東京・府中の老舗菓子店「青木屋」は、今年「武蔵野日誌」という菓子でモンドセレクションの金賞を受賞した。授賞式後の記念セールでは通常の10倍売れるほどの反響があったという。先月末、地中海に浮かぶマルタ島の授賞式を取材すると、目立つのはタキシードやドレスに身を包んだ日本人の姿。実は受賞商品約2,700点のうち、半分以上の約1,800点近くが日本の商品だ。モンドセレクションは審査員全体の平均点で受賞が決まる絶対評価方式で、最高金賞、金賞、銀賞、銅賞の4段階で評価される。日本からの申し込み費用は、食品の場合1点およそ27万円。最低8人の審査員が20項目にわたって審査する。一定の基準を満たせば受賞できるため、銀や銅も含め、応募賞品の90%近くが受賞する。授賞式に出席した「青木屋」の多久島社長は、「もしかしたら(モンドセレクション受賞が)当たり前になっていくかもしれない」と言う。
モンドセレクション(Monde Selection)とは食品、飲料、化粧品、ダイエット、健康を中心とした製品の技術的水準を審査する民間団体であり、ベルギー連邦公共サービスより指導及び監査を受け、モンドセレクションより与えられる認証(この組織では賞と表記している)である。
100点満点の90点以上で優秀品質最高金賞(グランドゴールドメダル)
80点以上で優秀品質金賞(ゴールドメダル)
70点以上で優秀品質銀賞(シルバーメダル)
60点以上で優秀品質銅賞(ブロンズメダル)
モンドセレクションは国際的には知名度が低いが、日本国内での知名度は高い。審査対象品の5割が日本からの出品であり、日本の商品の高品質が認められ8割が入賞している。
一定の技術水準に達していることを消費者にアピールし、売り上げを大幅に伸ばした例もある。
日本では1966年から日清製菓のバターココナツがトロフィーを受賞し、パッケージにメダルのデザインを表示し、CMで「最高金賞受賞、おいしさが世界に認められた」と宣伝したことから一躍有名になった。2007年にはサントリーがザ・プレミアム・モルツのテレビCMにて特別金賞を3年連続受賞を宣伝したことでモンドセレクションの名前が広く認知されるようになった。
賞と言うと、品評会と勘違いしてしまうが、実際のモンドセレクションは商品の優劣を競うコンクールではない。品質ランク認定や品質検査に近いものだ。
モンドセレクション受賞商品がやけに多いという印象があるが、実際に数多くの商品がモンドセレクションを受賞している。
世界的にはほぼ無名の賞で、「海外の賞を受賞」というフレーズに弱い日本人だけが踊らされていると言えそうだ。インチキの実態を知った上で、日本企業が消費者を欺くのに利用しているのかもしれない。
そういえば、小売店頭で『金賞受賞ワイン』といったタグを、ボトルネックから下げたワインを見かけることも多い。
『金賞受賞ワイン』と言われれば、すぐれているんだろうと思うのが普通だが、これを真に受けて買った消費者の多くは満足しているのか?甚だ疑問だ。
現在の世界のワインショーの実態は、権威があると目されるワインショーも存在するようだが、多くは誰が主催しているのか、どういう選考をしているのか、ほとんど説明不能のワインショーも横行しているという。
単一あるいは複数のワイナリーと利害関係が一致した業者グループが、ワインのプロモーションの一環としてワインショーを仕立てる、ということもおこなわれているという。
実際、オーストラリアではあまりにもワインショーが増えて、ペタペタと受賞シールが貼られるようになり、受賞ワイン=優良ワインの図式が保てなくなってしまい、ワイン業界の自主ルールとして、2005年のヴィンテージより、公認されたワインショー以外の受賞シールをボトルに貼ることを禁止したと言う。
実は、生産者が自発的にコンクールに出品しているケースはそれほど多くないらしい。仕入業者や編集者が勝手にワインを選んで品評し、受賞後に生産者に知らせることが多いのだとか。
日本で流通している金賞ワインには、赤ワインであること、フランスのボルドーワイン、2000円前後の価格帯、若いヴィンテージ(収穫年)であるなどの傾向が強いという。
ボルドーという地域には、1855年に制定された格付けシャトー(醸造所)だけで60もある上、全体でシャトーの数は約1万あると言う。
そうした状況の中で、自分のシャトーのワインを多くの人に知ってもらうのはなかなか大変なことで、品質に「お墨付き」を与えてくれるコンクールは非常に有効なのだとか。
高級ボルドーがもてはやされる日本のワイン市場で無名なボルドーワインを買ってもらうには、コンクール受賞がとても大きな意味を持つわけだ。
一方、世界の多くのワイン生産者が高得点を取ることを目指し、ワイン業者がワインの品質の指標としているのが、「パーカーポイント」だ。パーカーポイントは、アメリカの弁護士でワイン評論家のロバート・パーカー氏が付け始めたもので、味わいや香り、色などを合計100点満点で採点する。90点以上で「傑出」、95点以上で「格別」とされ、100点を取ろうものなら何十年も称賛を浴びることになる。
ただ、現在のワイン業界はあまりにパーカーポイントに振り回され、世界的に味が均一化されてきたという声もある。生産者が高得点を狙うあまり、土地の特性を無視してパーカー氏の好みに合わせたブドウを植え、パーカー氏が好む味わいを作る風潮になっているからだ。 パーカー氏は、樽の利いた濃い味わいを好み、繊細な味わいは評価が低いとも言われる。
嗜好品は自分が気に入ればよく、他人の嗜好に振り回される必要はない。いろいろ飲んでみて、好みの味わいを見つけるのが王道だろう。
ワインの味は「ぶどうの品種」で決まる。
●白ワイン
ソーヴィニヨン・ブラン・・・・白ぶどう品種の中でクセのない味わいが特徴のポピュラーな品種
シャルドネ・・・・辛口ワインでは最もポピュラーな白ぶどうの王道品種
●赤ワイン
ピノ・ノワール・・・・フルーティーでとても繊細な味わいが特徴
カベルネ・ソーヴィニヨン・・・・期待を裏切らない、しっかりとした味わいが特徴
メルロー・・・・酸味が低く、ソフトでコクがあり親しみやすい。