日伊文化交流協会

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映画:『K2 初登頂の真実』

2014年05月20日 15時40分48秒 | おすすめの映画
最近はこのブログ、ほぼ映画ブログになりつつありますけれど、またもや映画ネタ。
イタリア映画祭の感想もまだアップしていないのですが、(一日何本も見ると、やっぱりしんどいですね)
忘れないうちに、早く書かなくちゃ。
で、今回紹介するのはイタリア映画祭の出品作品ではなく、劇場公開された山岳映画(ってそんなジャンルあるんかいっ)って思いますが、来月には『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』って映画が公開されますし、90年代には、「K2 ハロルドとテイラー」「クリフハンガー」2000年代に入ってからは、「アイガー北壁」「127時間」など山を舞台にした映画って結構あるような気がします。
極限状態に陥ったときの心情とかって映画にしやすいんだろうなぁ~。

そんなことで、『K2初登頂の真実』をご紹介します。



■映画:K2初登頂の真実(原題/K2-La montagna degli italiani)
■監督:ロバート・ドーンヘルム
■製作:マリオ・ロッシーニ/ノルベール・ブレシャ
■撮影:ゴゴ・ビアンキ
■編集:アレッサンドロ・ルチーディ
■音楽:パオロ・ビバルディ
■出演:マルコ・ボッチ/マッシモ・ポッジョ/ミケーレ・アルハイク/ジュゼッペ・チェデルナ/ジョルジョ・ルパーノ/アルベルト・モリナーリ他
■製作:2012年/イタリア/120分



『K2初登頂の真実』公式サイト



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《あらすじ》
終戦後のイタリア。国は貧しく、人々は職を求め各地でデモが繰り広げるなど、不安定な政情の中、野心家のデジオ教授がK2制覇こそが、求心力をもたらすとして、政府にK2登頂隊の派遣要請をする。そして、集められたアルピニストの中から、精鋭12人を選び出された。その中で、最年少のボナッティは、飛びぬけた脚力と、度胸で周りを圧倒する。しかし彼の強さと個性は、チームメンバーの輪を乱す。雪崩、滑落、凍傷、高山病、死と隣り合わせの過酷な状況の中、誰が登頂を果たすのか・・・

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すさまじい映画でした。エベレストを筆頭に、昨今ではシェルパの死亡事故や、残された大量のゴミ問題など、取沙汰されていますが、山と言うものが、これほど恐ろしいものなのかと言うことを改めて感じました。



ここからは若干ネタバレアリですのでご注意ください。

K2(8611m)は、世界最高峰のエベレストよりも圧倒的に困難とされ、イタリア隊より前にアメリカ隊が挑んで失敗した「非情の山」。
しかし、イタリア隊は途中死者を出したものの、初登頂を果たしました。本来ならば、その偉業を達成したクライマーの名前が取り上げられ、祝福されるはずなのに、イタリアは「登頂は隊全体の名誉」として、長い間その名前を公表しなかったのだそうです。
それは一体なぜなのか? メンバーの間で妨害工作などがあったのではないか?
そういったことが、50年以上にわたって裁判で争われ、初登頂から54年後にようやくK2登頂における事実が認められたことをきっかけに、この映画が出来上がったのです。

監督はロバート・ドーンヘルム。
私は、この方の他の作品を知らなくて、名前からしてあんまりイタリアっぽくないなぁ~って思ったら、ルーマニア出身だそうです。
オーストリアのテレビ局でドキュメンタリー監督として勤務していた経験があり、ドキュメンタリーまたは、ドキュメンタリータッチの映画を得意としているようです。
この作品も、先に述べた実話に基づいたもので、華々しいイタリア初登頂の裏に隠された真実を描いています。

さらに、俳優陣も知ってたのは、マルコ・ボッチだけ。それも「スクアードラ・アンティ・マフィア」って言うテレビドラマシリーズに出てたのを見たんですが、他の俳優もテレビの人が多かったです。
がっちゃんイタリア映画だけはそこそこ見てるので、監督も俳優もほとんど知らないっていうのはかなり珍しくて、それはそれで新鮮でした。






すごく見ごたえのあった、オススメ作品なんですが、でもここはがっちゃんのブログ。
一般的な映画評論とは違いますわよ~
ってことで、細かいツッコミをいくつか・・・



みんなイタリア語を話してる
イタリアで劇場公開用にそうしたんでしょうけれど、現地のパキスタン人がみんなイタリア語なんですよ。
ひったくりの子供だけは言葉が通じない。って言う設定でしたが、その子供を捕まえる警官とか、荷物を運ぶ人とかみんな。
ぜーーーんぶアフレコって言うか、イタリア語吹き替え。
これって、ちょっと笑ってしまった。
日本以外では、外国映画は字幕より吹き替えの方が人気だそうですが、やっぱり漢字の国の日本より、文章が画面に収まりきれないのかしら。
って思ってちょっと調べてみたら、字幕翻訳は吉川美奈子さんって方なんですが、この方ドイツ語の翻訳家なんです。ってことはもしかして、映画はドイツ語で話していたのを、あとでイタリア語に吹き替えをしているのかも。だから全員イタリア語だったのかなぁ~。



