オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

イランを挑発するトランプ政権

2019-05-12 | 国際
ジョン・ボルトン米大統領補佐官は「イランはアルカイダとつながっている」と言う。イラク戦争を彷彿とさせる戦争ビジネスの論理がある。
 
空母エイブラハム・リンカーンを中心とする打撃群と爆撃部隊をペルシャ湾に派遣すると発表した。「アメリカと同盟国の利益に対するいかなる攻撃も、容赦ない武力行使を招くという、明白で間違いようがないメッセージを送る」ためだ、とボルトンは言う。イランが支援するイスラム教シーア派の武装勢力がイラクに駐留する米軍に対する攻撃を計画している兆候があり、それを封じる。イランが近々、湾岸地域におけるアメリカの権益、人員、もしくは同盟国を攻撃するという情報がイスラエルから入った。どれもはっきりしないイスラエルからの情報のようだ。
 
緊張を高めているのは、イランを追い詰めるトランプ政権なのだが、イランの行動が引き金となって大規模な軍事衝突が起きる可能性は大きい。
 
ドナルド・トランプ米大統領は1年前、イランと米英など6カ国が2015年に交わした核合意からの離脱を表明した。イランを経済的に締め付け、現体制を不安定化させるために、金融、石油部門などを標的にした経済制裁を復活させた。イランの現体制を崩壊寸前に追い込むため、米政府はイランの原油輸出を可能な限りゼロに近づけようとしている。これに対抗してイランは、自国沖合のホルムズ海峡(世界の原油輸送の約20%を占める重要ルート)を封鎖すると警告した。
 
トランプ政権は締め付けを一層強化するため、イランの精鋭部隊である革命防衛隊をテロ組織に指定した。アメリカが他国の軍隊をテロ組織に指定するのはこれが初めてだ。これに対抗して、イランの国防・外交を統括する最高安全保障委員会は、中東などを管轄する米中央軍を「テロ組織」、アメリカを「テロ支援国家」に指定した。
 
強硬派は争いを望んでおり、緊張を緩和させるよりもむしろ増大させるチャンスを窺っている。
トランプの周囲には冷静な頭の持ち主がいない。イランとの戦争をやりたがっているボルトンやポンペオのような戦争大好きアドバイザーの発言力が大きい。
イランが核開発を再開すれば、イスラエルがイランに武力行使をちらつかせる事態がまた発生する。米政権は自制を求めるどころか、奨励する可能性が高い。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相をトランプは無条件に支持している。ボルトンは2015年、イランの核の脅威への最善の対処法は、アメリカの支援の下でイスラエルがイランを攻撃することだとの見解を示していた。
 
アメリカは、第二次世界大戦後も、数多くの戦争を行ってきた。これらはすべて軍産複合体が儲けるためだろう。アメリカ経済は農業、軍事、金融で成り立っている。電化製品なんか作ってない。車は作っているが、日本車の方が優れているのでアメ車は売れず、デトロイドは破綻した。だから、工業に関していえば、軍需産業で儲けるしか方法がなく、そのため、共和党を中心とする保守派(ネオコン)は戦争をやりたがる。
軍需産業で有名なのは、ロッキード・マーチン、アマクドネル・ダグラス、ボーイングの3社である。アメリカには州が「50」あるが、その内、40以上の州に、この3社の兵器工場が存在している。
アメリカの軍需産業が力を持ち始めたのは第二次大戦後である。第二次大戦でアメリカの産業が軍事化したことにより、戦後も兵器を作り続けた。電化製品を作るより兵器を作る方が儲かる。兵器の売値は言い値だし、兵器開発研究は国策なので失敗しても損はない。売る相手も市場ではなく国だから、競争原理が働かない。
 
しかし、アメリカは悪循環に陥った。
1.戦争して軍需産業を潤し、景気促進
2.逆に戦争ばかりやってアメリカは財政赤字
3.赤字対策として、ドル紙幣を乱発
4.ドル紙幣が増えた為、ドル金の兌換を停止  
5.代わりにドル石油の兌換にシフト
  ドルが基軸通貨で有り続ける理由は、金の代わりに石油兌換性があるからだ。中東の石油利権を世界最強の軍事力で押さえ続けている。
  しかし、ユーロや中国元での石油取引が増加している。中国とロシアがIMF債権や日本円やユーロや中国元を入れた通貨バスケット製の新仮想国際通貨を提案した。
  アメリカは、シリコンバレーを中心に、仮想通貨やその関連サービスのスタートアップ、技術者などを多く輩出して、仮想通貨界においても大きな影響力を維持しそうだ。
6.ドルの価値を維持するため、中東(産油国)に軍隊を派遣
7.湾岸戦争、イラク戦争、アフガン戦争、リビア空爆、中東での覇権を維持するためには手段を選ばない
8.増え続ける借金、デフォルト危機
 
アメリカが戦争を止めると、軍需産業が不景気になり、石油価格が暴落し、ドルの価値が下がる。
イラクは世界第三位の産油国である。イラクの独裁者フセインは、石油で得た資金で、米仏から兵器を購入し、イラクの軍事大国化を目指した。フセインはクエートだけでなく、サウジやカタールなどのアラブ産油国も、狙っていた。これはアメリカにとって一大事である。もし、イラクのフセインがアラブ産油国を支配下に置けば、アメリカはアラブ産油国から石油を安値で買うことができなくなる。アメリカは湾岸戦争、イラク戦争を遂行し、フセイン政権を打倒した。すべては中東の石油資源確保=ドルの価値を維持するためだった。
 
イラクは、フセイン政権崩壊後、内乱に突入した。米軍は知らん顔である。過激派が自爆テロを起こしても、ゲリラがモスクを襲撃しても知らん顔である。しかし、イラクの石油工場が襲撃されそうになると、米軍は石油工場を守った。石油産油国はアメリカの軍需産業の上得意である。そして、アメリカ追随の優等生、日本もどれだけ搾り取られるか、想像するのも汚らわしい。

北朝鮮の狙い

2017-08-30 | 国際
日本にいると、北朝鮮は大国に楯突く狂気に満ちた国のように思いがちだ。北朝鮮と国交がないから、昔の飢餓に苦しむ北朝鮮を思い描き、世界で孤立していると考えがちである。しかし、北朝鮮と国交を結んでいない国の方が圧倒的に少ないのである。
 
北朝鮮と国交がない国
日本を含め35ヶ国。全世界の国々の15%。
イスラエル、イラク、韓国、サウジアラビア、台湾、ブータン、エストニア、フランス、モナコ、ボツワナ、アメリカ、エルサルバドル、パナマ、ホンジュラス、ハイチ、アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、チリ、パラグアイ、ボリビアなど。
 
北朝鮮と国交がある国
164ヶ国。全世界の80%
ASEAN10ヶ国はすべて北朝鮮と国交がある。旧東側諸国はほぼすべてが北朝鮮と国交がある。
EU加盟国で北朝鮮と国交がないのは、エストニアとフランスだけ。
アフリカはボツワナを除くすべての国が、北朝鮮と国交がある。
 
北朝鮮に大使館を置いている国    24ヶ国
国内に北朝鮮大使館がある国    47ヶ国
 
平壌にイギリスとドイツの大使館があり、ロンドンとベルリンに北朝鮮大使館がある。
 
やはりドイツはすごい。中国とも貿易が盛んだし、イスラエルとも親しい。
東アジア、東南アジアでは、北朝鮮大使館があるのが普通である。
 
独裁国家だったり、女性の人権が無視されている国は世界中にたくさんある。その国々と比べて北朝鮮が特別悪いわけではない。日本人が中東で起こっていることに無関心なように、世界は極東の片隅で起こっている武力衝突を伴わないこけおどしに無関心なのである。
 
しかし、中国やロシアの後ろ盾があるにしても、北朝鮮は何のためにアメリカにあれほど挑戦的なのか。我々はアメリカが朝鮮半島に駐留していることに違和感を感じないが、考えてみれば、目と鼻の先、しかも東西冷戦で引き裂かれた同一民族の韓国にアメリカ軍が駐留している事実に危機感を持つ方がむしろ正常だろう。最強の軍事国家アメリカが韓国でピョンヤンに照準を向けているのである。
 
北朝鮮の狙いはアメリカを朝鮮半島から追い出すこと。そして、韓国を併合すること。真の狙いは韓国だと思うが、もし、武力衝突が起こったとしても、日本は韓国を防衛するために戦うことはありえないだろう。それなら、アメリカをけしかけるような言動だけはやめた方がいい。アメリカと親しくしていたら、戦争に巻き込まれる確率は高い。特にトランプは北朝鮮と同じで何をするかわからない。
 
アメリカ軍が朝鮮半島から撤退した場合、日本が旧東側諸国との対立の最前線になると思われるので決して好ましいことではないが、朝鮮統一には個人的に好奇心がある。
同一民族だというのに、北朝鮮と韓国の国民性は真逆であるように見える。モンゴルから流れて来た蒙古斑のある日本とも同一民族であるが、日本とは未来永劫、犬猿の仲のように思える。
 
北朝鮮は独裁者におもねる狂信的とすら思える民族で、人権が踏みにじられ、自由もない国なのに、内部崩壊する気配もない。
一方、韓国の歴代大統領は亡命し、刑務所に入り、自殺する。弱味を見せた権力者は徹底的に訴追される。
 
また、慰安婦問題に見るように自分たちのしでかしたことは棚に上げて、未来永劫、戦時中の過去の悪行を非難し続ける。
日本の慰安婦問題を非難する前に、自国の慰安婦問題を反省し、ベトナム人に謝罪するのが先だろう。
韓国がベトナム戦争時、サイゴン(現ホーチミン)市内に韓国兵のための「トルコ風呂」(Turkish Bath)という名称の慰安所を設置し、そこでベトナム人女性に売春させていたことが米公文書で明らかになっている。韓国が朝鮮戦争時に慰安婦を「第5種補給品」として部隊に支給していたことはすでに知られているが、外国であるベトナムでも慰安婦を運用していた実態がある。
文書は米軍からベトナム駐留韓国軍最高司令官、蔡命新将軍に宛てたもので、日付は記載されていないものの1969年ごろの通報とみられる。韓国陸軍幹部らによる米紙幣や米軍票などの不正操作事件を説明したもので、その調査対象の一つとして「トルコ風呂」が登場する。
 
