オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

トンデモ野党とメディアの非常識ー怪文書?

2019-07-16 | 政治

6月中旬、自民党に所属する国会議員のところに、謎の本が送られてきた。『フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識』という冊子だ。

冊子は、「トンデモ野党のご乱心」「フェイクこそが本流のメディア」「安倍政権の真実は?」の3章で分けられている。

安倍政権の経済施策「アベノミクス」について、厚生労働省の毎月勤労統計調査の不適切処理によってその効果が偽装されていると野党が批判したことに対して、
「不適切処理があったことは事実であっても、この間のアベノミクスの効果は疑う余地はありません」
「もし、野党がアベノミクスの効果に疑念を抱かせるような指摘をするのなら、それはフェイクニュースでしかないのです」
「『統計』『統計』と声を張り上げる野党議員は、職務を放棄しているに等しい」

立憲民主党の枝野幸男代表については「革マル派に近いといわれてます」とあり、社民党については「間違いなくオワコン(終わっているコンテンツ)」、共産党に対しては「壮大な虚偽」などと記している。

トランプ大統領が「日米同盟破棄の可能性を側近に示唆」というニュースには、「安倍首相は今やトランプ大統領をはじめとする海外の首脳からも頼りにされる存在」「安倍内閣は、極めて危機管理に長けています」と賞賛。

メディアに対し「批判というより、もはや難癖レベルといわざるを得ない」とし、東京新聞や沖縄タイムス、琉球新報の社説に「視野狭窄」「言葉遊び」「もはや地元メディアとすらいえません」などと非難、「トンデモ新聞」などと揶揄していた。読売新聞や産経新聞についての非難は書かれていなかった。


自民党本部によると、
「様々な資料をお送りしており、こちらもその一環です。特に参院選のためというわけではなく、ご参考になるものとしてお送りしました」
「インターネットメディア「テラスプレス」は、1年ほど前から、すでに広く一般にネット上で閲覧されており、そのときどきの時局テーマについて、わかりやすく具体的に数字を示しながらネット上で解説し、他の大手新聞の社説やコラムのように説得力のある内容であることから、これらの記事をまとめた冊子があるということで、通常の政治活動の一環として、参考資料として配布したものであり、テラスプレスの運営等には関与しておりません。」

発行元の人物も不明、同名のサイトは検索にかからず広告もないということだ。

自民党議員からも疑問の声が上がっている。
「ひいきの引き倒しもいいところです。 扱いに困ります」
「 アフリカ出張のあいだに妙な本が届いていました。数ページ読みましたが、とても活用できるようなものではありません。」
「活用したい人もいるのかもしれないが、ひどい中身。この内容を活用するなど、まっとうな保守がやることではないでしょう。どういう経緯でこれが配られたのかも全く分からない、怪文書に等しいものです」

 

NEWS23 小川アナいいね
安倍総理に「選択的夫婦別姓どうお考えか?」と二度問うも、「女性の就業率増えてる、旧姓使用認めてる。自民党で意見整ってない、総裁が軽々に言うべきでない」と相変わらずはぐらかす。
小川アナは「はい分かりました」と受け止め「CM後は自民党で出回っている小冊子についてです」と話を変える。
小川アナが「この酷い野党の似顔絵どう思われますか?」と聞くと、安倍総理は「似顔絵なんかどうでもいい、そんなことより中身はまさに当たっているじゃないか」と枝野氏や志位氏を指差し攻撃し始めた。
こんなものが出回っているのを恥じるどころか、尻馬に乗って野党批判。少なくとも討論についていける人材を出しなさいよ。
 
党首討論で、ルールは守ってくださいと、小川キャスタ-に注意を受けるも安倍首相は話続ける。やっぱり頭悪いね。家計が苦しいという一般の声にはどう答えるのかという問いには、全然違うことを答える。
自民党トンデモ冊子で窮地に立つ安倍総理を「出どころ不明の冊子を党首討論で取り上げるなんて大人げない」と助け舟を出す維新松井代表。息ぴったりね。
TBSが取り上げるような冊子ではない!にもかかわらず、自民党に出回っている・・・・笑えるね。
 
小川アナ「次の話題にまいりましょう」 深追いしないで無視するところがいいね。

大統領の品格

2019-06-09 | 政治
ドイツのメルケル首相は30日、米ハーバード大学で講演し「我々はこれまで以上に、単独主義ではなく多国間主義的に考え、行動しなければならない。保護主義と貿易摩擦が世界の自由貿易を脅かしている。国家よりも世界、孤立主義ではなく世界に開かれていることを優先すべきだ。」と名指しはしなかったが、トランプを批判した。米国が温暖化対策のパリ協定や中距離核戦力(INF)全廃条約、イラン核合意などを次々にほごにしたことに対し、ドイツなどの欧州の反発は強い。
ドイツの首相が同盟国である米国に乗り込み、米大統領を暗に批判するというのは極めて異例だ。メルケル首相はトランプ大統領とは会談することなく、ドイツに帰国した。
 
私はドイツ民主共和国と呼ばれる、「自由がない側」の旧東ドイツで育ちました。一党独裁体制のもと、人々は抑圧されたり、監視されたりしました。東ドイツの政治家たちは、人々が西ドイツの自由を求めて出て行ってしまうことを恐れていました。だからこそ、コンクリートと鉄鋼でベルリンの壁を建てたのです。その壁を乗り越えようとして見つかった者はみな、逮捕されるか、銃弾に倒れました。ベルリンの真ん中に建てられたこの壁は、人々を分断しました。私の家族をもです。大学卒業後、私は東ドイツにある科学アカデミーで物理学者の仕事に就きました。当時、私はベルリンの壁の近くに住んでいました。毎日、研究所での仕事が終わると、私はベルリンの壁に向かって歩きました。その向こうには西ドイツ、つまり自由があります。そして毎日、私は壁際まで来ると、最後の最後で折り返して、自分のアパートに戻らなければなりませんでした。毎日、自由の前で右に曲がらなければいけなかったのです。「もう限界だ」と何度思ったことか、数えきれません。苛立ちが募っていました。私は反体制派ではありませんでしたし、壁にぶつかっていったりもしませんでした。けれど、壁を否定もしませんでした。自分に嘘をつきたくなかったからです。ベルリンの壁は、私の可能性を狭めました。文字どおり、私が行く道を常にふさいでいたからです。しかし、この壁が成し遂げられなかったことが一つだけあります。私の内なる限界を制限することです。私の人間性、想像力、夢、願望──禁止したり支配したりすることでは、それらを止めることはできませんでした。
ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、人間がとり得るあらゆる手段をもって気候変動に取り組むよう訴えた。メルケル氏は「気候変動は地球資源への脅威となっている」と述べた上、「気候変動も、その結果として生じている危機も、もたらしているのは人間だ。われわれはこうした人類に対する課題を人間がとり得るあらゆる手段を用いて克服できるし、また克服しなければならない」と訴えた。
また、米中の貿易紛争が激化していることを念頭に、「保護主義や貿易紛争は、自由な国際貿易や私たちの繁栄の基盤をも危うくするものだ。自国第一主義的ではなく、多国間主義的であるべきだ」と訴え、会場から大きな拍手が送られた。
 
未来への希望が失せ、格差社会の暗さと息苦しさが超大国から世界へ広がった。核戦争で脅す北朝鮮や内戦状態の中東情勢のせいではない。「米国第一」を掲げて就任した品格ゼロのトランプ米大統領のせいである。選挙公約そのままに種々の国際協定から離脱し、イスラム圏からの入国規制に執念を燃やす。
 
トランプ氏の「米国第一」とは結局、イスラム差別、人種差別を肯定することである。白人男性を優遇し、女性や有色人種を軽視する社会を目指す。性別や人種、宗教などの差別を排し平等な社会を建設するという米国の理想主義はトランプ政権下で色あせてしまった。核兵器なき世界も夢物語となった。
 
