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オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

世界を戦争に導くグローバリズム(中野剛志)

2014-10-23 | 国際

米国の時代は終わった。その次に来るのは、覇権国家なき大混乱。問題はこうした危機に政治も国民もあまりに鈍感なことだ。

中東の混乱は収拾がつかず、ロシアはクリミアを強引に奪取したが、国際社会はなす術がない。東シナ海、南シナ海では中国による挑発行為が止まらない。いずれも米国が世界の警察官として睨みを利かせていれば、考えられなかったことです。 イラク戦争の後、大きな転換が訪れたのです。米国はイラク戦争でかなりの打撃を受けた。そこにリーマン・ショックが襲いかかった。そのどちらも米国の大戦略のミス。自由や民主主義といった米国の価値観を武力で他国に押しつけ、混乱を招き、グローバル化で経済を不安定化させて、米国は衰退した。グローバリズムという思想の過ちの結果です。
 東アジアの緊張、中東の大混乱、ウクライナ危機などのトラブルが世界中でほぼ同時に起きたのは偶然ではありません。米国の覇権国家としての力が落ちたからこそ、ここぞとばかりに噴出したのです。米国が世界の警察官としての力が落ちてきたからこそ「日本も相当の責任を負担せよ」ということなのでしょう。そういう議論自体は10年前でもありました。でも、この10年で米国の国力は予想を超える速度で落ちてしまった。日本が集団的自衛権を強化し、米国に協力しても、もう間に合わない事態だと思います。
でも、日本は日米ガイドラインを見直して、周辺事態でなくても、米軍に協力しようとしています。でも、米国が日本を守れるのかは怪しいと思います。一例をあげると1982年のフォークランド紛争の際、米国が米英同盟に基づいて、派兵したかというと、していない。イギリスは独力でアルゼンチンからフォークランドを奪い返した。尖閣だって同じことです。アルゼンチンに対して動かなかった米軍が、核保有国であり、GDP世界第2位の中国に対して動くでしょうか。日米同盟強化の意味を問うべきです。
良くて中国への経済制裁でしょうが、経済制裁なんて効果がないのです。経済制裁にあってもロシアがクリミアを返還しないことからも明らかです。まして米中の経済関係は米ロよりもはるかに濃密です。米国が中国に経済制裁をしたとして、中国から経済的な報復をされたら、米国はかなりのダメージを受けてしまう。それに、そもそも日米安保条約は日本が武力攻撃を受けなければ、米軍は動かないことになっている。無人島に漁民を装った武装集団が上陸しても武力攻撃には該当しません。しかし、ウクライナの例を見ても分かるように、最初に制圧した者が圧倒的に優勢に立つ。

 国際秩序を維持するためには理想主義と現実主義という2つの外交上の考え方があります。理想主義とは、民主主義や経済的な自由主義を広めれば、米国の価値観に基づく国際秩序を建設できるという考え方で、冷戦後の米国はこの理想主義に立って、テロとの戦いや中東の民主化、経済のグローバル化を推進し、そして失敗した。一方、現実主義はイデオロギーではなく、パワーの均衡によってしか国際秩序は成り立たないという冷徹な考え方です。オバマ大統領は理想主義から現実主義に舵切りしたいが、うまくいっていない。なぜなら、現実主義を貫く大前提として、独裁国家であろうとなんだろうと、国内が統合されていることが絶対条件になるからです。ところが、今の中東はそれぞれの国家が硬いビリヤードのボールではなく、腐ったトマトのような状態ですから、パワーの均衡など目指すことができない。イラク戦争という理想主義の暴力によって破壊された中東の秩序は、もはや現実主義をもってしても回復し得ないのです。

 カーター政権で大統領補佐官を務めたブレジンスキーは1997年に書いた「壮大なチェス盤―アメリカの優位性とその地政戦略的課題」という本の中で、ウクライナの危機を見越していた。その彼が最も恐れる最悪の事態が、ロシア、中国、イランというユーラシア大陸の3大パワーが手を組んで反米同盟を結成し、米国をユーラシア大陸から追い出そうというものでした。それに近い事態が、今、起きつつある。米国の地政学的基盤はこの20年弱で、ブレジンスキーが考えているよりもはるかに腐食したと思います。

 日本の外交は八方塞がりです。靖国参拝をやめればどうにかなるといった段階は過ぎています。少なくとも10年前から、米国衰退という事態を見越して行動すべきでした。高校受験の前日になって、「勉強してないけれど、どうしよう」と言ったところで、どうしようもないのと同じです。
中東、東欧、東アジアとすべてにおいて、バランスが崩れていくと思います。今生きている人が経験したことがないような時代が来てしまったのです。(日刊ゲンダイ)


アメリカ後の世界の覇権や国際秩序についての議論がここ数年盛んになっている。その代表的なものが、アメリカと中国の2国が覇権を担う「米中G2論」、覇権国なき「Gゼロ論」である。
確かにアメリカの外交的な威信は揺らいでいるようにみえる。
しかし、アメリカが作り上げ、維持してきた国連を中心とする第二次大戦後の国際制度はいまだに有効である。対テロ戦争という消耗戦はこれからも続いていくだろうし、それに対応した安全保障戦略はアメリカ主導であり続けるだろう。アジア太平洋地域の安定化をもたらすのは、日米同盟や米比同盟というアメリカを軸とした同盟関係であり、中国の「封じ込め」であろう。
アメリカの金融システムには批判も多いが、新しい経済発展の理論は未だ見えない。グローバル化が進めば世界は平和になり、市場は世界的に広がり、経済発展が加速すると思われたが、実態は異なる。
新興国は先進国ほど政治が安定していない。欧州が近い将来、経済成長を取り戻すことはない。極右が台頭し、イスラム過激派も勢いを増すだろう。
 国内外を問わず、強欲資本主義がもたらした富の偏在がアメリカを衰退させ、その同盟国も弱体化させる。国民が貧困になり、内需が細っても海外に市場を求めていくグローバリズムがもたらす超格差社会が弱体化の元凶であるように思える。
 


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