オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

総選挙は争点のないバカ騒ぎ

2017-10-01 | 政治

保守、リベラル、右翼、左翼──。政治的立場を示すこれらの言葉で日本の政治状況を語れない事態に至っている。
日本にリベラルや左翼は育たない。少なくとも弱小勢力になってしまっている。健全な野党勢力が育たない以上、我々はどういう視点で政権を選択すべきなのか。

若い世代に限れば、「自民党しか選べない」という声が多い。6月の世論調査では安倍政権の支持率に関しては、どのメディアでも軒並み10ポイントほど下落したが、世代別で見ると、30歳以下では依然として60%以上が支持している(読売新聞6月17、18日調査、全体では内閣支持率は49%)。中でも大きく伸びているのは東大生の自民党支持率だ。

東京大学新聞社が毎年新入生を対象に行なっている調査によると、自民党の支持率は近年劇的に上昇している。今年4月の調査では36%に達し、過去30年で最高を記録した。特に70%前後を占めていた『支持政党なし・わからない』という無党派層の変化が大きい。2013年以降は10ポイント以上減り、その分自民党支持が増えている。
若者が現政権に肯定的であることについて、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の西田亮介准教授(社会学、メディア研究)は以下のように分析する。
若者が政治意識を醸成する場は「①家庭②教育③メディア」に大別できるが、家庭や教育の場で政治の話をすることはない。マスメディアは若者への影響力を失っている。その結果、インターネットの過激な言説を受け入れてしまうということになる。

昨年のアメリカ大統領選挙で、民主党候補としてヒラリー・クリントン氏と競った超リベラルなバーニー・サンダース氏を支持したのは、大学生たちだった。欧米では「リベラル」は学生の特権とも言われるが、そんな世界の潮流に対して東大生は冷ややかだ。
「野党に任せられない」
「まず、企画の前提が間違ってますよね。東大生なんて高所得者層の子どもが多いんだから、現状肯定派なのは当然じゃないっすか」
「日本は再チャレンジができない社会と言われているけれど、さっしー(指原莉乃)と安倍総理は一度どん底に落ちたところから這い上がった。自分も一浪しているので、そこに共感する」
「今の世の中全員が正しいと思えることはない。政策全般において、負の側面も覚悟しつつ、正の側面を取るという価値判断をしている点が良いと思います」
「政治は結果がすべて。安倍総理は結果を出しているという点で評価できます」
「リアリスティックな政治が正しいと思っていて、その点自民党はベター」
「理想論より政策の積み重ね」
「理想は政権のチェック機能としての野党がいる二大政党制だけど、いまや自民党内の派閥だけでも十分かもしれないですね」
「日本は55年体制と選挙制度の影響で二大政党制の歴史が築かれてこなかった。二大政党制にもっとも近づいたのは民主党政権時代だが、それがうまくいかなかった、という認識が世の中に広まったことで、自民党以外の選択肢がないと若者が思ってしまっているのではないか」
「たまにテレビで見ると、民進党などの野党は論理的じゃない感じがする。理論として正しいか否かではなく、ただ相手を言いくるめればいいという雰囲気が苦手」
政治には全く興味がなく、ニュースも科学関連のニュースをチェックするくらいだ。それでも「自民党や安倍総理には悪い感じはしない」。
「野党が好きではないので、一応自民党を選ぶかなって感じですね」。
「まず緊縮・増税派の共産党、社民党、民進党はNG。国にとってもっとも重要な経済政策と国防政策を見るとやっぱり自民党だ。」
「自民党ではなく安倍政権、安倍首相が好き」。自民党や野党をうまく回し、目的を遂行している点に好感が持てるという。
「安倍総理は人柄の良さがにじみ出てますよね」


経済がうまく回っていて、自分の生活が安泰だったらいい。国の安全保障はアメリカ従属でいい。・・・・・と言ったところか。要するに現状容認なのだから、今の自民党でよいということになる。
政治を変える力は若者にある。そして今の若者は理想論を聞く耳を持たない。個人主義的ではあるが、政治が個人の生活に介入しようとしたとき、NOを突き付けることができるかどうかは疑問である。政権が全体主義の様相を示し、個人の生活に踏み込んでいかない限りは自民党安泰だ。その点は生い先短い高齢者だって同じだ。社会が激変するのは困る。年金支給を大幅にカットされない限りは何をやっても高齢者の支持は盤石だろう。政治に無関心な国民になったのは自民党に代わる選択肢を提示できない野党にも責任がある。

