
「フォルトゥナ」とは、ローマ神話に出てくる球に乗った運命の女神のことで、人間の運命が見える。
木山慎一郎は、或る日電車の中で手の透き通った人を見かける。
以後、そのような人を何人も見かけ、とうとう体がすべて透き通ってしまった人が、亡くなる現場に遭遇する。
透明になった人の運命を何とか変えようと、4人の人間の命を助けたが、そのたびに体が不調をきたす。
或る日、偶然に同じ能力を持つ医師の黒川に声をかけられ、他人の死に関わらない方がいいと忠告される。
透明になった人を助けるたびに、代わりに自分の体がボロボロになリ、やがて死を迎えるのを知らされる。
バタフライ効果(カオスの理論)で、非常に小さな事象が、因果関係の末に、大きな結果につながってしまう。
また、「バグダッドの死神」では、人の運命は決まっていて、その時、回避した様に見えても、結局は同じ結果になってしまう。
木山は、葵という恋人もでき、彼女との将来を考え、もう透明人間に関わらないようにしようと仕事に励むが、
或る日、たくさんの園児を含む大量の透明になった人々に出会う。
どうするのか決断を迫られ苦悩の日々が始まる。
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なんと恐ろしい能力でしょう。 事前に人の死がわかるなんて。
私にそんな能力が備わったら、耐えられないでしょう。
肉親や、知人が消えていったら、自分の命に換えて助けられるでしょうか?
読んでいて、木山が可哀相になりました。
彼は、生い立ち、性格もありますが、仕事熱心で真面目ですが、暗くて内向的です。
会社の社長や事務員さんは、彼の良いところを認めてくれていますが、孤独です。
こんな突拍子もない話を聞いてくれる人がいてくれたら良かったのに。
話の結末は、途中の段階で見えてきました。葵のことも、たぶんそうなんだろうなと思っていました。
その通りの結末になりましたが、葵の行動にはスッキリしないものが残りました。
私だったら、たぶん、、、していたでしょう。


ありがとうございます