国民間の経済格差も日本の比ではない。SKオーナー30億円、サムスンCEOは7億円、現代自動車会長約14億円、韓火会長約13億円、CJ会長約5億円、ロッテ会長約4.5億円などとなっている。
日産自動車のゴーン社長の平成25年度報酬が9億9500万円で多すぎるのではないかと話題になったが、海外メーカーの役員報酬と比べると適正な水準ということだ。
ちなみに、トヨタ自動車社長は2億3000万円、ホンダ社長は1億5000万円。また日産社長以外の役員7人の報酬は合計6億5900万円である。
 
韓国では財閥上位10社がGDP(国内総生産)の70%を生むといわれ、韓国財閥の飛び抜けた報酬が、国民を虫けら同然に扱って当然という傲慢さを生む。大韓航空の副社長がナッツの出し方が悪いと客室乗務員を叱責し、滑走路に向かっている機を引き返させて客室責任者を降ろす暴挙に出たうえに、嘘の証言まで強要した事件が「ナッツ・リターン」として裁判になった。
 
とにかく、国民に目をつけられたら、どんな権力者も哀れな末路をたどる。北朝鮮の暴君も韓国民には手を焼くだろう。
 
北朝鮮に併合されたら・・・・・
富裕層・中間層は統一直前に亡命し、経済は一時的に破たん。しかし、何か問題が起こるたびに沸き起こる反日は、徐々に「将軍様のせいだ」と言う体制批判の声になるかもしれない。(希望的観測)
財閥は解体され、一握りの支配層と貧民で構成される平等社会に様変わりするかもしれない・・・・・
朴槿恵大統領を弾劾した韓国民のエネルギ-が北朝鮮崩壊に向かうことに期待したい。
 
とにかく、北朝鮮の狙いは日本ではない。もし攻撃があるとすれば、米軍基地だろう。挑発にのって、朝鮮半島を攻撃することだけは、どんな事態になっても回避すべきだ。
北朝鮮の脅威ばかりが語られるが、ミサイルが落ちてきても災害の一つと考えるぐらいの平常心が今一番必要なことだと思う。

白人至上主義に立ち向かうアメリカ

2017-08-18 | 国際
アメリカ南部のバージニア州で、白人至上主義を掲げるグループが集会を開こうとしていたところ、これに抗議するグループとの間で激しい衝突が起き、集まった人たちの中に車が突っ込んで、1人が死亡、30人余りがけがをした。この事態を受けて、トランプ大統領は、、「いますぐに憎しみ合うことをやめ、ともに集うべきだ。わがの国の傷を癒やさなければならない」と演説し、アメリカ社会の結束を呼びかけたつもりだったが、自らの支持母体である白人至上主義者を擁護する発言と受け取られ、さらに分断を加速することになった。 すぐさまバ-ジニア州の知事が名指しで白人至上主義を批判したため、トランプの煮え切らない姿は人々の反感をかった。
 
各方面からトランプ批判、人種差別を批判する声が上がっている。こういうアメリカの底流に流れる健全さは日本には見られないものである。
 
亡くなった市内在住の法律事務職ヘザー・ハイヤーさんの追悼式が 16日行われ、母であるスーザン・ブロさんの力強い言葉は全世界に共感の輪を拡げた。
「ヘザ-は人を気遣う思いやりのある子でしたが、皆さんの多くもそうですよ。皆さんもああやって求められている以上に頑張ります。ヘザ-に起きたことが大勢の胸に響くのはあの子にできることは自分にもできると知っているからです。みんな死ぬ必要はありません。自分の命を犠牲にする必要はありません。連中は私の娘を黙らせるために殺しました。そうしたらどうなったかって?あの子の声をもっと大きくしただけ。心にとめて覚えていてください。激怒していないとしたらぼんやりしているからです。注目して間違っていることを見つけて欲しい。無視しないで、目を背けないでください。しっかりと見て自分に言い聞かせてください。有意義なことをするには自分はどうすればいいか。みなさんがそうすれば、あの子の死は意味あるものになる。自分の子がいてくれた方がいいけれど、あの子を諦めなくちゃいけないなら、あの子の死を無駄にはしませんよ。」
 
デモのなかにネオナチが混ざっていたことで、反対派がデモ参加者の個人特定運動をSNSで展開している。集団に車で突っ込み、女性を死亡させたドライバーがネオナチであったことから怒りが増大した。
 
ジョン・レジェンド「ホワイトハウスにナチシンパや白人国粋主義者がいる。彼らも有罪だ。僕たち納税者の金を使わせてはいけない」
ファレル・ウィリアムス「これに怒らないのなら、無関心と同じ」
アーノルド・シュワルツェネッガー「シャーロッツビルで行進したナチと白人至上主義者の写真に震えあがったよ。」
 
市民たちが始めたのは、インターネットを利用したデモ参加者の個人特定。共和党一家に生まれたジェニファー・ローレンスは、ネオナチの写真をアップ、強く非難しこの運動をサポートしている。
「これがヘイトの顔。よく見て知ってる人がいたら投稿して。あんたたち、インターネットがある時代に逃げ隠れできると思ったら大間違いよ、この卑怯者!」
 
現在、次々にデモ参加者の個人特定がなされ、すでに企業を解雇された参加者もいるという。
 
たちの悪い今回のデモに少しでも関係したとあっては企業にとっても大打撃。 ネオナチの集団が民泊サイトAirbnbを利用してデモの打ち合わせをしていたことから、同社は参加者を特定しアカウントを削除した。
グーグルもすぐに反応し犠牲者を罵ったネオナチサイト「Daily Stormer」へのドメイン契約を解除している。
 
米大手企業の経営トップなどもトランプ米大統領の助言機関の委員を相次いで辞任した。
米国の製造業者や鉄鋼業者などが参加する米製造業連盟のスコット・ポール会長、米国労働総同盟産別会議のリチャード・トラムカ会長。トラムカ氏は「偏見や国内テロを容認する大統領の会議には出られない」とする声明を発表。ポール氏もツイッターに、「辞めることが正しい判断だ」と書き込んだ。15日までに5人が辞任。16日も食品大手キャンベルスープのモリソン最高経営責任者(CEO)や化学・事務用品スリーエムのチューリンCEOらが辞意を表明した。 一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)によると戦略・政策フォーラムの委員ら十数人は同日午前、電話協議を開催。大統領と「価値観を共有しない」としてフォーラムの解散を決め、代表者がトランプ氏に電話で伝えた。(辞めた委員の)代わりはいくらでもいる」と強気の姿勢を見せていたトランプ氏だが、大量離反が出る可能性があるとみて、先手を打って自ら解散に踏み切った。
解散に追い込まれた二つの諮問機関は、米製造業協議会と戦略・政策フォーラム。製造業を中心とした国内産業の再興を最重要政策とするトランプ政権下で設立され、主要企業経営者らがメンバーに名を連ねていた。トランプ氏は同日、ツイッターに「経営者に圧力をかける代わりに、両機関を終わりにする」と投稿した。
 
 
 共和党からも批判が相次ぐ。同党上院トップのマコネル院内総務も16日、「よきネオナチなどはいない」との声明を発表。ネオナチ側の参加者にも「非常に良い人々もいた」と述べたトランプ氏発言を念頭に批判したものだ。 大統領を務めたブッシュ父子も連名で声明を発表し「米国は常に人種偏見、反ユダヤ主義、そしてあらゆる形態の憎悪を拒み続けなければならない」と呼びかけた。
 
オバマ氏は13日に、自身が黒人や白人の子供たちにほほえみかける写真とともに、人種差別と闘った南アフリカのマンデラ元大統領の言葉を引用して「誰も生まれながらに、肌の色や生い立ち、宗教によって他人を憎まない」と投稿した。また次の投稿で、「人は憎むことを学ばなければならない。憎しみを学べるのなら、愛を教えられる」とマンデラ氏の言葉を続けた。
 3日後の16日時点で、最初の投稿に約370万、次の投稿に約130万の「いいね」が付いた。

金正恩政権の功績

2017-06-03 | 国際
北朝鮮のことなら事実関係を調べようがないし、どうせならず者の独裁国家なので悪いに違いない、そんな通念がまかり通る北朝鮮に対する報道。一触即発で先制攻撃をかけても国民は納得するような不穏な状況が続いている。
 
「北朝鮮では、国民は幼少期からアメリカへの敵愾心を徹底して植え込まれるため、国民の価値観の大転換をともなう「親米」への急転換は極めて難しい。北朝鮮の独裁者は一貫して「反米感情」を利用した統治を行ってきたため、急激な「親米」への転換は、あり得ない。ぶっ潰す以外に方法はない。」と語る専門家もいるらしい。
 
北朝鮮に限らず、中国や韓国でも反日教育が徹底的に行われているが、だからといって、一般人が殆ど反日なのかと言えば、そうではない。日本人は国家、市民の見境なく韓国、中国を嫌う傾向が強いが、大陸の人は国家と個人に対する感情を使い分けているように思う。北朝鮮も帝国主義、資本主義、軍事大国に反対し、嫌い、対抗しようとするが、一般市民に対して敵意をむき出しにすることはなく、こちらの態度が友好的であれば、すんなりと受け入れると思われる。カーターのように手を差し延べたアメリカ人は大歓迎なのだ。
だから、筋金入りの反米というより、ご都合主義の政策だから、反米から親米への転換はそう難しいことではない。
 
日本のメディアや評論家は、北朝鮮の話になると、たちまち狂人を扱うようになる。一般市民は知りえないし、検証されることもないから、真実の姿は誰にもわからない。
国民が豊かになっているのではないか?だから、派手にミサイルを打ち上げて喜んでいる余裕があるのではないか?軍事技術の進歩の速度は先進国並みだ。
 