社会党や共産党は、いつまでもイメ-ジの悪い社会主義や共産主義の党名にこだっわっている。日本共産党は「共産」を標榜しながら、実際には北欧諸国のような「大きな政府+個人の自由」の組み合わせを指向していると思われるのだが、ロシアや中国を彷彿とさせる負の党名に固執するのを見ると、万年野党で批判ばかりしている現状が気に入っている節がある。

世界の大国では大きな政府と小さな政府と言う対立軸があるが、日本には小さな政府を主張する政党はない。自民党は、産業政策に全面的に関与するし、民進党も教育の無償化など全面的な再配分政策に熱心である。日本における争点は、「大きな政府による国民支配」をどう実現するかの方法論しかない。

自由主義とか、個人主義とか、小さい政府という対立軸がなく、国家主義か、社会主義(共産主義) という対立しか見えないので、国家主義がいつでも勝利するのである。
個人を重視する人は、国籍や出自で判断しない。個人の自由を重要視するリベラルが日本では左翼と同一視される珍現象が生じている。リベラルというのは、「民主的」「大衆的」「多様性」など革新、改革派というイメージであり、社会主義や共産主義と一線を画する政治手法であるはずなのだが。

自民党の財政出動は常態化していて、今では国の借金が1000兆円を越えてしまった。財政出動は、一時的には好景気を作ることができるが、将来的に政府は債務の返済に追われるようになる。また政府の経済介入は利権を生み、カネやモノが効率的に分配されなくなってしまう。森加計問題も政府の重要な特区政策でお友達を優遇するという公私混同がなされたのが政治の私物化として糾弾されたのである。本来なら、政府の経済介入は最小限にすべきなのだが、国家依存体質にある日本企業はいつまでたっても自立できないでいる。

「大きな政府」でありながら、個人の自由を重視する政治体制、たとえば北欧の高度福祉国家が理想だと思うが、高税率・高福祉の経済政策に、日本は耐えられない。したがって、企業優遇、弱者切り捨ての政策しか選択肢がないのが実情である。
せめて、政治の私物化、腐敗を防ぐために2大政党制を目指すなら、自民党が分裂して第2自民党になるのが一番の早道である。もし、小池代表に期待するとしたら、第2自民党になることである。自民党で優遇されない議員を引き抜き、公明党を味方につけるのが一番だ。そして、社会と個人、大きな政府と小さな政府のどちらを重視するか、具体的な経済政策を提示することだろう。

しかし、どんな政策を実行しようが、日本の若者の将来は絶望的だ。近い将来、若者が稼いだお金のほとんどが税金などで国に取られ、老人に使われるという時代が来る。
日本が奇跡的に経済成長すれば、現在の社会保障サービスの質を維持できるが、日本は毎年労働人口が1%減少しており、これから国際競争がますます激化するため、日本の経済成長は良くても横ばい、現実的にはマイナス成長だろう。したがって、国民の社会保障負担率と消費税を毎年大幅に上げる必要がある。しかし政治家は、国民の社会保障負担を上げたり、消費税を上げるような「老人から嫌われる政策」を実行できない。今もやっていることだが、国や地方が借金しまくるしかない。借金し続けることは不可能になるとき、国民の社会保障負担率と消費税率が上がり、社会保障サービスのレベルが低下する。年金の支給額が低下し、年金の受給開始年齢が上がる、医療負担率があがる、生活保護のレベルが下がる、介護負担があがるなどなど・・・
政府債務が危険なレベルに達し、その債務を削減するために、大インフレが起こり、企業の倒産や失業者、生活保護受給者、自殺者が大量に増える。
少子高齢化社会・日本の悲劇は、確実にやってくる。そこから逃げ出す道はあるのか、若者は真剣に考えた方がいい。

しかしである。黒田総裁が異次元の緩和で紙幣を刷り続けているのにハイパ-インフレが起きないのは何故だろう。土地も値上がりしていない。大量なお金はどこに消えているのだろう。無尽蔵に生産される金融商品、新興国への海外投資と援助、防衛費の増大-----円が国内に滞留しないことがインフレを防いでいる理由だろう。安倍政権が倒されてバラマキが終わり、緊縮財政が実施されたとき、日本の崩壊が加速度的に始まるのかもしれない。

一方、貧乏人と高齢者で成り立つ社会で需要が高まることはない。今の高齢者社会が続く限り、インフレは起こりえないのかもしれない。


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