」って言いたいだけなんじゃないか自分。
ガスミンのことは、
個人的に「不審な妖精」と呼んでいます。
ガスミンさんの挙動不審ぶりと息継ぎなしの早口、
オタクとして身に覚えがありすぎる。
私には妖精感がなくて、
ただの「不審人物」なのが残念だ。
〈前回のネタバレ、おわり〉

ということで、ひとつの山場を超えた
玄武書房辞書編集部。
しかし、このあともつぎつぎに危機や苦難が到来します。
登場人物たちの思いと奮闘が心に迫る
展開になっていますので、どうぞひきつづき、
ドラマ『舟を編む』をご覧いただければ幸いです。
明日、日曜日の夜10時から、
NHK BS/NHK BS4Kで、
第八話放送です。
毎回のことではありますが、
この回は特に、絶対に見逃さないほうがいいですよ〜。

さてさて、以下は辞書について私が考えていることです。
紙の辞書と、デジタルの辞書(電子辞書や辞書アプリ)、
どちらも存在してほしいし、どちらも自由に選べる現状が、
わりとベストかなと思っているのは、前回述べたとおりです。
ただ、デジタルの辞書を作る場合も、
紙の辞書づくりを通して築きあげてきた、
技術や知見をもとにしたほうがいいだろうなと思っています。
六話で荒木さんがおっしゃったように、
スペースが有限であるという紙の辞書の「枷」は、
実は「翼」であると私も思うためです。
見出しの言葉について、短く的確な文章で説明する。
辞書は専門知と技術と経験の結晶です。
当然ながら、「もっと説明したいこと、伝えたいことが
あるのに、載せきれないよ〜」ってケースも起こり得ますが、
ドラマ版が水木しげる先生の回で描いてくださったように、
辞書は「入口」でもあるのです。
辞書をきっかけに、少しずつ調べたり考えたりしてみてね、
という、非常にひらかれた、自由な書物なのです。
辞書を使うひとたちを信頼し、委ねている部分があるというか。
一から十まで冗長に説明しすぎたりはしないからこそ、
私は辞書パイセンが好きですな。

最初から、スペースが無限なデジタルを想定して辞書を作ると、
語釈がだらだらーっと長くなっちゃうかも、と懸念されます。
たとえば、○ィキペ○ィアは便利だし、
いいところやおもしろいところもいっぱいありますが、
説明が長すぎて、「最後まで読んだけど、結局よくわかんなかった」
ということもなきにしもあらず。
私の感覚だと、辞書の語釈を読んで、
「よくわからん」ってこと、あまりなくて、
四行とかなのにすごい説明能力の高さだなと思います。
「よくわからん」だったとしても、四行とか読めば、
「よくわからん。じゃあ、ちょっと入門書的な本を探してみるか」と、
すぐに判断をつけられるわけで、これまたすごいし、
情報を求めて延々とネットの海をさまよいつづけるより、
結果として手間を省けることも多々ある。
たくさんの辞書が、長年、
スペースに制限のある紙の辞書づくりに
励むことを通して、
「語釈が短く的確で洗練されている」という
美点に磨きをかけまくってきたわけで、
これを手放しまうのは非常に惜しい。

・紙の辞書
・紙の辞書をもとにした、電子辞書や辞書アプリ
-------
・○ィキペ○ィアのような、説明が長くなってもいいから、
みんなでわいわい作りあげていくサイト

まえの二者と、あとの一者は、
ちょっと性格が異なるかなと思いますが、
三者いずれも存在し、場合によって楽しく便利に
使いわけられる世の中だといいですね。

辞書パイセン、質問するとポソッと短い言葉で
回答してくるので、「無愛想なのかな」って
思われてしまいそうですが、ツンなだけなんです。
ポソッの背後に、
古今の文献をひっくり返して、必死に調べまくった努力とか、
各分野の専門家が、何十年も研究しまくった成果とかが、
詰めこまれています。
なので安心して、辞書パイセンにも質問してあげてください。
もちろん辞書パイセンも、たまには勘違いしてることが
あるかもしれないので、そういうときは、
「パイセン、お言葉ですが、ここはちょっとちがうのでは?」
と、指摘してみてください。
「おーい、読者のかたからご指摘が来たぞー!」って、
パイセン、またも古今の文献をひっくり返したり、
各分野の専門家に教えを請うたりして、
次回の改訂に活かすかどうか、全力で検討しまくります。
辞書も、我々読者、利用者を含め、
みんなの叡智を集結させて、大事に育てていくものです。
たゆまず進歩・進化しようと努め、
自身を省み、自己点検を欠かさぬ、辞書パイセン。
生き物としか思えぬ辞書パイセンを、
これからも愛し、見守り、
「パイセン、またわかんない言葉があったので、教えてください!」
と頻繁にお尋ねする所存です。
辞書パイセン、フォーエバー!

あ、ドラマ『舟を編む』は、全十話です。
まだ最終回じゃありません。
ここからますますの盛りあがりを見せますので、
まずは明日の夜、第八話を、どうぞお楽しみに。