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福島で増え続ける子供の甲状腺がんの実態

2013-09-07 | 原発

 2013年09月05日10時00分 週プレNEWS
福島で甲状腺がんと診断される子供が増え続けている―。
8月20日、福島市で開かれた県民健康管理調査検討委員会の席で2012年度の検査結果の中間報告がされ、前回6月には12人だった甲状腺がんと確定診断された子供の数が、今回、新たに6人増えて計18人になってしまった。
この人数が意味するものは、いったいなんなのか。「ふくしま集団疎開裁判」の弁護人を務める弁護士の井戸謙一氏がこう話す。
「子供の甲状腺がんの罹患(りかん)率は、100万人に1人といわれています。ですが、福島県の人口が約200万人、そのうち今回の調査の対象となっている子供たちは約36万人です。これだけ見ても明らかに人数が多く、何か異変が起きていると判断するのが普通の考え方ではないでしょうか」
ところが、検討委員会の席上で、調査の主体となっている福島県立医大の鈴木眞一教授は、甲状腺がんはゆっくり大きくなるのが特徴であり、診断確定した人のがんの大きさから、「2、3年以内にできたものではないと考えられる」と話し、これまで一貫して原発事故と18人の甲状腺がんとの関連を否定している。
「県民の健康への不安解消」を目的に掲げる県民健康管理調査だが、子を持つ母親たちからはその調査の進め方に疑問の声が上がっている。
「検査を受けても、その場では一切、検査結果を教えてくれないんです。しばらくして2次検査の必要があるかどうかの通知が送られてくるだけ。一般の医療機関で甲状腺の検査を受けると、例えば、しこりがあった場合には、その場で大きさも教えてくれるのに」(福島市在住の2児の母)
前出の井戸弁護士は、調査結果報告そのものにも不信感を募らせている。
「今回は2012年度の調査結果の中間報告が出たわけですが、これによると、2次検査が必要だと言われた子供が953人いて、そのうち『悪性ないし悪性疑い』が30人と発表しています。しかし、調査報告書の資料を詳しく見てみると、953人の2次検査対象者のうち、実際に2次検査が終わっている子供は594人なんです。つまり、まだ2次検査を受けていない子供たちが359人もいるわけです。統計的に見ても、そのなかから『悪性ないし悪性疑い』は出ると考えられます」

しかし、検討委員会では、あたかも2次検査対象者全員が検査を終えたかのように発表していた。
では、いったいどれくらいの子供たちが甲状腺がんにかかっていると考えられるのだろうか。
「これまでの検査で『悪性ないし悪性疑い』があると診断された子供は12年度の30人と11年度の13人の合計で43人います。まだ2次検査が終わっていない子供のなかから、2次検査が終わった子供と同じ割合で甲状腺がんが出るとすれば、私の計算では79人となります。さらに、13年度の検査対象が約16万人いますから、すでに100人ぐらいの子供が甲状腺がんにかかっている可能性があると思います」(井戸氏)
100人……。でも、それは「悪性疑い」を含むわけですね。
「悪性疑いとありますが、腫瘍が悪性かどうかを最終的に判断する2次検査後の細胞診にかけると、これまで1例を除いて悪性、つまり、がんという結果が出ています。ですから、疑いとあっても、かなりの確率でがんという診断になると考えられます。8月20日に発表された18人というのは、2次検査後の細胞診まで終わった人数にすぎません」(井戸氏)
18人の子供が甲状腺がんにかかっているということが、すでにショッキングな事実であるのに、その数倍の子供たちに不幸な診断が下される可能性がある……。
もっと大きく騒がれてもいいはずの今回の調査結果報告だが、テレビや新聞での扱いは小さく、なかなか一般の目には留まらない。 注意を喚起するには、さらに大きな不幸が必要なのだろうか。(取材・文/頓所直人)

チェルノブイリ事故では、被曝から最低4~5年後に甲状腺がんが発生しており、県は「総合的に判断して被曝の影響は考えにくい」と説明している。

 甲状腺がんの大半は進行が遅く、生存率も高い。診断30年後の生存率は9割以上。これまで、子どもの甲状腺がんの発生頻度は100万人に1~2人程度とみられていた。今回、それより高い頻度で見つかった。福島県立医大の鈴木真一教授は「今回のような精度の高い超音波検査で大勢の子どもを対象にした調査は前例がなく、比較はできない」と説明した。

 チェルノブイリでIAEAの調査団は、「広島で小児甲状腺ガンが出るまでには十数年かかっているのだから、こんなに早くチェルノブイリ被災地で多発するはずがない。」と言った。
 ナロブリャ地区中央病院のニコンチューク院長によると、
「IAEAの調査で広島から来た日本人の有名な医学者は、ホイニキ市で演説し、生活に影響はない、将来も心配ないと言いました。そして病気は、放射能に対する恐怖から起こる心理的なものだと言ったのです」。

1989年にはウクライナやベラルーシで甲状腺がんの増加が見られるようになったと報告した時、IAEAやソビエトの科学アカデミーは「超音波診断の精度があがったから発見数が増えただけだ。」と言った。

今の福島と全く同じ理由で、チェルノブイリの甲状腺ガン多発を原発由来ではないと言い切ったのだ。

 IAEAが小児甲状腺ガンは発症していないと発表した91年、ベラルーシ放射線医学研究所を訪れた佐藤幸男教授は、IAEAの報告とは全く異なる事実を知る。研究所のタラマ・ベローカヤ医師が「小児甲状腺ガンが前年だけで30例近くも発症している」と告げたのだ。 91年5月に、ミンスク小児血液病センターのオリガ・アレニコワ所長が来日し、甲状腺ガンの発症率が激増したと報告している。それでもIAEAは、何の心配もない、放射能による病気は発生していない、と言い続けた。
 しかしある重要な研究報告が、イギリスの権威ある科学雑誌「ネイチャー」92年9月号に発表された。この報告は世界に衝撃を与え、前年のIAEAの報告を、一瞬にして覆してしまった。IAEAの報告に危機感を募らせたベラルーシ放射線医学センターのドロズド教授を中心とする医師たちによる小児甲状腺ガンの症例報告と世界保健機関(WHO)のヨーロッパ支局とスイス政府が派遣した5人の医学者による視察団の報告だった。

 
 今後もフクシマ由来の放射線被曝による健康被害の”隠蔽劇”が延々と繰り返されるだろう。政府・官僚と御用学者達が己の保身と利権を最優先し、国土とそこに住む国民を蔑ろにする国に未来などあろうはずがない。


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