オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

認知症と老人性うつ

2017-02-26 | 老人福祉
「うつ病」には、一般的に記憶障害がない。しかし、趣味などへの興味や意欲を失ってしまったり、記憶力や判断力が低下するなどの症状が続く。悲しみや寂しさ、空虚感、自殺願望など感情的な障害が起こることが認知症と大きく違う。
認知症の場合は、うつ状態以外でも同じ感情を持続することが少なく、うつになったり、楽観的になったり、コロコロ変わることが特徴だという。どちらかというと楽観的になる人が多いらしい。
 
抗うつ剤への反応をみると、うつ状態では効果が認められ症状改善につながるが、認知症では有効な場合もあるが、一定ではないという。
 
認知症にもいくつかのパタ-ンがある。
・アルツハイマー型認知症
アルツハイマー病は、脳内で起こる様々な変化によって脳細胞の性状や性質が変わってしまう。アルツハイマー型認知症を患った人の脳には、茶色いシミのようなもの(老人斑)が多く確認され、「βアミロイド」という異常なタンパク質が沈着したものだが、老化した脳にもしばしばみられる。ただ、アルツハイマー型認知症患者の脳では、比較的早い段階からこの沈着が見られる。そして、老人斑以外にも脳の神経細胞が急激に減少したり、脳が委縮して高度の知能低下や人格の崩壊が起きたり、知能だけでなく身体全体の機能が衰えていく。そして、二次性の合併症である呼吸器合併症などの疾病によって、最終的に死に至る。
40~90歳の間に発症することが多く、ゆっくりと症状が進行する。
 
・レビー小体病
比較的かかる可能性が高く、一見アルツハイマー型認知症に似ていて間違われることもある。人によっては、パーキンソン病に似た症状が出る場合もあり、転倒しやすくなることもある。
早い段階で診断を確定することができれば、治療効果が期待できる病気だという。主に、脳の大脳皮質の多数の神経細胞内の「レビー小体」という特殊な変化が、大脳皮質全体に現れることで発症する。
男性は女性の約2倍の発症率で、もの忘れ、幻視(人、虫や動物が動きまわる)が起きる。
 
・前頭側頭型認知症
前頭葉と側頭葉を中心に萎縮が起こるために発症する。その中で代表的な病気としては、ピック病が知られている。ただ、前頭側頭型認知症が発症するケースは非常に少なく、その症状から、精神病やうつ病などの病気と診断されてしまうこともある。症状の特徴は、もの忘れよりも人格変化や言語障害が目立つ。人格を操る脳の重要な役割を果たす前頭葉に障害が起こるために、抑制や感情のコントロールができなくなるといった自己中心的な人格に変わってしまったり、短絡的な行動やだらしない行動をとるようになったり、反社会的な人に様変わりしてしまうといった症状が目立つ。
アルツハイマー型認知症よりも、やや若年の初老期に発症する傾向がある。
 
・脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血といった、脳の血管に異常が起きた結果、認知症になる。脳血管性認知症には、突然の脳血管障害をきっかけに急激に認知症が発症する場合と、小さな脳梗塞を繰り返して起こしているうちに徐々に認知障害が現れる場合がある。脳の血管のどこの部位が障害されたかによって症状が異なる。
 
 
去年まで元気だった方が突然、千葉のリッチな病院付き介護施設を契約したと聞いた。
周りでは、認知症の妻を施設に入れて、活動的な老後を送っている男性が目立つ。女性の場合はかなり最後まで配偶者の世話をする人が多い。
これは愛情の問題ではないと思う。「認知症になった配偶者の世話をしない妻は薄情、夫は家事ができないから仕方がない」などという世間の見方が影響している訳でもないだろう。
女性は外に出るのが億劫な人が多く、それほど手が焼けないなら、頼りにならない夫でも存在してくれていた方がよいと思うのではないか?男性の場合は家に一人で置いておけない場合、合理的に専門家に任せた方がよいと考えるだろう。
認知症の症状にもよるが、人格変容などが起きた場合は、早めに他人に任せる方がよいと思う。

相続税

2017-01-19 | 老人福祉
相続税とは、亡くなった人の財産を相続人がでもらうときに、 支払わなければならない税金。
 
平成27年1月1日より相続税が増税された。
改正後の基礎控除額→3000万円+600万円×法定相続人数
改正前          5000万円+1000万円×法定相続人数
この計算方法によると、基礎控除の金額は改正前より40%縮小され、不動産などの資産がある場合、殆どの人が相続税の対象となる。
 