北朝鮮は貧しい国だからミサイルはハリボテ、戦闘機は燃料がないからお飾り状態、腹が減って戦ができない・・・・などと言うのは希望的観測で兵器を手に入れれば、それを分解して仕組みを理解し、自分で作り上げるための技術開発ができる国なのだ。そして、大国に囲まれて、辛酸をなめて来たからこそ、核の抑止力を使って自立しようとする。
配備されている潜水艦も戦闘機も、ミサイルも、技術の出発が中国やソ連であったかもしれないが、この十数年で自分の技術にしてしまった。
製鉄製鋼、石炭ガス化、自然エネルギーなどの技術進歩にも目を見張るものがある。コメやトウモロコシの品質改良や農業の現代化、さらに農場経営の改善によって収穫は大幅増加した。
国民は豊かになったと思わざるを得ない。
 
そこで、金正恩の改革、功績を調べてみた。東洋経済の記事くらいしか見つけられなかったが、金正恩が尊敬されるのは、それなりの理由があったのだと確信した。
 
北朝鮮では、両親がおらず路上で生活する10代前後の子どもたちを、「コッチェビ」と呼ぶ。同国ではかなり前から路上生活をする子どもたちが存在していた。コッチェビの子どもたちは、ほぼ1人で生活することが多かったが、1980年代半ばから食糧難が広がるにつれてコッチェビが続出。群れをなして街を徘徊するようになった。彼らの生活の場は主に「チャンマダン」と呼ばれるヤミ市だった。チャンマダンは常に存在しており、チャンマダンがあれば、そこにはコッチェビも必ずいる。経済難が進むにつれて、チャンマダンも北朝鮮全域に広がり、今では北朝鮮の流通の中心地となった。北朝鮮国内では約400カ所の大規模なチャンマダンが運営されている。1990年代に集中して発生したコッチェビは今では30~40代の大人となった。チャンマダンで彼らはさまざまな仕事をしている。
一方で、チャンマダンの広がりとは反比例するかのように、コッチェビの人数は顕著に減少してきた。現在ではチャンマダンでコッチェビの姿を見るのは難しい。コッチェビの数がはっきりと減った理由は、かつてのようなコッチェビが新たに出てきていないことを意味しており、これは北朝鮮の食糧事情と深い関係があると思われる。
このような観点から、北朝鮮の食糧需給状況に何が起きているのかを見てみたい。特に金正恩政権になって5年間、北朝鮮で何が生じたのかに注目すべきだ。
北朝鮮は1970年代までは、食糧は自給自足だった。1ヘクタール当たりの農地に、1トンの肥料を投入すれば、10トンの穀物が生産される。これが北朝鮮式食糧生産の公式だった。1970年代当時、肥料生産が円滑だっただけでなく、北朝鮮には100万ヘクタール以上の農地があった。凶作の年になっても、年間約600万~700万トンの穀物を生産できた。しかし、北朝鮮の食糧問題は、生産部門から始まった。1970年代に後継者として浮上してきた故・金正日総書記が、継母である金聖愛(キム・ソンエ)と激しく繰り広げた権力闘争を終え、1980年に第6回党大会で後継者として公式にデビューする直前に無理な政策を断行。1979年、金正日は「社会主義は完成段階に入った」と主張し、協同農場の国営農場化を推進した。それまでの北朝鮮の農民は、協同農場において協同的所有を維持してきた。協同的所有だからこそ、生産された分から分配を受け、ひと月ごとに受け取る「生活費」というものは存在しなかった。ところが金正日は、協同農場員にも安定的な生活費を支給する代わり、すべての生産物は国家から受け取る方式を取り始めた。協同農場員は工業従事者のように生活費を毎月受け取る農業勤労者となった。こうなると、仕事をしなくても月給を受け取ることが出きることが徐々にわかり、農場には出ず住居近くの畑ばかりを耕すようになった。こうして協同農場の生産性が明らかに落ち始めた。1990年代半ばごろから、北朝鮮の主な基幹道路網が流失してしまう大規模な自然災害が発生。相対的に農地が不足していた咸鏡道や江原道の地域への食糧供給が長期間中断される事態が起きてしまった。自然災害によって経済的飢餓状態が一時的に生じると、この問題を解決できないことに責任を取り、徐寛熙(ソ・グアンヒ)農業担当党書記が”公開処刑”されたことを見ても、当時の状況がどれほど深刻なものだったかがわかる。このような自然災害が3年連続で続き、北朝鮮の食糧難は全国に広がった。
しかし、危機に直面した金正日政権に、救世主が現れた。1998年に大統領に就任した韓国の金大中政権が、太陽政策(Sunshine Policy)を打ち出したためだ。金大中が北朝鮮向けの肥料や食糧支
援を始めると、米国と日本もまた、北朝鮮への支援を増やし始めた。一時、米国と日本、韓国による対北食糧支援の規模は、年間200万トンに達したときもあった。このような支援が少なくとも2007年までは継続した。
当時、人口2400万人の北朝鮮住民は1人当たり1日500グラムの穀物をとっており、1日1万トン、年間360万トンあれば、最低水準を維持できたとされる。自主生産が200万トン、外部から供給された分が200万トンと、計400万トンあるので、最低水準は維持できたことになる。
 
金正日も黙ってみていただけではなく、三つの改革を行った。1つ目は農地整備である。約120万ヘクタールの農地を確保したという。2つ目は水路・道路整備だった。西側の耕作地帯と東側の山岳地帯を連結するため、平壌から元山を経て咸興までをつなぐ、高速道路を整備した。3つ目は肥料生産の正常化だ。興南窒素肥料工場などの生産を正常化させようとしたが、金正日が死亡するまでに成果を出すことはできなかった。
 
一方、この期間中に、北朝鮮ではチャンマダン(ヤミ市)が広がり、食糧需給の流通網が配給制から市場取引へと、完全に転換した。2000年代は市場における食糧価格の変動幅がとても大きかった。これは、市場レートの変動幅が大きかったことが1つの要因だが、何よりも市場に食糧供給が安定的に行われていなかったためだ。こうして10年という時間が流れるうち、市場の食糧需給網は安定化し、2010年以降はチャンマダンにおける食糧価格が安定。全国的に価格変動幅の縮小する現象が見られるようになった。これには食糧卸の役割がとても重要だった。彼らは北朝鮮全域のチャンマダンに食糧を供給する大元へと成長していった。
北朝鮮当局は2006年ごろ、コメ卸商に対し大々的な取り締まりを行ったが、当時摘発された卸業者の倉庫には、すき間がないほどぎっしりとコメ袋が積み上がっていたという。しかし、彼らを取り締まれば足元の食糧供給に問題が生じるため、当局は傍観するほかなかった。卸商は協同農場と先物取引を行う方式で食糧を確保する一方、不足分を中国などから取り寄せるルートを確保していた。ただ、元々、内部の食糧生産性が低い状態だったため、外部に依存する割合が高くならざるをえなかった。
ところが、金正恩政権が始まった2012年から、市場が変わり始めた。金正恩が北朝鮮の一般住民に向け初めて公の場で演説した際、「二度と住民がベルトを締め上げることがないように(やせ細らないように)する」と発言。そして、前の金正日政権の十数年間の蓄積を土台に、食糧需給と関連した主な政策をいくつか推進したのである。
まず金正恩は、軍部隊に割り当てられていた農地を拡大する一方、住民を当てにするなと厳命した。軍部隊には約20万ヘクタールの農地を割り当て、軍が自主的に農業を行って食糧供給の問題を解決せよと指示したためだ。これで農民は「先軍政治」の名目の下、生産された穀物を軍部隊から強制的に持ち出されることがなくなり、農民たちは歓迎した。「愛国米」の調達負担も減った。
2013年に北朝鮮の市場で多く売られていた商品の1つは豚肉だった。これは愛国米として、コメの代わりに年間ブタ1頭分を半強制的に上納していたことがなくなり、豚肉が市場へ流入する現象が発生したせいだった。次に協同農場の生産性を向上させるよう、画期的な措置をとった。農場員に月給を支給せず、生産分の7割を取り置くことにした。1979年に金正日が協同農場の国営化を行う前の状態に回帰させたことになる。このために「圃田担当制」を実施。この制度は、従来は公平性を保つとの理由から農場員が担当する土地を1年ごとに替えていたが、今後は1ヘクタール程度の圃田を一世帯に任せ、そこを継続して耕作するようにしたものだ。事実上、農家に対し、農地を分け与えたことになる。さらに国家からは土地を貸し、種や農機具などを貸し与える代価として、生産物の3割を徴収。もちろん土地ごとに生産性が違うため、一括して、国家3対農場員7の原則を適用するのではない。全域の農業地域を対象に土地生産性を再調査し、これに基づいて分配率を決定していった。生産性が相対的に低い地域は、国家2、農場員8とするケースもあるという。
 
北朝鮮全域で完全に定着した状態ではないゆえ、地域ごとにその評価には差がある。たとえば、平安北道は圃田担当制が定着したことで、生産性が最も高まったという。この地域は、中国と国境を接している新義州を通じて各種農業機械を導入する一方、よい種子を熱心に求めている。
一方、相対的に食糧が豊富な黄海南道は、北朝鮮最大の穀倉地帯であるにもかかわらず、農民が生産性向上にそれほど関心を見せておらず、まだ生産性が向上していないという。肥料生産も一部で正常化され、石炭化学工業で出てくる化学肥料の生産が一部で正常化し、外部から調達する肥料の量も減ってきている。
北朝鮮全域で生産される穀物量は、年間約600万~700万トン程度だ。1000万トン生産という目標達成に注力している。金正恩政権が始まってから、チャンマダンで取引されるコメの価格は、1キログラム当たり0.62ドル程度と安定。国際社会の対北制裁で、北朝鮮に流入する食糧が2000年代より大きく減っているにもかかわらず、市場価格が安定化しているのは、内部からの安定供給が続いているために外部から取り寄せる量が減っていることと、比較的安定した供給ルートがあることを意味する。
生活費を調達するには、生産した食糧を市場で売らないといけなくなったため、協同農場を市場と連携させるほかなくなった。金正恩政権が市場を事実上、許容せざるをえなくなったのだ。実際に政権が始まって以降、市場拡大を抑えるための取り締まりがはっきり減っているという。
北朝鮮住民はこのように言う。「今トウモロコシご飯を食べる人がどこにいますか」と。市場に行けば穀物の種類を選んで食べることができる。「国が外部からのリスクをなくすことに注力すれば、北朝鮮住民は自主的に生活できる」とまで言うようになったのだ。(東洋経済)
 
