オータムリーフの部屋

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イランを挑発するトランプ政権

2019-05-12 | 国際
ジョン・ボルトン米大統領補佐官は「イランはアルカイダとつながっている」と言う。イラク戦争を彷彿とさせる戦争ビジネスの論理がある。
 
空母エイブラハム・リンカーンを中心とする打撃群と爆撃部隊をペルシャ湾に派遣すると発表した。「アメリカと同盟国の利益に対するいかなる攻撃も、容赦ない武力行使を招くという、明白で間違いようがないメッセージを送る」ためだ、とボルトンは言う。イランが支援するイスラム教シーア派の武装勢力がイラクに駐留する米軍に対する攻撃を計画している兆候があり、それを封じる。イランが近々、湾岸地域におけるアメリカの権益、人員、もしくは同盟国を攻撃するという情報がイスラエルから入った。どれもはっきりしないイスラエルからの情報のようだ。
 
緊張を高めているのは、イランを追い詰めるトランプ政権なのだが、イランの行動が引き金となって大規模な軍事衝突が起きる可能性は大きい。
 
ドナルド・トランプ米大統領は1年前、イランと米英など6カ国が2015年に交わした核合意からの離脱を表明した。イランを経済的に締め付け、現体制を不安定化させるために、金融、石油部門などを標的にした経済制裁を復活させた。イランの現体制を崩壊寸前に追い込むため、米政府はイランの原油輸出を可能な限りゼロに近づけようとしている。これに対抗してイランは、自国沖合のホルムズ海峡(世界の原油輸送の約20%を占める重要ルート)を封鎖すると警告した。
 
トランプ政権は締め付けを一層強化するため、イランの精鋭部隊である革命防衛隊をテロ組織に指定した。アメリカが他国の軍隊をテロ組織に指定するのはこれが初めてだ。これに対抗して、イランの国防・外交を統括する最高安全保障委員会は、中東などを管轄する米中央軍を「テロ組織」、アメリカを「テロ支援国家」に指定した。
 
強硬派は争いを望んでおり、緊張を緩和させるよりもむしろ増大させるチャンスを窺っている。
トランプの周囲には冷静な頭の持ち主がいない。イランとの戦争をやりたがっているボルトンやポンペオのような戦争大好きアドバイザーの発言力が大きい。
イランが核開発を再開すれば、イスラエルがイランに武力行使をちらつかせる事態がまた発生する。米政権は自制を求めるどころか、奨励する可能性が高い。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相をトランプは無条件に支持している。ボルトンは2015年、イランの核の脅威への最善の対処法は、アメリカの支援の下でイスラエルがイランを攻撃することだとの見解を示していた。
 
アメリカは、第二次世界大戦後も、数多くの戦争を行ってきた。これらはすべて軍産複合体が儲けるためだろう。アメリカ経済は農業、軍事、金融で成り立っている。電化製品なんか作ってない。車は作っているが、日本車の方が優れているのでアメ車は売れず、デトロイドは破綻した。だから、工業に関していえば、軍需産業で儲けるしか方法がなく、そのため、共和党を中心とする保守派(ネオコン)は戦争をやりたがる。
軍需産業で有名なのは、ロッキード・マーチン、アマクドネル・ダグラス、ボーイングの3社である。アメリカには州が「50」あるが、その内、40以上の州に、この3社の兵器工場が存在している。
アメリカの軍需産業が力を持ち始めたのは第二次大戦後である。第二次大戦でアメリカの産業が軍事化したことにより、戦後も兵器を作り続けた。電化製品を作るより兵器を作る方が儲かる。兵器の売値は言い値だし、兵器開発研究は国策なので失敗しても損はない。売る相手も市場ではなく国だから、競争原理が働かない。
 
しかし、アメリカは悪循環に陥った。
1.戦争して軍需産業を潤し、景気促進
2.逆に戦争ばかりやってアメリカは財政赤字
3.赤字対策として、ドル紙幣を乱発
4.ドル紙幣が増えた為、ドル金の兌換を停止  
5.代わりにドル石油の兌換にシフト
  ドルが基軸通貨で有り続ける理由は、金の代わりに石油兌換性があるからだ。中東の石油利権を世界最強の軍事力で押さえ続けている。
  しかし、ユーロや中国元での石油取引が増加している。中国とロシアがIMF債権や日本円やユーロや中国元を入れた通貨バスケット製の新仮想国際通貨を提案した。
  アメリカは、シリコンバレーを中心に、仮想通貨やその関連サービスのスタートアップ、技術者などを多く輩出して、仮想通貨界においても大きな影響力を維持しそうだ。
6.ドルの価値を維持するため、中東(産油国)に軍隊を派遣
7.湾岸戦争、イラク戦争、アフガン戦争、リビア空爆、中東での覇権を維持するためには手段を選ばない
8.増え続ける借金、デフォルト危機
 
アメリカが戦争を止めると、軍需産業が不景気になり、石油価格が暴落し、ドルの価値が下がる。
イラクは世界第三位の産油国である。イラクの独裁者フセインは、石油で得た資金で、米仏から兵器を購入し、イラクの軍事大国化を目指した。フセインはクエートだけでなく、サウジやカタールなどのアラブ産油国も、狙っていた。これはアメリカにとって一大事である。もし、イラクのフセインがアラブ産油国を支配下に置けば、アメリカはアラブ産油国から石油を安値で買うことができなくなる。アメリカは湾岸戦争、イラク戦争を遂行し、フセイン政権を打倒した。すべては中東の石油資源確保=ドルの価値を維持するためだった。
 
イラクは、フセイン政権崩壊後、内乱に突入した。米軍は知らん顔である。過激派が自爆テロを起こしても、ゲリラがモスクを襲撃しても知らん顔である。しかし、イラクの石油工場が襲撃されそうになると、米軍は石油工場を守った。石油産油国はアメリカの軍需産業の上得意である。そして、アメリカ追随の優等生、日本もどれだけ搾り取られるか、想像するのも汚らわしい。

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