ワシントン・ポスト紙は、トランプ氏の誤った、または国民をミスリードする発言が2000件を超えたと報じた。1日当たり5件以上だ。当のトランプ氏は「フェイク(偽)ニュース大賞」を発表するなどメディア攻撃を続けているが、都合よく事実をねじ曲げようとする、高慢とも独善ともいえる姿勢が米国の品格と信用をおとしめた。
 
20世紀以降、今ほど、品格のない大統領が世界を牛耳っていたときはない。
 
トランプ氏は、政治家には不可欠な政治学も、経済学も、国際政治学も学んでいない。政治や外交、歴史も知らない。教養や品格もない。不動産ビジネスと、ニューヨーク社交界のセレブとして、仕事をしてきただけの人間である。このような人を国のリーダーとして選んだのは他ならぬアメリカ国民である。
 
アメリカが「世界の警察官」としての役割を捨てて「大国」としての存在感を失いつつある。一方、人権など存在しない中国やロシアが世界の覇権を掌握しようとしている。
歴史の折り返し地点なのかもしれない。進化してきたはずの人間社会が、人間の劣化とともに、衰退がはじまっているのかもしれない。
 
そして日本は?
トランプに友人呼ばわりされて、有頂天の安倍晋三はトランプを歓待し、武器の爆買いを続ける意向のようだ。

孤独担当大臣

2019-06-02 | 政治
イギリスのメイ首相は2018年1月18日、「孤独担当大臣」のポストを新設し、トレイシー・クラウチ氏を任命した。
また、イギリス政府は孤独の問題に関する調査を開始し、人々を結びつけるコミュニティ活動に対して金銭的な助成をすると発表した。
この政策は、2016年に極右過激派に殺害された労働党のジョー・コックス党首の遺志を引き継いだものだ。メイ首相は、彼女が生前に設立を計画していた「ジョー・コックス委員会」が提出した「孤独」に関する問題についての勧告の多くを受け入れた。
 
ジョー・コックス委員会の調査の結果、明らかにされたのは以下のようなものだった。
・イギリスでは、900万人以上の人々が常に、もしくはしばしば「孤独」を感じており、その3分の2が「生きづらさ」を訴えている。
・月に1度も友人や家族と会話をしないという高齢者(65万人)の人口は20万人にのぼった。
・身体障害者の4人に1人は日常的に「孤独」を感じている。
・子どもを持つ親たちの4分の1が常に、もしくは、しばしば「孤独」を感じている。
・400万人以上の子どもたちが「孤独」を訴え、チャイルドライン(相談窓口)の支援を受けた。
その結果を元に、委員会では「孤独が人の肉体的、精神的健康を損なう」と警告、肥満や一日に15本のタバコを喫煙するよりも有害であるとする啓発活動を実施していた。
また、委員会は孤独がイギリスの国家経済に与える影響は、年間320億ポンド(約4.9兆円)に上るとしている。
 
「孤独はわれわれが直面する最も重要な健康問題です」
イギリスの「孤独担当大臣」トレイシー・クラウチさんは、壇上で聴衆にこう呼びかけた。
 
「1人で不安だ、寂しい」という感覚そのものは、心身に大きなストレスを与え、心臓や脳、血管などあらゆる病気を招くリスクを高めるとされ、早死にする確率が50%上昇するという。
孤独に関する研究の第一人者と言われるアメリカ・ブリガムヤング大学のジュリアン・ホルトランスタッド教授は「社会的つながりは人間の本質的欲求である」とし、「水や食べ物同様、つながりの質が大切だ」と訴える。
「孤独」はある種のスティグマで多くの人が孤独を抱えながら、根本的な解決策を自発的に取ることが難しい。孤独の不安を抱える人に対して、「自己責任」と突き放すのではなく、その気持ちに寄り添い、解消するためのインフラ・環境づくりが急務である。
 
イギリスは孤独対策の先進国だ。約7年前に、高齢者の福祉に携わるNGOの間から、高齢者の孤独を問題視する声が上がり、そこから民間の慈善団体を中心として、多種多様な取り組みが進められてきた。そうした草の根の動きを受けて、これ以上看過できないと、政府も動き始め、世界で初めての孤独担当大臣が任命された。
 
無数の調査研究が行われ、孤独があらゆる年代の問題であることが明らかになり、対策の対象は幅広い層に広がっている。たとえば、孤独を感じる高齢者の電話を受け、会話をする「シルバーライン」。すべての運営費は民間の寄付や宝くじの収益金などで賄われる。24時間365日対応するのは資金的にも人員的にも容易ではないが、特に深夜やクリスマスなどのホリデータイムには孤独を感じる人が増えるという理由から夜間や休日でも受け付けている。
 
男性は面と向かっておしゃべりをするより、ゲームやスポーツ、仕事など何かを一緒にすることでコミュニケーションしやすいという人も多い。であれば、「一緒に何かをする場」を作ればいい、という発想で、「居場所づくり」が進められている。現在、イギリスでは475カ所の「男たちの小屋」があり、新たに100カ所以上が近々オープン予定で、1万人以上が参画し、一大ムーブメントとなっている。この動きはオーストラリアやアイルランドなど世界でも広がっており、オジサンの生きがい再生基地として、注目を集めている。「Walking football(歩くサッカー)」も大人気だ。サッカーが大好きなお国柄であるが、年を取ると走り回るのはなかなか難しい。そんな人でも気軽に楽しめる「歩きながらするサッカー」が「孤独対策」の一環として広がっている。今やイギリスだけで1000チーム以上。大会も開かれるようになっており、ちょっとおなかの出た高齢のオジサンも元気いっぱい、フィールドを「歩き回って」いる。そのほかにも、イギリス人男性の大好きな居酒屋「パブ」を拠点にした朝食会、週末に近所の人たちが集まって、路地にテーブルを並べて、一緒にランチを楽しむ「ビッグランチ」、高齢の独居者を招いてのティーパーティなど、よりどりみどりの対策が展開されている。特徴的なのは、老若男女の多くのボランティアが活動を支えていることだ。
 
正確なデータはないが、孤独感を感じている日本人はかなり多そうだ。町内会という組織が全国的にあるが、首都圏での町内会入会率は低い。生涯未婚率も増えている。2035年には日本の男性の約3割が生涯未婚となるとの推計がある。女性は約2割だ。
 
結婚は面倒で煩わしく、生活環境が便利なので結婚の必要性が無い、ということか?
 
町内会の回覧をLINEで行っている事例があるという。町内会費もスマホの割り勘アプリのようなものを使うと、集金に廻る必要もなくなり、役員会は役員専用のLINEグループでスマのホ会議を行うと、日時を合わせて集まることも無くなり、負担はかなり減る。しかし、便利な仕組みを作れば作るほど、互いの顔を見ることも無くなり、コミュニティは崩壊する。面倒だからこそ町内会が続くのかもしれない。
 
コンビ二に行くと無人の店舗で、スマホがあれば入店でき好きなものを持ち帰り、支払いは知らないうちに行われている。人と会話をすることもなく、お金を手渡すことも無く、誰とも接することもなく買い物が完結する。
 
地震、台風、洪水、がけ崩れ、火災、など災害の宝庫ともいえる日本。
便利になり過ぎると人は孤立していく。不便な世の中であれば、パートナーを求める人も多くなり、子供の出生数も増えるのかも知れない。
 
日本政府の孤独対策は皆無で、一足飛びに孤独死対策となる。事態は深刻だ。
ニューヨーク・タイムズ紙は、「A Generation in Japan Faces a Lonely Death(孤独死に直面する日本のある世代)」と題した記事を掲載している。千葉県松戸市にある常盤平団地に住む91歳の女性の日常を通じて見る、高齢化社会日本の陰を描いた長編記事となっている。
 
 1960年代から、日本政府は東京近郊に、日本の戦後経済の再建を託した何千もの若い「サラリーマン」のための巨大な団地を立て始めた。その一つである常盤平団地は、2駅にまたがる約4800戸の巨大団地である。高い競争率を勝ち抜き、女性とその夫はここに新居を構えた。新しい西洋的ライフスタイルを享受する核家族が集まる団地で、女性は幸せな人生を送るが、夫と娘が25年前に相次いで他界した。仲の良かった友人たちも次々と亡くなり、四半世紀を一人で暮らすこの女性には、知り合いはほとんどいない。
 
