オータムリーフの部屋

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ネット監視と炎上攻撃

2015-04-07 | 政治

太田光のバカ発言は良識ある正当な批判だと思うが、今の日本では、この程度の些細な政権批判や論評、揶揄に対して、「一国の総理に対しておかしい」「名誉毀損だ」「放送法違反だ」という圧力が加わり、口をつぐまざるをえなくなっている。

森喜朗総理大臣が早稲田大学在学中に売春取締条例で検挙歴があることを月刊誌「噂の真相」(休刊)が2000年スクープした。これに対し森喜朗が、名誉を傷つけられたとして、謝罪広告および1000万円の慰謝料を求めた民事訴訟を起こした。このとき、森は記事内で自分のことを「サメの脳ミソ」「ノミの心臓」と表現したことについても、名誉毀損の対象となると主張した。しかし、翌年の4月28日、東京地裁の判決は、「サメの脳ミソ」「ノミの心臓」という暗喩表現について、〈低能、小心者を想起させる表現であり、原告は内閣総理大臣を務める適正を欠くかのような印象を与え、原告の名誉感情を害しかねない〉と前置きしつつ、〈具体的事実を適示するものではなく、いささか品位を欠く表現ではあるけれども、表現自体が違法性を帯びるようなものとはいえない〉とした。そして、こう続けている。
〈原告は政治家で、しかも内閣総理大臣である。その資質、能力、品格が政治的・社会的に厳しい批判に、時には揶揄にさらされることは避け難い立場にある。こうした立場を前提に本件雑誌を読む一般の読者も、風刺的表現として理解するにすぎないであろう。「サメの脳ミソ」などの表現をもって、直ちに原告の社会的評価を低下させるとするのは相当ではない。この程度の表現は受忍すべきだ。〉
 
 先進国ではどの国でも、メディアやジャーナリスト、お笑い芸人たちが自由に大統領や首相などの権力者を批判し、揶揄し、茶化し、バカにしている。権力者の側もそれを圧力で封じ込めたりすることはない。日本もかつてはそうだった。
 ところが、2000年頃から報道に逐一抗議をし、謝罪訂正しないと名誉毀損訴訟を起こすようになった。そして自民党ネットサポーターズクラブなどのネット監視機関をつくり、積極的にネットの言動を監視し始めた。自民党の批判者に「炎上攻撃」を仕掛けることで、批判意見を封じ込める作戦でかなり成果を上げているようだ。

  
自民党ネットサポーターズクラブ
2009年の第45回衆議院議員総選挙のときにパンフレットを配布した有志から17人が企画委員として参加し、その人達が核となったボランティア組織。
会員数は公式サイトによると約1万人。一方で本クラブに沿う形で党の支部「J-NSC支部」が組織されている。中川昭一の言葉「飛翔する日本へ」をスローガンとし、麻生太郎が毛筆で書したものが公式サイトに掲げられている。
事務所:自由民主党本部内(東京都千代田区永田町1-11-23)

役員
最高顧問 - 麻生太郎、谷垣禎一
相談役 - 小池百合子
代表 - 平井卓也(2010年11月- )自民党ネットメディア局長が兼任する。

自民党の政権奪還に向けて党勢拡大、若者を中心とした新たな支持層の開拓や将来のネット選挙に備え設立された。会費は無料で、ウェブサイトから会員登録すると会員証が送付される。その性格上、日本全国に会員を抱える。
本クラブの設立総会参加者に対しては、麻生太郎が推薦人となって党員登録を受け付けた。入党すると従来の都道府県連や地域支部や職域支部ではなく「本部直轄党員」や「J-NSC支部所属党員」となる。

公式サイト上に会員専用の動画配信、電子掲示板が存在し、会員間の交流ができる。選挙時などにはビラ配布などの活動を行う。設立総会をはじめ、主要なオフ会はニコニコチャンネルの「自民党チャンネル」で生中継される。「自宅で出来る、ネットを通じて自民党の考えを広めていく」というのが主な活動であると謳っている。「インターネットを活用した各種広報活動」とは果たして何であろうか?彼らの活動範囲は、2ch、まとめブログにとどまらず、ニコニコ動画、you tube、yahooコメント・意識調査・知恵袋等にもおよび、それらのコメントが偏りすぎているという苦情も相次いでいる。
 自民党ネットメディア局長の平井卓也衆院議員がニコニコ生放送ネット党首討論で福島瑞穂党首を「黙れ、ばばあ!」と罵倒するコメントを書き込んでいたと、一部で報じられたことがあった。一方で「あべぴょん、がんばれ」等と自作自演コメントも行っていた。 あべぴょんとは、平井氏自らが発案したスマートフォン向けゲームのゆるキャラ名を指す。東京新聞によると、コメントは平井氏がスマホで書き込んだ。他党党首らの誹謗中傷を書き込んだことについては、「申し訳なかったが、やじみたいなものだ」と釈明した。しかし、書き込んだにもかかわらず、「画面には流れていなかったはずだ」と説明したという。
 
 自民党はネット工作団体のJ-NSC(自民党ネットサポーターズクラブ)やネット管理委託以外にも、参議院選挙の頃から新たに「ソーシャルメディアの投稿監視サービス」も使用している。ツイッターなどのSNSサービスに投稿される情報を一気に調べる特殊な装置で、自民党が嫌な情報を瞬時に見つける優れ物だ。
 ガイアックスは2013年6月19日、ソーシャルメディア投稿監視サービスを自民党に納入したと発表した。参議院候補者の公式アカウントについて、第三者のコメントによる誹謗中傷やデマ、荒らし行為などを監視するという。 Facebookについてはガイアックスが管理の委託も受け、必要に応じてコメントを消したり、Twitterのメンションを監視して、誹謗中傷やデマなどへの即時対応が必要な場合に自民党に連絡する。同社は自民党のソーシャルメディアのリスク対応チームにも参加し、ソーシャルメディア全般のリスク対応などをアドバイスしているという。
 

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