そして相続税の税率も、平成27年1月1日より以下のように変更になった。
相続税の速算表
 
相続税は、相続が発生してから10ヶ月以内に申告と納税まですまさなければならない。
1.相続財産がどれだけあるかを集計する
土地や建物などの不動産については路線価格で算定する。株式の場合、上場株式であるならすぐに計算できるが、非上場株式は計算に時間がかかるので、早めに税理士に依頼する。
葬儀費用や債務など、相続財産からマイナスできるものを引き算して、相続財産を確定させる。
2.法定相続人の人数を確定させて、基礎控除の金額を算出する
法定相続人の人数は、被相続人の戸籍謄本を出生から死亡まですべて取得して、養子等も含めて計算する。
3.相続財産から基礎控除の金額を引いて、相続税の計算をする
相続財産の金額と基礎控除の金額が決定したら、相続財産から基礎控除を引き算する。
 
このとき、 所得税や住民税の支払い通知を「相続税」の通知と勘違いしてしまう場合があるので注意が必要だ。亡くなった人の所得税や住民税の支払い通知を受け取ったら、 これは残された家族が支払わなければならない。所得税や住民税は、 本来なら生きている間に払うものなのだが、 行政の手続きの都合でどうしても支払い通知が遅れる。亡くなったあとに所得税と住民税の支払い通知が届いてしまうのだ。
この遅れて届いた所得税と住民税は、 相続財産の中から支払うことができる。
 

小規模宅地の特例

被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業用または居住用に使用していた土地で要件を満たす場合は限度面積までの部分について、評価額を50%~80%減額する事ができる。改正により評価の減額が行われる限度面積や適用面積の拡大が行われた。

居住用の宅地等(特定居住用宅地等)の限度面積が拡大

改正前 限度面積 240㎡(減額割合80%) ⇒ 改正後 限度面積 330㎡(限度割合80%)

居住用と事業用の宅地等を選択する場合の適用面積が拡大された。

改正前は、特定居住用宅地等240㎡  特定事業用等宅地等 400㎡の内、合計400㎡まで適用可能という限定的な適用だったのが、改正後は特定居住用宅地等が330㎡に拡大され、合計適用面積も730㎡となり、それぞれの限度面積まで完全に適用できるように改正された。

 
生命保険金の控除額の変更は改正にならなかったので、従来通り、500万円×法定相続人の数の控除が受けられる。
 
未成年者控除・障害者控除の拡大

基礎控除の縮小や相続税率の引き上げがある一方、未成年者控除・障害者控除については拡大された。

■未成年者控除
改正前:20歳になるまでの1年につき6万円
改正後:20歳になるまでの1年につき10万円

■障害者控除
改正前:85歳になるまでの1年につき6万円(※)
改正後:85歳になるまでの1年につき10万円(※)
(※)特別障害者(障害者1・2級)の場合には12万円(改正後20万円

【事例】相続人が16歳の特別障害者の場合

改正後:
未成年者控除 (20歳-16歳)×10万円=40万円
障害者控除 (85歳-16歳)×20万円=1380万円

本人の相続税額から控除しきれないときは、同じ相続で財産を取得した扶養義務者の相続税額から控除できる。

 
配偶者は法定相続分に対する税額控除がある。配偶者の取得した遺産額が1億6,000万円に満たない場合には1億6,000万円分控除される。
 
 

相続税対策

1.生命保険の活用

被保険者を被相続人予定者として、受取人を相続人予定者としておけば、被相続人が死亡した場合の死亡保険金は相続人に支払われることになる。そのお金で相続税を納付すれば、相続財産をそのまま維持できることになる。

死亡保険金もみなし相続財産となるため課税対象だが、死亡保険金と死亡退職金は、500万円に法定相続人の数を掛けた金額が非課税になる。なお、保険金の受取人が相続人以外の場合は、贈与税が課せられるので、注意が必要だ。