 今や団地の住民のほぼ半分が65歳以上でアパートで孤独死した遺体の発見が相次いでいる。このような状況を案じた91歳の女性は、向かいのアパートの年下の住人にあるお願いごとをしている。女性は就寝前に窓の障子を閉め、起床後障子を開ける。「もしも朝になっても(障子が)閉まったままなら、それは自分が死んだという意味だ」として、その際はすぐに行政に連絡をしてもらう約束を取り付けている。毎朝窓をチェックしてもらうお礼として、女性は毎夏、この隣人に梨を贈り続けているという。
 
記事によれば、亡くなった人々の死は、光熱費の支払いが止まったり、部屋から異臭がしたりすることで、やっと気づかれることが多いという。公式な数字はないが、専門家は、孤独死の後、数日から数週間後に見つかる人は、年間3万人と見積もっている。しかし、孤独死の遺体処理や清掃をする業者は、その2~3倍と見ている。
 
 孤独死は高齢化する日本で広がるトレンドで、日本独特の文化、社会、人口動態的要素が問題を形作っているとしている。社会保障政策の専門家、藤森克彦氏は、日本では家族が高齢者を支えるのが普通であったが、未婚者の増加や家族規模の縮小で、そのシステムに変化が出てきていると指摘する。単身世帯は人口の14.5%で、この30年で倍増し、50代男性と80代以上の女性の増加が目立つ。不安定な職についていることから結婚できないという男性や、働き自立する女性の増加で、婚姻率も低下しているという。
 
 家族がいない高齢者は、他人に迷惑をかけたくないという日本的な考えから近所の人に助けを求めず、結果として他人との交流の欠如につながる。また、家族が離れて暮らしている、経済的に高齢の家族を援助できないというケースも増加しており、もはや家族に期待することはできない。
 
しかし・・・・・・自殺をするまでに追い詰められた人に対して何の被害も受けていない人から「一人で死ね」と言う言葉が公の場で投げつけられる社会にも自殺抑止を期待できない。
 

トランプの異常なメディア攻撃

2018-11-04 | 政治
史上最悪のアメリカ大統領トランプ。開発途上国なら、影響も少なく見過ごすこともできようが、アメリカ大統領ともなれば、影響が大きすぎて鳥肌が立つ。しかも安倍首相は彼と親友だというのだ。
2年前、早くも日刊ゲンダイがその危惧をぶち上げていた。
 
 ホワイトハウスでの首脳会談をわずか40分間で終え、フロリダに飛んでゴルフを堪能した安倍首相と米国のトランプ大統領。2つのクラブをハシゴし、27ホールも回った。会談の“成果”は何もなく、親密ぶりを世界に向けてアピールしただけだったが、日本のメディアは「百点満点」と大絶賛だ。 自民党内から聞こえてくるのも、「極めてうまくいった」(高村副総裁)、「歴史的快挙」(下村幹事長代行)、「最高の成果」(茂木政調会長)などと浮かれた声ばかり。大統領の専用機に乗せてもらい、一緒にラウンドしてもらったことがそんなにうれしいのか。属国根性丸出しではないか。
 米国では、ギャラップ社による最新世論調査の結果が大きく報じられた。
「トランプ大統領は世界の首脳から尊敬されていると思うか」という質問に対し、「尊敬されていると思う」は29%で、「尊敬されていると思わない」が67%に上った。
 
「主要国の首脳が距離を置く中で、無条件に追従してくれる日本の首相は、トランプ大統領にとって貴重な存在です。就任前に馳せ参じて高級ゴルフクラブをプレゼントし、ちょっと脅せば米国のための雇用策まで考えてくれる。トランプ大統領に取り入るためなら、日本国民の虎の子である年金資金まで差し出しかねない勢いです。首脳会談で、貿易摩擦や為替操作についての苦言がなかったことで、日本側は『無理難題を吹っかけられずに済んだ』と胸を撫で下ろしているのでしょうが、それを“成功”と言うのは間違っている。米国に見捨てられては困ると、すがりついただけでしょう。それなのに、共同会見で、トランプ大統領は『米国と中国の良好な関係がアジア太平洋地域のすべての国々にとって良い結果となる』と明言した。安倍首相が妄執する中国包囲網がくじかれたのです。これまで中国封じ込めのためにアジアやアフリカ諸国にカネをバラまいてきたのに、水泡に帰してしまった。対中国政策でトランプ大統領を味方につけることに失敗したということです」(政治評論家・本澤二郎氏)
 
「私は朝日新聞に勝った」「俺も勝った!」と意気投合
朝日新聞では、アメリカ総局長がこう書いていた。
〈トランプ氏の自己愛・ナルシシズムの度合いが極端に強いことは、選挙戦の序盤から伝えられてきた。ささいなことでも批判されると、相手をツイートなどで攻撃するなど、非常に衝動的〉
〈米国の心理学者ジョン・ガートナー氏は、トランプ氏の行動を分析し、「加虐性、偏執性なども含まれる悪性ナルシシズムを持つ初の米国大統領で、極めて危険だ」と警鐘を鳴らす〉
〈共同記者会見で、用意された原稿を棒読みに近い形で読み上げたトランプ氏と、奔放で乱暴な言動を繰り返すトランプ氏。その二面性は気になる〉
 
 原稿棒読みだけではない。共同会見で、日米同盟の強化で同意したと誇示する安倍の冒頭発言を聞きながら、トランプは時折もっともらしい表情でうなずいたり、笑みを浮かべたりしていたが、同時通訳用のイヤホンをしていなかった。記者との質疑応答になってイヤホンを装着したが、米メディアには、「大統領はいつから日本語を理解できるようになったのか」と皮肉られていた。
 元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。
「トランプ大統領がイヤホンを着けることも忘れていたのは、忠実なポチの安倍首相が自分を怒らせるようなことを言うはずがないと安心しきっていることの表れです。日本側が切望した尖閣諸島への米国の防衛義務を定めた日米安保条約第5条の適用に関しては、安倍首相が『確認した』と会見で言及しましたが、トランプ大統領にとっては、どうでもいい話でしょう。歴代米政権の見解を踏襲しただけで、何も進展はなく、日本のメディアが大成功だと持ち上げるほどのことではない。それよりも、なぜ、トランプ大統領が安倍首相をここまで歓待したのか。2人が互いにシンパシーを感じているとすれば、その理由がどこにあるのかを考えるべきです」
 
産経新聞に看過できない記事が載っていた。トランプタワーでの初会談で、軽くゴルフ談議をした後、安倍はこう切り出した。
「実はあなたと私には共通点がある」
 怪訝な顔をするトランプを横目に安倍は続けた。
「あなたはニューヨーク・タイムズ(NYT)に徹底的にたたかれた。私もNYTと提携している朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った……」
 これを聞いたトランプは右手の親指を突き立ててこう言った。「俺も勝った!」
 
 これが本当なら、異常な事態だ。仮にも民主主義を標榜する国のトップ同士が、自身に批判的なメディアを敵視し、懲らしめたことを自慢し合い、「勝った」「勝った」と浮かれている。まるで幼児だ。
 
 幼児性と加虐性、敵と見なしたら絶対に許さない偏執性。異なる文化や意見を認めない排他性と、自分は正しいというナルシシズム。気味の悪いほど2人は似ている。
 
トランプの異常なほどのメディアに対する敵視は今もエスカレ-トし続けている。
メディアには権力を監視するという役割が求められるため、もともと権力者との間には緊張関係があるのが普通だ。歴代政権はメディアのそうした役割を理解し、時にはメディアの力を利用することで政権の実績アピールに努めてきた。トランプ政権のように徹底したメディア批判を繰り広げ、政権発足後もそうした姿勢をエスカレートさせる政権は、米国政治において例がない。
 
