日伊文化交流協会

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映画:『元カレ/カノ』

2010年05月17日 11時14分54秒 | おすすめの映画
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この日3本上映された中では恐らく一番人気。当日券が売り切れた作品がこれでした。

 『元カレ/カノ』

■監督/原案/脚本:ファウスト・ブリッツィ
■原題:Ex
■出演:クラウディオ・ビジオ/ナンシー・ブリッリ/クリスティアーナ・カポトンデ/セシル・カッセル/ファビオ・ルイージ/アレッサンドロ・ガズマン/クラウディア・ジェリーニグ他

《2009年/イタリア=フランス/120分》



《あらすじ》
既に倦怠期を迎えたカップル、妻と離婚し気楽な恋愛を楽しむ男、ストーカー化して別れた女を追い回す男、結婚を間近に控えて昔の彼氏に遭遇してしまった女、離婚調停の席で、お互いに子供を押し付けあう夫婦、遠距離恋愛に不安を覚える若いカップル、年齢も、事情も様々なカップルが登場し、それぞれの恋愛劇を繰り広げる


ここ数年の間に日本でヒットしたイタリアの恋愛映画と言えば、「イタリア的、恋愛マニュアル」を思い浮かべる人も多いはず。
けれど、本作品は、オムニバスではなく、全ての登場人物が複雑に絡み合いながら登場します。計6組12名。
これだけ登場人物が多いと、(それに家族や友人、職場の人間関係も含めると、もっと多い)が同時多発的にあちこちで、ケンカしたり、愛し合ったり、悩んだりするのだから、ドタバタ劇になりそうなのだけれど、全ての登場人物に、それぞれ特徴があって、活き活きと輝いているんです。

やっぱりね、映画って一種の娯楽なんですよ。
だから、見ていてハッピーな気分になれるものが好き。

そりゃ、あまりに単純な誰かが誰かをやっつける(この場合はだいたい主役はアメリカだね)みたいなのはあまりスキじゃないけれど、紆余曲折があって、全て収まるところに収まるっていうお話が大好き。

この映画の中にも象徴的に使われているけれど、ジグソーパズルのピースがピタっと嵌る瞬間みたいなのね。

今回、メインとなるカップルは、中年の夫婦2組。
一組目は既に離婚しているけれど、家族ぐるみのつきあいは続いている。8年も前に離婚したファビオの方は独身貴族を謳歌しているけれど、もう一方のルーカとロレダーナの方は、まさに離婚の危機。娘が独立した後は、お互いをつなぎとめるカスガイを失ったかのようで、毎日のほんのささいなことでケンカになってしまう。
いかにも、アリガチと言えばそうだけれど、でも本当になんだろ、どのカップルの事情も陳腐でないきちんとした結末が用意されていて、まさに涙あり、笑いあり、そして少しほろ苦さも加わる痛快ラブコメディでした。


あと、今回解説を読んで初めて知ったのですが、イタリアでは、「チネ・パネットーネ」や、「チネ・ココーメロ」と称する映画が存在するそうです。

「チネ・パネットーネ」の方は、クリスマスシーズンになると登場する、定番のケーキパネットーネになぞらえて、クリスマスシーズンに公開される娯楽映画のことだそう。

「チネ・ココーメロ」とは日本語でいうと「スイカ映画」。こちらはバカンスシーズンに公開される娯楽映画のことですって。

日本で言えばお正月映画や、夏休みの東映漫画祭りかな? あれほど子供向けじゃないだろうけど、そうですねぇ~、「寅さん」とか、「釣りバカ日誌」とか、一時期の角川作品とか、テレビ局が作るテレビドラマの映画版みたいな、娯楽映画って感じでしょうか。
笑いあり、涙アリ・・・ってヤツです。

で、それらは、大衆向けの娯楽作品として、どちらかと言うと興行収入に焦点が集まるようなのですけれど、本作品に関しては、見た後に気持ちがスッキリするようなそういう映画だったので、上質な恋愛映画だったように思います。

そうそう、前回『やがて来る者』のときに、岡本太郎の訳についてボロクソに言いましたが、本作品は金丸美南子(だったと思う。ネットで調べても見つからないの。映画の翻訳家ってそんなにいないと思うのだけれど。もしこれが岡本太郎だったとしたら、前言撤回しなくちゃいけませんね。確認の方法がなくて・・・)とにかく、すごく気の効いた台詞回しでよかったです。

タイトルも今風でいいですね。
私は、「元カレ/カノ」より、「元カノ・元カレ」の方がしっくり来るような気もしますけれど、「前の彼氏・彼女」とかより、オシャレですよね。

余談ですが、i cesaroniでルチーア役を演じている、エレーナ・ソフィア・リッチがチョイ役っていうか、映画の前半で姿を消してしまったので、びっくりしました。
あと、クラウディア・ジェリーニって言う女優さんを初めて見たのですが、財前直見とそっくり・・・



それにしても最近、財前直見って見ないねぇ~、不思議なことに画像もなかなか探せなかったの。著作権保護のために、最近そういうのが厳しいにしても、自分のHPの写真もこんな証明写真みたいなのだし、画素数もすごく低かった。2枚のサイズ合わせに苦労したわ。
この写真では、あまりにてるように思えないかもしれないけれど、『お水の花道』に出演してたときの、髪型とか表情の作り方がすごく似てておかしかった。


とにかく、もしDVDが発売されるとしたら、これは買って損はない作品です!!

