オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

中国の一人っ子政策

2015-11-08 | 国際
中国が30年以上にわたって続けてきた一人っ子政策をついに廃止する。専門家が人口動態に関する危機を予測していたにもかかわらず、中国政府は一人っ子政策の廃止に乗り気でなかった。この政策が罰金利権と言うカネのなる木だったからだ。政府は関連手数料という名の違反者からの罰金を年間で30億ドル以上徴収してきた。大勢の人たちが一人っ子政策を無視していたわけだ。実際のところ、一人っ子政策は今や例外と抜け穴だらけ。既に多くの夫婦には2人目の子供を持つことが認められている。例えば、少数民族や農村在住者、どちらかの親が一人っ子である場合などだ。長子が障害児だったり、一部の省では長子が女児だった場合も2人目を持つことができる。要するに、中国で2人目の子供を希望した家庭には、既に2人目がいる可能性が高いということだ。
 
一人っ子政策は、中国社会に禍根を残した。出生前の性別検査で男児を選んで出産する人が多く、中国の性別人口比は女性1人につき男性1.18人という深刻なアンバランスに陥っている。2020年には結婚適齢期の男性人口が女性を3000万人以上上回ると推定されている。たんに2人目の子どもを産んだら罰金というだけではない。出産許可書を取得しないままでの出産を罰したり、あるいは地方自治体が定めた避妊手術目標数を達成するために、村々に対象人数を割り振って強制的に手術するといった蛮行もしばしば行われた。目標達成のために未婚の女性に不妊手術を行ったとの事例まで報告されている。また罰金を払わなかったため戸籍がもらえず、多くの「黒孩子」(無戸籍者)が生まれた。黒孩子たちは、公立学校など公共サービスが受けられないまま成長することを余儀なくされた。
 
 
罰金は現在、社会扶養費と呼ばれている。罰金の基準は地域によって異なるが、平均年収の数倍という高額になる。また富裕層に対してはさらに巨額の罰金が科される。2013年には中国を代表する映画監督チャン・イーモウ氏の一人っ子政策違反が明らかとなり、748万元(約1億5000万円)の罰金が科された。
一人っ子政策違反では、罰金だけでなく、公務員や国有企業従業員ならば解雇、共産党員なら党籍剥奪の処分が科されることもある。
1980年代には、単位の規定出産数が一杯になったので、堕胎されるということもあった。単位とは「所属先」を指す言葉。政府機関、国有企業、学校などはいずれも単位である。かつては単位ごとに出産できる上限が定められたため、1人目の出産でも許可されないケースもあった。
2013年、陝西省で医師による新生児の人身売買事件が発覚した。問題の医師は、出産直前に赤ちゃんに障害があることが分かったと両親に告げ、死産として処理するようすすめていたが、実際には人身売買組織を通じて、子どもを欲しがる人に販売していたという。
 
一人っ子政策が「二人っ子政策」にスライドしても、政府は相変わらず、国民の家族計画に介入し続ける。出産に関する個人の決定を厳しく締め付ける姿勢は、今後も変わらないだろう。
 
こんな野蛮人と戦って、日本人の血を流すことだけは避けたいものだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