2.相続人を増やす

相続人を増やす方法としては、養子がある。平成27年1月1日以降の相続税については、基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数となります。つまり、基礎控除は1人600万円が認められる。また、養子縁組をすることで、生命保険の非課税分(500万円×法定相続人の数の金額)も増える。ただし、養子としてカウントされる人数に注意が必要だ。実子がいる場合には、1人分のみ、実子がいない場合には2人分までしかカウントされない。これは、相続対策を目的とした、意図的な養子縁組を防止するために定められている。

3.贈与を利用する

贈与税の基礎控除は110万円なので、110万円までの贈与には課税されない。したがって、110万円を10年間にわたって贈与を続けた場合、1,100万円の移転が可能だ。ただし、1,100万円を10回に分割した定期贈与とみなされ、課税対象となってしまうので、毎年贈与契約書を作るなど、定期贈与と認定されない工夫が必要だという。

また、基礎控除後の課税額が200万円までの税率は10%のため、多額の相続財産がある場合は20万円×10年=200万円の贈与税を支払って、310万円×10年=3,100万円を移転するなど、あえて贈与税を払うことで節税することも有効だという。

4.土地・建物を評価減させる

更地の状態の土地がある場合は、そこに建物を建てれば相続税評価額は大きく下がる。特に、アパートやマンションを建設し、人に貸すことは有効だ。

5.負債も相続の対象

相続財産はプラスの積極財産もマイナスの消極財産も対象となる。負債である消極財産は相続財産から控除されることになる。

6.不動産売却の注意点

最後に、やむを得ず不動産を売却する場合には、その利益に対して、譲渡所得税や住民税などが課税される。不動産の保有期間により税率が異なるので、どの不動産を売却するべきかの判断は慎重にすべきだ。

 何よりも大事なことは、出来る限り早めに対策をするということだ。被相続人が亡くなってからではやれることは限られてしまう。配偶者が残っている場合は相続税が発生するのはよほどの資産家だが、子供だけの相続の場合はかなりの相続税がかかるのは心得ておくべきだろう。


成年後見制度

2017-01-15 | 老人福祉
成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度からなり、法定後見制度はさらに後見、保佐、補助の3つに分けることができる。任意後見制度は本人の判断能力が衰える前から利用できるが、法定後見は判断能力が衰えた後でないと利用できない。
 
法定後見制度は本人の精神上の障害の程度によって区別され、申立全体の約8割が後見で、保佐、補助は圧倒的に少ない。
 
【後見】 ほとんど判断出来ない人を対象とする。
家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行う。また、成年後見人または本人は、本人が自ら行った法律行為に関しては日常行為に関するものを除いて取り消すことができる。
 
【保佐】 判断能力が著しく不十分な人を対象とする。
家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権を与えることができる。また、保佐人または本人は本人が自ら行った重要な法律行為に関しては取り消すことができる。
 
【補助】 判断能力が不十分な人を対象とする。
家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権(取消権)を与えることができる。
 
成年後見人の仕事は、大きく分けて財産管理と身上監護。身上監護とは介護行為ではない。本人の居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要となる。ここでいう「処分」は売買だけでなく、賃貸や抵当権の設定等の行為も含まれる。現金、通帳、有価証券、不動産権利証、実印、銀行印、印鑑登録カード等をそれまで管理していた人から受け取り、直接、銀行や保険会社等に成年後見人の就任を届け出る。被後見人の財産を調査し、1ヶ月以内に財産目録を作成し、裁判所に提出する。1年間に支出する金額を予定し、収入とのバランスを明らかにする。
 
家庭裁判所は、必要があればいつでも成年後見人に対し、報告を求めることができる、実務上は年に1回程度の報告で済むことが多い。 ただし、本人の居住場所が在宅から施設に変わったり、
入居先の施設を移る等して、本人の生活環境に変化があった場合や、 重要な財産を処分した場合は、その都度、家庭裁判所へ報告する必要がある。 なお、家庭裁判所からの指示に従わずに、定期的
な報告を怠ると、家庭裁判所が成年後見人を解任することがある。
 
専門職後見人とは、司法書士や弁護士、社会福祉士等の専門家が後見人になることをいう。もし、本人の近い親族が高齢や病気などで、後見人になれる適当な人材がみつからない場合は、専門職後見人という選択を積極的に検討してみるのがよい。なお、子供や兄弟姉妹が後見人になった場合、報酬を請求しないことも多いが、司法書士等の専門職が後見人になると、報酬を支払う必要がある。一月当たり2~3万円が平均。司法書士が成年後見人に就任した場合、報酬は裁判所が本人の資産額や後見人の業務量に応じて決定する。近年は司法書士が後見人に就任する事例が増加している。
 
