日伊文化交流協会

イタリアに関する色々なこと(旅行、料理、語学、本、映画など)を書いています。ブログをお持ちでない方のコメントも大歓迎!

映画:『バチカンで逢いましょう』

2014年06月09日 15時46分10秒 | おすすめの映画
今年はがっちゃんにとって映画の当たり年!!

年明け早々に観た『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』が良かったから、ちょっと予感はしてたんですが、2月の『はじまりは5つ星ホテルから』そして、イタリア映画祭で見た『ミエーレ』と『マフィアは夏にしか殺らない』もそこそこ良かったし、ブログにもアップしたけど、『K2 初登場の真実』も面白かったですし、なんか今年はどの映画も見ごたえアリアリです。

いつもは、イタリア映画祭以外にも、映画館主催のイタリア映画週間や、ヨーロッパ映画祭などでのリバイバル上映作品、更には、イタリア映画ではなく、イタリアを舞台にした映画も含めて、10本~12本見るのがやっとだし、その中で面白いと思えるのはだいたい3本に1本ぐらい。(下手したら5本に1本)

なのに今年は、先週見た『テルマエ・ロマエII』(邦画)とこの『バチカンで逢いましょう』(ドイツ映画)そして、ハリウッド作品の『ポンペイ』を含めたら6月までの半年で既に8本見ていています。
『ポンペイ』のみイマイチでしたが、8月には『グレート・ビューティー/追憶のローマ』そして『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』が公開予定。

なんかもう楽しみ倍増って感じ。

 
御年68才すごいバイタリティーです。


ってことで、作品をご紹介しますね。


■映画:バチカンで逢いましょう(原題:Omamamia)
■監督:トミー・ビガント
■製作:アンドロ・スタインボーン/ガブリエラ・シュパール
■原案:クラウディア・カーサグランデ
■脚本:ジェーン・エインスコー
■撮影:ホリー・フィンク
■音楽:マルティン・トートゥシャロウ
■出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト/ジャンカルロ・ジャンニーニ/アネット・フィラー/ミリアム・シュタイン/ラズ・デガン/ジョバンニ・エスポジート/ポール・バーレット/トーマス・カイラウ 他
■製作:2012年/ドイツ/105分


『バチカンで逢いましょう』公式サイト


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

《あらすじ》
カナダにある田舎の一軒家に住むドイツ人女性マルガレーテは、夫に先立たれた後も、元気に暮らしていたが、一人暮らしを心配する娘マリーが勝手に家を売り払い、老人用介護施設への入居を決めてしまった。
その上、楽しみにしていたローマ旅行もなぜかうやむやになってしまい、マルガレーテは置手紙を残して単身ローマに向かう。
ローマには留学中の孫娘のマルティーナがいるが、そこを訪ねてみると、孫は大学には行かず、酒場でアルバイトをしながら、バンドのボーカルと同棲しているのだった。
敬虔なカソリック信者であるマルガレーテには耐えがたいようなことばかりだったが、そんな現実を前に、彼女は、ローマ法王の前でどうしても懺悔したいことがあると言い、勇んでバチカンに赴く。
しかし、その集団謁見の場で盲目の男性(詐欺師)と出会い、とんでもない事件を引き起こしてしまう。
一方で、母親の家出に気をもむ娘は、不安といら立ちが続き、家庭内がぎくしゃくし始める。祖母、母、娘。それぞれの女たちが、抱える悩みとは・・・

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 
左:孫のマルティーナ 右:娘マリー


原題はOMAMAMIAですが、まず、おばあちゃんのことをドイツ語でOMA(オマ)と言うのだそうです。
イタリア語のMamma mia!!は、「私のおっかさん=なんてこった!!」
と言う意味ですが、うまい掛詞になってます。
このタイトル通り、「ちょっと待ってよ! おばぁちゃん」って言いたくなるような出来事が満載。
そういえば、「マンマミーア」と言うミュージカルがありますが、あれも父親をめぐる母と娘のドタバタ劇ですよね。


