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福島の子供にがんが急増

2015-10-24 | 原発
「福島県内の子供たちの甲状腺がんの発生率は全国平均の20〜50倍で今後さらに多発する可能性は大きい──」
岡山大学大学院の環境疫学の専門家である津田敏秀教授を中心とした研究グループが医学雑誌「Epidemiology」に発表した。事故当時18歳以下だった福島県民全員を対象に実施した甲状腺がん検査の数値を分析したところ、発生率は実に国内平均の20~50倍、しかも潜伏期間やチェルノブイリでのデータから今後も増加は避けられないという。
福島県の発表でも、8月31日時点で検査対象の約38万5千人のうち甲状腺がんと確定したのは104人。さらに疑いも含めると137人もの子供たちが甲状腺がんと診断されている。これは100万人に2〜3人という日本の全国平均を大きく上回る。しかし、津田教授らの発表は海外メディアやネットで大きく報じられるが、日本の主要メディアではほとんど触れられていない。福島県検討委員会は「現時点では福島で見つかった甲状腺がんは原発事故の影響とは考えにくい」と事故とは無関係の立場をとる。
 
津田教授は甲状腺がんの増加を「過剰診断」や「スクリーニング効果」によるものという政府の説明に対し、反論した。
「スクリーニング効果や過剰診断によってどのくらいの偽の多発が起こってくるのか。せいぜい2〜3倍、あるいは6〜7倍という一桁のデータ上昇しかないわけです。ところが福島県では20倍から50倍の多発が起こっている」
「WHOは2012年の線量推計に基づいて、約8倍から10倍の甲状腺がんが多発するとした。ところが線量推計のドラフトの段階で、日本政府はロビー活動によってそのドラフトの線量値を下げた。これが報道されたのは昨年末の12月7日。つまり、行うべき対策とは逆の対策をロビー活動でやっていたわけです」
(2014年12月7日朝日新聞)
2011年11月のドラフト版で 1歳児における甲状腺等価線量が、福島県浪江町で300~1000ミリシーベルト、東京や大阪で10~100ミリと推計されていた。
 日本政府が WHOに修正を働きかけた結果、1歳児の甲状腺等価線量は最終的に浪江町で100~200ミリシーベルト、東京や大阪䛿1〜10ミリに下がった。
 
そして津田教授はチェルノブイリ事故で行われた調査データを紹介する。
チェルノブイリの事故から1年後に生まれた子供、また比較的汚染が低い地域の子供たち4万2千人を検診した結果、甲状腺がんが1人も見つからなかったという。チェルノブイリ事故では甲状腺がんは5年目に激増した。
 
原発事故の健康被害をできるだけ少なく、いや出来れば皆無にしたい日本政府。ひたすら追随する現在の医学界。医学界もまた政府、電力会社の意向に従い、利権の温存を目論む“原発ムラ”の一員だった。
正確な情報は遮断され、福島県に住む人々は自衛の手段さえ取れない。
「詳細な情報を与えるだけで、有害な被爆はケタ違いに少なくなる。きめ細やかな、コストのかからない対策はいくらでも思いつく。福島県に住み続けなければならない人ほど、正しい知識を与えられなければならない」
 
来年、事故後5年目に突入する福島県。正確な情報と対策が必要だ。

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