成年後見制度が始まった当初は、本人の親族が成年後見人に就任することがほとんどだったが、 平成24年には親族以外の第三者が成年後見人に選任される件数が全体の約52%となり、 制度開始以来、初めて第三者後見人の割合が親族後見人を超えた。成年後見人に就任するのに特別な資格や研修は必要ない。基本的には誰でも後見人になることができるが、未成年者、破産者、被後見人に対し訴訟をし、またはした者、およびその配偶者並びに直系血族は後見人になることはできない。
 
 圧倒的に多いのが、本人の預貯金等の管理のため、保険金の受取や訴訟手続等のために成年後見制度を利用するケース。 病気で後見制度の利用をするのではなく、後見制度の利用無しでは出来ない法律行為を行う必要が生じた場合がほとんどだ。例えば、親の土地にアパートを建てる途中で親が病気になった場合、後見制度を利用しないと融資がうけられない。
 後見人に認められている身上看護の法律では、病院や施設との契約を結ぶ権限はあるが、どのような医療や介護を受けるかまでを決める「医的侵襲権への同意権」はない。家族が望む治療形態と後見人の考えが食い違ってトラブルが起こる可能性がある。家族が今の病院から転院して別の治療を受けさせたい、と考えても第3者の後見人が転院手続きを拒否したら転院が出来なくなる。
 本人名義の預貯金から介護・医療等に必要な費用の出金の為に、後見制度の利用が必要になる場合もあるが、後見制度を利用すると却って制限が加わる。後見人が本人名義の預貯金から出金する為には各金融機関で「後見の設定」を行い、後見人の権限下の口座にしなくてはならないが、後見設定の扱いは金融機関ごとに異なる。まず各金融機関共通で本人名義のキャッシュカードは廃止され、後見人の権限で代理人カードが作成出来るところと、キャッシュカードは一切作れず、窓口、しかも最初に通帳を作成した支店だけで、毎回後見人が公的な身分証明書を提示しての取り扱いになるところがある。
 
一見、良いとこずくめの制度のように見えるが、資産管理に対しての家裁のチェックが甘すぎて、後見人がその気になれば、本人の資産を家裁にばれずに着服する事も可能だという点が気になる。金融機関と家裁との連絡が密になるシステムの構築が必須だろう。

高齢者の定義を変更しようという提言

2017-01-08 | 老人福祉
2017年1月5日に、日本老年学会と日本老年医学会の連名で、「高齢者に関する定義」についての提言が行なわれた。主旨は、「現在、65歳であることが多い高齢者の定義が現状に合わなくなってきているので、75歳にしよう」というものだ。
 
65~74歳 准高齢者 准高齢期 (pre-old)
75~89歳 高齢者 高齢期 (old)
90歳~ 超高齢者 超高齢期 (oldest-old, super-old)
 
 
健康保険制度では「前期高齢者」は65歳から75歳、年金制度の支給開始年齢は、「60歳」から「65歳」への移行が行われつつある。「生産年齢人口」は15歳から65歳未満となっており、65歳以上は生産年齢人口から外れている。しかし、「高年齢者雇用安定法」では55歳を高齢者とし、道路交通法の「高齢運転者標識」や、東京都の「シルバーパス」は70歳以上を対象とする。一方、「高齢者の日常生活に関する意識調査」という内閣府の調査では、「自分が高齢者だと思う人が過半数になるのは“75歳以上”」という結果が出ているという。
 
