気になる植物たち

植物歴長いけど、世の中にはまだまだ気になる植物がいっぱい。花屋のQuの植物的ミニエッセイ。ときどき俳句。 ときどき古墳。

ウォーターヒヤシンス

2006-07-09 22:13:06 | 野山で

 


 ウォーターヒヤシンスはホテイアオイの別名です。その花を見たら、名前の由来は一目瞭然。ね、ヒヤシンスみたいでしょ。ミズアオイ科。ヒヤシンスとは無関係だけれど、涼しげで美しい花です。


 



 池に倒れこんでいる倒木の上を前進して、必死の接近。しかも、木がだいぶ腐りかけていて、踏んだ所がグズグズと崩れていくんです!でも、近寄って見ると、花びらの一枚だけに薄青の幾何学模様がはいり、かなりおしゃれなのを発見。冒険した甲斐がありました。


 



 こんな風にこんもりとしたかたまりが、いくつも浮いていて、


 



 遠方にはかなりの大群落。水上のお花畑のようです。


 


 ところが、この丈夫で美しい植物が、各地で嫌われ者になっています。丈夫すぎて増えすぎることの弊害がたくさん出てきているのです。水面を覆いつくす程増えると、水路がつまる、船が通れない、もとからある植物が住みにくくなる、水中の酸素や光が減ることで魚たちも住みにくい、腐ったホテイアオイによる水の汚れと景観悪化・・・。なぜ、こんなに滅茶苦茶に増えてしまうのかというと、外国からきた植物だから、でしょうか。長い間かかって、自然の生態バランスがとれているところに、人間が遠い外国の種を考えもなく放りこむ。と、環境に適応できないものもあるし、天敵もいない環境に適応しすぎて、増えすぎるものもあるということです。


 農水省の外来生物法という法律があります。人間、産業、生態系に特に影響の大きい生物を、特定外来生物と指定し、これらの生物を入れない、捨てない、拡げない3原則を取り決めました。違反すると、罰金などが科せられます。ホテイアオイはまだ、これには該当していませんが、同じ外来の浮き草であるボタンウキクサ(ウォーターレタス)は、販売できなくなりました。もちろん、育てること、移動すること、野外に捨てることも禁止です。


 釣るのがおもしろいから池に放されたブラックバス、もう飼えなくなったから水路に捨てられたイグアナ・・・。人間が生物を手軽に扱うことは、むずかしいし、責任も大きいとしみじみ感じます。彼ら生物たちにはなんの責任もないのに、嫌われて迷惑がられて駆逐される運命です。


 明治時代に遠く中南米から連れて来られたというホテイアオイは、愛媛県西条市のとある池で、今日も無心に咲き乱れています。


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6 コメント

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胸が痛みます (なをこ)
2006-07-10 00:40:56
NEWSでもよく扱われていますが、ワニやカミツキガメが見つかったり、九州ではずっと前から、蚊を少なくするために どぶや用水路に外国のめだかの種類を放す習慣があって、最近めだかの激減で、外来種の影響が大になっていて、昔ほど蚊は少なくなったからもういいとか…めだかを守るとか…。人間の勝手で、連れてこられた外国のカブトムシやクワガタもきっと日本の昆虫たちより多くなってしまう日も近いのかしら…。

天然記念物になってしまったトキや鷲よりも、環境にも生態系にも、たくさんの人たちが気にしていかなければと思います。

植物の世界にも 共通していたんですね。知りませんでした。とっても、勉強になります。
Unknown (りす美)
2006-07-10 01:26:50
ほていあおいに花が咲く・・・知らなかった。。こちらはね、黄緑に近い緑の小さな葉っぱの水草が嫌われ者。うちの小池にも侵入して来ていて、取っても取っても増えこそすれ、減りません。
Unknown (yone3)
2006-07-10 08:37:21
めずらしいものみせていただき

ありがとう!

花ほんと、ヒヤシンスですね!!
なをこさんへ (Qu)
2006-07-10 20:26:13
カダヤシは攻撃性があるのでメダカがいなくなる、とか、まるっきり悪者にしていましたよね。日本人はプラントハンターと言われて、世界中のめずらしい植物を集め回っています。商売のために。私も花屋という職業ですから、その一味なわけです。美しいもの、めずらしいものに感動する趣味家もその一味。もう、どうしたらいいのかわからない世界です。
りす美さんへ (Qu)
2006-07-10 20:40:28
ほていあおい、きれいでした。外来生物法にひっかからないといいのですけど。
yone3さんへ (Qu)
2006-07-10 20:42:25
きれいでしょう。きれいなだけに、つらいところです。

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