ベリーダンサーASYA ☆ オフィシャルブログ

レバノンを拠点に、アラブ諸国を股にかけた過去を持つベリーダンサーASYA(アシア)の今と昔の奮闘日記

交換

2009-07-12 01:44:52 | レバノン

(実在する人物だけれど、登場人物の名前は仮名です)

今住んでいるところは、エージェントが管理するアパートで、エージェントのオフィスの真上。スタジオも隣接されているところなので、スタジオを使って練習したい時はもちろん便利だし、エージェントやオフィスの人に話や用事があればすぐにオフィスにも行ける。

前のエントリーでも事情を説明しましたが、マリの契約の件で長いこと返事を待ち続け、その間何度かオフィスにその件の進み具合を聞きに行ったある日の出来事。

いつも通り、閉まっているオフィスの玄関の扉を開けてもらうよう、チャイムを鳴らすと掃除のおばさんメルテがドアを開けてくれる。

キーフィック、インティ(レバニーズアラビア語でHow are you?)。

と、「ドアを開ける」という一仕事をこなしたメルテは、タバコを吸いながらちょっと渋い顔をし、スリッパをパタパタ言わせながらキッチン(給湯室?)に向かう。日本なら、タバコを吸いながら仕事するおばさん?ってな時点でちょっとおかしいよね、多分。

オフィスに入るとすぐ右手前方にはL字型になった背の高いカウンター。その向こうで座っている、見え隠れする頭のてっぺん。

最近ドバイから帰ってきたオフィスのスタッフのロランは、きちんとした部屋が割り当てられないからなのか(確かにオフィスに4つある部屋は全部埋まっているけど)、ここのオフィスに戻ってきてからこの微妙な席に配置されていて、カウンターの向こう側に席を陣取り、見え隠れする頭の持ち主がその彼。

Hi Loran. Kifak? (ロラン、元気?)

と言った声の主を見るために頭を上げたロラン。私を見るなり彼、Shoo Mariko, what is new about your work?(どうしたのマリコ、マリの契約の件どうなったー?)

・・・って

テメエが知ってろ!

私はマリの件が知りたくてここにやって来たのよ。私が聞くべき質問をどうしてあなたが聞いてくれるかな、私に。

私のエージェンシーは、職業柄、普通のオフィスの雰囲気とは多分違うのだろうけど、とってもリラックスした雰囲気。

誰か別の人が知ってるかもしれないと淡い期待を抱きつつ、2人目に会ったスタッフのサラに聞こうとしたその時・・・

マリの件、どうなった?とサラ。

私に聞くなー!!!

別の部屋に行くと、パソコンの画面とにらめっこしているナハラおばちゃんを見かける。おばちゃん、私を見かけるなり手招きしてパソコンの画面を覗かせる。

こういうメールが来てるのよ、ハッラ(Now)、私が印刷してエージェントに見せるわね。といいつつおばちゃん、ちょっと顔こわばってきてない?どうしたの?と尋ねてみるとおばちゃんこう言う。It's not printing habibi(プリントできないのよ、ハビービ)。

プリンターのスイッチをつけたり消したり、おばちゃんそれでもプリントできないみたい。

ハッラ(Now)、私このメールを手書きにしてエージェントに見せるわ。

・・・って、

えぇ!!!手書きにするんかい!!!!!

そう言ってその部屋を去って別の部屋に行ってしまったおばちゃん。

残された私は、プリント出来ないはずがない、と、プリンターとパソコン両方を色々いじってみる。紙の位置をちょっと変えてみたらほら、やっぱりプリントできた。

それをおばちゃんに持って行こうと思ったけれど、おばちゃん外の人の来客中。しばらく待っていると、来客中のおばちゃんの声は騒がしさを増し、太鼓を叩くような音で、マクスームのリズム(エジプシャンリズムを語る上での基礎リズム)が聞こえてくる。何事かと思っていると、おばちゃん、どこから持ってきたのか洗面器を逆さにしてそれを太鼓替わりに叩いては歌い、そして飛び跳ねながら部屋から出てくる。

どうしたの?と訊ねたら、

頼んでいたCDDVD1ヶ月経ってようやく届けられたのよ!