「皆さん身体的にも精神的にも元気のようなので」高齢者の定義を見直すという提言は、政府の思惑が透けて見える。
 
「専門家」のお墨付きで定義を見直し、老人も働き、年金支給年齢を下げ、厚生労働省は社会保障制度を改変するのに悪用するに違いない。75歳まで働けるのだから、年金要らないでしょということになる。90歳まで健康な人が多くなるんだから、健康保険制度も90歳まで三割負担でいいでしょということになる。しかし、こういう『若返り』現象の一方で、高齢者の貧困層が増え、認知機能が低下しているという現実もある。経済的余裕があり、生活をエンジョイできる人は確かに健康年齢は上がっているが、今の若い人が老年になるころ、果たして健康で元気な老人でいられるかは、甚だ疑問だ。最近、高齢ドライバーによる交通事故の増加が社会問題化している。新定義の高齢者である75歳にならない従来の定義の高齢者が重大事故を起こしている。70歳になると、免許書き換え時には、認知テストを受けなければならない。かなり個人差のあることなのだから、安全ということを考えるなら、健康でない人に合わせて定義するべきではないか。そんて、公平な社会保障制度を考えるのなら、資産や収入で年金支給年齢を変える方が合理的だ。一律に支給年齢を上げるのは貧困高齢者の政府による虐待にしか見えない。「身体的機能」の若返りなんていう煽てで、高齢社会の問題を一刀両断に解決してしまおうという意図が透けて見える。
 
そのために政府がこういう提言をさせたんじゃないかと、思ってしまう。個人の事情に鑑みてきめ細かく社会保障を充実させてほしいものだ。 単なる年齢で一律に社会保障を低下させる施策は、超格差社会の今、所得の再分配という政府の役割をないがしろにするものだ。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住・サ付き)

2017-01-08 | 老人福祉
サービス付き高齢者向け住宅は、主に民間事業者などによって運営され、都道府県単位で認可・登録された賃貸住宅。サービス付き高齢者向け住宅の特長は、一般的な賃貸住宅よりも高齢者が住みやすく、借りやすい。多額の入居金を必要とせず、「入居者の居住の権利」が確保しやすい。また、入居時に支払う敷金は、一般的な賃貸住宅と同様に、原状回復等に必要な額を差し引いて退去時に返還される。
他の介護施設と比較して選択肢が豊富なサービス付き高齢者向け住宅を選ぶことで、住み慣れた地域に住み続けやすくなるというメリットがある。
 
デメリットとしては一般的な賃貸住宅に比べ家賃が高く、連帯保証人を求められる。また、重度の介護状態では、住み続けられない。介護は訪問介護サービスを利用する。
 
サービス付き高齢者向け住宅の入居には、多くの場合、初期費用(敷金)と月額費用が必要になる。施設の場所や居室面積によって、初期費用は0~数百万円、月額利用料は10~30万円程度とかなり差が大きい。サービス付き高齢者向け住宅への入所基準は、60歳以上の高齢者または要介護者・要支援者。そのほかの条件は、「身の回りの管理ができる」「感染症にかかっていない」「認知症患者ではない」など、施設によって様々。サービス付き高齢者向け住宅で提供されるサービスは、「安否確認」と「生活相談」。ただし、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている一部の施設では介護職員による食事・掃除・洗濯のサポート、介護職員や看護師による入浴・食事・排泄などの介護、機能訓練指導員によるリハビリテーションなど、介護付有料老人ホームとほぼ同様のサービスを行っている。
 
サービス付き高齢者向け住宅には、基本的な設備である居室のほか、施設によっては食堂と共同リビングを兼用する共同生活室などの設備が備えられている。居室には台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室などが設置され、1戸当たりの床面積は原則、25平方メートル以上。十分な面積の共同生活室がある場合には、18平方メートル以上とされている。また、施設全体が床の段差がない、廊下幅が78センチ以上あるなど、バリアフリー構造が義務化されている。
 
 
サービス付き高齢者向け住宅への入居の申し込みは、各施設に行う。入居申込書・本人確認書類・連帯保証人の本人確認書類・収入・資産などの証明書類の提出、訪問あるいは来訪による面談による健康状態や懸案点などの確認を経て、施設スタッフなどが、「自立度」「介護の必要性」「資産や収入額」などから、総合的に判断して、入居を審査する。サービス付き高齢者向け住宅は現在非常に増えていることもあり、空き物件は比較的簡単に見つかる。ただし、低価格帯の物件は人気があるので、条件が合う物件を見つけた際には早めに申し込んだほうがよい。
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者向けの住宅を増やし、高齢者が借りやすくすることを目的とする「高齢者住まい法」に基づいて作られた制度。2011年10月のサービス付き高齢者向け住宅の制度開始により、制度が複雑で基準が明確でないなど問題点の多かった「高齢者円滑入居賃貸住宅」「高齢者専用賃貸住宅」「高齢者向け優良賃貸住宅」はすべて、サービス付き高齢者向け住宅に一本化された。