 ツイッターのフォロワーが2600万人を数え、トランプ氏自身が巨大なメディア並みの影響力を持っている。そこに政権とロシアの不透明な関係が影を落とし、真相を追及しようとするメディアとの間で対立が生まれている。メディアを介さず自ら支持者にメッセージを発信するというトランプ氏の姿勢は、大統領に就任する前から顕著だった。歴代大統領は当選から数日後に記者会見を行うのが慣例だったが、トランプ氏の場合、メディアとの会見の場に初めて姿を見せたのは、選挙から2か月以上がたった後。就任9日前のことだった。
 この間、政権人事や目玉となる政策についてはツイッターで次々と発表している。トランプ大統領はツイッターの約2600万人のほか、フェイスブックに約2100万人と、合計4700万人のフォロワーがいる。メディアを介さず自らの考えを直接かつ瞬時に発信できるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)という「武器」を手にしているのだ。たとえメディアと対立しても、自分の「武器」をうまく使って反撃すればいいのである。
 
 次期大統領当選後初の記者会見で焦点となったのがロシア問題だった。会見直前に、英国の情報機関「MI6」の元職員が作成したトランプ陣営とロシアとの関係に焦点を当てた35ページに及ぶ調査報告書のコピーをオンラインメディア「BuzzFeed」が掲載し、CNNなども大々的に報じていた。ロシアとの関係を問いただす質問が相次ぐ中、トランプ氏はCNNの記者からの質問を一切受け付けなかったばかりか、「偽ニュースを報道するメディア」とCNNを再三非難した。メディアが示す「事実」を「フェイク」として封印するトランプ政権の戦略だ。
 
トランプの支援者の集会に潜入する大手メディアの記者はボディガ-ドを雇うという。それでも、支援者に取り囲まれて非難される記者の表情に恐怖が浮かんでいた。
何の具体的な政策も示さず、強いアメリカを取り戻すと気炎を吐き、唯一の政策はメディア批判と言論の自由の圧殺、トランプは世界を地獄に導こうとしているように見える。
時代を逆行させることなどできないのだ。ゾンビ企業をよみがえらせることなどできないのだ。政治家のできることは滅びゆく産業の痛みをいかに緩和するか、新しい産業へのシフトをいかに円滑に進めるか、その手立てを提供することだけだと思う。資本主義でも社会主義でもない高度な福祉を提供する産業国家----未来を託すべき政治家の劣化が止まらない。

高齢者の働く意欲をそがないための年金減額縮小

2018-05-28 | 政治
政府は一定の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直す方針を固めた。6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に明記する。将来的な廃止も視野に高所得者の年金減額の縮小を検討する。少子高齢化の進展で生産年齢人口の急激な減少が見込まれており、高齢者の就労意欲をそぐ同制度はふさわしくないと判断した。在職老齢年金は1965年に導入した制度で、働いていても厚生年金を受け取ることができる。国は年金を支給する代わりに保険料を負担する現役世代に配慮し、高齢者の給与と年金の合計額が一定の水準を超えると、厚生年金の一部を減額・支給停止する。対象は60~65歳未満が月28万円、65歳以上は46万円を超える人。65歳以上で見ると、給与に年金を足した年収が552万円を超える人が対象だ。
 支給停止の対象者は現在、約126万人にのぼり、計1兆円程度の年金が支給されずにとどまっている。
 
 受け取る年金が減らないように意図的に働く時間を短くする高齢者もいるため「就労意欲をそいでいる」との批判があったという。政府が在職老齢年金の大幅な見直しに着手するのは、少子高齢化に伴う人手不足が経済成長を抑える構造問題になってきたためだという。
しかし、17年度の失業率は2.7%と「完全雇用」状態で、15~64歳の生産年齢人口は減っていく。国立社会保障・人口問題研究所は生産年齢人口が15年の7728万人から50年後に4529万人に低下すると推計する。
 
高齢者を働かすために、何やらちんけな政策が検討されているようだ。パ-ト主婦が110万円の壁と言う奴で、その手前で働くのをやめるのは本当だ。しかし、高齢者も同じ発想で、年金が減額されるから働くのをやめると思う?どちらかというと、名誉職で定年過ぎても居座り、仕事が楽しくてたまらない高齢者の方が多いと思うよ。若年層から巻き上げて、老害をまき散らす高齢者を厚遇する。名誉職で働いている人にとって濡れ手に粟やないの?65歳以上で年収552万円以上と言うことは、生活費の足しにするために働いている高齢者は減額の対象にはなっていないものね。
 
やはり、富裕層を喜ばせることが一番のようだ。働いても年金はフルで出しますよ。そうしないと働く意欲が削がれるのだそうだ。一体どんな人間の発想だ???
でも、年金受給者の年齢引き上げや年金の減額は当然これから起こることだから、超高齢者へのご褒美と考えれば、それほど悪いことでもないかな。

犯罪行為、改ざんは忖度で行われた???

2018-03-17 | 政治

2011年に施行された公文書管理法は、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけた。今回の改ざん問題について、霞が関では「公文書をいじることは絶対に考えられない」(厚生労働省局長)と驚きが広がる。

今回の改ざん問題が一件落着した後、何が起こるだろうか。改ざんの必要が生じるような詳細事項は初めから書かないということになるだろう。開示されて問題になりそうなものは、最初から文書として残さない。
公文書に書かないことで、公開されても当たり障りのない内容にする、そんなコンセンサスは既に出来上がっているだろう。

「公文書」にしないという方法をとっている省もあるという。政治家からの要求を組織内で共有するため、省の金庫に公文書とは別の個人的な「メモ」を保管し、後任に引き継ぐという。あくまで個人メモとすることで「情報公開請求されても絶対に出ない」と言う。

加計学園の獣医学部新設について、「総理のご意向だと聞いている」「官邸の最高レベルが言っている」などと書かれた文書が文部科学省に保管されていた問題でも、当初、「文書が見つからない」と発表した。再調査の末、同内容の文書の存在が確認できた時も「行政機関相互間の率直な意見交換が不当に損なわれる等のおそれがある」ため、通常は公開の対象にならないと主張した。

今後はこうした行政機関の間のやり取りが、そもそも公文書に残らないことになるだろう。加計学園に関する文書の内容をめぐって文科省と内閣府側の言い分が対立し、公文書管理の基準となるガイドラインが17年12月に見直された。新しいガイドラインでは、他省庁や民間企業との協議内容を議事録に残す際は、原則として相手に内容を確認し、都合の悪い発言が削られることになる。

安倍政権下で、安全保障関連法案の国会審議用に作った想定問答を「行政文書でない」として開示を拒み、防衛省が南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報を「破棄した」と言いながら、後から電子データが見つかった。法の趣旨を無視し、自らに都合の良い解釈を行って文書を出さないことが当たり前になっている。

各省庁で利用が急増している公用電子メールの大半が公文書として扱われていないことも問題だ。メールは官僚の裁量で廃棄され、国会議員と対応した記録などは情報公開の対象とならないように個人で保管するという。

公文書管理法と情報公開法は、国の行政機関で用いられる公文書(行政文書)を「職員が職務上作成・入手し、組織的に用いるために保有している文書」と定義し、適正な管理や公開を義務付けている。メールのような電子情報も公文書に含まれる。公文書の電子化を所管している総務省によると、回覧した幹部らが確認印を押す紙の報告書が激減し、メールで上司や同僚に一斉送信することが増えているという。紙の報告書は「供覧文書」と呼ばれ、公文書として職場で保存されることが多かったが、メールの場合は個人で管理され、裁量で廃棄できる状態にあるという。

メ-ルは電話と同じようなもので文書という感覚がない。メールに特化したルールがなく、どんなものが公文書に当たるのか判断できない。
総務省によると、計41の府省庁や政府機関をつなぐ専用システム「政府共通ネットワーク」を通じて交わされた2016年度のメールの総数は8556万通で、システムが発足した直後の13年度に比べて2~3倍に増えている。この数字は政府機関の間で送受信されたメールだけで、職員同士や外部とのやりとりも含めた総本数は明らかにされていないが、この分野に詳しい政府関係者は1府省庁あたり年間数千万~数億通と証言しており、膨大な量の公用メールが行き交っている。

