対北朝鮮戦 収穫があるような、ないような敗戦

　　22年ぶりのアウェー・平壌での試合。選手も言っていましたが、尋常じゃない雰囲気の中の試合。日本の報道陣やサポーターもかなりの制限。思うんだけど、FIFAの枠組みでやる以上、相手国、相手チームにここまでの規制をかけていいのか。対戦場所で、大きく差がでるというのは（お互い様とはいえ）どうなのよってのは思う。相手国の国歌斉唱中に無礼な事をするし。
　北朝鮮的には、WCの道が断たれたとはいえ、ホームで、最高指導者の前で、5万人の観客の前で敗れるわけにはいかないでしょう。そして、日本的には最終予選進出が決まり、それを見据えての戦略で臨むのは当然。ザッケローニ監督も、ベストメンバーでさらなる完成されたサッカーを目指すか、他の選手に経験値を積ませるか悩んでいると述べていましたが、後者の選択をとったようです。
　先発です。私もザッケローニの方針を支持します。



　DFに栗原、伊野波の起用はよかった。そして待望の清竹の先発。そして、遠藤に代わって細貝。GKの西川の経験値稼ぎも必要でしょう。さらに、香川という日本の宝を負傷させることもできない、温存は当然かも。
　試合開始から、北朝鮮のスピードは迫力あった、そして5万人の歓声。今日は、試合開始から日本のリズムが作れない。そして、結局90分間それが続いた。
　何が原因か？それはやはり細貝だと思う。彼のポジショニングと動きに問題があった。ザッケ、就任当時から細貝の事をかってるみたいでけっこう起用する。値千金のゴールはあったけど、個人的には彼のよさってスピードとスタミナくらいで、それ以外の良い点まだわからない・・・この位置で遠藤に代わって球をさばけるのは家長とか清竹だと思うんですが。
　細貝を筆頭に、選手間の位置にコンパクトさがなかった。だから北の速いプレスに対応できなかった。細貝がバランスを崩している要因の一つなのは明らかなのに、ザッケローニは、安易に遠藤に代えなかった。試合の中で経験値を積んでいくしかないのでしょうね。日本代表も決定的なピンチは作らせませんでしたが、相手ゴールを脅かすことなく前半を終えます。
　そして、後半。有効にターゲットになっていたデカイ10番が栗原に競り勝ち中央へヘディンでつなぎ、さらに駒野に競り勝った北のヘッドを、なんかワンテンポ遅れた感じの西川が止めれず。川島だったらと思ってしまったシーン。ただ西川はこのくやしさをバネにまた成長するでしょう。
　その後、後半17分、憲剛を代え内田がIN。そしてこの危機的な状況で3バックに変えるザッケローニJapan。



　正直、これは驚いた。ある程度、余裕のあるとき、3バックを試していくのかと素人のおれは思うわけですが、この負けてる時にするとは。この辺がザッケローニの凄さだと思った。
　投入された内田は、いい動きをした。ただ3-4-3になって劇的に代表の動きが変わった感じもなかった。
　そして、ハーフナー、李とFW投入。期待の清竹でしたが、まだ個では、本田のように試合をコントロールできるほどの動きができない事を感じた。香川や、本田のような選手がいて活きる選手だな。清竹も今日の試合、多くの課題を見出したはず。
　北朝鮮は、後半になってもスピード、切れ衰えません。いいサッカーしてましたわ。普段、サッカー観戦などすることもない北朝鮮の人たち、ましてやアジアNo1の日本サッカーは初めて見たと思うのですが、その日本のサッカーがこんなもんかと思われたのは腹立つ。
　最後まで北は激しかった。日本選手もかなり当たりをうけた。大きな怪我がなくてよかった。ケガなく終えるのも大事。そこはある意味OKの試合でした。審判は北の圧力に屈することなく適切なジャッジをしてくれてのはよかった。
　負けは悔しいですが、出た選手は多くの課題を見出し、レギュラー選手はベンチから試合を見て、これまでみえなかったものも見えたかもしれません。
　次の来年のホームのウズベキスタン戦に勝てば、グループ1位で通過もできます。そういう意味でも大局には影響ない敗戦です。とにかく北朝鮮とする前に結果が出てたのがよかった。
　ギリギリの状況での北朝鮮戦だったらこわかった。負けないザッケローニ監督の無敗記録は途絶えたようですが、無敗記録が目標ではないですから。ブラジルワールドカップに出る、そしてその過程でWCで勝てるチームを作る。その為に負ける事があってもノープロブレムです。
　2011年、最終予選進出を決めれて終えれるのは精神衛生上よい。そしてHOMEで2012年をスタートできるのもいい。2012年が本当の勝負です。