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和平を望まない米国は誰が大統領でも朝鮮との真摯な話し合いは期待できない

2018.05.25
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 ドナルド・トランプ米大統領は5月24日、朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と6月12日にシンガポールで開催する予定だった会談を取りやめると発表した。こうなる可能性が高いことは少なからぬ人が予想していたことだろう。アメリカ政府は一貫して朝鮮半島を含む東アジアでの軍事的な緊張を高めようとしてきたわけで、トランプ大統領個人がどのように考えているのかは不明だが、アメリカ政府が和平に向かった進むとは考えにくかったからだ。非核化の問題も、朝鮮半島全体の非核化でなく朝鮮の一方的な非核化というようにアメリカは話をねじ曲げようとしている。

 

 金委員長と韓国の文在寅大統領が板門店で会ったのは今年(2018年)4月27日のことだが、そこに至るまでに韓国政府は様々な布石を打っていた。朝鮮半島の軍事的な緊張を高めるためには韓国と日本を連携させる必要があり、バラク・オバマ大統領は慰安婦問題の解決を求めていた。日韓両国の首脳との会う際、数年にわたり、毎回のように慰安婦の問題を採りあげ、両国の対立を解消させようとしていたという。これは同政権でNSC(国家安全保障会議)の安保副補佐官だったベン・ローズの話だ。

 

 和平へ向かうためには日本と韓国との軍事的な協調関係を弱める必要があり、韓国政府はオバマ大統領の圧力で封印された慰安婦の問題を再燃させたように見える。その一方、韓国政府はロシアや中国と経済的な関係を強めてきたが、そのためにも東アジアの平和は重要。この3カ国は和平実現を望んでいるということだ。

 

 文大統領と金委員長が会談する前日、アメリカ政府はCIA長官だったマイク・ポンペオが朝鮮で金委員長と握手する様子を撮影した写真を公表、あたかもアメリカが和平の進展で主導的な役割を果たしたかのような演出をしていた。撮影は4月1日頃のようだが、その直前、3月26日に金正恩委員長は特別列車で北京へ入り、釣魚台国賓館で中国の習近平国家主席と会談している。

 

 アメリカ側の本心を露骨に表現しているのが国家安全保障補佐官のジョン・ボルトン。朝鮮に核兵器を放棄させ、その上で戦乱を引き起こし、アメリカ主導軍が空爆して朝鮮をリビアのように破壊し、金正恩をムアンマル・アル・カダフィのように惨殺するというリビア・モデルを主張していた。CBSのインタビューを受けている時にカダフィが殺されたとの報告を受けたヒラリー・クリントン国務長官は「来た、見た、死んだ」と口にして喜んでいた。現在、リビアはカオスが支配する破綻国家であり、「石器時代」のようだ。

 

 これを西側の政府や有力メディアは「民主主義」と呼ぶのかもしれないが、朝鮮だけでなく韓国の国民も朝鮮半島をリビアのようにはしたくないだろう。もし本当に平和の実現を望むなら、アメリカを排除する方法を考えなければならない。アメリカを排除できないなら、平和の実現は極めて難しい。これは誰がアメリカの大統領でも言えることだ。

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最終更新日  2018.05.25 09:26:46 
 
 
2018.05.24
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 アメリカ主導軍がシリア東部の油田地帯、デリゾールにいるシリア政府軍を5月24日未明に空爆したと伝えられている。油田地帯やパイプラインの敷設ルートの確保はアメリカが侵略戦争を続ける要因のひとつであり、アメリカ軍はこの地域に大きな軍事基地を建設したともいわれている。

 

 デリゾール周辺では2016年9月17日にアメリカ主導軍のF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機がシリア政府軍を攻撃して80名以上の兵士を殺害したが、空爆の7分後にはダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の部隊が地上でシリア政府軍に対する攻撃を開始している。ダーイッシュに限らないが、ジハード傭兵はアメリカ側と連携してきた。その1年後にはロシア軍のバレリー・アサポフ中将がデリゾールで砲撃により戦死しているが、アメリカ側からアサポフ中将の位置に関する正確な情報が戦闘集団側へ伝えられていた、つまり殺させたと言われている。今年(2018年)2月7日には親シリア政府派の武装勢力がアメリカ主導軍に攻撃され、戦闘員数百名が殺されたとも言われている。犠牲者の中にはヒズボラやロシア人傭兵も含まれているという。

 

 このデリゾールを含むユーフラテス川の北側の地域へアメリカ軍は無断で侵入、約20カ所に基地を作ったと言われている。アメリカほどではないが、イギリスやフランスも地上軍を侵入させている。この3カ国が行っていることは不法占領にほかならない。さらにイスラエルもシリア領内への攻撃を続けてきた。

 

 シリア北部の占領にはクルドが協力しているが、それ以外のシリア国民は不満を募らせている。防空システムをシリアへ提供することに前向きだったロシア国防省はウラジミル・プーチン大統領がシリア政府軍への引き渡しを取り消したことから不満を持っている可能性がある。

 

 プーチンは大規模な戦争を回避するために自重しているのだが、西側の好戦派はそれを見越して攻撃を繰り返し、状況を有利にしようと目論んでいる。イスラエル軍によるシリア領内の攻撃も、そうしたソ連政府の姿勢を利用し、シリアとロシアとを離反させようとしているのだと見る人もいる。シリアのバシャール・アル・アサド大統領はロシアについて勝利のパートナーだと発言したが、それを口にして沈静化しなければならない雰囲気が生まれている可能性もある。

 
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最終更新日  2018.05.24 16:26:15 
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