と、かなり興奮気味。

注文したものを持ってきたおじさん(来客)の周りを洗面器タブラ(太鼓)を叩きながら、引き続き飛び跳ね、踊り歌う。

CDDVDをデリバリーするのに1ヶ月掛かるのもどうかと思うけど、おばちゃん・・・

仕事をしろ!仕事を!!

この一連のスタッフの行動に、私、提案してみようと思う。

私がオフィスの面倒を見ているからあなた達、代わりに踊っておいでよ。

と。

 


ご報告

2009-07-11 01:51:56 | 仕事

さて、もう少しマメにエントリーしようかな、と思っている今日この頃。

(って書き始めたのは6月半ば)

レバノンに来てそろそろ1ヶ月が経つのに、未だにご報告できそうなことが確定しない。

(って書いたのも6月半ば)

現在、4人のダンサーが2つの部屋をシェアしてる。

(というのも6月半ば)

5月後半にレバノンにやってきて、実は1ヶ月ほどずっと病気をしていた私。当初ドバイ契約が終了後、RAK(Ras Al KhaimaというUAEにあるもうひとつの都市)に契約で行くはずだったものがキャンセルになり、こっちに来てからはある意味静養してました。出来ることを出来る範囲でこなしつつ、ようやく本調子に戻ってきたのもつい最近。

レバノンに来てからというもの、次の契約の手配で、アフリカはマリという国に書類を送り、彼らの返事待ちをしていた私とエージェント。

5月の終わりに彼らと連絡を取り始め、待つこと1週間。

中々返事がなく、気付けば2週間。

忘れてるんではなかろうかとオフィスに足を運ぶことこの間数回。

(エージェントやオフィスの人たちがね)

でもいつ聞きに行っても先方からの確認が来ておらず、「We don’t know yet」と肩をすくめるオフィスの人たち。

どうなってんだと思い、半ば諦め気味で気付けば3週間。

アラブもそうだがアフリカも色々時間掛かるのね、と思い、気付けば4週間。

マリが決定しない場合には今後のことも決めないといけないので、と催促をしてみる4週間目。

するとやってきた返事はもうちょっと待って欲しいというもの。

リビアのカダフィー(社会主義人民リビア・アラブ国の大統領)が来るのでどうこうって事が理由らしいのだけれど、何でもいいから早く結論を出してくれ、と思うこと、気付けば5週間。

こっちが保留になっているものだから、他のことが中々先に進まない。

別の場所の契約との兼ね合いもあって、こちらが決まらないことには動きが取れないんですけど。と、我慢しきれなくなって、エージェントが出した指示は、

「次の48時間以内に確認の連絡が来なければ、マリコを送ることはもう出来ない」

というもの。

それで焦ったのだろうか、来た来た返事。まだ返事が来るだけいいけれど、それでも翌週まで最終的な返事を待ってくれ、というもの。全くアラブといいアフリカといい、時間のルーズさには困ったもの。

その日から一体何日間が過ぎたのか、結局OKの確認が取れたのだけれど、返事に時間がかかったものだから、先方、契約時期を2週間もずらしてる。となるともう決定している次の契約時期と重なってしまい、泣く泣くマリの契約は断念せざるを得ないことに。まあマリに行くことになったらなったで、今年はラマダンの休みがなくなってしまうことになったので、良かったとする。

ということで、ラマダン開始(今年は820日ぐらい)よりも早めに日本に戻ることになりそうです。

ちなみにラマダン明けにはオマーンに向かいます。

とりあえずご報告。

 


マニュアルチック(下)

2009-07-09 07:46:40 | レバノン

今回、プロモのこの撮影に来ていて私の目を引いた人たち、若干一組。

それは、ちょっと年がいったように見える女性歌手と、へジャブ(イスラム教の女性が頭にかぶって髪を隠すスカーフ。アルジェリアではへジャブと呼んでいたけれど、レバノンでは別名だと思う・・・)をかぶったそのお母さん。