金正恩第1書記は第7回労働党大会の活動総括報告で、「責任ある核保有国として核拡散防止の義務を忠実に履行し、世界の非核化実現に努力する」と述べた。その上で、「主権が侵害されない限り、核兵器を先に使用しない」と宣言した。36年ぶりの党大会という節目に、金第1書記自らが、核保有国であることを国際社会に誇示。他の核保有国と対等な立場で、不拡散や非核化に取り組む考えを鮮明にした。
日本に対しては「朝鮮半島再侵略の野望を捨て、過去の罪悪を反省、謝罪し、朝鮮の統一を妨害してはならない」と要求した。米国には、制裁を中止し、敵対政策を撤回するよう要求。朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換し、在韓米軍を撤収させるよう呼び掛けた。金第1書記は核戦力増強と経済建設の「並進路線」を称賛し、2016年から20年までの「国家経済発展5カ年戦略」を徹底して遂行しなければならないと指示した。
 
こうやって見てくると、至極まともな政権だと思えてくる。報道や現政権の色眼鏡を外し、真実を見極める努力が武力衝突を回避する第一歩であると思う。

中国の新植民地政策

2017-05-23 | 国際
一帯一路は4年前、習近平国家主席が提唱した経済圏構想で、中国からアジア、中東、アフリカなどを通って欧州までを陸と海のルートでつなぐ現代版シルクロード。その影響はおよそ65カ国、世界人口の6割に及ぶ。中国は今、そうした国々のインフラ整備を積極的に進めている。そのお陰で急速に発展しているのがアフリカのエチオピア。
「中国はエチオピアにとても貢献してくれているよ」「エチオピアの成長の為に中国の進出は大歓迎よ」
中国資本による建築ラッシュ、国内最大の建造物・アフリカ連合本部ビルも中国政府が総工費150億円を負担した。電車も中国の国有企業によって造られた。
極めて良好な友好関係を築いているように見えるが、その国のためにはなっていないらしい。
 
南太平洋にある小さな島国・トンガ王国にも中国の一帯一路構想は及んでいる。
国内線で使われている航空機を中国が供与、間もなく完成するトンガの総理官邸も中国によって建設された。中国資本とともに移住してくる中国人も増加。そんな状況をトンガ人は歓迎していない。
中国人が暴行される事件が続発し、日本の外務省もトンガ渡航に際し、中国人に間違われ暴行を受ける可能性があると注意喚起を行っている。
「中国の投資のほとんどが問題です。ここには零細企業がたくさんあり競争が激しくなった。」
街の商店のほとんどが中国人経営。中国から商品を取り寄せる為、品数が豊富でトンガ人が経営する店は太刀打ちできない。
建設現場で働いていた人も「私達は大きな打撃を受けました。多くのトンガ人は今仕事がありません。中国人が安い労働力を中国から連れてくるからです。今はこの歩道で暮らしている。仕事がないから・・」
「日本人がトンガに来てた頃は良かったよ。日本人は漁業や建設でトンガをたくさん助けてくれた。中国人は奉仕しているように見せかけているだけだ。彼らはズルい奴らだ。その上ケチなんだよ。日本人はトンガにお金をもたらしても奪い取る事はなかった。それが違いだよ。」
そして中国の工事にも不満が噴出している。「(この道は造られて)まだ1年半なのにもう壊れている」
道路の至るところに穴が開いてしまっていた。中国が造った道路はアスファルトが薄いため、1年でボロボロになってしまうという。
そんな中、ポヒヴァ首相の発言を地元メディアが報じた。「数年以内にトンガの実権が中国に奪われる」
こういった危機的状況に陥っているのはトンガだけではない。更に深刻な国がある
 
一帯一路の重要地点・スリランカ。
中心都市・コロンボの海岸では中国の国有企業が大量の土砂を噴射するという工法で埋め立て工事を進めている。
空港建設なども行われているが、事業費の大半は中国からの融資だ。そしてその結果、スリランカの負債は雪だるま式に膨れ上がり、およそ9000億円になり、中国の高い金利がスリランカの財政を蝕んでいる。
更に財政危機に陥ったスリランカに対し、中国は開発した港やその周辺の土地を99年間中国企業に貸し出すという案を突きつけた。これに地元住民らは激怒、激しい抗議デモも起きた。
 
東京福祉大学国際交流センター長・遠藤誉氏「表向きは巨大経済圏を作るというふうに謳っておりますけども、真の狙いは・・中国にとって非常に有利な安全保障を構築していこうと、借金を(一部)帳消しにしてあげるという形で゙次々と軍港化していく。中国の”新植民地化政策”ではないかと位置づける事も可能かと思います。」
齋藤孝氏「融資と大量の移民をセットにしてやるのは中国の戦略。チベットなんかも大量の移民が来る事で実質中国の街にし、段々実権を奪っていくやり方。新しい植民地政策と言える。」
安住アナ「8割近くが中国人になったら中国のものになるんだろう。サラミスライス戦術といって、相手に気づかれないようにとっちゃうやり方」
 
中国のインフラ工事も粗悪だ。空港を一般住宅建設企業が建設したが、振動計算ができないため、飛行機の離発着の度にガラスが落下する。
植林はせず伐採のみだから、森林開発でジャングルが砂漠化する。年間で九州の面積以上のジャングルが伐採されている。
事前調査なしに道路を建設するから、8割が渋滞や陥没など被害を受けている。政府は賄賂を貰っているから、何も言えない。
現在、中国のアフリカ移民は約1000万人、将来的には2~3億人の移民を計画していて、そうなるとアフリカの5人に1人は中国人になると言う。
安倍総理は、日本式アフリカ支援策を中国に対抗して打ち出しているが、中国は安倍外交を、『世界を駆け回り中国の残飯をあさる安倍総理』と揶揄している。
 
欧米諸国と違い、中国はアフリカ諸国の内政には干渉しない。そのため為政者にとっては都合がよいので、中国は歓迎される。西側のメディアは中国を「新植民地」であると批判しているようだが、中国の援助はインフラ整備には貢献している。欧米諸国の中には、フランス、イギリス、ベルギー、ポルトガルなどの「旧植民地主義」の国家が多数含まれている。
奴隷まで輸出し、収奪に徹していた旧植民地主義の苛酷さは、今の中国の比ではない。自国の植民地主義を自己批判することもなく、中国の「新植民地主義」を批判する資格はない。
 
新植民地主義は何も中国の専売特許ではない。先進国も保護や援助という形で間接的な支配を企んでいる。政治的には独立を認めながら経済的な支援や軍事同盟などを通じて関係を維持し、実質的な支配を続けようとする。グロ-バル企業が、発展途上国の資源を確保し、また市場を拡大するやり方で支配を強めている。
ただ、中国のやり方は大量の移民を伴う点において欧米諸国とは異なる。アフリカに住む中国人事業家は貧しい農村地帯の出身で、満足な収入が得られず、生活苦で中国から逃げ出した貧民が多い。親戚知人からかき集めた資金を頼りに新興国に出る。1人が成功すると、それを頼って地元から次々と出てくる。週末も休まずに働き、知恵を絞って努力し、早く借金を返そうと懸命に働く。
「地元の人たちは私達と違って熱心に働かない。私たちは彼らよりも早い時間から開店し彼らより遅くまで営業するし、他の店が閉まっている日曜も無休で働く。私たちは熱心に働くから嫌われているんだ。非常に不公平に扱われていると感じるし、とても腹が立つ。」
 
現地の政府指導者は自分の懐が豊かになるので何もしない。彼らは救急車が足りない国民の中をベンツで走り抜ける。海外資本と一緒になって国民を搾取する大統領たちは不思議なことに選挙で再選される。
政府に任せておくと、援助物資も横流しされ、国民の下には届かない。指導者がこんな調子だから、新植民地主義諸国には好都合である。
今のところ、新興国が自立できるような方策はない。
 
人類はひたすら「経済成長」を目指して走り続ける。「経済成長しなければ豊かになれない。幸せになれない。」という強迫観念に駆られながら世界を駆け巡り、収奪を繰り広げる。
経済成長を追い求めれば、他国を経済的に収奪するところに行きつく。強い国は栄え、弱い国は崩壊していく。強い者は金を儲け、弱い者は困窮する超格差社会という荒廃が始まる。
貧乏人に与えられた小さな小さなパイを横取りされまいと貧困者同士の争いが始まる。経済成長を目指すという発想から転換して、停滞を受け入れ、格差社会を是正する政治制度が確立しなければ、少数の指導者が権力を独占し、既得権益層ばかりを利する体制が生まれる。一握りのエリートたちを豊かにすることを前提とするこの制度では、その他すべての人々はまともな経済生活ができなくなる。

トランプ砲に右往左往の日本企業

2017-01-15 | 国際
トヨタのメキシコ新工場建設に反対するトランプの「脅迫」に、右往左往する企業トップのだらしなさ!!!
日本を代表するグロ-バル企業が脅しに弱く、ヤクザな大統領に世界戦略がコロコロ変わるのかと驚くとともに、嘆かわしく、将来が不安になる。企業だけでなく日本政府や自治体までが振り回されそうだ。
 