米国では2016年にメールの特性を踏まえた管理基準が完成し、各省庁がメールを印字しなくても電子的に保存できるシステムや、職員のランク、記録内容に応じた保存期間を定めるルール作りを進めている。高官のメールを全て自動保存している官庁も既にある。ヒラリー・クリントン候補が国務長官時代に私用メールを公務で使用したと批判されたのは、メールが貴重な公文書として認識されているためだ。翻って日本の官庁では紙の文書ですら保存や公開する意識が乏しく、メールは完全に無視されている。

政治家と官僚のやりたい放題がまかり通り、総理のお友達が忖度で優遇される事態が当たり前になりつつある。

しかしである。妙なところに忖度と言う言葉が氾濫し、犯罪の意識が薄れている。
安倍晋三とマスコミは、忖度という語を巧妙に操って、安倍晋三の関与や責任から世間の目を欺くことに成功している。疑獄の中心にいる安倍晋三の主体的関わりが隠ぺいされ、官僚たちが自発的に動いて8億円の国有地値引きが実現したという物語が出来上がりつつある。財務省の官僚は、安倍晋三の意に沿うよう行政を差配すべく、国有地の定期借地を認めたり、8億円の値引きによる売却を決定したという物語である。忖度による行為と宣伝することで、不正をはたらいた官僚の行為は権力者の意向を慮っての忠誠行為となる。実際には、背任であり、ゴミの撤去費用なるものは偽計である。偽計によって国民の財産を不当に安く売り渡したのは間違いなく犯罪なのだが、それを忖度という忠誠行為にしてしまおうという意思が透けて見える。
官僚の独断でこんな悪事ができるのだろうか。忖度で、背任罪、公用文書等毀棄罪を決行することができるのだろうか。勝手に何らかの忖度をして、ペット犬よろしく、主人に喜んでもらおうと悪知恵を働かせ、籠池泰典に便宜を図る口利きをするほど官僚はバカが多いと言いたいのか。何の見返りもなく・・・・

官僚は忖度する生きものではない。指揮命令で動いていて、決定や裁量に忖度が入り込む余地はない。上の指示に従い、規則で決まっているからという、責任のエクスキューズが必ず担保されている。今回の問題を「忖度の物語」にして世間に刷り込みをしているのは、他ならぬ安倍晋三自身であり、安倍晋三を守ろうとする論者たちである。それに手を貸しているのは、「忖度があったんじゃないですか」と国会で質問している野党議員であり、無自覚なまま「忖度があったに違いない」と言っているマスコミに他ならない。忖度を氾濫させ、忖度の有無を焦点にすることは、安倍晋三を追及することでも何でもなく、逆に免責してやっているのと同じことだ。

政府の指揮命令系統の中で、関係者によって意図的に不正(犯罪)が行われている。忖度などと言う曖昧な言葉に騙されて、無罪放免してはならない。国民に対する背任罪として重罪に処すべきなのである。

籠池夫妻の長期拘留も心配である。忖度による口封じか?

総理の権力は絶大である。


裁量労働制

2018-03-01 | 政治
裁量労働制とは、労働時間を実労働時間ではなく一定の時間とみなす制度のこと。
出退勤時間の制限が無くなり、残業時間は発生しない。全ての業種に適用できるものではなく、適用対象は設計者や技術者など法律が認めた業種に限る。
 
安倍政権はずさんなデータを巡り、「データは間違っていたが、働き方改革関連法案に影響はない」と強弁し、法案を撤回すれば、残業時間の上限規制なども実現できなくなると繰り返した。
 「抱き合わせ」法案にして、何が何でも経済界の要望である裁量労働制の枠を広げようという魂胆だ。
あまりの強行突破の見苦しさと世論調査の反対から自民党内でも反対意見が出て、ここは他法案と切り離すことになった。
しかし、いつ何時、手を変え品を変え、息を吹き返してくるかわからない。
これから働く人は政治家の甘い言葉を決して信用してはならない。今以上に長時間労働に苦しめられ、命を落とすことになる。
 
裁量労働制の本質について、少し考えてみよう。
勤務時間帯は決められず出退勤も自由となるので、一見自分の裁量で働く時間を決めれるように錯覚するが、労働の量まで決めることができる裁量が労働者側にあるわけがない。
予め『みなし時間』が設定され、決められた仕事を終えるためにみなし労働時間以上に働いたとしても一切残業手当も休日手当も出ない。
 
現在のところ、どの業種でも裁量労働制を取り入れることができるわけではない。業務の性質上、労働者の裁量に委ねる業種のみ、裁量労働制を導入できる。
研究開発、情報処理システムの設計・分析、取材・編集、デザイナー、プロデューサー・ディレクター、コピーライター、システムコンサルタント、ゲーム用ソフトウェア開発、公認会計士、不動産鑑定士
弁理士、インテリアコーディネーター、証券アナリスト、建築士、弁護士、税理士、中小企業診断士など専門業務だ。
更に、企画業務も裁量労働制を導入できるが、専門業務より手続きは厳しい。労使委員会を設置し、5分の4以上の多数決を決議するなど、厳格な要件が設けられている。いわゆる管理職がこれにあたる。
 
最大の問題点は実労働時間とみなし時間がかけ離れている場合が多いことだ。長時間労働が蔓延している現代社会で、裁量労働制を導入できる業種の枠を広げてしまうと、長時間労働に拍車をかけてしまうことになる。時間規制をお題目に働き方改革を推進するかのようなポ-ズで、さも労働時間が少なくなるような宣伝をして、その実、裁量労働制の業務の枠を広げ、長時間労働の規制が一切かからないようにする。これって詐欺じゃないですか?
企画や制作などのクリエイティブな職場は、個人の能力に負うところが多く、過労死の温床になりやすい。実際には出退勤時間が決められているにもかかわらず、「残業するのは能力がないからだ」と会社から思い込まされている人も多く、休日出勤も多い。何よりも成果を残すために進んで仕事をする人が多いから、法律で歯止めをかけなければ、過労死はなくならない。
 
いま行われている裁量労働制に対しても労使間できちんと協定を結び、過酷な労働条件を是正すべきなのに、安倍政権は経営者側の代弁者でしかない。
 
いくら裁量労働制を採用していても、総労働時間をきちんと管理して、長時間労働がはびこるのを防止するのが政治家の役目だろう。言っても無駄だが・・・・・
 
野党の良識ある判断で裁量労働制度の拡大をくい止めることはできたので、次は高度プロフェッショナル制度である。年収1075万以上の専門家が対象だから、国民の関心は薄いかもしれない。しかし、裁量労働制の業務がどんどん拡張されてきた経緯を思い出してほしい。同じように、年収はどんどん引き下げられ、いつかは普通の労働者が対象になるのである。

尊厳死で社会保障費を減らす

2017-12-09 | 政治
自民党の総裁選に正式に立候補を表明した石原伸晃幹事長の発言が、物議をかもしている。社会保障政策について話す中で突然尊厳死の話題が登場し、「尊厳死で社会保障費が減らせる」という趣旨らしい。
石原氏の失言は実に多い。
 
「ナマポ」対策で「私たちの試算ではマイナス8000億」   発言があったのは2012年の「報道ステーション」。ナマポとは生活保護の蔑称。
 
安倍首相の街頭演説で聴衆の「安倍やめろコール」に対して「民主主義を否定」「反対することだけしかできない人たちが妨害」(2017.7.1)安倍晋三首相も登壇し「こんな人たち」演説をし物議を醸した。
 
住民の反発が根強い放射能汚染土の中間貯蔵施設建設について「最後は金目でしょ」(2014.6.16)
 
自民党幹事長だった2012年、東京電力福島第1原発事故で汚染された土壌の保管先に関し「福島原発第1サティアンしかない」。
 
石原伸晃氏「市民は線量計持って歩くな」(2011.9.11)
福島原発事故に関連しては「市民に線量を計らせないようにしないといけない」(NHK番組)。
 
さらに「民主党は脳死状態」「胃ろう患者は寄生したエイリアンみたい」「脱原発は集団ヒステリー」など、石原伸晃のようなボキャブラリーセンスを持つ人は、稀有である。
増え続ける医療費の適正化を図るために政治家の考えるべきことは、効率的な医療サービスの提供と高齢者医療費の負担をどうするかという政策立案だ。しかし、石原氏のおつむの中には、高齢者を速やかに尊厳死させること、生活困窮者を健康保険から締め出すことしかないらしい。ご自分は尊厳死協会に加入されるつもりらしいが、そんなこと政治家の分際で国民にお勧めすべき話ではない。
 
