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アトリエ 籠れ美

絵画制作、展覧会、美術書、趣味、その他日常の出来事について
平成27(2015)年5月4日より

芸術に王道あり

2016-08-10 06:09:17 | 画材、技法、芸術論、美術書全般、美術番組
 学問に王道なしとあらば当然芸術に王道なしなのだが、実は芸術には王道がある。つまり芸術に王道あり、なのだ。

 随分昔に古本市で、中国人の書いた現代水墨画入門書を手に取ってみると、四君子をちゃんと勉強することで、すぐに上達できる、短時間で上手になれると書いてあって感動したことがあった。四君子とは、蘭、竹、菊、梅のことで、水墨画ではこの4つの描き方を最初に学ぶのが古来からの勉強方法だった。つまり基礎練習を重点的に積むことで短期間で上達できるということを言っているわけだ。これに私はひどく共感した次第。

 私は絵を習い始めたのが20代の後半なので、人より絵を始めたのが遅い、それが不利な条件だとの自覚が強い。だから人一倍効率を上げようとしてきた。何もこれは私だけではなく、同じように20代後半から絵を始めたマティスやカンディンスキーもそうだ。

 そこで私は週1回の絵画教室以外に、美術館の企画展へ行く、画集を買う、テレビで美術番組を見る、の3つを同時に始めた。まだ巨匠の名前もその代表作も知らなかったので、企画展は複数の巨匠のものに絞った。つまりルノアール展ではルノアールの作品しか展示されないが、印象派展なら多くの印象派の巨匠の作品が展示されるので、そちらを選ぶという風に。次に自分の好きな画家を見つけるようにし、その画家の画集を買い始めた。お金がないので、できるだけ安価なものを、ときには古本屋を活用して。そして美術番組は録画して繰り返し見た。

 さらにどうしたら油絵が早く上達するか、自分なりに考え続け、実践し続けた。石膏デッサンばかりしていても駄目だと気づくのに随分時間がかかったり、自分は何が描きたいのか、絵で何をしたいのかを追究するために役に立ちそうな美術評論書を読んでみたり、西洋絵画だけでなく日本画や彫刻、伝統工芸、版画なども見るようにしたり。

 A・ルーミスの名著「やさしい人物画」にこんな一節がある。
 「漫然と1時間描くぐらいなら、何も描かず10分間集中して観察する方がましだ」

 芸術に王道あり。どうしたら短期間で上達するのか、真剣に考え、それを実行するのはとても大切だと思う。自分なりに考えて行動することで時間は短縮できる。


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