色々な宗教や宗派が入り乱れるレバノンには、イスラム教徒とキリスト教徒、今は大体同じぐらいの人口がいる(または、最近は他国に移住してしまうキリスト教徒が多いため、今はイスラム教の人たちの人口のほうが多い)のだけれど、イスラム教徒も、敬虔な人、オープンな人と、様々。それでもへジャブをかぶる人たちは、見かけの上では敬虔な人たちに属するのだろう。

そんなお母さん、娘がステージの上で歌うような仕事に就くことをどう思っているのだろう。

私と目が合うと、ニッコリと笑うお母さん。

女性のダンサーや歌手は批判的な目や、先入観を持った見方をされることが多いレバノンや、アラブ諸国。

娘さん、偉い仕事に就いてしもうたなー。

なんて近所の人に言われているのかしら、と余計なお世話ながらに思ったりして。

ん?私の親も思われてるか?とも思ってみる。(日本は違うでしょうけれど)

とにかくその日、夕方から開始された撮影は、延々と夜まで続き、私達が終わって撮影場所のクラブを出た時には既に11時を回っていた。

よくよく考えてみれば、不思議なことがたくさんあったよな、と思い出す。

カメラマンのおじさんが、頻繁にカメラの画面に自分が吸っているタバコの煙を吹きかけている。なんじゃ?と思ったけれど、実はこれ、スモークエフェクトのつもりらしいこと。

アーティストの撮影が一曲終わり、別の衣装に着替えている間、皆手持ち無沙汰に待っている。その間別の人の撮影すればいいじゃん、なんて思ったけれど、皆ただただ待っている。なんで?と思ったけれど、人に聞かないでも自分で謎解き。

最後にカメラマンのおじさんが手にしていたメモを見てみて気づいたこと。

それは、ビデオ上でのアーティストの撮影の開始時間と終了時間をそれぞれ記しているのを見かけたとき。

続けて同じアーティストを撮影することを優先。

いや、編集とかしようよ。

能率がいいんだか悪いんだか。

この一連のカメラマンのおじさんの仕事を見て、レバノン、マニュアルチックだな、と再実感する。


カフェカルチャー

2009-07-07 06:51:13 | レバノン

マニュアルチックの続編はちょっとその辺に置いておいて・・・

日本でも、最近水タバコのお店が流行っているようだけれど、水タバコのことを、エジプトなんかではシーシャと呼ぶ。水を通して吸うことで、不純物を取り除き、りんごやミント、イチゴに葡萄やグレープフルーツなんかの果物などの味を楽しむ水タバコ。普段はタバコなんか吸わない私も、これだと結構いける口だったりする。

シーシャでも通じるのだけれど、こちら、レバノンでの水タバコの正式名称は、ナギリ(Nargileh)とか、アルギレ(Argilleh)とかいう。

(正式名称なのに何故XXとか、XXとかって話になるのかとも思いますが)

レバノンでのアラビックカフェは、どこに行っても、男性も女性も、老いも若きも(?)、テーブルに付いては会話もそこそこに、1人に1つずつ、アルギリの長いパイプの先を手に持ち、そのタバコを吹かしながら、それぞれお好みの味のアルギレを楽しんでいる。

アルギレを吸っているお客さんの一連の動きを見ていると、カフェのあちこちで、金属の籠のような入れ物に炭を入れ持ち歩くアルギリスタッフが目を光らせている。彼らは、アルギレの炭を置き換えるという重要なポジションを持ち、お客さんが吸っているアルギレに必要な熱い炭が弱々しくなったら炭を交換する、という役目。

そして最初にアルギレを運んできてサーブする際や、アルギレの新しい炭を置き換える際に、すぐにお客さんのパイプを口にして、空気が通り易くするためか、しばらくボコボコボコボコとアルギレを鳴らす。果たしてこの一連のアクションは、吸っているのか吐いているのか分からないのだけど、私は吸っているのだと思って止まない・・・。

そのアルギリスタッフ、あっちに行ってはボコボコボコボコ。

こっちに行ってはポコポコポコポコ。

私は、アルギレを吸う時には肺まで吸い込まないと水の部分を通らないしで、きちんと音も立てられない。レバノン人がよくやっている、口だけに含んで味を楽しむアルギレの吸い方をマスターできていない私にとって、アルギレをきちんと吸うには、肺まで煙を入れて吸う事になるのだけど、そうするとこのアルギレ、34回吸い込んだだけで頭がフラフラになる。

