オータムリーフの部屋

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大統領の品格

2019-06-09 | 政治
ドイツのメルケル首相は30日、米ハーバード大学で講演し「我々はこれまで以上に、単独主義ではなく多国間主義的に考え、行動しなければならない。保護主義と貿易摩擦が世界の自由貿易を脅かしている。国家よりも世界、孤立主義ではなく世界に開かれていることを優先すべきだ。」と名指しはしなかったが、トランプを批判した。米国が温暖化対策のパリ協定や中距離核戦力(INF)全廃条約、イラン核合意などを次々にほごにしたことに対し、ドイツなどの欧州の反発は強い。
ドイツの首相が同盟国である米国に乗り込み、米大統領を暗に批判するというのは極めて異例だ。メルケル首相はトランプ大統領とは会談することなく、ドイツに帰国した。
 
私はドイツ民主共和国と呼ばれる、「自由がない側」の旧東ドイツで育ちました。一党独裁体制のもと、人々は抑圧されたり、監視されたりしました。東ドイツの政治家たちは、人々が西ドイツの自由を求めて出て行ってしまうことを恐れていました。だからこそ、コンクリートと鉄鋼でベルリンの壁を建てたのです。その壁を乗り越えようとして見つかった者はみな、逮捕されるか、銃弾に倒れました。ベルリンの真ん中に建てられたこの壁は、人々を分断しました。私の家族をもです。大学卒業後、私は東ドイツにある科学アカデミーで物理学者の仕事に就きました。当時、私はベルリンの壁の近くに住んでいました。毎日、研究所での仕事が終わると、私はベルリンの壁に向かって歩きました。その向こうには西ドイツ、つまり自由があります。そして毎日、私は壁際まで来ると、最後の最後で折り返して、自分のアパートに戻らなければなりませんでした。毎日、自由の前で右に曲がらなければいけなかったのです。「もう限界だ」と何度思ったことか、数えきれません。苛立ちが募っていました。私は反体制派ではありませんでしたし、壁にぶつかっていったりもしませんでした。けれど、壁を否定もしませんでした。自分に嘘をつきたくなかったからです。ベルリンの壁は、私の可能性を狭めました。文字どおり、私が行く道を常にふさいでいたからです。しかし、この壁が成し遂げられなかったことが一つだけあります。私の内なる限界を制限することです。私の人間性、想像力、夢、願望──禁止したり支配したりすることでは、それらを止めることはできませんでした。
ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、人間がとり得るあらゆる手段をもって気候変動に取り組むよう訴えた。メルケル氏は「気候変動は地球資源への脅威となっている」と述べた上、「気候変動も、その結果として生じている危機も、もたらしているのは人間だ。われわれはこうした人類に対する課題を人間がとり得るあらゆる手段を用いて克服できるし、また克服しなければならない」と訴えた。
また、米中の貿易紛争が激化していることを念頭に、「保護主義や貿易紛争は、自由な国際貿易や私たちの繁栄の基盤をも危うくするものだ。自国第一主義的ではなく、多国間主義的であるべきだ」と訴え、会場から大きな拍手が送られた。
 
未来への希望が失せ、格差社会の暗さと息苦しさが超大国から世界へ広がった。核戦争で脅す北朝鮮や内戦状態の中東情勢のせいではない。「米国第一」を掲げて就任した品格ゼロのトランプ米大統領のせいである。選挙公約そのままに種々の国際協定から離脱し、イスラム圏からの入国規制に執念を燃やす。
 
トランプ氏の「米国第一」とは結局、イスラム差別、人種差別を肯定することである。白人男性を優遇し、女性や有色人種を軽視する社会を目指す。性別や人種、宗教などの差別を排し平等な社会を建設するという米国の理想主義はトランプ政権下で色あせてしまった。核兵器なき世界も夢物語となった。
 
ワシントン・ポスト紙は、トランプ氏の誤った、または国民をミスリードする発言が2000件を超えたと報じた。1日当たり5件以上だ。当のトランプ氏は「フェイク(偽)ニュース大賞」を発表するなどメディア攻撃を続けているが、都合よく事実をねじ曲げようとする、高慢とも独善ともいえる姿勢が米国の品格と信用をおとしめた。
 
20世紀以降、今ほど、品格のない大統領が世界を牛耳っていたときはない。
 
トランプ氏は、政治家には不可欠な政治学も、経済学も、国際政治学も学んでいない。政治や外交、歴史も知らない。教養や品格もない。不動産ビジネスと、ニューヨーク社交界のセレブとして、仕事をしてきただけの人間である。このような人を国のリーダーとして選んだのは他ならぬアメリカ国民である。
 
アメリカが「世界の警察官」としての役割を捨てて「大国」としての存在感を失いつつある。一方、人権など存在しない中国やロシアが世界の覇権を掌握しようとしている。
歴史の折り返し地点なのかもしれない。進化してきたはずの人間社会が、人間の劣化とともに、衰退がはじまっているのかもしれない。
 
そして日本は?
トランプに友人呼ばわりされて、有頂天の安倍晋三はトランプを歓待し、武器の爆買いを続ける意向のようだ。

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