 国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば、日本の総人口は減少し続けており、2060年には8674万人になる。総人口に占める生産年齢人口(15〜64歳)の割合は、2010年の約64%から2060年は約51%に落ち込む。65歳以上の人口は2010年の約23%から2060年には約40%へと増加する。疾病を抱える高齢者が増加し、保険料を支払う生産年齢人口が減少すれば、医療保険制度が維持できなくなる。
 では、改善できそうな医療サービスの提供方法とは・・・・医療経済研究機構所長の西村周三氏
 「近年、ICT(情報通信技術)の進展により、患者一人ひとりのレセプト(診療報酬明細書)のデータを分析することで、その人がどのような受療行動をとっているのかが分かるようになった。今後はこうしたデータを使い、同じ疾病で複数の医療機関を受診する場合、個人の支払う負担を増やすといった形で回数制限をかけるなどの対応も必要になるかもしれない」。
 「大病院志向」への歯止めも重要だ。大学病院などの医療機関は、専門性の高い医療を提供するために高度な設備や手厚い人員配置をしている。しかし、こうした大病院の外来に人が溢れると、大病院は本来の先進的な医療サービスを提供すべき患者たちへの医療に集中できなくなる。その適正化を図るために現在、大病院における初診時の「選定療養費」が設定されている。これは、紹介状を持たずにベッド数が200床以上の病院にかかった場合、初診料と再診料を病院が任意の額を加算できる仕組みである。厚生労働省は今後、この初診料、再診料を全額自己負担とする方向で検討中だ。
 「疾病の違いにより自己負担率を変えるといった工夫も考えられる。例えば、2型糖尿病などの生活習慣病は、一人ひとりが努力して生活習慣に留意することで、発症や重症化をある程度抑えることができる。こうしたことを考慮すると、疾病を3〜4タイプに分け、それぞれのタイプによって医療費の自己負担率を変えるという方法もあるのでないか。ただし、遺伝的な要因についての配慮を忘れるべきではない」。
 
健康保険組合(健保組合)などの保険者が行う特定健康診査(特定健診)・特定保健指導が効果を上げているという。これは、40歳から74歳までの全ての被保険者、被扶養者に対して行われ、特定健診によりメタボリックシンドロームやその予備群の人を抽出し、特定保健指導を行うことで生活習慣病の低減に効果を上げているというのだ。実際の実施率はまだ低いが、厚生労働省の「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」による中間とりまとめでは、特定保健指導により、積極的に支援された人の2〜4割が改善したという。健保組合などの保険者が積極的に保健指導を行うことで「生活習慣病は自分で"防ぐ"、"治す"」といった意識付けがなされ、被保険者の医療リテラシーを高める一助となっているというのだ。
後期高齢者医療制度では、保険者の特定健診・特定保健指導の実施率の多寡により、その保険者が支払う後期高齢者支援金を加算あるいは減算するシステムをとっているという。
 
今後は高齢者も一部負担率を現役世代と同程度にする方向に行くしかないだろう。
 医療費に占める高齢者医療費の割合は全体の3分の1を超えているのに、高齢者の医療費の一部負担率は1割と、現役世代の3割を大きく下回るというのは、やはり看過できないだろう。さらに、増大する医療費をまかなうためには、更なる公費の投入も回避できない。
 また健保組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)などの被用者保険と地域保険である国民健康保険(国保)の間での公平性も課題である。現行の医療保険制度は、64歳までが被用者保険と国保の2本立てとなっており、65歳以上の全ての人はそこから離れて高齢者保険になる"独立方式"をとっている。医療費が最も大きくかかるところを、被用者保険から切り離され、財政破たん間近な国保に入らなければならないのである。全ての医療保険制度を分けずに一つにするという"一元化方式"を採用するしかないだろう。
しかし、被用者と自営業者等では、所得の捕捉率が違う。さらに被用者保険の加入者は国民全体の約6割を占めている。従って、一元化ではなく、2本立ての体系を維持した上で、被用者の適用範囲の拡大(退職者をそのまま加入させる)を進めるべきだと言う案もある。
 
 健保組合の財政が悪化した原因の1つは、国が老人医療への国庫支出割合を45%から35%へ引き下げたことだ。それにともなう健保組合からの老人医療への拠出金割合が33%から40%へと増加した。さらに、リストラと賃金据え置きにより保険料収入が大幅に減少したこともある。健保組合の被保険者は1993年から2002年の9年間で70万人も減少した。財政悪化の主な原因は、老人医療費の急増ではなく、保険料収入の大幅減少であったということだ。政管健保では、解雇者の増加により、被保険者数の減少と標準報酬月額の低下による保険料収入の減少があり、市町村国保は不安定雇用者、失業者の流入で、財政が悪化したという。
 
リストラなどの政策を進めておいて、結果として起きる健保の財政破たんを尊厳死とナマポの問題にすり替える。自分たちの政策立案無能力症候群に気付くこともなく、自己保身体質をますますあらわにする。
 
政治家の資質はますます悪くなっていく・・・・・
高齢者は国保・健保から切り離され、現役世代からは「あなたたちのおかげで余分な保険料を払わされている」と言われて「公平な負担」を押しつけられ、受けられる医療の給付は著しく制限されることになりそうだ。

忍び寄る財政破たん

2017-10-02 | 政治
アベノミクスは2012年12月に始まり、4年9カ月が経過した。アベノミクスの本当の目的は、「国債の日銀引き受け」だと言う識者がいる。それによって、日本の国家財政が破綻から免れているという。
日銀法で禁止されている「国債の日銀引き受け」。国債は一旦、民間銀行が買い、すぐに市場に売りに出され、それを日銀が大量に買うというからくりで実施されている。
政府はアベノミクスによって、日本の国家財政の破綻を回避するために、「国債の日銀引き受け」をしたかった。日本経済においてマネーが溢れ、結果として円安になり、企業業績が改善し、株価が上昇する。
 
アベノミクスは、「3本の矢」(金融政策・財政政策・成長戦略)を主張してきたが、大規模に実施された矢は1本、金融緩和だけだ。アベノミクスの真の目的がばれてしまっては、市場が日本国債に過度な危機感を持ってしまい、国債が大暴落してしまうので、国民を煙に巻くために言葉だけの政策を次々にでっちあげる。日銀(黒田総裁)は、「2%のインフレ率」というのを目標として掲げたが、インフレ率が2%はおろか、ほぼ0%だったにもかかわらず、まるで気にしない様子だ。日銀が国債を買い支えていなかったら、日本は財政破綻となり、国債は暴落して日本経済と世界経済はパニックに陥っていたかもしれない。
中央銀行による国債の引き受けを大量に行なった国は、例外なくハイパーインフレに見舞われている。第2次世界大戦後のドイツや日本、そして最近ではジンバブエ・ブラジル・アルゼンチンなどだ。
日経平均株価も不動産価格も、上がってきた。
 
慶應義塾大学経済学部の金子勝教授は、ロイターとのインタビューで、これまでのアベノミクスでは古い産業の救済に比重がかかり、新しい産業や雇用があまり生み出されていないため、新たな世界的ショックが発生すると痛手が大きくなるとの見解を示した。そのうえでヘリコプターマネー的な政策が選択される可能性があるが、財政赤字は減らず、成長力も低いままの状況になると言う。
 
「古い産業を救済する政策ばかりで、前向きな政策がない。日本は過去30年余りの間に金融機関の不良債権問題、原発事故を起こした東京電力の問題など、経営者がだれも責任を取らない中で、公的資金を投与してきた。この結果、産業構造の転換が進まなくなっている」
 
