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もんじゅ廃炉、しかし核燃料サイクルはやめられない

2016-12-22 | 原発
政府は21日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉を正式に決定した。同日午後の原子力関係閣僚会議で「不確実性の伴う原子炉としての運転再開はせず、今後廃止措置に移行する」と明示した。
しかし、使用済み核燃料の再利用を目指す核燃料サイクル政策は維持し、もんじゅに代わる高速炉の開発は続けるという。
 
もんじゅは核燃料サイクルの中核施設で、1兆円以上が投じられながら十分な成果を出せず、廃炉になるというのに、政府はなお高速炉開発を継続すると言う。
 
原子力機構がナトリウムなどの取り扱いについて、もんじゅを活用した研究を実施、また、フランスが開発中の高速炉「ASTRID」に協力し、知見を得るという。
 
松野博一文部科学相は記者会見で、もんじゅが期待された成果に届かなかった責任のけじめとして、約5カ月分の大臣給与、賞与を自主返納することを明らかにした。一方で、運転実績が最高でも出力40%にとどまったことについて「私自身は一定の成果だと考えている」と述べた。
 
もんじゅは1994年に初臨界を達成したが、95年にナトリウム漏れ事故を起こすなどトラブルが相次ぎ、運転は250日にとどまっていた。運転再開には新たに5400億円以上が必要で、政府は「得られる効果が経費を確実に上回るとは言えない」と判断した。廃炉には約30年で3750億円以上かかると試算されている。
 
福井県の西川一誠知事は記者団に「廃炉の容認はしていない」と述べた。
 
福井県は、今年も『日本一住みやすい県』のランキング1位の評価を得ている。陸の孤島と言われてきた貧乏な福井県が日本一となれたのは、すべて莫大な原発交付金によるものだ。もしも、もんじゅが廃炉となり、他の原発も廃炉となっていくならば、また昔の様な貧乏な福井県に戻ってしまう。原発誘致しか産業の無い福井県は、原発にしがみ付くしか生きる道が見つからない!
 
9月末に核燃料サイクル政策を堅持すること、オールジャパン体制で実証炉の開発を目指すことが確認された。実証炉とは、高速増殖炉の開発において、原型炉であるもんじゅの次の段階に位置するものだ。
 
もんじゅを廃止しても従来の政策は変わらず、実証炉開発を目指そうとしている。もんじゅも、使用済み核燃料の再処理も、プルサーマル計画も全て失敗して行き詰っている。正常な頭なら核燃料サイクル政策を続けられるはずがない。それなのにもんじゅの二の舞とも言える実証炉計画を、費用と時間をかけ、やろうとしている。その理由は?
(1)たまり続けるプルトニウム
日本が保有するプルトニウムは約47トン。軍事用も含めた全世界のプルトニウム約500トンの10%近くを占め、核兵器保有国以外では圧倒的に多い。原子力発電所で使用済みになった核燃料には、重量で約1%のプルトニウムが含まれている。プルトニウムを分離し、再び原発で使えるように加工する作業を「再処理」と呼び、再処理されて生まれた分離プルトニウムを含む核燃料は、高速増殖炉やMОX炉と呼ばれる原子炉で使われる。なかでも高速増殖炉は、燃料に多く含まれる燃えないウランをプルトニウムに効率よく転換させる能力があり、使った分以上のプルトニウムを生み出すことから、何度でもリサイクルが可能とされている。それが「核燃料サイクル」だが、実用化した国はいまだない。高速増殖炉では、熱をよく伝えるナトリウムを冷却剤に使うが、ナトリウムは水と反応すると爆発するため技術的なハードルが高い。1995年に「もんじゅ」で起きた火災事故もナトリウム漏れが原因だった。先進各国の多くが80~90年代に次々と高速増殖炉の開発をやめる中、日本は核燃料サイクルに固執している。
経済産業省によると、東京電力福島第一原発の事故で国内の全原発が停止中だった昨年3月末時点で、約1万7千トンの使用済み燃料が国内の原発などに貯蔵されていた。その3分の2が再処理を待っている状態だ。再稼働の流れが強まれば、再処理を待つ使用済み核燃料がますます増えることになる。核兵器に利用可能なプルトニウムがあり余っている状態で再処理工場を動かして、さらにプルトニウムを取り出そうという発想は無知の極み。他の多数の国々がやっているように使用済み燃料を中間貯蔵した後、直接処分するという政策に変えるしかない。
(2)原子力発電を続けて利権を守りたい
もんじゅを続けて事故が起きてしまったら、原発推進の邪魔になる。できもしない核燃料サイクル政策にしがみつくことで、使用済み核燃料を青森へもっていくことができる。原発利権を得る人たちにとっては、次の実証炉開発を成功させて発電できるかどうかは、さほど重要な問題ではない。失敗しても成功してもとにかく続けることで、時間稼ぎができ、莫大な利益につながるのだ。
 
経産省と電力会社は、再処理の継続を明言し、使用済み核燃料の問題を先送りする道を選び続けてきた。莫大なコストを支払って再処理を進めるふりをしてきた。
使用済み核燃料の搬出先がないから核燃料サイクルを言い訳にするという本末転倒の非論理がまかり通る。
高速増殖炉が実現不可能な中で、核燃料サイクルを推進することは無意味であり、除染、廃炉の研究に集中すべきだろう。

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