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原発継続は倫理にもとる

2016-04-16 | 原発
2016年4月16日 東京新聞
日本はやはり地震国。九州を襲った「震度7」に再び思い知らされた。福島第一原発事故のそもそもの原因は、地震である。その原点に立ち戻り、原発の安全対策の在り方を再点検するべきだ。
今月6日、福岡高裁宮崎支部は、今回の震源地からもさほど遠くない九州電力川内原発の運転差し止めを求める住民の訴えを退けた。
高裁は、対策上想定される基準地震動(最大の揺れの強さ)を「極めて合理的」と判断した。
住民側は「国内の原発ではそれを超える揺れが、2005年以降だけで5回観測されている」と観測地の過去の平均値から基準を割り出す手法に異議を唱えていた。
瓦や石垣が無残に崩れ落ちた熊本城の姿を見ても、同じ判断ができただろうか。
国会の福島第一原発事故調査委員会は、原因は津波だけでなく「地震による損傷の可能性も否定できない」と指摘。「小手先の対策を集積しても、根本的な問題は解決しない」と結論づけた。
ところが、電力会社も原子力規制委員会も、地震の揺れを甘く見すぎてはいないだろうか。
その象徴がくしくも九電だ。九電は、川内原発の再稼働がかなうやいなや、事故対策の指揮所になる免震施設の建設をあっさりと引っ込めた。原発は無数の機器と複雑な配管の固まりだ。見かけは正常に動いていても、強い震動がどの部位にどんなダメージをもたらすか。その積み重ねがどんな結果につながるか、未解明のままなのだ。
断層のずれは、想定外の地震を起こす-。熊本地震の教訓だ。
規制委の審査を終えて次回再稼働候補とされる四国電力伊方原発の近くには、日本最大の断層である中央構造線が走っている。
今回の被害を教訓に、起こり得る地震の規模や影響をじっくりと検討し直すべきではないか。
「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。地震国日本では、これこそ社会通念であり、一般常識だからである。
 
 
地震対策はある程度は個人でも可能であり、地域自治体の対応によって災害を最小に食い止めることもできる。
しかし地震によって重大な影響を及ぼされる原発という危険物の影響は自治体はおろか、国レベルでも防げない。
 
運転中の川内原発(鹿児島県)と、停止中の玄海原発(佐賀県)に異常はなかったという。活断層の真上に原発の重要施設を建設することは禁じられているが、活断層は、日本列島に2000以上走っている。いつ、どこで直下型地震が起きてもおかしくない。こういう地震列島の中で原発を維持していくリスクを改めて考えた政治家は皆無だったろう。
 
今回の地震で現地のホンダ、三菱電、ソニーは操業停止した。九州電力は川内原発を停止することなく運転している。川内を直撃していれば・・・・避難計画に含まれている新幹線・高速はメタメタなのだから、避難すら思うようにできない実態が明らかになった。今回の日奈久断層帯は、今後30年以内の地震発生確率が0~6%と予測されていた。地震の被害だけなら、何年も故郷に帰れないなんて言う状況は起こりにくい。原発の被害は未知数で、福島では地下水の遮断、廃炉の予測すら立たない現状だ。それでも原発再稼働を強行する。
 
日本の政治家は金の亡者だからリスクを合理的に判断できず、ドライに割り切るのが最上と思っているらしい。福島事故から5年経って、「福島事故は例外だった。あんな事故が自分の生きている限り、起こるはずがない」と思っているらしい。不幸にして事故にあった人たちには補償をすればよい。大多数の幸福のために原発周辺の人の生活を破壊してもよい。経済合理性の名の下で他人の人生を破壊することは、経済的自由に含まれるということらしい。「福島の事故で死んだ人はいない」のだから、政府のやることに文句を言うなと言い放つ。
 