「日銀の量的・質的金融緩和は、本来は2年で2%の物価目標と、短期的な政策で終わるはずだったのに、目標にこだわり続けてここまできた。しかし、FRB(米連邦準備理事会)もECB(欧州中央銀行)も出口に向かい、日銀も否応なしに出口の崖に向かい始めている」
 
「今は、金融緩和で資産バブルを起し、円安による株高で内部留保を増やして利益を水増ししている状況だが、何らかのショックで、はげ落ちてきたときに、金融緩和によってマネーだけどんどん流しても効果が上がらない。それは当然のことだ」
 
「いずれ日銀の保有国債を永久債に換え、金利をゼロにして、利払いを凍結することも検討されるだろう。これは民間企業で言えば、債務を集めた旧会社と借金なしの新会社に分離する新旧分離と同じ発想だ。ただ、新会社が黒字になればいいが、今の日本経済では、財政赤字が増大したままになり、問題の根本的解決にならない」
 
「アベノミクスを実施している間に、新しい産業と雇用を生み出す努力をすべきだったが、実現していない。今のままで財政拡張を続けても、ヘリコプターマネーのように最終的にはなってしまう」
 
「18世紀の英国はコンソル公債を増発して戦費を調達したが、その後は、産業革命と植民地の拡張でシティが金融の中心になり、成長を遂げることができた。しかし、日本は成長の見通しが立たない中でヘリマネをやってしまうと、後々、立ち上がれなくなる」
 
「生産年齢人口の減少がすさまじい勢いで進んでいる。産業のすそ野がむしばまれ、空き家の激増や農業人口の高齢化はその典型だ」
 
「地域で、教育、農業、福祉、エネルギー分野など基盤産業を厚くしなければならない。一番の起爆剤はエネルギーの転換だろう。エネルギーが変われば、耐久消費財やインフラも変わる。再生エネルギーなどにも重点を置くべきで、いつまでも原発にしがみつくべきではない」
 
「規制緩和などの素朴な議論ではなく、日本の弱点を克服するような大胆な戦略が必要だ」
 
ヘリマネ政策とは、中央銀行が生み出した返済する必要のないお金を、政府が国民に配る政策だ。国が元利払いの必要がない債券(無利子永久債)などを中央銀行に渡し、引き換えに受け取ったお金を商品券などの形で国民にばらまく。ヘリマネ政策なら国民は将来の負担を心配せずにお金を使える。だが、弊害は大きく、世の中に出回るお金が増えるのでインフレになりやすい。
 
元英金融サービス機構(FSA)会長のアデア・ターナー氏は「日本は5年以内にヘリマネ導入を余儀なくされる」と予言する。彼が考える処方箋は「日銀が保有する大量の国債を政府への無利子・無期限の預け金に切り替える」というものだ。形の上では国債による大量の借金が帳消しになり、財政再建への道が開かれる。通常の財政支出の選択肢も増えるうえ、消費者の将来不安も高まらない。
 
しかし、ヘリマネ政策は出口のない大規模緩和ともいえる。「円の信認を押し下げるどころかたたき壊す」(みずほ銀行の唐鎌大輔氏)との危惧も強い。
 
 
戦後のハイパーインフレは財政的要因、実際には日銀引き受けによる裏付けのない貨幣の膨張が原因だった。紙幣は所詮は紙切れで、信認がなければ成立しない。戦争に負け、日本銀行券は44%も増大し、国民の政府に対する信認は急速に失われた。人々が銀行預金から現金をあわてて引き下ろし、日銀は紙幣を発行して対応した。1945年の終戦後半年で日本銀行券は約270億円増刷した。この段階では、現金にはまだ使用できるくらいの信認は残っていた。一般の人は現金を口座から下ろすだけで精一杯だったが、気がついた人は現金をすぐに不動産等に換えた。
太平洋戦争(日中戦争を含む)に投入された戦費の総額は、当時の金額で1935億円。日中戦争開戦当時のGDPは約228億円、その8.5倍になる。現在の状況に当てはめると、2015年の名目GDPの推計値は約500兆円、約4250兆円の国費を使ったことになる。この戦費を税金だけではとても賄いきれないから、国債で調達した。もう一つ、財政赤字が膨らんだ要因は「復興」。復興には、あらゆる資材の中でも、石炭や鉄鋼、電力などの基礎材料やエネルギーが必要だ。そういった基礎材料を扱う業種に、資金や人材、資材などを集中投入して、インフラや工業の基板を一刻も早く復興させようとした。多額の復興債を発行し、当時の政府債務残高は名目GDP比で200%を超える水準まで膨らんでしまい、ハイパーインフレが起こってしまった。
その8割弱が日銀の直接引受けによりなされた。預金封鎖、新円の切り替えさらに最大90%にも及ぶ財産税、そこから逃れられる国民はほぼいなかった。現金を資産に換えても無駄だった。唯一、少額で農地を購入できたかつての小作農の人が得をした。金融財産、実物財産どちらについても持っていれば持っているほど損をした。そのため,総じて戦後のハイパーインフレには強力な累進性が働いた。
 
2013年6月、日本の借金は1000兆円を突破し、日本の債務残高は名目国内総生産(GDP)に対して233.8%まで膨れあがった(2015年)。ちなみに、2010年に財政破綻したギリシャの債務残高は、対GDP比で約170%。先進国で2番目に債務残高が多いイタリアでも同150%程度。貿易収支や貯蓄率など状況が異なるので単純に比べることはできないが、日本の債務残高が最悪水準であることは間違いない。
このまま借金が増え続けると、近い将来、日本経済はどうなるのか。「財政破綻する」「ハイパーインフレが起こる」と危惧する人もいれば、「日本が破綻するわけがない」と楽観視する人もいる。誰にも分からない。確実に言えることは、状況は悪化し続けているということだ。
 
どの時点で財政破綻や預金封鎖が起こるかというと、結論から言えば、日本政府やわが国の金融システムに対する「信用」がなくなったときだ。政府が、資金繰りに窮して国債の利払いや償還ができず、日本円に対する信認がなくなれば、財政破綻へ一直線だ。そのときには、金融システムへの信頼も失われ、預金が一気に引き出される。
 
 
ハイパ-インフレを抑えるためにGHQは「ドッジ・ライン」という金融政策を行う。功を奏したのは、「緊縮財政」。国の借金を減らすため、歳入を増やし歳出をできるだけ減らす。
 
戦後の日本経済を振り返ると、財政赤字だけ見れば対GDP比200%を超えた時点で預金封鎖が起こっていた。今はそれをはるかに上回る水準だ。それでもなお、今の日本が財政破綻しないのは、日本国債の9割強が国内で消化されていること。もう一つは、経常収支が黒字だからだと言われている。
 
要するに「国民の預金で賄っている上に、海外から稼いでいるから、巨額の財政赤字を抱えていても破綻はしないという。しかし、高齢化の影響で貯蓄率はマイナスとなっている。さらには財政赤字額が増加しつつあり、いつまでその大半を国内で賄えるかは不明だ。いつ始まってもおかしくない財政破たん。破たんを回避できる方策はなさそうだ。
日本経済の最大の脅威はデフレではなく、世界最悪の規模に達した政府債務である。ところが、政治家は増税をいやがり、問題を先送りしようとする。今度の総選挙でも、財政再建の政策を掲げる政党はなく、争点がない人気だけに頼る選挙が行われようとしている。

総選挙は争点のないバカ騒ぎ

2017-10-01 | 政治

保守、リベラル、右翼、左翼──。政治的立場を示すこれらの言葉で日本の政治状況を語れない事態に至っている。
日本にリベラルや左翼は育たない。少なくとも弱小勢力になってしまっている。健全な野党勢力が育たない以上、我々はどういう視点で政権を選択すべきなのか。

若い世代に限れば、「自民党しか選べない」という声が多い。6月の世論調査では安倍政権の支持率に関しては、どのメディアでも軒並み10ポイントほど下落したが、世代別で見ると、30歳以下では依然として60%以上が支持している(読売新聞6月17、18日調査、全体では内閣支持率は49%)。中でも大きく伸びているのは東大生の自民党支持率だ。