大統領就任前にもかかわらず、トランプ氏は自動車産業の空洞化阻止のためにツイッタ-によるトランプ砲で効率よく攻撃している。
フォード社はキシコ工場建設計画をキャンセルし、代わりにミシガンで新工場を建設するという。
 
アメリカとメキシコは、カナダを含めた3カ国で「北米自由貿易協定(NAFTA)」を構成している。これは、EUやTPPのような自由貿易圏で、域内の貿易は関税がかからない。「高関税をかける」という「トランプ砲」は、NAFTAから脱退しないと実現不能だ。そしてNAFTAの改訂は可能だが、簡単ではない。
 
トヨタは、フォードのように「建設中止」と発表していないが、「メキシコ新工場は、新規建設であって北米の工場を移転するものではない」、「小型車の供給により、北米販社での雇用増にプラスになる」という弁明をすぐにアナウンスした。さらに豊田章男社長が、「これとは別に100億ドル(1兆1000億円以上)の投資を北米で行う」と言明した。こんなに戦々恐々とする様は見苦しい。
 
GMはこの攻撃について冷静な対応を取った。「GMは従来から米国の雇用に尽くしてきている、工場投資については長期的な観点で考えるものだ」ということを冷静に主張した。
 
同じ1兆円でもソフトバンクのように、トランプ氏に直接話せば、イメ-ジがよくなるが、今回のトヨタの発表は、ただただ暴君の作戦に乗せられて、お金を差し出したようにしか見えない。
米国におけるコンパクトカ-市場の場合、価格は非常に重要。少しでもコストダウンをして、思い切って値下げするというのが、ビジネスの基本。もともと、エコカ-志向のトヨタは、温暖化否定論のトランプと相性が悪い。北米のトヨタファンは、環境問題に熱心な層が多く、トランプ氏を支持しない。トヨタがトランプに寄り添う姿はトヨタファンを失望させるかもしれない。グロ-バル企業として自らのポリシ-を大事に、毅然とした態度で臨んでほしいものだ。
 
トランプ氏の「私的ツイート」で世界中を右往左往させるのは、19日までだ。トランプ氏は合衆国大統領として、憲法と法律の範囲で行政権を行使しなければならない。
 
しかし、ハチャメチャの大統領がアメリカファ-ストの路線で想定外の政策を行使する可能性は高く、地球規模でとんでもないことが起こりそうな気がする。
 
エネルギー業界に対するトランプ氏の政策は明快だ。炭鉱作業員を職場復帰させ、再生可能エネルギーへの助成金を撤廃し、気候変動を止めるための世界的な取り組みに米国が参加することをやめる。
インパクトの大きかった雇用創出のメッセージを実現するために、滅びゆく産業を力づくで延命させようとする。一瞬にして共和党が最も大切にしてきた政策や理念を書き換え、先進諸国のポピュリストやナショナリストに活力を与えた。貿易面では自由貿易協定に懐疑的になり、移民政策では繁栄を支える労働力としてとらえるのではなく、経済的・社会的脅威としてやり玉に挙げる。共和党のブッシュ大統領はイラク侵攻を命じたが、トランプは当初から侵攻には反対だったという。給付金制度に関しても、かつての共和党は高齢者に対する給付金を削減する準備をしていたが、現在は逆の方向を向いている。
 
トランプの大きな政府に対して共和党は小さな政府、自由貿易に介入するトランプに対して共和党は自由主義。政府の過剰な関与を否定する共和党とは水と油だ。
 
トランプは企業を脅すことで経営判断に介入するが、今のところ、小手先の手段で、宣伝効果はあったもののいつまでもこの脅しが通用するとは思えない。減税や規制緩和については下院共和党と意見が合いそうだ。金持ち減税が景気を刺激し、いずれは低所得層にも恩恵が及ぶという「トリクルダウン効果」を信奉しているようだ。現実には、金持ち優遇は高所得者への富の集中を加速し、後戻りできない超格差社会を作ってしまった。トランプがもたらす地政学的リスクもマイナスだ。台湾を取引材料に中国に貿易交渉を仕掛け、米中関係は極めて悪化している。
 
 あれほど格差是正を待ち望んでいたはずの米国民が格差拡大、富裕層優遇を是としたのが今回の結果だ。低所得者層はクリントン支持だったが、それ以外の層は格差を是認しても、富裕層を圧倒的に利するとしてもクリントンを嫌忌する不満があったのだろう。貧すれば鈍するで目先の利益しか見えなくなるのも理解できるが、大国のアメリカがこの調子なのだから、日本の政治の劣化が顕著なのも仕方がない。楽しみなのは小池劇場だけだ。
 
一見トランプは、「反グローバリズム」に見えるが、反グロ-バリズムなのは人種や性別、商取引だけで、金融取引はグローバルで結構というもの。貿易協定を否定し他国からの製品の流入に高関税をかけて保護貿易を推進しつつ、海外で稼いだ利益の還流だけは米国内にしやすくする。金融取引に関しては90年代、2000年代の発想に戻して、実体経済の地味な成長とかけ離れた株高、ドル高を演出し、バブルに突入していきそうだ。投機筋は活気に満ちているが、バブル崩壊という結果が繰り返されるだろう。
 
2010年夏に成立した米国の金融規制改革法(ドッド・フランク法)の中核となる「銀行の市場取引規制ルール」をボルカ-ル-ルという。銀行が自らの資金(自己勘定)で自社の運用資産の効率を図るためにリスクを取って、金融商品を購入・売却また取得・処分をする事を禁止する。オバマ米大統領の呼びかけにより、ポール・ボルカー元米連邦準備理事会(FRB)議長が提唱した。具体的には、米国の銀行によるデリバティブや商品先物の取引を規制し、未公開株ファンドやヘッジファンドなどへの出資も制限する。一方、顧客のリスク回避などを目的としたヘッジ取引や、値付け(マーケットメーク)取引、米国の国債や政府機関債、地方債のほか、外国銀行の在米拠点における外国国債の債券取引などは規制対象外となっている。2008年の金融・経済危機を引き起こした要因が米大手銀行の放漫経営にあり、金融機関の破綻や公的資金投入による救済が続出したことから、「預金者のお金を高リスク取引に二度と回させない」との理念に基づいて導入された。
トランプがボルカー・ルール(ドットフランク法)を廃止するのは確実(議会もそれを認める)との見方が多く、それにより金融機関のボルカー・ルール絡みのコストが下がるということで、金融株が上げのリード役になっている。株式市場の熱狂やバブルには金融株の上昇が不可欠であるが、現在、それが起こりつつある。
 

新自由主義の構造改革は国民を不幸にする

2016-11-27 | 国際

「雇用拡大」を公約に掲げて当選したトランプ次期米大統領が、早々に国内製造業へ圧力を強めている。隣国メキシコでの生産を検討する自動車大手フォード・モーターなどを標的に、ツイッターを介して国内生産を維持するよう迫り、企業は対応に追われる。米国民が家族と過ごす24日の感謝祭の祝日。トランプ氏の唯一のツイートは、空調機器大手に対する「脅し」ともとれる発言だった。世界有数の空調機器メーカーで日本に東芝との合弁会社も持つキヤリアは2月、2019年をめどにインディアナ州の工場を閉鎖し、生産をメキシコに移すと発表した。従業員への移転通告の模様が動画サイトで流れ、約1400人の解雇が米国内で話題になった。トランプ氏は選挙戦中の4月に「大統領になれば計画を100%撤回させる」と述べ、労働者の不満の象徴として同社の名前を使い続けた。同様な攻撃を受けるのがフォードだ。トランプ氏は17日、ツイッターに「(会長の)ビル・フォード氏と電話で話した。ケンタッキー州のリンカーン工場はメキシコには行かない」と書き込み、メキシコ移転の翻意を勝ち取ったと誇示した。 ケンタッキー工場のメキシコ移転計画はもともとなかった。移るのはミシガン州の小型車生産だが、別の車を造るため国内の雇用は減らない。フォードのメキシコへの生産移管を巡る議論は2015年末の労使の賃金交渉にさかのぼる。リンカーンなど複数車種の生産をメキシコに移す案が議論された。組合はメキシコ生産を阻止しない代わりに、10年ぶりの賃上げと19年までの米国工場の維持を勝ち取った。ミシガンからの小型車生産移管はこの議論を踏まえて決まったものだ。 フォードは少なくとも19年までは米国工場を閉鎖せず、米国内の雇用を守るとみられる。事実を知ってか知らずか、トランプ氏は代表的な米企業をたたいて労働者層の支持を取り込んだ。

 「メキシコからの輸入関税を35%にする」。トランプ氏は企業を悪役に仕立て、NAFTA見直しなどの保護主義を正当化してきた。だが、キヤリアの場合、インディアナ州で時給20ドル(約2300円)の人件費がメキシコでは同3ドルだ。米議会の資料によると、メキシコへの直接投資の累計額はNAFTAが発効した1994年に170億ドルだったが、約20年後の15年は928億ドルと5.5倍に膨らんだ。自動車や機械の関連工業の集積が進んだ。

 問題は企業がどこまでトランプ氏の意向をくむかだ。キヤリアは「次期政権とは議論を続けている」との声明をツイートした。同社が移転を取りやめれば「禁じ手」だった個別企業への政治介入に前例ができ、影響は米製造業全体に波及する。

 米企業も防戦一辺倒ではない。「リンカーン工場はメキシコにはいかない」というトランプ氏のツイートに対し、フォードは「そもそも計画がない」とは反論せず「国内生産を続けられるよう、米国の競争力を高める取り組みに期待している」とコメントした。

 トランプ氏は現在35%の米連邦法人税15%への引き下げや、10年間で1兆ドルという戦後最大のインフラ投資を公約に掲げた。米農機・建機大手ディアのサミュエル・アレン最高経営責任者(CEO)は保護主義をけん制しつつ「政府が建機を買ってくれるならありがたい」と財政出動に期待を示した。

  「NAFTAからの脱退または再交渉」を公約に掲げたトランプ氏も、当選後はNAFTAに言及していない。「米自動車ビッグ3が反対する政策はとりにくい」と読む業界関係者は多い。(日本経済新聞)

