今回、プロモのこの撮影に来ていて私の目を引いた人たち、若干一組。
それは、ちょっと年がいったように見える女性歌手と、へジャブ(イスラム教の女性が頭にかぶって髪を隠すスカーフ。アルジェリアではへジャブと呼んでいたけれど、レバノンでは別名だと思う・・・)をかぶったそのお母さん。
色々な宗教や宗派が入り乱れるレバノンには、イスラム教徒とキリスト教徒、今は大体同じぐらいの人口がいる(または、最近は他国に移住してしまうキリスト教徒が多いため、今はイスラム教の人たちの人口のほうが多い)のだけれど、イスラム教徒も、敬虔な人、オープンな人と、様々。それでもへジャブをかぶる人たちは、見かけの上では敬虔な人たちに属するのだろう。
そんなお母さん、娘がステージの上で歌うような仕事に就くことをどう思っているのだろう。
私と目が合うと、ニッコリと笑うお母さん。
女性のダンサーや歌手は批判的な目や、先入観を持った見方をされることが多いレバノンや、アラブ諸国。
娘さん、偉い仕事に就いてしもうたなー。
なんて近所の人に言われているのかしら、と余計なお世話ながらに思ったりして。
ん?私の親も思われてるか?とも思ってみる。(日本は違うでしょうけれど)
とにかくその日、夕方から開始された撮影は、延々と夜まで続き、私達が終わって撮影場所のクラブを出た時には既に11時を回っていた。
よくよく考えてみれば、不思議なことがたくさんあったよな、と思い出す。
カメラマンのおじさんが、頻繁にカメラの画面に自分が吸っているタバコの煙を吹きかけている。なんじゃ?と思ったけれど、実はこれ、スモークエフェクトのつもりらしいこと。
アーティストの撮影が一曲終わり、別の衣装に着替えている間、皆手持ち無沙汰に待っている。その間別の人の撮影すればいいじゃん、なんて思ったけれど、皆ただただ待っている。なんで?と思ったけれど、人に聞かないでも自分で謎解き。
最後にカメラマンのおじさんが手にしていたメモを見てみて気づいたこと。
それは、ビデオ上でのアーティストの撮影の開始時間と終了時間をそれぞれ記しているのを見かけたとき。
続けて同じアーティストを撮影することを優先。
いや、編集とかしようよ。
能率がいいんだか悪いんだか。
この一連のカメラマンのおじさんの仕事を見て、レバノン、マニュアルチックだな、と再実感する。