Kodak DC4800
’08/02/06の朝刊記事から
政府調査団 工場を視察
【石家荘(中国河北省)5日共同】中国製ギョーザ中毒事件で、日本政府の調査チームは5日午後、冷凍ギョーザ製造元の天洋食品工場がある河北省石家荘市を訪れ、殺虫剤混入の原因究明に向け、現地の検疫当局と協議。同工場を視察し、河北省政府とも意見を交わした。
河北省輸出入検査検疫局の程方局長は冒頭の挨拶で「日中双方で意見を率直に交換し、問題の早い解決を望む」と話すと、調査チーム団長の原嶋耐治・内閣府消費者企画課長は「食の安全は国民の生活の基本。政府は原因究明と再発防止に全力を挙げる。原因究明には密接な関係が不可欠だ」と応じた。
協議後、程局長は「日本側に調査資料をすべて見せた。今後は対等の原則で密接に協力し、問題を解決したい」と語った。
河北省の検疫当局はこれまで、昨年10月1日と20日に製造され、中毒を起こしたギョーザの保存サンプルを検査した結果、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」は検出されなかったと発表。工場の原料購入記録や生産加工記録、貯蔵輸送記録を調査したが不審な点はなかったことを明らかにしている。
Kodak DC4800
’08/02/06の朝刊記事から
ギョーザ中毒 別の殺虫剤を検出
天洋食品6月製造 福島の生協販売
日本生活協同組合連合会(日本生協連)は5日、東京都内で会見し、昨年6月3日に中国・河北省の天洋食品が製造し、福島県の生協が同11月に販売した「CO・OP手作り餃子」から、有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」を検出したと発表した。一連の事件で中毒原因となったメタミドホスとは別の殺虫剤が出たのは初。福島県警は、流通経路などを捜査する。
濃度は皮が110ppm、具が0.42ppm、キョーザ全体で10ppmと高く、2個食べると1日許容摂取量(一生毎日食べても影響ない量)を超えるが、被害は報告されていない。厚生労働省によると、ジクロルボスの残留農薬基準は小麦で0.2ppm、キャベツやハクサイで0.1ppm。同省は回収対象となっている商品に、ジクロルボスが含まれていないかも検査するよう、各都道府県に通知した。
ジクロルボスは日本で広く利用され、浸透力が強く過去に輸送過程で袋に染み込んだこともあるという。
ジクロルボス
メタミドホスと同じ有機リン系の殺虫剤で揮発性が高い。中国で使用されているほか、日本でも農薬や屋内用の蒸散剤などとして使用されている。吸い込んだり皮膚に付着したりすると、頭痛や呼吸困難を引き起こすなど急性毒性が強く、劇物に指定されている。
一生摂取しても健康に被害を及ぼさないとされる1日摂取許容量は体重50キロの人で0.165ミリグラム。2002年には、関西空港に輸入された中国産のマツタケから、食品衛生法の残留農薬基準値の約28倍に当たる2.8ppmが検出され問題になった。
残留農薬ではあり得ぬ数値
内藤裕史筑波大名誉教授(中毒学)の話
有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」の毒性はメタミドホスよりいくらか弱い。極めてありふれていて、家庭用殺虫剤の一部に使われているほか、新幹線やタクシー、バスなどの消毒にも用いられる。摂取した場合の症状はメタミドホスとまったく同じで、腹痛や下痢、縮瞳など。キャベツの残留農薬の基準値は0.1ppmだが、今回検出された110ppmは千倍以上に当たり、残留農薬としてはあり得ない数値。ジクロルボスは浸透力が強く、ビニールの袋にも染み込む。今回、ギョーザの具よりも皮の方が濃度が高かったのは、外部から染み込んだからだと考えるのが自然。意図的に注入すれば具の方が濃度が高くなるはずで、人為的かどうかは疑わしい。
