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シリア騒乱と修羅の世界情勢

第三次世界大戦を阻止するブログです。

ャマル・カショーギの行方不明事件はサウジ支配層の脆弱性を示している

2018年10月12日 | シリア
2018.10.10
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 トルコにあるサウジアラビア領事館へ入り、まま行方不明になったジャマル・カショーギはロッキード事件でも登場したサウジアラビアの富豪、アドナン・カショーギの一族に属していると伝えられている。

 

 ロッキード事件に登場することでもわかるように、アドナンはCIAと緊密な関係にあり、父親はサウジアラビア国王だったイブン・サウドの主治医。アドナンの甥にあたるドディ・ファイードはウェールズ公妃ダイアナの恋人として有名だ。ファイードとダイアナは1997年8月31日に自動車事故で死亡した。

 

 アドナンは1980年代に入るとフィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領から金塊の処理への協力を依頼されるが、その情報はCIAに伝えられ、1986年2月のアメリカ軍によるマルコス拉致につながる。この拉致を指揮したのはネオコンのポール・ウォルフォウィッツと言われているが、アドナン・カショーギも関係したようだ。

 

 当時、フィリピン国内では反マルコスの運動が高まっていたが、その原因のひとつはマルコスのライバルだったベニグノ・アキノが1983年8月にマニラ国際空港で射殺されたことにある。このアキノへはNEDを通じてCIAのカネが流れ込んでいた。

 

 こうした背景を持つジャマル・カショーギはサウジアラビアの奴隷制を支持、ダーイッシュ(イスラム国、IS、ISIS、ISILとも表記)による斬首も賞賛している。その人脈にバンダル・ビン・スルタンが含まれていることを考えると当然だ。

 

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、アル・カイダとはロビン・クック元英外相が指摘していたように、CIAの訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル。何らかのプロジェクトができると、このファイルからメンバーがピックアップされ、そのグループを中心に戦闘集団が編成されてきたと見られている。

 

 ジャマル・カショーギの「行方不明事件」はサウジアラビアの権力抗争の結果であり、その背後にはネオコン系シオニストとネタニヤフ系シオニストの対立がある。サウジアラビアの支配システムが揺らいでいるのだが、このサウジアラビアはアメリカの支配システムを支えてきたペトロダラーの守護神。この守護神が倒れるとアメリカの支配システムも倒れる可能性がある。



最終更新日  2018.10.10 00:00:13 
 
 
2018.10.09
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 ネオコンは2014年にウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させたが、その翌年の段階では16年に予定されていた大統領選挙の勝者はネオコンが担いでいたクリントンになるはずだった。2015年6月にオーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合にジム・メッシナというヒラリー・クリントンの旧友が出席している。

 

 状況に変化が見られたのは2016年2月10日。ヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問してウラジミル・プーチン露大統領と会談、22日にはシリアで停戦の合意が成立したのだ。その後、注目されるようになったのが共和党のドナルド・トランプと民主党のバーニー・サンダース。

 

 民主党の幹部はさまざまな手段を講じてサンダースを押さえ込むことに成功するが、その内幕の一端を明らかにする電子メールがインターネット上に流れる。内部告発支援グループのウィキリークスもクリントン関連の電子メールを明らかにした。そうしたメールの中には、2015年5月の時点で民主党幹部たちがヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆している電子メールも含まれている。そこでロシア政府がハッキングしたというキャンペーン。そこからロシアゲートが始まった。

 

 しかし、技術的な分析から電子メールはハッキングではなく、内部でサーバーから直接ダウンロードされた可能性が高いと指摘されている。電子メールをウィキリークスへ渡したのは民主党全国委員会のスタッフだったセス・リッチだったと見られている。

 

 こうした指摘をかき消すように有力メディアはロシア政府がハッキングしたという話を流したが、この偽情報流布を指揮したのはCIA長官だったジョン・ブレナンだと言われている。

 

 トランプの背後にはキッシンジャーがいると見られているが、最大のスポンサーはカジノ経営者のシェルドン・アデルソン。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と緊密な関係にある人物だ。トランプの娘、イバンカの夫で大統領の顧問を務めるジャレッド・クシュナーもこの人脈に属している。

 

 結局、アメリカ大統領に選ばれたのはトランプだが、その影響はサウジアラビアの後継者争いにも影響する。2017年6月に皇太子がホマメド・ビン・ナイェフからモハメド・ビン・サルマンへ交代したのだ。前者はロスチャイルドと関係の深いネオコン系、後者はジャボチンスキー色の濃い一派とつながっている。

 

 皇太子が交代になった3カ月後にジャマル・カショーギはサウジアラビアを離れ、ネオコン色の濃いワシントン・ポスト紙のコラムニストになった。同紙の記者としてウォーターゲート事件を暴いたカール・バーンスタインは1977年に新聞社を辞め、ローリング・ストーン誌に「CIAとメディア」というタイトルの記事を書いている。

 

 その記事によると、400名以上のジャーナリストがCIAのために働き、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)

 

 この記事が出た後に状況は急速に悪化、気骨あるジャーナリストが排除され、メディアは少数の巨大資本による支配が強まった。今回の一件でワシントン・ポスト紙を含む西側の有力メディアは巨大資本の走狗として偽情報を流してきた事実を忘れてはならない。西側の有力メディアはジャーナリズムの敵と化している。

 ジャーナリストのむのたけじは1991年に
開かれた「新聞・放送・出版・写真・広告の分野で働く800人の団体」が主催する会で講演し、その冒頭で「ジャーナリズムはとうにくたばった」と発言したという(むのたけじ著『希望は絶望のど真ん中に』岩波新書、2011年)が、その通りである。日本はアメリカと同じ、あるいはそれ以上に悪い状況に陥ったのだ。「くたばった」日本のマスコミが復活する兆候はみられない。
(了)




最終更新日  2018.10.09 18:44:08

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