特別養護老人ホーム(特養)と老人保健施設(老健)の違い

2017-01-08 | 老人福祉
特養は、基本的には終身。自宅での介護が難しい高齢者が入所する。入所するときは、「転居」という形をとる。
特別養護老人ホーム(特養)は、「要介護3」以上に限定される。実際に入所している人は要介護4-5が多い。
公的施設で安い費用で利用できる特養は、全国で42万人の待機者がいると言われ、そのうち要介護4~5で在宅のままでの待機者は6-7万人という。
認知症が重度の場合や、家族による虐待があるような場合などの例外となるケ-スも想定されている。
 
老健は、基本的には3ヶ月単位で入所する場合が多い。病気や怪我で入院したけれど、退院するように病院から言われたが、そのまま在宅に帰るのは難しい。老健に一時的に入所して、在宅に戻れるようにリハビリするのが目的。戻れなさそうな人は特養へ....という、在宅生活と施設生活の中間施設といわれていた。
 
しかし、今は両者とも似たような状況になっているようだ。
老健の施設によっては、1-2年ぐらい入所している人や色々な老健を転々と移動する人も多い。3ヶ月入所して、一度在宅に数ヶ月戻り、再び入所すると言うように、特養が空くまで老健で待機するなど。
とにかく家に高齢者を置いて置けない。でも、すぐに特養は入れない。(順番待ちが凄い)そんな人が一時的に入所できる便利な施設である。親の介護のために会社を辞める前に利用できる施設がないか、市役所などに出向いてよく調べた方がいい。そうしなければ親子ともども共倒れになってしまう。自分が探さなければ、利用できる施設があっても利用できない。向こうから困った人に声掛けはしてくれないのである。介護保険を強制的に払わされているのだから、福祉施設を利用するのは国民の権利である。どんなものがあるのか普段から調べておき、緊急時、慌てないようにしたいものである。
 
 
特別養護老人ホームや介護療養型医療施設の費用と同様に、介護老人保健施設も費用の安さが特徴である。介護保険施設という公的な施設のため入居一時金は不要、家賃や管理費も、民間が運営する有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などよりも低額に抑えられている。ただ、介護老人保健施設(老健)では医療費がかさむことによって費用が高くなる傾向がある。ただし介護老人保健施設は、医療ケアやリハビリの必要な人が自立生活への復帰を目指すという施設の性格上、医療サービスが必要不可欠。通常の介護保険一割負担額以外にも「口腔機能維持管理加算」や「療養食加算」といった医療連携加算がかかってくるケースが多くなる。また、必要に応じて看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった各種の専門スタッフによるケアが必要になることもある。そうした場合でも当然、費用が加算されることになるため、身体の状態やリハビリの内容によっては、特別養護老人ホームよりもかなり高額にというケースも珍しくない。ただし、これも特別養護老人ホームと同様に、本人や家族の収入が少ない場合は減額の措置が採用され、家賃や管理費だけでなく食費にも適用となる場合がある。
 
 
介護型療養医療施設とは?。
入居一時金はかからないが、家賃・食費・光熱費、その他日常生活にかかる雑費などが必要となる。特養や老健と比べ、医療費の負担が大きい。負担すべき額は、本人や扶養義務のある家族の世帯収入・課税状況の他、相部屋・個室ユニットなどの部屋タイプによって異なる。
 
月額利用料の目安
ユニット型個室:25万円
多床室(相部屋):9~17万円
 
入居条件
対象者は、原則65歳以上で「要介護1」以上の介護認定を受けていることが条件になる。その他、伝染病などの疾患がなく、病気での長期入院などを必要としないことなど、施設によって条件が異なる。入所の申請には、施設への申し込みから面談・主治医意見書・診断書を通して、本人の健康状態や介護度を審査する。看護師や医師、介護福祉士、管理栄養士などの専門スタッフによって医療・看護が提供される施設となるため、それぞれに特化したサービスを受けられる他、介護サービスの体制も万全。あくまで“療養”を根底にした各種サービスを受けることができる。そうした特徴のため、一般的な有料老人ホームなどで提供されている生活支援サービスやレクリエーションなどは、あまり期待できない。
日常生活上のサポートやレク、イベントなどを期待する場合は、民間が運営する有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への入居を検討する方が良い。
 
