「 水曜日の凱歌 」 乃南 アサ
大好きな乃南作品の新刊、525頁の、本も内容もずっしりと重い本でした。
乃南さんは、書かれるテーマ範囲が広く、今回は余り語られなかった戦中、戦後から始まった女性たちの戦い、悲しい苦しい体験の話です。
14歳の二宮鈴子の目から見た、戦中から戦後の目まぐるしく変化していく混乱の1年間を描いています。
~~~~~~~
鈴子は父母、兄弟姉妹と比較的裕福な家庭で育ったが、戦争が始まり、父が事故死して、兄2人は戦争に行き、長男の肇は戦死、次男の匡は消息不明。
姉の光子は嫁ぎ先で子供と一緒に空襲で亡くなり、3月の東京大空襲で家も妹の千鶴子も何もかも失い母と2人きりになってしまう。
父の友達の宮下のおじさんがいろいろ世話をしてくれ、8月15日、水曜日の終戦を迎える。
母つたゑは、英語ができたので、宮下の紹介で通訳として仕事を得る。
母の勤め先は、RAA( 特殊慰安施設協会 )。
敗戦国の日本は、進駐軍兵士の性の防波堤として施設を作り女性たちを集め差し出した。
日本全国に色々な施設ができ、そこで働く人たち、慰安婦や事務方やダンスホールのダンサーたちと鈴子との交流と、
アメリカ人の、デイヴィッド・グレイ中佐と交際する変わり身の早い母への反発とあきらめ。
「 みんなずるい 」「 仕方ない 」「 心と体が空っぽのまま 」で過ごす鈴子。
終戦を迎えた日も水曜日。日本初の普通選挙に、「 女たちがこの国を変えなければ 」とダンサーのミドリが立候補して何かが動き出したのも水曜日。
~~~~~~~
戦後70年、私も戦後生まれですが、戦争を知らない子供たちが増えてきました。
映画やテレビで、アメリカ人相手に女の人が派手なスカートにヘアーバンドをして真っ赤な口紅で誘っているのや、
子供たちが「 ギブミーチョコレート 」なんてシーンを観ましたが、本当にこんな悲しい裏歴史があったこと詳しく知りませんでした。
アメリカ兵に襲われ自殺した人や、慰安施設を逃げ出し自殺した人も書かれています。
復員してきても、家もなくなり、家族はみな亡くなっていたりと、せっかく戦争を生き延びたのに、
子供も大人も、住むところも食べるものもなく、餓死や凍死、伝染病で亡くなって行きます。
鈴子は母親のお蔭で衣食住には困りませんが、心が空っぽのまま。
そんな時、空襲で右腕を失った幼馴染の勝子ちゃんが母親と訪ねてきてくれ懐かしみ、母親とも話をして心を通わせ、鈴子は前を見て歩き出します。
国が慰安施設を病気の蔓延で突然閉鎖して、女性たちを何の保証もなく解雇します。
世の中、これからが大変でしたが、鈴子には少し未来に光が見えました。
沢山の人たちの犠牲の上に成り立っている今の世の中。
テレビでハロウィンの様子を見ていると、つくづく世の中平和になったなと思います。
戦争を知らない子供たちに、この本をぜひ読んで欲しいです。
ぽちっと、ひと押しお願いします。
にほんブログ村
ありがとうございます
大好きな乃南作品の新刊、525頁の、本も内容もずっしりと重い本でした。
乃南さんは、書かれるテーマ範囲が広く、今回は余り語られなかった戦中、戦後から始まった女性たちの戦い、悲しい苦しい体験の話です。
14歳の二宮鈴子の目から見た、戦中から戦後の目まぐるしく変化していく混乱の1年間を描いています。
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鈴子は父母、兄弟姉妹と比較的裕福な家庭で育ったが、戦争が始まり、父が事故死して、兄2人は戦争に行き、長男の肇は戦死、次男の匡は消息不明。
姉の光子は嫁ぎ先で子供と一緒に空襲で亡くなり、3月の東京大空襲で家も妹の千鶴子も何もかも失い母と2人きりになってしまう。
父の友達の宮下のおじさんがいろいろ世話をしてくれ、8月15日、水曜日の終戦を迎える。
母つたゑは、英語ができたので、宮下の紹介で通訳として仕事を得る。
母の勤め先は、RAA( 特殊慰安施設協会 )。
敗戦国の日本は、進駐軍兵士の性の防波堤として施設を作り女性たちを集め差し出した。
日本全国に色々な施設ができ、そこで働く人たち、慰安婦や事務方やダンスホールのダンサーたちと鈴子との交流と、
アメリカ人の、デイヴィッド・グレイ中佐と交際する変わり身の早い母への反発とあきらめ。
「 みんなずるい 」「 仕方ない 」「 心と体が空っぽのまま 」で過ごす鈴子。
終戦を迎えた日も水曜日。日本初の普通選挙に、「 女たちがこの国を変えなければ 」とダンサーのミドリが立候補して何かが動き出したのも水曜日。
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戦後70年、私も戦後生まれですが、戦争を知らない子供たちが増えてきました。
映画やテレビで、アメリカ人相手に女の人が派手なスカートにヘアーバンドをして真っ赤な口紅で誘っているのや、
子供たちが「 ギブミーチョコレート 」なんてシーンを観ましたが、本当にこんな悲しい裏歴史があったこと詳しく知りませんでした。
アメリカ兵に襲われ自殺した人や、慰安施設を逃げ出し自殺した人も書かれています。
復員してきても、家もなくなり、家族はみな亡くなっていたりと、せっかく戦争を生き延びたのに、
子供も大人も、住むところも食べるものもなく、餓死や凍死、伝染病で亡くなって行きます。
鈴子は母親のお蔭で衣食住には困りませんが、心が空っぽのまま。
そんな時、空襲で右腕を失った幼馴染の勝子ちゃんが母親と訪ねてきてくれ懐かしみ、母親とも話をして心を通わせ、鈴子は前を見て歩き出します。
国が慰安施設を病気の蔓延で突然閉鎖して、女性たちを何の保証もなく解雇します。
世の中、これからが大変でしたが、鈴子には少し未来に光が見えました。
沢山の人たちの犠牲の上に成り立っている今の世の中。
テレビでハロウィンの様子を見ていると、つくづく世の中平和になったなと思います。
戦争を知らない子供たちに、この本をぜひ読んで欲しいです。
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