東京大学新聞社が毎年新入生を対象に行なっている調査によると、自民党の支持率は近年劇的に上昇している。今年4月の調査では36%に達し、過去30年で最高を記録した。特に70%前後を占めていた『支持政党なし・わからない』という無党派層の変化が大きい。2013年以降は10ポイント以上減り、その分自民党支持が増えている。
若者が現政権に肯定的であることについて、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の西田亮介准教授(社会学、メディア研究)は以下のように分析する。
若者が政治意識を醸成する場は「①家庭②教育③メディア」に大別できるが、家庭や教育の場で政治の話をすることはない。マスメディアは若者への影響力を失っている。その結果、インターネットの過激な言説を受け入れてしまうということになる。

昨年のアメリカ大統領選挙で、民主党候補としてヒラリー・クリントン氏と競った超リベラルなバーニー・サンダース氏を支持したのは、大学生たちだった。欧米では「リベラル」は学生の特権とも言われるが、そんな世界の潮流に対して東大生は冷ややかだ。
「野党に任せられない」
「まず、企画の前提が間違ってますよね。東大生なんて高所得者層の子どもが多いんだから、現状肯定派なのは当然じゃないっすか」
「日本は再チャレンジができない社会と言われているけれど、さっしー(指原莉乃)と安倍総理は一度どん底に落ちたところから這い上がった。自分も一浪しているので、そこに共感する」
「今の世の中全員が正しいと思えることはない。政策全般において、負の側面も覚悟しつつ、正の側面を取るという価値判断をしている点が良いと思います」
「政治は結果がすべて。安倍総理は結果を出しているという点で評価できます」
「リアリスティックな政治が正しいと思っていて、その点自民党はベター」
「理想論より政策の積み重ね」
「理想は政権のチェック機能としての野党がいる二大政党制だけど、いまや自民党内の派閥だけでも十分かもしれないですね」
「日本は55年体制と選挙制度の影響で二大政党制の歴史が築かれてこなかった。二大政党制にもっとも近づいたのは民主党政権時代だが、それがうまくいかなかった、という認識が世の中に広まったことで、自民党以外の選択肢がないと若者が思ってしまっているのではないか」
「たまにテレビで見ると、民進党などの野党は論理的じゃない感じがする。理論として正しいか否かではなく、ただ相手を言いくるめればいいという雰囲気が苦手」
政治には全く興味がなく、ニュースも科学関連のニュースをチェックするくらいだ。それでも「自民党や安倍総理には悪い感じはしない」。
「野党が好きではないので、一応自民党を選ぶかなって感じですね」。
「まず緊縮・増税派の共産党、社民党、民進党はNG。国にとってもっとも重要な経済政策と国防政策を見るとやっぱり自民党だ。」
「自民党ではなく安倍政権、安倍首相が好き」。自民党や野党をうまく回し、目的を遂行している点に好感が持てるという。
「安倍総理は人柄の良さがにじみ出てますよね」


経済がうまく回っていて、自分の生活が安泰だったらいい。国の安全保障はアメリカ従属でいい。・・・・・と言ったところか。要するに現状容認なのだから、今の自民党でよいということになる。
政治を変える力は若者にある。そして今の若者は理想論を聞く耳を持たない。個人主義的ではあるが、政治が個人の生活に介入しようとしたとき、NOを突き付けることができるかどうかは疑問である。政権が全体主義の様相を示し、個人の生活に踏み込んでいかない限りは自民党安泰だ。その点は生い先短い高齢者だって同じだ。社会が激変するのは困る。年金支給を大幅にカットされない限りは何をやっても高齢者の支持は盤石だろう。政治に無関心な国民になったのは自民党に代わる選択肢を提示できない野党にも責任がある。

社会党や共産党は、いつまでもイメ-ジの悪い社会主義や共産主義の党名にこだっわっている。日本共産党は「共産」を標榜しながら、実際には北欧諸国のような「大きな政府+個人の自由」の組み合わせを指向していると思われるのだが、ロシアや中国を彷彿とさせる負の党名に固執するのを見ると、万年野党で批判ばかりしている現状が気に入っている節がある。

世界の大国では大きな政府と小さな政府と言う対立軸があるが、日本には小さな政府を主張する政党はない。自民党は、産業政策に全面的に関与するし、民進党も教育の無償化など全面的な再配分政策に熱心である。日本における争点は、「大きな政府による国民支配」をどう実現するかの方法論しかない。

自由主義とか、個人主義とか、小さい政府という対立軸がなく、国家主義か、社会主義(共産主義) という対立しか見えないので、国家主義がいつでも勝利するのである。
個人を重視する人は、国籍や出自で判断しない。個人の自由を重要視するリベラルが日本では左翼と同一視される珍現象が生じている。リベラルというのは、「民主的」「大衆的」「多様性」など革新、改革派というイメージであり、社会主義や共産主義と一線を画する政治手法であるはずなのだが。

自民党の財政出動は常態化していて、今では国の借金が1000兆円を越えてしまった。財政出動は、一時的には好景気を作ることができるが、将来的に政府は債務の返済に追われるようになる。また政府の経済介入は利権を生み、カネやモノが効率的に分配されなくなってしまう。森加計問題も政府の重要な特区政策でお友達を優遇するという公私混同がなされたのが政治の私物化として糾弾されたのである。本来なら、政府の経済介入は最小限にすべきなのだが、国家依存体質にある日本企業はいつまでたっても自立できないでいる。

「大きな政府」でありながら、個人の自由を重視する政治体制、たとえば北欧の高度福祉国家が理想だと思うが、高税率・高福祉の経済政策に、日本は耐えられない。したがって、企業優遇、弱者切り捨ての政策しか選択肢がないのが実情である。
せめて、政治の私物化、腐敗を防ぐために2大政党制を目指すなら、自民党が分裂して第2自民党になるのが一番の早道である。もし、小池代表に期待するとしたら、第2自民党になることである。自民党で優遇されない議員を引き抜き、公明党を味方につけるのが一番だ。そして、社会と個人、大きな政府と小さな政府のどちらを重視するか、具体的な経済政策を提示することだろう。

しかし、どんな政策を実行しようが、日本の若者の将来は絶望的だ。近い将来、若者が稼いだお金のほとんどが税金などで国に取られ、老人に使われるという時代が来る。
日本が奇跡的に経済成長すれば、現在の社会保障サービスの質を維持できるが、日本は毎年労働人口が1%減少しており、これから国際競争がますます激化するため、日本の経済成長は良くても横ばい、現実的にはマイナス成長だろう。したがって、国民の社会保障負担率と消費税を毎年大幅に上げる必要がある。しかし政治家は、国民の社会保障負担を上げたり、消費税を上げるような「老人から嫌われる政策」を実行できない。今もやっていることだが、国や地方が借金しまくるしかない。借金し続けることは不可能になるとき、国民の社会保障負担率と消費税率が上がり、社会保障サービスのレベルが低下する。年金の支給額が低下し、年金の受給開始年齢が上がる、医療負担率があがる、生活保護のレベルが下がる、介護負担があがるなどなど・・・
政府債務が危険なレベルに達し、その債務を削減するために、大インフレが起こり、企業の倒産や失業者、生活保護受給者、自殺者が大量に増える。
少子高齢化社会・日本の悲劇は、確実にやってくる。そこから逃げ出す道はあるのか、若者は真剣に考えた方がいい。

しかしである。黒田総裁が異次元の緩和で紙幣を刷り続けているのにハイパ-インフレが起きないのは何故だろう。土地も値上がりしていない。大量なお金はどこに消えているのだろう。無尽蔵に生産される金融商品、新興国への海外投資と援助、防衛費の増大-----円が国内に滞留しないことがインフレを防いでいる理由だろう。安倍政権が倒されてバラマキが終わり、緊縮財政が実施されたとき、日本の崩壊が加速度的に始まるのかもしれない。

一方、貧乏人と高齢者で成り立つ社会で需要が高まることはない。今の高齢者社会が続く限り、インフレは起こりえないのかもしれない。