 新自由主義が世界経済を成長路線に戻す政策として、先進国で採用されている。自由化、民営化、規制緩和、小さな政府化、究極的にはモノ、ヒト、カネの国境を越えた移動の自由を最大化していくという。誰のために?・・・グローバル投資家やグローバル企業のために。

労働者の実質賃金は上がらなくなり、製造業から衰退していった。そして、新自由主義の採用で、市場の硬直化・寡占化が進んでいく。深刻なのは新自由主義の構造改革が目先の株主利益を最大化させるために腐心するから、研究開発投資や人材投資、設備投資などが削られていくことだ。「新自由主義は経済を成長させる!」という命題そのものが怪しく、むしろ寡占化による独占が進み、成長率を低下させてきたのではないか。

グローバリズムによって、米国はもちろん、EUにおいても、労働分配率は低下し、実質賃金が下落、反対に金融資産を運用するグローバル投資家たちの投資収益が増え、「1%」 対 「99%」の超格差世界が誕生したというわけだ。

この衰退のシステム、新自由主義に基づく構造改革は人々を幸せにはしない。特に先進国の国民を新興国並みの貧困層に引きずり込むシステムだと言ってもいい。今、注目の人類学者エマニュエル・トッドが、トランプ現象は教育格差によって這い上がれない白人労働者の反乱というとらえ方をしていたが、どうも彼の言うことはピンと来ない。誰もが大学に行けるようになり、エリ-トになる人材が増えても企業はそんな人材を多くは必要としないからだ。企業が必要としているのは機械より安い労働力と少数のエリ-トだ。

トッドはEU統合に反対して「通貨の統合によって国民や国をなくそうとしている。言い換えれば、民主主義の時代から受け継いだ帰属意識は、砕け散った。共同的信念の崩壊、とりわけ国民概念の崩壊は個人の解放や開花をもたらさず、逆に、無力感で個人が砕けてしまう」と言う。

「民主主義の危機は、(グローバル化した)経済の帰結ではない。根源には高等教育の広がりがあります。民主主義の前提は、誰もが読み書きができるようになることでした。そして高等教育を受けるのはごく少数。この人たちが社会でエリートとして生きていくには人々と話ができなければならなかった。ところが今では、高等教育を受ける人が急増し、受けていない人たちとのつながりなしで存在できるようになりました」

 「高等教育を受けた人たちが階層を形成するまでになったため、受けていない人たちの不平等感が高まり、社会に緊張が生じているのです。二つの出口が考えられます。高等教育を受けても、グローバル化で苦しむ人は少なくない。ならば、高等教育を受けていない同胞とつながっているのだという理解にたどり着くことです。そうすれば、民主主義は地に足のついたものになる。でなければ、グローバル化どころか無秩序への回帰です」

 エリ-ト層の心の持ちようで世界が変わるなら、こんな無縁社会にはならなかったはずだ。見方がナイ-ブ過ぎる。

家族の関係性は文化や伝統ではなく、その家族の資産の状況によって形成される。資産家は財産を守るために子供をつくり、脱落者が出ないように支え合い、結束する。中途半端な小金持ちや貧乏人は助け合う余裕がないから、親族とは疎遠にする。核家族は農業の低迷と工業化で若者たちが都会に出て来たからだ。親まで呼び寄せる余裕はないし、親たちも迷惑をかけないように地元にとどまる。貧乏人の家族制度なんて経済構造で簡単に変わるものだ。日本会議よ。国のため家族のために命を投げ出す国民を増やしたいのなら、まずは国民の生活を豊かにし、守るものを築かせることですよ。困窮させ、守る家族も作れなくて国を守る気概が生まれるはずもない。

トランプの強引な手法が頼もしく思える今日この頃だ。


メイ首相の政策転換とトランプの反グロ-バル政策

2016-11-25 | 国際

英国のメイ首相が経済政策の大胆な転換に乗り出した。法人税率を先進国最低の水準まで引き下げるほか、企業だけでなく低所得者層への助成など歳出の拡大によって離脱後の国内経済を下支えする。サッチャー元首相からキャメロン前政権まで、「小さな政府」を志向してきた保守党政権の路線と一線を画し、労働者や弱者保護を意識した政策にも手を広げようとしている。「私のスタイルは前政権と異なる」。

 法人税を現在の20%から2020年までに17%に引き下げるほか、ロボットやバイオテクノロジーなど企業の先端技術に年20億ポンド(約2700億円)を助成。大規模なインフラ投資による景気刺激策も打ち出した。法人税を巡っては、トランプ次期米大統領も税率を35%から15%に下げる方針を示している。メイ首相は21日に行った演説で「税率をG20(主要20カ国・地域)で最低水準にする」と表明。トランプ氏が15%にした場合はさらに引き下げる可能性を示唆した。英国はもともと国内総生産(GDP)に占める対内投資の割合が高く、海外から呼び込むカネは経済成長のエンジンでもある。だが、EU離脱が決まった6月の国民投票後に英経営者協会が行った調査では、経営者の5分の1以上が「英国外への事業移転を検討中」と回答。このため、企業向けの減税や助成を通じて国外移転を食い止めたい考えだ。

 一方、メイ政権は労働者や低所得者向けの政策も重視。「労働者はEU離脱を支持することで企業に変化を要求した」として、労働者の声を企業経営に反映する企業統治(コーポレートガバナンス)改革も目指している。財政報告でも最低賃金の引き上げや安価な住宅投資の促進が盛り込まれ、ハモンド氏は「これ以上、福祉(予算)はカットしない」と述べた。ただ、この日示された経済見通しでは、17年の経済成長率が1.4%増となり、従来の2.2%増から減速。目先の歳出拡大は財政を悪化させる懸念もあり、英財政研究所(IFS)の報告書によると、離脱に伴う経済成長の減速で20年度の財政赤字は約150億ポンドに膨らむ。ハモンド氏は前政権が掲げていた財政赤字を解消する目標にはこだわらない姿勢を強調し「我々の責務はEU離脱に向かう英国経済を弾力あるものにすることだ」と述べた。( 毎日新聞)

 英国のメイ首相はEU離脱にあたり、良好な通商をめぐる合意と同時に移民のコントロールの双方を確保しようと奮闘中である。また、英経済にとり金融サービス部門が重要であると認識しており、EU離脱に伴う不利益を最小限にしようとしている。

 それに比べて、国民を煽ったEU離脱派は無為無策で逃げ出したままである。ドナルド・トランプ米次期大統領はツイッターで、英国の欧州連合(EU)離脱キャンペーンの中心的存在だったナイジェル・ファラージ氏が駐米英国大使になることを多くの人が望んでいると述べ、同氏は素晴らしい大使になるとコメントした。ファラージ氏はトランプ氏の選挙活動を支援したほか、トランプ氏の当選後に面談している。トランプ氏の発言について質問された英首相府の報道官は、「既に優秀な駐米大使がいる」と述べた。

内政干渉になりかないトランプのツイッタ-だが、トランプは思い付きで放言する考えの足りない人間である。しかし、自由貿易協定で職を失ったラストベルト地帯の労働者に向け、グローバル化を批判することで支持を得た。TPP離脱通告は、当然である。日本の政府や財界は、「トランプ氏に翻意を促す」と言うが、トランプが従うわけもない。さらに呆れるのは安倍政権がこの期に及んでも、今まで通り、大企業や富裕層を優遇し、子供達や貧困層を放置する政策しか行わないことである。

 法人には手厚い税の優遇措置があるというのに法人税率の引き下げに安倍首相はこれからも熱心だろう。そして、メイ首相やトランプと決定的に異なるのは労働者や弱者保護を意識した政策には全く関心を示さないことである。
 

揺らぐアメリカはどこへ―NHKスペシャル

2016-11-07 | 国際

今回のアメリカ大統領選は史上最悪のトランプ氏が支持を集めている。
反民主主義的、差別的、政策のないトランプ氏が熱狂的に支持されている不思議。そこにはアメリカの中産階級の崩壊、超格差社会による白人労働者の困窮がある。
大越キャスターが各地を取材した。
経済の規制緩和、グローバル企業の巨大化により、格差が拡大すると、かつての中間層が貧困層に転落し、富裕層が政治を動かす。少数の特権階級に有利な政策だけが採用され、民主主義が機能しなくなる。大多数の貧困層の不満や怒りは弱者(移民など)へ向かい、差別主義が横行する。
トランプ氏の過激な言動は白人労働者を代弁していると見なされ、共感を得る反面、クリントン氏は「特権階級の代弁者」と見なされる。

オバマ氏が訴えた「change」という言葉は結局何も変化しないで終わった。
オハイオ州ヤングタウンは伝統的に民主党優勢の州だが、今回は共和党支持者が急増している。

かつては鉄の産地として栄えていた白人労働者の多い地域だが、グローバル化により安い輸入品が中国から入り、工場は閉鎖された。工場で働いていた60代の白人男性は仕事に誇りを持っていたが、工場が閉鎖されると、生活が苦しくなり妻とも離婚、3人の子供は故郷を離れた。グローバル化により仕事だけでなく、生活の全てを失われたという彼の絶望感は悲壮だ。
「仕事ってのはお金を稼ぐだけのものじゃないんだ。家族を養い、友情を育み、困っている人を助けるためのものなんだ。私はみんなが幸せになるよう祈っていたのに」
リーマンショック前と比べると、アメリカの製造業の労働者のうち1/3が失業した。所得の上位1%の平均所得は残り90%の平均所得の3倍になる。ヤングタウンでは、失業者の増加に伴い麻薬使用者も増えている。検死のための遺体収容所では、1日7人以上収容することもあるという。検死官は「働きはじめてからこんなひどい状態は初めてだ。この町には絶望感が漂っている」と言う。