チェルノブイリ原子力発電所の事故から28年。人が住まなくなり、朽ち果てた立入禁止区域が今、観光客に公開されている。
2011年、その周辺地域を訪ねる見学ツアーが公に始まった。よりによって福島の原発事故が起きた時期に重なってしまった。人の心の奥底には、惨劇が起きた場所を見てみたいという欲求が潜んでいる。
バスの車中で、ガイドが2日間のツアー中の注意事項を繰り返した。高濃度の放射性物質を含むキノコ類には触らないこと。戸外で物を食べたりタバコを吸ったりして、放射線を発する物質を体内に取り込まないこと。事故から28年の間に、ほとんど人の住まなくなった一帯には、バイソンやイノシシ、ヘラジカ、オオカミ、ビーバー、ハヤブサなどの野生動物がすみつき、人の住まなくなったソ連時代の集合住宅の屋上にタカが巣を作っていると言う。
 
新婚旅行でツア-に参加した若い夫婦の感想が載っていた。
29年前に起きた原発事故現場を目の当たりにして、私は福島がすごく不安になりました。多分、原発付近に住んでいた人たちはもうそこに住むことはできないんだろうと思います。そして、奇形生物の増加と生まれてくる子供の染色体異常、そして甲状腺癌の増加。これは昔のチェルノブイリでも起こってたことで、今まさに福島でも起こっています。放射能は目に見えないからこそとても怖い。それを身をもって体感しました。
こんなリスクが伴う原子力発電をなぜまだ行っているのか、意味がわかりません。放射性廃棄物の捨てる先もなかなか見つかってないというし・・・。今回のツアーで、原子力発電について深く学べて、私は絶対反対派だな、と思いました。
 
今回見学したチェルノブイリ原発事故現場とその近くの街プリピチャに行ってみて、これは日本の福島が将来辿る道だと感じました。
福島原発事故現場付近の立ち入り禁止地域は、おそらくこれからずっと人が住めず、ゴーストタウンと化すだろうし、自然がどんどん成長し、このツアーで最後に見たような景色になるだろうし。
そして、30年経ったとしても汚染された土壌や汚染水によって人が住むことができない状態が続く。
それに、ずっと止めることができない原子力発電所から出てくる汚染物に悩まされ、廃棄する場所を探すも見つからず、何の保証もないけど海の中に放出している状態で、なおかつ日本では福島の事故は完全に過去のものとなり忘れられている状態。これは本当にまずいと思います。
実際に行ってみてガイガーカウンターが鳴ることでしか、わからない放射線がとても怖かったです。もし福島原発事故後、汚染されているけど立ち入り禁止地域に設定されていない場所で、子供が泥遊びをしたり転けて怪我してしまった場所の土がホットスポットだったら・・・どうなるかは容易に想像つきます。福島原発事故は原子力発電についてしっかりと考える機会を提供しているのに、うまく活かせていない感じがするし、チェルノブイリという先例があるからその事例を基に、もっと起きた事故に対する取り組み方についても検討されるべきだと思いました。
 
ロシアもまた、原発をやめるどころか、インドなど新興国に原発を売り込んでいる。また、世界初の移動可能な洋上原子力発電所を建造中で、曳航によって、69人の乗組員とともに各地に移動するこの原発は、2016年までには稼働準備が整う可能性があるという。製造会社は、津波や海上での衝突など、起こりうる諸問題には問題なく耐えられると主張している。そして、船の形をしたこの原発は稼働中に有害な廃棄物を放出することはなく、少なくとも陸上の原発と同じくらい安全だと主張している。仮に洋上原発で問題が発生した場合は、人口の多い地域から離れた安全な場所に移動することができる。海上でのメルトダウンは問題ないという見解らしい。発電能力は70MWで、人口20万人の都市に十分だとされており、石油やガス採掘の洋上設備や、独自のエネルギー施設を維持することができない地域の港湾周辺の都市や産業などに電力を供給する計画だ。さらに、輸出用のオプションとして、海水から真水を製造する工場を追加することもできる。1日あたり24万立方メートルの真水を作り出すことが可能だ。この洋上原発には中国やインドネシア、マレーシア、アルゼンチンなど数カ国が関心を示しているという。
中国も2019年までに洋上原子力発電所の稼働を見込み、洋上の原油・ガス掘削施設や、離島や遠方の島しょ部に電力を供給することが可能になると言う。

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