千葉・兵庫両県警 共同捜査本部を設置
中国製ギョーザ中毒事件で、千葉、兵庫の両県警は5日、有機リン系農薬「メタミドホス」が故意に混入された疑いがあるとして、殺人未遂容疑などで共同捜査本部を設置した。混入経緯などについて捜査を進めるが、場所や時期を絞り込むため、警察当局は千葉、兵庫でギョーザの皮や包装などから検出されたメタミドホスの同一性を調べる精密分析を実施する方向で検討に入った。
警察庁などによると、メタミドホスは国内では一部の研究機関が試薬として保管しているだけで、一般には流通していない。一方、中国国内では現在、製造・使用も禁止されているが、かつては広範に使用され、農家などにはまだ保管されているケースがあるという。
両県内で中毒被害を起こしたギョーザは、中国河北省の「天洋食品」工場から出荷以降、全く別ルートで流通。梱包後、日本国内の店頭で箱を開封するまでに、人為的に混入させるのは困難な状況で、工場での袋詰め段階で混入したとの見方が強まっている。
’08/02/05の朝刊記事から
甘い夜 ベルサイユで
新婚の仏大統領
【パリ4日時事】4日の仏紙パリジャンによると、サルコジ大統領(53)と元モデルで歌手のカーラ・ブルーニさん(40)は2日、エリゼ宮(大統領府)で結婚式を挙げた後、パリ近郊のベルサイユ宮殿の敷地内にある公邸「ランテルヌ」に出掛けて新婚初夜を過ごした。
一夜明けた3日昼、夫妻は宮殿内の庭園を手に手を取って45分ほど散歩し、人前でキス。居合わせた観光客を驚かせた。2人はサインを頼まれると応じ、園内の田舎風レストラン「フロティーユ」で昼食を取った後、パリへ戻った。
大統領は4日にルーマニアを訪問。その後、南米の仏領ギアナとブラジルを訪れるが、カーラさんが同行するかどうかは明らかにされていない。
’08/02/05の朝刊記事から
ギョーザ中毒事件で中国政府
報道を抑制 調査は迅速
日中関係など配慮?
【北京4日高山昌行】中国製ギョーザによる中毒事件で、中国政府は国内主要メディアの報道を抑制する一方、河北省の製造元工場の調査や警察当局の捜査では、迅速な対応ぶりを印象づけている。改善基調にある日中関係や今春の胡錦濤国家主席の訪日にも配慮しているようだ。
中国国内では,中国共産党機関紙の人民日報が事件を一切報道していない。国営新華社通信も最小限の事実関係の報道にとどめ、大衆紙も含めて冷静さが目立っている。
中国メディアの報道について、中国外務省の劉建超報道局長は「中毒事件は調査中であり、この段階で結論的な判断を下してしまうのは注意が必要。ニュース報道ならば、なお慎重にならなければならない」と述べ、報道規制を示唆した。
一方、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の工場調査や地元警察の捜査は「中国当局としては異例の速さ」(日中関係筋)。
さらに、日本政府の調査団派遣についても中国側のビザ発給などの手続きがスムーズに進み、調査団は4日夜に北京入りし、5日にも工場に立ち入る見通し。
中国は日中関係のほか、8月の北京五輪を控え、国際社会の目を強く意識しており、日本大使館関係者は「中国が中毒事件に真剣に取り組んでいるのは間違いない」としている。
’08/02/05の朝刊記事から
自給率向上に追い風? ギョーザ中毒
国産 量、価格ネック 業界は依然海外に依存
中国製冷凍ギョーザによる中毒問題は、海外に食料の多くを依存する日本の食卓の危険性をあらわにし、食料自給率論議に一石を投じる形になった。国産品への注目度アップは自給率向上を掲げる農林水産省にとって思わぬチャンス。外食産業では中国以外から調達する動きが出始めたものの,国産品は量と価格の点で中国産の代替となるのは難しく、海外依存脱却は容易ではない。