あんなにポコポコ吸っていて、それも毎日毎晩吸っていて、彼らは、頭がフラフラになっちゃったりしないのかな。

と、いつも思うカフェでの話。

そしてレバノン、どこのカフェに行ってもWifiがあって、ラップトップを持っていけばインターネットが使えるところがほとんど。結構進んでる。

でも、一見進んでるレバノンのカフェインターネット事情、ちょっとした曰くが。

私が今住んでいるエリアの通りには、新しいカフェもいくつか建設中だったりして、レストランあり、カフェありで、隣同士、お向かい同士で4件のカフェが軒を連ねる。

先日、今一緒に住んでいるダンサーの子と、4件あるうちのカフェCにインターネットを利用しに行った時の話。

あれ、今日はネット使えないの?繋がらないよ。

とウエイターに聞いてみる。

おかしいな、そんなはずはない、とウエイター。パスワードも調べてくれるわ、PCをあっちに持っていったりこっちに持っていったり場所を変えてくれたりもする。それでもやっぱり繋がらない。

ええーーー。ネット使いに来たのにー。

と、ちょっとブーブー言ってみる。

するとウエイター、向かいのお店を指差して、じゃあカフェKの接続を使いなよ。パスワードと使い方はね・・・、と説明してくれ、繋がったら良かった良かった、と喜んでいる。

っておい!

自分家のWifiの調子がよくないからって、商売敵の別のカフェの接続を使えって、そんなに率先して言うものですかね。

でもありなんです、この国。

こんなの朝飯前。

私もあやかっているのであまり偉そうには言えませんけれど(笑)。

 


マニュアルチック(中)

2009-07-06 09:08:33 | レバノン

2年前の撮影時の記憶に浸り・・・

気づけば10日も経ってしまっているではありませんか。

そう、それほど考えることが多かったのです。

エントリーに時間がかかった言い訳はこの辺にして、その時の記憶を遡らせる。

2年前の私はまだ初心だった(?)こともあり、初めての撮影ではドッキドキ。今までのトレーニングの成果も出し切るつもりで、これからこのビデオが私を代表すると思ったらそれはそれは力を入れたもの。

撮影用に用意したダンスは全部で3つ。ベールを使ったエントランスと、アサヤ(スティック)を使ったサイーディ(Saiidi)、そしてドラムソロ。

ベリーダンスの「技」のひとつにターキッシュドロップ(立っている状態から、体を急に仰向けに床に落とす動き。ちなみにターキッシュドロップという名前は、トルコ人のダンサー達がやっているのを見たアメリカ人が作った名称)というものがあるのだけれど、そのビデオの撮影時、私はエントランスの曲の真ん中でドラマチックなターキッシュドロップを入れていた。

ドキドキの撮影も無事終了し、私はDVDの出来上がりを心待ちに楽しみにしていたもの。

そして出来上がったそのDVDを見てあれ?

あれれ?

あれれれれ?

カメラマンのおじさん、踊っている私のクローズアップを撮ったり全体像を撮ったり色々工夫したようだけど、肝心のターキッシュドロップのところで私が急に画面から消えている。要するに私の上半身のクローズアップをしていたところ、私が急に床に落ちたのだろうな、ということが予測される。

その後見られるのは左右に動くカメラの画面、しばらくして床でフロアワーク(床に寝転んで行なわれるダンス部分)をしている私の映像。

・・・っておい!

後で聞いた話によると、おじさんタバコを吸いながらあっち向いたりこっち向いたり、人としゃべりながら撮影しているものだから、一番大事な数十秒、ステージで踊っている私から目を離していたそう。

気づいたら画面から私が消えていたからあわててカメラで私を探したらしい。どこ行った?どこ行った?と。

下だよ下・・・。

結果、何も映っていない画面が左右に動く、そして急に下に落とされるカメラの目線、ってな訳ですわ。全く・・・。

そんなおかしな話が思い出された今回の撮影。

そして話はまだまだ続くのです。

おまけ - 今回の撮影時の写真 ↓

  

~続く~