ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

DAZN観戦 2020年J1リーグ第22節 ヴィッセル神戸vs大分トリニータ

2020-10-15 16:48:10 | サッカー視聴記(2020年以前)

前年共に同じ勝ち点(47)でフィニッシュしたチーム同士の対戦。
補強費に天と地ほどの差があるクラブにも拘らず……という揶揄の声もありますが、今季もここまで神戸32・大分28とある程度均衡しています。
そんな両クラブの共通点はというと、チーム消滅の危機にまで陥った過去でしょうか。

今でこそ楽天がバックボーンについて前途洋々(成績面は置いておく)な神戸ですが、以前は毎年のように綱渡りのクラブ運営を強いられていました。
母体企業を持たないうえスポンサーも撤退(1999~2002年は胸ユニスポンサーが無しだったらしい)したため、行政に頼りきりの運営に。
それにも拘らず三浦知良(現横浜FC)ら有名選手の補強を敢行したのは、彼らのネームバリューをチームに還元しようという意図が強かったのだと思われます。
しかし結局は民事再生法適用の申請に至ってしまい、ここで楽天が現れた事で、救いの神として現在も慕われているようですが以降はまた別の話。

一方の大分、2003年にJ1昇格を果たしてから、2008年に初タイトル獲得(ナビスコカップ)に至った事で「地方クラブの希望の星」とも言われました。
しかしその実態は、大分のキャパシティを遥かに上回る強化費を投入するという、地方クラブの経営とは懸け離れたものでした。
それを支えるメインスポンサーも、度々問題視され撤退を余儀なくされるの連続で安定せず。(この辺りの話はウィキペディアに詳しい)
そして2009年に成績的にも傾いた(J2降格)結果、辛うじてクラブ消滅だけは避けられたというマイナスからのスタートを強いられる事となります。

そんな漂流の時空を経て、大分がJ1復帰を果たした事で再び相まみえている両クラブ。
前年は2戦とも引き分け、今季も引き分け(4節・1-1)と一歩も譲っていない成績で、この日を迎えました。

この日は完全ターンオーバーで挑む事を強いられた神戸。
前節(柏戦・3-4)が激戦となった事で、平均年齢の高いレギュラー陣のコンディションを考慮する采配が採られました。
今後再開されるACLが、日程面でリーグ戦と被っての開催を余儀なくされた事で、嫌がうえでも2チーム分の戦力を用意せざるを得ないのも苦しい点。

しかしその立ち上がり、出方を窺う大分の隙を突きゲームを支配する神戸。
ビルドアップから攻撃を完成させようとする、普段の姿勢を貫くサブメンバー達。
その姿勢が前半6分に報われ、藤谷の右サイドのドリブルから小川のアーリークロスがエリア内に入ると、藤本が頭で合わせヘディングシュート。
これがループの軌道となってGKムンキョンゴンの伸ばす手を越し、ゴールに吸い込まれます。

先制された大分、その後前線からのプレッシングを上手く嵌めて決定機を作っていきます。
8分、GK吉丸のパスを知念がブロックすると、ボールは左ゴールポストに当たって跳ね返る(そして吉丸が抑える)あわよくばという場面を作ります。
15分には小出が右サイドでボール奪取してドリブル、奥からグラウンダーでクロスを入れると、知念がスライディングで跳び込みますが僅かに合わず。
17分にもGK吉丸に左へフィードを蹴らせたのち、小出が落として回収。
右サイドから小出のグラウンダーのクロスが入ると、ニアサイドで知念が合わせるもGK吉丸がセーブ。
こぼれ球をさらに野村が追撃するも、神戸・菊池のブロックに阻まれ得点ならず。
サブ組・若手中心のビルドアップを執拗に狙っていく大分。

その後は自身の攻撃も嵌るようになり、23分にはロングボール攻勢から渡が強烈なヘディングシュートを放ちますが、ここもGK吉丸のセーブに阻まれます。
この日は1トップに知念・2シャドーに渡と野村をスタメン起用。
前回観た時は1トップで出たものの孤立無援状態となっていた渡ですが、ポストプレイヤーの知念との相性で見せ場を得る事に成功していました。

それでも流石にずっとプレッシングを続ける訳にいかないのがサッカーの常。
次第に大分のペースも落ちていき、リードしている神戸が試合を落ち着かせる状況となります。
その中で、26分と29分にミドルシュートを放った佐々木。
2年前に初得点も挙げた若武者ですが、前年は海外留学という形でレンタルに出され、今季復帰してきた選手。
この日が3試合目のスタメンであり、少ない出番ながら何とか足跡を付けようという姿勢をアピールしているようです。