 工場労働者の男性の妹の夫は失業後、アル中になり亡くなった。彼女自身も幻聴に悩まされている。

「中間層はもういない、今は富裕層と貧困層しか存在しない。アメリカにはchangeが必要だ。失うものは何もない。トランプなら昔のよき時代を取り戻してくれる」


トランプ陣営は、有権者の詳細なデータ、住所、家族構成、過去の投票行動などを分析し、敢えて投票に行ったことがあまりない層を狙った。生活が苦しい人が多く、格差を無くすというトランプ氏の主張に共感してくれるという。政治に無関心だった貧困層を洗脳して取りこむ、そんな戦略だったのかもしれない。

 一方、トランプ氏の対立候補であるクリントン氏は若者にも貧困層にも支持されていない。

トランプ氏は「特権階級の資本主義」と呼び、クリントン氏をその象徴としている。
 確かに、クリントン氏の応援演説をしているのは著名な資産家のウォーレン・バフェット氏など富裕層だ。e-mail問題もあり、「信用できない」というイメージが付きまとう。

 一方、そのクリントン氏と民主党内で争ったサンダース氏は若者に人気があった。

「お金を持っていない人でも、よい教育を受けることができる。それが格差を縮める」という主張が支持された。イリノイ州シカゴ、サンダース氏の支持が多かった町だ。若者たちが集まり、学費高騰へ抗議する集会が開かれた。クリントン氏は学校の授業料を下げるなどの政策を打ち出しているが、若者には信用されていない。「クリントンは若者の意見を代弁していない。クリントンは将来を大胆には変えられない」
 リーマンショックのあと、高学歴者でも低所得の仕事にしか就けないケースが増えている。名門大学に進学しながら、親が職を失い、授業料を払えなくなり大学を中退した男性は、仕事を掛け持ちし、生活費を切り詰めるため親戚の家を転々としながら暮らしている。
 「借金すれば大学を卒業できるけど、借金だらけの人生になる。それでは社会の階段を上っていけない。こうして特権階級のシステムは巧妙に俺たちを押さえつけるんだ。」
 若者の間には、今のシステムではどう頑張っても上には上がれない、チャンスすら回ってこないという絶望感が広がっている。「アメリカンドリームなんて、愛国者に仕立てあげるためのプロパガンダに過ぎない。何年も何も変わっていない、むしろ悪くなっている」
 大統領候補者同士の討論会の日、若者たちが集会を開いた。司会はコメディアン。どうせ変わらない政治なら笑いにしてやろう。
 クリントン氏とトランプ氏の討論会では若者の未来についてはほんの少ししか触れられていなかった。
 「保育園を増やし借金しなくても大学に行けるようにしましょう」(クリントン氏)
 「どうせ二人は俺たちのことなんか真剣に考えていない。いい余興だったよ」(若者)
 
 サンダース支持層もトランプ支持層も「ビッグマネーによる民主主義の崩壊」に危機感を持ち、「資本主義はエリートのためたけのもの」と主張している。これからは「保守」対「リベラル」とか「小さな政府」対「大きな政府」ではなく、「反特権階級」という軸ができるのかもしれない。

 しかし、今のシステムでは生活を変えられないという不満は移民排除に向かう。イギリスのEU離脱でもそうだった。移民を排除すれば、自分達の生活がよくなると思っている。

 確かにオバマ氏が移民寛容政策をとった結果、メキシコ移民が増えた。しかし、移民が増えなければ、企業は安い労働力を求めて海外に工場をつくる。産業の空洞化が進むばかりだ。新自由主義で経済の発展を願う限り、産業を国内にとどめておこうと考える限り、安い労働力として移民を受け入れるしかない。国民の貧困化、超格差社会を受け入れるしかない。

「私たちの税金の5分の1が移民に使われているのは納得行かない。白人の子供が逆に差別されている現実がある。移民はアメリカのお荷物だ」トランプ氏支持者が言う。トランプ氏の発言に刺激され、白人至上主義者がヒスパニック人に暴行を働く事件も起きた。トランプ氏が「メキシコ人は犯罪者」という演説をしたあとに起きたという。

 排外的な考え方は、アメリカだけでなく世界に広まっている。世の中を変えようとする気すら沸いてこない絶望感は深刻だ。特権階級のための資本主義という不信感は深刻だ。民主主義では世の中を変えられないという無力感は深刻だ。
 「貧困になるのは努力していないからだ。」という意見や「格差が広がっても優秀な人間が活躍する方が社会全体は良くなる」と考える人も多い。

 日本の高度成長期、一億総中流という意識を皆が持っていた時代が一番安定し、国民も希望に燃えて勤労意欲も高まった時代だったと思う。グロ-バル企業が国を訴えて莫大な賠償金を奪う世の中だ。歴史の歯車は逆回転しない。巨大企業国家が実際の国家を破たんさせてしまう時代がやってくる。誰もそれを止めることができないのだろうか?


東京五輪の憂鬱

2016-08-23 | 国際

過去最高のメダルを獲得したリオ五輪も終わった。卓球女子と男子、男子リレ-など、感動のおすそ分けを享受した競技もあり、それなりに楽しめたが、4年後に東京で開かれると思うと、今から憂鬱である。
安倍総理がス-パ-マリオに変身のパフォ-マンスで閉会式を終えたが、あのような軽い乗りで戦争を始めてしまいそうなことが、空恐ろしい。幕張メッセの自衛隊ブ-スで三原じゅん子などと一緒に迷彩服で戦車から上半身を出して手を振っていた姿は3年たった今も忘れられない。
昭恵夫人に「戦争をするときには、私を殺せ」とまで発言させる・・・・・戦争をすぐ始める総理大臣と言うイメ-ジは消えない。
「政治家にならなければ、映画監督になりたかったという人なんです。映像のなかの主人公をイメージして、自分だったらこうするっていうのを、いつも考えているんです。だから私は、主人は安倍晋三という日本国の総理大臣をある意味演じているところがあるなと思います」・・・・・そう、アニメの主人公になった気分で戦争ごっこをやり始める・・・・腹心は美少女稲田ちゃん。
安保法制を強行し、憲法改正にひた走る。ヒロイックな自己陶酔から覚めたら、持病がひどくなって、逃げ出す。そのあとの責任を取る政治家は見当たらない。


「今や超大国」メダルラッシュに英国沸く 「金」27個で2位 2016年8月23日  東京新聞
 リオデジャネイロ五輪で各国が獲得した金メダルの数は、スポーツ大国で明暗が分かれた。米国は前回のロンドン五輪と同じ46個で首位を維持。2位は英国で27個。ホスト国だった前回の29個から大きく減らすことなく、好成績を収めた。一方で中国は前回の38個から26個へと大幅に減らして3位に転落した。日本はレスリングで4個、柔道で3個、体操、競泳で各2個と基幹競技での活躍が目立ったほか、バドミントンで初めてとなる金メダルを女子ダブルスで獲得。前回より5個多い計12個で6位につけた。ドーピング問題で揺れたロシアが、5個減らした19個で4位。ドイツが17個で5位だった。
 米国は陸上、競泳で量産したほか、体操女子のバイルスが団体総合も含めて4冠と健闘。英国は自転車、ボートの得意競技での活躍が光った。中国はバドミントンと競泳で大きく減らし、ロシアはドーピング問題で前回8個だった陸上の選手がほとんど参加できなかったのが響いた。
 【ロンドン=小嶋麻友美】英国は金メダル獲得数で2位となり、前回のロンドン五輪を上回った。英メディアによると、五輪を開催した国が次の大会で開催時より好成績を遂げたのは、1896年以降の近代五輪史上初。歴史的快挙に英国中が沸いている。
 2012年ロンドン大会では米国、中国に次ぐ3位だった英国は今回、体操競技で初めて頂点に輝いたマックス・ウィットロックをはじめ金27個を獲得し、1個差で3位の中国を退けた。合計メダル数も67個で、ロンドン大会の65個を上回った。政府のスポーツ振興機関「UKスポーツ」のリズ・ニコル最高経営責任者(CEO)は21日、BBC放送で「われわれは今やスポーツの超大国だ」と胸を張った。
 英国は96年アトランタ大会で金1個という屈辱を味わっている。以後、国営宝くじの資金をスポーツ助成に充て、メダリストの育成に重点的に投資。リオ五輪では、00年の約5倍の総額2億7000万ポンド(約355億円)をつぎ込んだ。今回、ロシア選手がドーピング違反で一部出場できなかったことも、英国を押し上げたと言えそうだ。

 五輪種目の中で、練習するには最も競技に伴う用具が最小で設備も不要なのは、陸上競技のマラソンとトラック競技。GDPレベルで下位の国の選手でも、個人の力だけで戦え、マラソンのアフリカ勢やジャマイカのウサン・ボルトのように圧倒的な強さを見せている。 
ソ連崩壊前の東欧諸国では、国威発揚のため幼少期から選手を育てていた。そして、英国が総額2億7000万ポンド(約355億円)をメダリストの育成に重点的に投資したことにより、「五輪を開催した国が次の大会で開催時より好成績を遂げる」という歴史的快挙となり、「国威」が発揚された。
 