ボローニャの金はメッキ?
メンバーの一人が、ネパールの市場でひったくりに合うんですが、その時、「あれはいいんだ。ボローニャ・オーロ(金メッキ)だから」って言うセリフがあって、へぇ~。って思いました。もしかしたら私の聞き間違いだったかもしれませんけど。



映画の公開が5月10日からだった理由
これはHP見たとき書いてあったんですが、公開日が5/10つまり、分数にすると、10分の5は、十と半分=登攀(とうはん)だそうです。思わず腰が砕けそうになりましたが、でもちょっと笑ってしまった。こういったことにゲンを担ぐのも、配給会社の苦肉の策なのでしょうね~。




エベレストよりK2の方がどれぐらい大変か?
世界で一番高い山と言えばエベレスト。だけど、K2の方が困難と言われています。で、実際にどれぐらい差があるかと言うと、2010年までの時点で、エベレストの登頂成功者は延べ5104人、K2の登頂成功者は延べ302人。だそうです。
まぁ世界一の山と言うことでアタックする数がエベレストの方が圧倒的に高いでしょうから、分母が違うのかもしれませんけどね。
いくらスポンサーを募るにせよ、一千万以上のお金がかかるとなると(実際にはもっとでしょうけれど)一生の間に何回もトライできるわけじゃないし、そうなるとやっぱり、世界第2位より、1位を目指したくなるのではないでしょうかね~。
と素人考えですが思ってしまいました。



エベレストはネパール、K2はパキスタン
いや、たぶん当たり前のことなんでしょうけど、山に全く興味がないがっちゃんはそんなことも知らなかった。見てる途中、チベット仏教のお祈りとかそういうのしないなぁ~。って思ってたんですよ。パキスタンはイスラム教でしたね。とにかくみんなヒマラヤ~って一括りにしちゃてました。でも、このK2はヒマラヤ山脈ですらなく、カラコルム山脈でした。



K2だけなぜ名前がないの?
ほい、これは調べました。
エベレストとか、カンチェンジュンガとか、他はちゃんと名前があるのに、なんでK2だけ記号なんだろう? 世界第2位だから?だったらエベレストはK1なの?そんなことを思って調べたんです。
まず、カラコルム山脈内での山の高さは、K2 (8,611 m) ガッシャーブルムI峰 (8,068 m) ブロード・ピーク (8,047 m)こんな感じ。
で、ウィキペディアによると、
イギリス統治時代のインド測量局が1856年からカラコルム山系の測量を始めた際に、南方210キロから測量した特に標高が高い山々にカラコルム(Karakorum) の頭文字「K」を取って順に、K1, K2, K3, K4, K5 と測量番号を付けた。その後、K2以外の山には、新たに名前が付けられたり、現地の名前が採用されたりしたが、K2だけは測量番号がそのまま山名に残った。ってことだそうですよ~



下へ行けばいくほど、映画とは関係なくなっちゃったけど(笑)
そんなことでた単純がっちゃんは山に登りたくなって、「若草山」に登ってきました。標高342!!
あぁーーーよけいにどうでも良い話になっちゃった。


つまり、この映画で思ったのは、「人間極限の状態になると、その本性が表れる。」
ってことと、「名誉欲って言うのは始末におえない。」ってことですかね~


とにかく山好きな方もそうでない方も楽しめる作品です。


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2 コメント

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Unknown (とすかーな)
2014-05-20 17:44:43
ツッコミ部分を読んでとってもスッキリしました~♪ありがとう、がっちゃんさん♪K2ってどこ?なんで名前がないの?ってモヤモヤしてたから。
流さずにしっかり調べて知識にするがっちゃんさん、ステキ♪
返信する
とすかーなさんへ (がっちゃん)
2014-05-27 15:34:37
ありがとうございます。
ほぼもうブログとしては動いてない状態で、自分の忘備録として使ってるのに、こうしてコメントいただけるなんて、感謝感激雨霰。
フェイスブックとかって流れちゃうけど、ブログのいいところはたまに今でも友達から、イタリア旅行について教えて~。とか言われたら、「このページを見て」とかって言ってバスの乗り方とかのページを張り付けられるしやっぱり便利だな~。って思ってしまします。
またとすかーなさんのブログにもちょいちょい遊びに伺いますね。
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