小泉進次郎氏は、自民党農林部会長を務めていて、全国の農家を巡っている。そして、「10年後の農業」のために大切なことは、「失われた持続可能な農業を取り戻すこと」と語る。日本のコメ農家の平均年齢は70歳を超え、跡継ぎがいない農家も多い。放置された田畑が急増している。
小泉氏は、「農家を増やす政策ではなく、農業経営者を増やす政策」を考えているという。家業としての農業を守るのではなく、「農業に就職できる環境を作りたい」ともいう。
手間暇かけて栽培する果物や米など、日本の農作物は世界的に評価が高い。目指すはオランダだ。面積も人口も九州と同じだが、農産物の輸出額は世界第2位である。
小泉氏は、「生産コストを下げ商品の付加価値をつけて、海外に輸出していく基盤を作っていくことが大事だ。人口減少を嘆くのではなく、イノベーションで解決する。人工知能(AI)の活用も重要だ。」
これまでのAIは、リンゴやイチゴ、トマトなどを認識できなかった。いまやAIは、この「認識」ができるようになった。つまり収穫作業、間引きや選果など、たいへんな労働作業をロボットに任せることが可能になるというのだ。農業が将来性のある産業になるというのだ。
農業改革は農協改革なしでは行えない。ひと口に農協といっても、地域の個別の農協(単位農協)のほか、事業ごとに県組織と全国組織がある。単位農協は、農業従事者や農業を営む法人によって組織された協同組合で、全国の数は679。農家に苗や肥料などを販売し、農業を指導し、農産物を市場に出荷するのが本来の役割だ。そのほか、貯金や共済保険も扱っている。
全国組織としては、単位農協の指導・監査を行う全国農業協同組合中央会(JA全中)、販売、購買など経済事業を手がけるJA全農、貯金事業の運用機関として農林中央金庫(農中)、共済保険事業では全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)などがある。農協改革を行う場合、地域の単位農協には政治的な集票力があるので手をつけにくい。そこで、全国組織がターゲットになる。もともと、農業は地域性がポイントであるので単位農協は重要だが、画一的な指導を行う全国組織が単位農協の自主性を阻害すれば、農協全体ひいては農民のためにもならないからだ。
農協改革を目指した改正農協法は、昨年8月に成立した。その柱は、JA全中の持つ強大な権限の源とされる、単位農協に対する監査・指導権の廃止だ。これは既に決着済みなので、JA全中は改革に前向きだ。残されたのはJA全農である。金融事業の全国組織である農中やJA共済連は、単位農協にとっても不可欠な存在であり、もはや金融事業なくして都市部の単位農協の存続は不可能なので、農中やJA共済連が改革の俎上に乗ることはない。
農業改革を主導する自民党の小泉進次郎農林部会長が正念場を迎えている。力を注いできた全国農業協同組合連合会(JA全農)などの抜本改革をめぐり、積極的な推進を求める政府の規制改革推進会議作業部会と、性急な改革を嫌う与党幹部との板挟みになっているのだ。合同会議は2時間を超え、45人の議員から「農協つぶしで地方創生に逆行する」などの批判が続出した。参院議員61人は「提言を絶対に認めることはできない」との決議も出した。
作業部会が会議前に示した提言案では、全農は1年以内に資材販売事業から撤退、貯金や貸し出しなど金融事業を行う地域農協を3年後をめどに半減-などの急進的な内容だった。だが、党内では農業票に支えられる地方議員を中心に、提言案への反発が強まり、21日の全国農業協同組合中央会(JA全中)が都内で開いた農業改革に関する緊急集会には、二階俊博幹事長も出席し言い切った。「自民が皆さんを裏切るようなことはありません」
自民党は7月の参院選で農業が盛んな改選数1の東北6県のうち5県で敗北。小泉氏は農業改革を訴えて東北にも応援に入ったが、結果は出せなかった。
自民党農林関係部会の幹部らは23日、政府の規制改革推進会議が提言した全国農業協同組合連合会(JA全農)など農協の急進的な改革案をほぼ白紙に戻す農協改革案の骨子をまとめた。3年後をめどに金融事業を行う農協を半減させるなどとした提言の内容は盛り込まず、従来通りJA全農に自己改革を促す。同会議が28日にもまとめる最終提言も同様の内容になる公算が大きく農協改革は事実上、失敗した。
TPPがやっと農業改革を推進するかに見えたが、これで元の木阿弥である。笑っちゃうね。
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