施設設備・人員基準には、厚生労働省の指定する「指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準」を満たす必要があり、基準が厳しいのだが、実態は医療や看護を必要としない入所者が多く、長期的な医療コストや社会保障費の圧迫などの理由により、厚生労働省により2017年末、廃止の方向である。通常の老健より医療面に充実した「新型老健」と言われる新しい介護施設への転換が予定されている。
介護療養型医療施設は、病院に併設されていることも多く、設備は通常の入院病床に近い環境である。1人あたりの床面積は6.4㎡以上と指定されていて、居室のほとんどが多床室。従来型の多床室となるため、4人部屋が半数近くとなっている。居室の他、食堂や談話室、機械浴室、診療室、洗濯室、健康管理室、共同トイレなどがある。
また、介護療養型医療施設の病床は、重介護者のための「介護療養病床」と「老人性認知症疾患療養病床」と呼ばれる重度の認知症の方のための病床が分けられ、どのようなサービスを利用するかによって入る居室のタイプが異なる。最近では、入居者の状態に合った介護を適切に行うために、多床室以外にユニットケアを行う「ユニット型個室」や「ユニット型準個室」なども増えている。準個室は大部屋を、天井まで届いていない高さの壁を設置することで個室のような環境に変えたもの。利用料金は「ユニット型個室」「ユニット型準個室」「従来型個室」「多床室」の順に高額となっている。
 
長期間入所することができる介護療養型医療施設は、他の介護老人保健施設や特別養護老人ホームと比べて医療体制の充実が特徴であり、国の指定する施設区分としては、「病院」として位置づけられている。そのため、100床あたりの人員配置は医師が3人、看護職員が17人、介護職員が17人と介護保険3施設のうち最も医師の配置人数が多い。
 
介護療養型医療施設のメリット・デメリット
メリット: 入所一時金が不要で医療ケア・機能訓練が充実。容態が悪化しても一般病棟への移動が用意。胃ろうやカテーテル、インスリン治療、たん吸引などの医療ケアが常時必要な人や寝たきりの人には利用価値の高い施設である。
デメリット:終身利用は約束されていない。医療加算によっては費用が割高。相部屋の場合はプライベートスペースが少ない。
 
利用料は民間の有料老人ホームと比べて比較的安く、同じ医療ケアを受ける際に医療保険を使った場合と介護保険を使った場合、介護保険を使った場合の方が安い人にとっては利用メリットが大きい。
1ケ月で部屋代も含めて相部屋であれば10万円程度から利用できる。
急性期を過ぎた寝たきりの患者に対して医学的管理を行うことが目的の施設なので、症状が改善すれば退居を促されるケースもある。糖尿病などの慢性的な病気や認知症などによって徘徊症状のある人も入居ができる。2010年10月時点での介護療養型医療施設入所者の平均要介護度は4.36、比較的介護度の高い利用者が多い。療養病床への入所者は平均在所期間が1.3年となっており、特別養護老人ホームよりも短いものの、4割の入所者の退所理由が「死亡」による。
 
 
 
■介護保険の支給限度額
要支援・要介護の認定を受けると、介護保険サービスを1割の自己負担で利用することができる。ただし、いくらでも1割で利用できるわけではなく、要介護度によって支給限度額が決められている。
 
自立
自立と判断され、身の回りの世話が必要ないとされる状態
支給なし
 
要支援1
基本的な日常生活の能力はあるが、身の回りの世話に一部介助が必要。
49,700円(自己負担額4,970円)
 
要支援2
立ち上がりや歩行などがやや不安定で、入浴などで一部介助が必要。
104,000円(自己負担額10,400円)
 
要介護1
立ち上がりや歩行が不安定。排泄、入浴などで部分的に介助が必要。
165,800円(自己負担額16,580円)
 
要介護2
立ち上がりや歩行などが自力では困難。排泄、入浴、衣類の着脱などで介助が必要。
194,800円(自己負担額19,480円)
 
要介護3
立ち上がりや歩行などが自分ではできない。排泄、入浴、衣類の着脱などで全体的な介助が必要。
267,500円(自己負担額26,750円)
 
要介護4
排泄、入浴、衣類の着脱などの日常生活に全面的に介助が必要。
306,000(自己負担額30,600円)
 
要介護5
寝たきり状態。日常生活全般に全面的な介助が必要。
358,300円(自己負担額35,830円)