 
夜通し語り合う母と娘


映画が始まって、最初の15分ぐらいは娘マリーが、母親マルガレーテを追い立てるようにして家を売り払い、子供たちには「おばぁちゃんは、何もできない赤ちゃんと同じだから」と言って、子供に対しても、母親に対しても「心配」と言う名で束縛しようとする様子が、どうにもこうにもやりきれない感じがしたんですが、マルガレーテがローマに行ってからは、こんどは逆におばぁちゃんにみんなが振り回されるように。
倒産寸前のドイツ料理店に入ったはいいけれど、そこの料理のあまりのまずさに怒ったマルガレーテは、厨房に乗り込み、自分で作ったり、孫娘の友達たちと仲良くなって弾けて踊ったり、自由気ままに過ごすように。
けれども一方で、何故彼女がそれほどまでに懺悔をしたいのか、何も話さない彼女に見ている方も、周りもいら立ちが募るころ、娘マリーも合流。
そこからの展開は見てのお楽しみ。って感じですけれど、女三人の演技も見ものですが、そこに巻き込まれる男共がまた素敵なんです。


 
潰れかけたドイツ料理店を立て直そうと意気込むマルガレーテ


まずこの映画、あんまり人物紹介がきちんとなされないままに、ストーリーが展開するので、なんとなく想像も交じっているのですが、マルガレーテは、若い頃ドイツでカナダ人の夫と知り合い、カナダに移住したらしいと言うこと。(そして英語がほとんど話せない)
そして、娘マリー夫ジョーは、再婚相手のよう。(孫娘のマルティーナがローマに行ったのは、父親を失くしたショックから)と言うようなことが台詞の中で一瞬出てくる。で、何故ジョーがドイツ語を話せるのかはわからないんですが、家の中では英語とドイツ語で話しています。
さらに、マルガレーテがローマで出会う盲目の紳士(実は詐欺師)は、母親がドイツ人と言う設定なので。イタリア語交じりのドイツ語で話します。
唯一、マルティーナの彼氏シルヴィオはイタリア語しか話せない。ってことになってますが、そのシルヴィオに対してもマルガレーテは徹頭徹尾ドイツ語で話します。
バチカンの中も当然のようにドイツ語を話す枢機卿がいるし、なんかマルガレーテを囲む人たちは、言葉をはじめとして、すべて彼女のペースで進んでいる気がして、その引力たるやすごいです。


 
詐欺師役のジャンカルロ・ジャンニーニが最高でした。


マルガレーテ役のマリアンネ・ゼーゲブレヒトは『バグダッド・カフェ』でも、アメリカ旅行中のドイツ人と言う設定で、ずっとドイツ語だったように思うのですが、なんだろ、言葉の垣根を超えるっていうのはこういうことなのかな?って思います。
あと、詐欺師役は、ジャンカルロ・ジャンニーニで007にも出演した色男ですが、マリアンネの演技をさらに引き立てる名演技だったと思います。彼を見ていると、マストロヤンニを思い出すんですが、年を重ねてさらに色男ぶりが増していく感じです。

   
「あのバイク」と言うと『ヴェスパだ』と即座に言い直すほどの愛車


あと、あんまりドイツ料理って知らないし、そんなに興味もないんですけど、この映画に登場するシュニッツェル(薄いトンカツみたいなもの)や、カイザーシュマーレンと呼ばれるフレンチトーストみたいなのがめっちゃおいしそうでした。


 
100人分のカイザーシュマーレンを作る様子



当初この映画は、3月末に公開予定で、それが4月になり、5月にずれこみ、都合がつかない間に、上映回数が一日2回になってしまって、もう見るのをやめようかと思ってたんです。
だけど行ってよかった~。

実はがっちゃん、一応超話題作も抑えとこうと思って、『アナと雪の魔法』も見たんです。
でもやっぱりあのディズニー的なモノは生理的に合わない気がする。
世の中の人があれだけ、面白い、感動した、泣いた、と言う作品に全く心動かされないのは、よほど心が汚れているんだろう。って思うんですけどね、でもなんだろ~。『愛と平和』みたいなものを押し付けられるのって、宗教じみてると言うか、なんか怖いんですよ。

その意味で、この映画みたいに、人間完璧じゃない。と言うより、ダメなところだらけ。
だからこそ、人に頼ったり、話したり、笑ったり、励ましたりしながら生きていく。この方がずっと人間らしい気がします。


クリックよろしく

 にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へにほんブログ村


人気ブログランキングへ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。