オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

「安い原発」のウソ

2014-08-26 | 原発
内閣や原子力ムラが、「世界一安全な原発」「安い原発」などと嘘八百で再稼働を進めている中、電力会社の方が未来を見据えて現実的な道を歩んでいるようだ。
 
 東京電力は21日、川崎火力発電所(川崎市)に新たに建設している世界最高効率の液化天然ガス(LNG)の発電設備を報道陣に公開した。
 この設備は、排熱も発電に利用する「コンバインドサイクル方式」を採用している。出力は71万キロワットで、熱効率は61%。同じ川崎火力にあるコンバインドサイクル方式の発電設備の59%を上回る。2016年7月に営業運転を始める。
 この日は、設備の主要パーツの一つ、排熱回収ボイラーが発電所に運び込まれた。高さ39メートル、重さ3300トンの世界最大級の装置で、三菱日立パワーシステムズ長崎工場(長崎市)から船で運び、100人がかりで特殊車両に移し替えて陸揚げした。
 電力各社は原発の再稼働が見通せない中で、火力発電の高効率化や増強を急いでいる。
 佐藤浩・川崎火力発電所長は「火力の効率化を進め、燃料費を減らし、電気料金の抑制につなげたい」と話した。(朝日新聞 西尾邦明)

 火力の効率化を進め、燃料費を減らし、電気料金の抑制につなげたいという立派な心がけである。
ところが、経産省は相変わらず、原発邁進である。しかも安い原発と言っていたはずだが、電力自由化後も原発の電気料金は国が保証するらしい。
      
原発の電気価格、国が保証? 自由化後も優遇策
経済産業省は二十一日、電力の完全自由化後も、原発を持つ電力会社に損失が出ないよう支援する制度を検討していることを明らかにした。電力会社をつぶさないための現在の総括原価方式は自由化で撤廃されるが、新制度案は原発を特別扱いした「第二の総括原価」となりかねない。 
家庭用の電気料金は現状では、国の認可制度の下、電力会社が原発などの発電費用をすべて回収できるように設定できる総括原価方式で決まっている。だが、2016年4月に始まる電力の完全自由化策の一環として、総括原価方式は2018~2020年をめどに廃止され、料金は電力会社が自由に決められるようになり、競争による企業努力で消費者にとっては安くなることが期待されている。
しかし、経産省がこの日の有識者会議で示した案では、原発で発電した電気の基準価格については、完全自由化後も国と電力会社が決定し、市場価格が基準価格を下回った場合は、差額を電気料金などで穴埋めする。基準価格は総括原価方式と同様に、原発の建設費や使用済み核燃料の処分費用などの投資額を基に決めるため、大手電力は損をしない。
原発にはこれまでも手厚い優遇策が取られており、会議では九州大の吉岡斉教授が「原発は極端な優遇策を講ずるに値しない」とする意見書を提出。原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「国や電力会社が繰り返してきた『原発は安い電源』との主張に矛盾する」と批判した。(東京新聞)


 そもそも電力の自由化により電力会社以外の事業者の参入が進むと、利用者は電力会社を選べるようになるため、電気料金の引き下げが進み、廃炉費用や使用済み燃料の処分費用などを含めると最も高い発電単価となる原発は淘汰される。
 それでは困るので市場価格と基準価格の差額を電気料金などで穴埋めすると言う。

 経済界の中には、コストの安い原発を稼働しないと、日本経済が立ち行かないという馬鹿な意見が多い。大手銀行は国が保証するのを見越して東京電力に莫大な融資をした。いやしくもビジネスマンなら、政府のウソを見抜き、コスト計算ぐらいまともにやって、原発稼働が得策か、ゾンビ原発に融資するのが日本のためになるのか、自分たちの頭で判断し、自己責任で破綻してもらいたいものだ。
 原発は、ウランを使うだけならば原価は低い。しかし、廃炉費用や、使用済み核燃料の処理、原発地方自治体にばらまく金、事故を起こすと発生する天文学的なコストなどを考えると、採算がとれるわけがない。原発の将来に発生するであろうコストを計上すると、原発再稼働で値上げをしなければならなくなるはずだ。 しかも原発の再稼働で、新産業は生まれない。再生エネルギーの開発や火力発電のイノベーションで産業界は活性化するはずである。
 原発にしがみつけばしがみつくほど、将来、傷が深くなることは福島原発を見れば容易に想像できる。汚染水はおろか廃炉に何百年かかるか想像すらできない・・・・

最新の画像もっと見る

コメントを投稿