<五輪メリットは「国威発揚」 NHKが憲章と真逆の仰天解説> 2016年8月22日 日刊ゲンダイ
 21日のNHKの番組「おはよう日本」。オリンピックを扱ったコーナーで、「五輪開催5つのメリット」としてナント! 「国威発揚」を挙げていた。
 オリンピックを国威発揚の場にしたのがナチス・ドイツだ。聖火リレーの導入やサーチライトを使った光の演出など、ヒトラーは権力を世界に見せつけるため、徹底的に政治利用した。その反省から生まれたのが、オリンピック精神の根本原則を示した「オリンピック憲章」だ。JOC(日本オリンピック委員会)のホームページでも「オリンピズムってなんだろう」と題したコーナーで、こう記している。
 〈『人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会を奨励する』というオリンピック憲章の精神は、戦争や独裁政治、国威発揚とは相いれない〉
 ついでに言うと、同憲章は〈オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない〉ともある。JOCもわざわざ、〈みんなはメダルの数を国別で数えたりして、ついついオリンピックを国同士の競争のように見てしまいがちだろう? でも、オリンピックで勝利をおさめた栄誉は、あくまでも選手たちのものだとオリンピック憲章では定めていて、国別のメダルランキング表の作成を禁じているんだよ〉と説明している。
 NHKを含む大メディアが「メダル41個で過去最高」と大ハシャギしているのも、本来であればオリンピック精神に反する行為なのだ。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう言う。
 「NHKがオリンピック憲章を理解していないことがハッキリした。そもそも国威発揚で国家間競争を煽るような勝利至上主義が、五輪のドーピングの問題を生み、スポーツ競技そのものを壊している。メディアならば、それをきちんと認識する必要があります。影響力があるテレビ、それもNHKが先頭に立って国威発揚をメリットに挙げてどうするのか。許されません」
 リオ五輪で、柔道の日本選手が「銅メダル」を獲得したにもかかわらず、「すみません」と謝罪していた姿に違和感を覚えた人は少なくなかったはず。これも勝利至上主義が招いた悪しき慣習だ。メディアがその片棒を担いでどうするのか。

 

<日本の恥! リオ五輪閉会式で安倍首相がアスリートをさしおいて政治宣伝…背後に官邸と組織委のグロテスクな思惑> 2016.08.22 リテラ
 北京五輪閉会式でのロンドンのプレゼンテーションのクライマックスにはベッカム、ロンドン五輪閉会式のリオのプレゼンテーションにはペレが登場しており、今回の東京のプレゼンテーションにも、日本を代表するアスリートが抜擢されるのだろうと思われていた。ネットでも、北島康介、高橋尚子、中田英寿、イチロー、錦織圭の名前、さらにはキャプテン翼などアニメキャラの名前などが飛び交っていた。
 ところが、登場したのはアスリートでもなんでもない、総理大臣・安倍晋三だったのである。ショーではまず、君が代斉唱パフォーマンスが繰り広げられ、続いてプロモーション映像が流された。その映像は、水泳の北島康介や、マラソンの高橋尚子らメダリストが赤いボールをパスしていくというものだが、ここで最後にボールを受け取ったのが安倍首相だった。そして、ボールを受けとった安倍首相は、永田町の国会議事堂から黒塗りの車でリオに向かうのだが、このままでは間に合わない、と車内で突如マリオに変身。前述の現地会場のショーにつながるわけだ。この映像に映っている時間も北島らアスリートよりはるかに長く、しかも、世界的にほとんど顔を知られていないことへの対策か、安倍首相が登場するカットにだけわざわざ「SHINZO ABE」
「PRIME MINISTER」というテロップまで付ける特別扱い。
 ようするに、このショーは最初から最後まで、完全に安倍首相が主役だったのである。東京という都市で行われるスポーツの祭典をアピールする映像であるはずなのに、なぜ、アスリートを隅に追いやり、国家の政治権力者を主役にする必要があるのか。しかも、五輪は「都市」で開催される祭典であって、「国家」のものではない。スポーツと平和の祭典であり、事実、競技中の宗教的、政治的アピールの一切が禁じられている。
 過去の五輪閉会式の例をみても、セレモニーでその都市が位置する国の政治権力のトップがメインを張るなんていうのは前代未聞だ。北京五輪の中国ですらこんなことはやらなかった。ソチ五輪のロシアでもプーチンがショーに登場することはなかった。これから先も、北朝鮮などの独裁国家でオリンピックが開かれないかぎり、こんなショーはありえないだろう。
 それにしても、いったいなぜ、次期五輪開催都市のプレゼンテーションが安倍の政治宣伝パフォーマンスに堕してしまったのか。この東京セレモニーのクリエイティブスーパーバイザーを担当したのは、ソフトバンクのCMで知られる元電通の有名CMディレクター・佐々木宏氏と歌手の椎名林檎で、総合演出と振り付けはPerfumeのライブ演出などで知られるMIKIKO氏だが、安倍首相の起用は、彼らだけのアイデアでなく、東京五輪組織委員会との相談で決まったらしい。「目玉のサプライズキャストについては、当初、アスリートを起用する案の他に、ゲームやアニメキャラでいくという案が出ていると聞いていた。それが、いつのまにか安倍首相がマリオをやることになったんです。そんなところから五輪組織委と電通が裏でプッシュしたんじゃないかと言われています」(JOC関係者)
 五輪組織委は、安倍首相の元ボスである森喜朗元首相が会長として君臨しており、役員や理事にも、御手洗冨士夫経団連名誉会長やプロデューサーの秋元康など、安倍応援団がずらりと名を連ねている。しかし、今回、安倍首相の出演の仕掛人は、側近の組織委理事に送り込まれた安倍首相の側近中の側近、萩生田光一内閣官房副長官ではないかといわれている。
 「いま、安倍首相は自民党総裁の任期を延長して、東京五輪まで首相を続けることを狙っている。側近の萩生田氏が動いて、安倍首相に閉会式の主役をはらせ、それを既定路線にしようと考えたんじゃないでしょうか」(全国紙政治部記者)
 しかも、スーパーバイザーの佐々木宏氏や椎名林檎もこうした安倍周辺の意向を率先して取り入れていった気配がある。安倍首相の登場以外でも、今回のショーでは、やたら日の丸が出てくる、国威発揚、国家主義的演出が露骨だったが、これはおそらく、政権の空気や国旗・国歌にこだわる森喜朗会長の意向を汲んだ結果だろう。
「今回、評価が高ければ、2020年の東京五輪本番の開会式・閉会式のプロデュースや演出を任される可能性が高くなる。明らかに今の組織委の意向や、そのバックにいる安倍政権の好みを反映させるでしょうからね」(前出・JOC関係者)
 いずれにしても、リオ閉会式でのプレゼンテーションが、この国の歪んだ空気感を反映したグロテスクな政治宣伝だったことは間違いない。そのことの危険性に気づかず「安倍ちゃんがマリオのコスプレwwうはwww」と喝采しているようでは、2020年東京五輪がナチスドイツ下で開催されたベルリン五輪の再現になる可能性だってゼロではないだろう。

 
「担ぐ神輿は軽くてパーがいい」 小沢一郎の名言である。
後は野となれ山となれ。これから4年、東京五輪狂騒曲が始まり、日本の崩壊で終わる。

当初の予算の3倍にはなりそうな東京五輪。そんな金があるなら、選手強化に投入して、獲得メダル数を増やすことの方が、よほど意義がありそうだ。2兆円もの大金を大手ゼネコン、広告会社に貢ぐ政権。

非開催国としての経済効果の方が庶民にとっては大きい。(ロンドンオリンピックの場合)
オフィシャルスポーツウェア。日本選手が活躍した競技は特に売上が伸び、卓球用品全体で見ると前年比約2割増加したという。
また飲食物を購入し自宅で観戦した人が、コンビニエンスストアの売り上げを押し上げた。ローソンでは、ファストフード類・おつまみ類・アルコール類等が開幕前に比べて約2割売り上げが増加し、全国の住宅地にある店舗では夕方5時から夜12時にかけての来客数が5%上昇した。また時差があったためか、深夜の観戦も多く、常盤薬品工業の眠気覚まし飲料「眠眠打破」は二桁で売り上げが伸びた。
開催前にオリンピックの経済効果を約8,000億円と試算した電通総研では、バドミントンや卓球など、初めてメダルを獲得した競技が増えたことで日本人の観戦機会が増え、事前予想より大きな経済効果があったとみている。
 一方でたっぷりとお金をかけて開催した肝心のイギリスでは、経済効果はイマイチだった。
 英中央銀行は、五輪による第3 四半期のGDP(国内総生産)の押し上げ効果はわずか0.2%と予測。マービン・キング総裁は、「結局は、根本的な経済状況を変えるものではない」と言う。経済効果は期待外れという声も相次いだ。開幕当初、英国メディアは客足が遠のいた「ウエストエンド」と呼ばれるロンドン中心部の商店やレストランの悲鳴を取り上げ、「ロンドンがゴーストタウンと化した」と騒ぎ立てた。ウエストエンドが閑散とした背景には、様々な理由がある。観戦客の行動範囲が五輪会場のあるイーストエンドに偏ったことや、交通機関の大混乱を警戒して市民が都心に寄りつかなかったこと、ホテル代の高騰で一般観光客が大幅に減ったこと、多くの市民が混雑を避けるために海外に脱出したこと、などだ。
 一方、英国政府は93億ポンドの五輪関連の支出に対して、今後4年間で130億ポンドの経済効果があると主張する。その効果の半数近い60億ポンドを、海外からの直接投資としたい考えだ。そのため、政府は海外投資家に対して英国の売り込みに必死だった。

 ロンドンに投資した成功企業の1つとして紹介されたのが、オーストラリアに本社があるショッピングモールの運営会社、ウエストフィールド・グループだ。同社は、五輪誘致が決まる前の2003年にイーストエンドへの投資を決断し、オリンピックパークに通じる歩道を取り囲むように欧州最大のモールを建設した。同社の英国・欧州担当の責任者、マイケル・ガットマン氏は、「五輪期間中の来客数は平時の2~3倍の600万人に達したと思われ、期待を上回った」と五輪効果を絶賛した。
 英国は今後10年でエネルギーや交通などの基盤整備に2500億ポンドの投資が必要とされており、五輪を契機にその恩恵にあずかった企業もある。
 GEは2006年以降、夏季・冬季4大会で総額10億ドルを超える受注を獲得。ロンドン五輪では175件のインフラ事業に関わった。会期中は同社の事業を紹介する展示場を作り、1000人以上の主要顧客を五輪観戦に招待して商談の推進に余念がなかった。

 英国は、3四半期連続で景気が後退していた。英国にとって、投資先としての魅力維持は死活問題だが、五輪開催による有形無形の遺産が威力を発揮したという記事は見つからない。

 オリンピックの招致活動は負けるが勝ちだろう。特に庶民にとっては・・・・・マイナスが多い。