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
http://blog.goo.ne.jp/batanosuke- (batanosuke-)
2010-05-17 18:22:33
わぁ、これは良さそうですね。
一般的な宣伝よりがっちゃんさんの評論の方が美辞麗句に終始しないので好きです。

それにしても旅行、読書、映画鑑賞、最近はゲームも!
お仕事しつつ余暇の充実ぶりも素敵です。
さ、私も元気に行こう!と背筋が伸びる気分です。
返信する
Unknown (gellius)
2010-05-17 18:50:24
>クラウディア・ジェリーニって言う女優さんを初めて見たのですが、財前直見とそっくり・・・


似てる!!!
そうか、そうだったのかと納得。
以前から、この人見るたびに『なんか見た事あんだよなぁ~』って思ってたのでございます。
あぁ~これでスッキリ(笑)
返信する
Unknown (tomocone)
2010-05-17 19:31:43
この映画おもしろうそう♪
DVD発売されたら、(そして、値段が安くなったら)買います。
発売当初は少し(少しなんですけどね。)値段が高いので、値段が安くなるのを待って買ってるんです。
チネ・パネットーネ、チネ・ココーメロって初めて聞いたのですが、表現がかわいいいですね。
返信する
Unknown (ゆ~こ)
2010-05-17 22:12:26
初めまして。
これ、ホントに面白かったですよね。
絶対DVD買います。
何回でも見たいし、人に勧めたい気分満点ですよね。
会場の大爆笑が何度でも思い出されます。
来年の映画祭も、たのしみ!!
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この映画、 (Delfino)
2010-05-18 01:06:04
良さそうですね~。がっちゃんさんの感想を読んで、見てみたいと思いました。
最後に、スポッとはまる安定感っていいですね。

チネ・パネットーネや、チネ・ココーメロって初めて知りました。イタリア人だけに、食べ物で例えてるのが笑える。だって夏は、スイカより「海」の単語ほうがイタリア人の口から出るのに~(笑)
返信する
お返事(その1) (がっちゃん)
2010-05-18 13:04:50
☆batanosuke-さまへ☆

>それにしても旅行、読書、映画鑑賞、最近は
>ゲームも!
>お仕事しつつ余暇の充実ぶりも素敵です。

いやいや、仕事がねぇ~次は秋までないんですよ。なんていうか夏は冬眠もとい、夏眠状態なんですよぉ~
春稼いだ分が秋まで持てばいいんですが、宵越しの金は持たない性格なので既に金欠(苦笑)
ゲームは益々嵌ってしまって、親指が腱鞘炎気味です。

追伸・・・タイトルのところじゃなくて、URLのところへブログアドレスを入れていただけると、自動リンクになりますぅ~
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お返事(その2) (がっちゃん)
2010-05-18 13:08:04
☆gelliusさまへ☆
>似てる!!!
>そうか、そうだったのかと納得。
>以前から、この人見るたびに『なんか見た事
>あんだよなぁ~』って思ってたのでございま
>す。あぁ~これでスッキリ(笑)

同意してくれる人がいて嬉しい。
映画を見ながら、誰かに似てる誰かに・・・と私もずっと思いながら見ていて、そうだ、財前直美だと思い出したときははなんか嬉しかった。

そういえば、今ビバリーヒルズ青春白書が、新・ビバリーヒルズ青春白書となって、また違うキャストでやってるんだけれど、
主人公のクラスメートの一人でお金持ちのお嬢様ナオミの母親役のクリスティーナ・ムーアを見るたび、川島直美を思い浮かべる私デス。
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お返事(その3) (がっちゃん)
2010-05-18 13:11:38
☆tomoconeさまへ☆
>この映画おもしろうそう♪

これは太鼓判ものですよぉ~
面白かったけれど、3ヶ月たつとすっかり忘れちゃいました~。みたいなのじゃなくて、いつまでも印象に残るエピソードが一杯。
私は、あまり、「涙なしには見れません」とか「抱腹絶倒」とか、映画の個人の感想までを宣伝文句につかう映画は好きじゃないけれど、これは本当に「涙アリ笑アリ」って表現がピッタリでした。
いわゆる、コメディって言う横文字じゃなくて、「喜劇」って漢字で書くとしっくりくる感じです。
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お返事(その4) (がっちゃん)
2010-05-18 13:13:36
☆ゆ~こさまへ☆
>これ、ホントに面白かったですよね。
>絶対DVD買います。
>何回でも見たいし、人に勧めたい気分満点で
>すよね。

私も同じ気分です。
DVD発売されるでしょうかねぇ~
それならいいんだけれど・・・
何度でも見たい。その気持ち解ります!!
どのエピソードも好きですが、やっぱりファビオのお話が一番ぐっと来ました。
返信する
お返事(その5) (がっちゃん)
2010-05-18 13:17:51
☆Delfinoさまへ☆
>良さそうですね~。がっちゃんさんの感想を
>読んで、見てみたいと思いました。

これはねぇ~ホント、昨今のイタリア映画の中では3本の指に入るかな。最初は5本だったけれど、もうちょっと上って感じです。

>チネ・パネットーネや、チネ・ココーメロっ
>て初めて知りました。イタリア人だけに、食
>べ物で例えてるのが笑える。だって夏は、ス
>イカより「海」の単語ほうがイタリア人の口
>から出るのに~(笑)

ですねーーーー。
食べ物と言えば、以前雹の被害にあったときの新聞記事で、「桃ぐらいの大きさの雹」って書いてあって、へ?って思いました。
日本だったら、そういう時、ゴルフボール大とかテニスボール大とか、日本全国どこに行っても同じ基準のもので喩えますけれど、桃だと人によっては思い浮かべるサイズって違いますよね。
でも食べ物の方がワカリヤスイって思ったんだろうなぁ~と。
だから食べ物に喩えるって言うのはなんとなく解る気がします。
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