飲水タイム後の大分は決定機を得られず、反撃の足掛かりを掴めないまま前半を終える事に。
劣勢を挽回するべく動きたくなるハーフタイムですが、ここではカードを切らなかった片野坂知宏監督。
相手はサブ組故、ここで動いては選手との信頼関係も希薄になってしまいがちな点を憂慮しての事だったでしょうか。(大分はレギュラー組を大部分起用)

その我慢が実ったか、後半は立ち上がりからペースを掴む大分。
後半5分は後方から攻撃を組み立て、左サイドで三竿の縦パスを野村がフリックして知念の下へ。
こぼれ球を野村が拾い、エリア内でカットインを見せ、中央やや右からシュート。
神戸・山川の股を抜くライナーの弾道も、GK吉丸がここでもナイスセーブ。

次第に神戸も反撃の姿勢を見せ、11分には小田が左サイドをドリブルで疾走したのちシュート。(ブロック)
14分には菊池のスルーパスを右サイド奥で藤本が受け、そこからパスワークで中央へ。
最後は藤本がエリア内に走り込む小川にラストパス、受けた小川が反転シュートをネットに突き刺したもののオフサイドに。
大分時代は裏抜けが持ち味だったはずの藤本ですが、この日の働きはポストプレイヤーとしての印象が強かった。
白糸は何色にでも染められる、という事を表していたのでしょうか。(単にレギュラーのドウグラスと同様の働きをしていただけともいう)

その後17分に奮戦していた佐々木が足を攣らせる事態が。
直後の18分に大分のコーナーキックから、知念のヘディングシュートが炸裂するもGK吉丸がまたもセーブして防ぎます。
そして20分、ベンチに留めておいたアンドレス・イニエスタが佐々木に代わって投入されます。(同時に小田→山口へと交代)
3-4-3(3-4-2-1?)から3-3-2-2へと布陣変更され、対する大分(同じタイミングで渡・小出→伊佐・松本へ交代)はこの出方の変化を見極めるモードとなったのか、以降神戸ペースに。

しかしそれが終わった25分。
三竿→田中達也→知念→岩田とパスを繋いで左から右へサイドが変わると、岩田のスルーパスに松本が走り込みグラウンダーでクロス。
そして知念が跳び込みますが、寸前でGK吉丸に抑えられ合わず。
28分にも左サイドで三竿のエリア内へのスルーパスに知念が走り込みシュート、GK吉丸の右を抜けたものの、威力無くクリアされてゴールならず。
前半から惜しいシーンの連続ながら、無得点のまま時間も進んでいきます。

神戸サイドも追加点のプレッシャーを与えるべく、飲水タイム明けの29分に2枚替え(小川・藤本→古橋・田中順也)
その狙い通りに大分からペースをはぎ取り、終盤を迎えます。
手詰まり感漂う大分も、34分に神戸同様前線の選手を交代(知念・野村→高澤・三平)。

神戸も37分に初瀬→酒井へと交代、双方のベンチワークを経たのち再び大分が攻勢に。
前述の決定機以外にも、何度も良質のクロスが上がりながらもGK吉丸に抑えられる・パンチングされる場面が数多あり、大分の攻撃に立ちはだかってきたこの日の吉丸。

しかし41分、攻め続けた成果が表れます。
ここも大分らしく冷静なビルドアップから、一旦左サイドで組み立てを図るも、戻して逆の右サイドで攻撃。
そして岩田がエリア内右へと進入してグラウンダーのクロスを入れ、高澤が合わせに跳び込んだ所に神戸・酒井がディフェンスに入るも、クリアしきれずオウンゴールに。
最後の最後に、という言葉を使うにはやや早いながらも、執念が結び付いての同点劇となりました。

その後は、交代の駒でレギュラー陣を起用した神戸の本領が。
44分、イニエスタの敵陣でのディフェンスからボールが繋がり、田中順がエリア内左でシュートを放つ決定機。
しかしGKムンキョンゴンが足でセーブし、勝ち越しはならず。
アディショナルタイムも互いに攻め上がり、双方持ち味を発揮する展開となるも、とうとう2点目が生まれる事は無く。
1-1のまま試合終了となり、前年から4度目の引き分けという結果になりました。

経営危機が表面化して以降、巨大なバックボーンを得た神戸はビッグクラブのような立ち振る舞いを演じ、大分は地方クラブとしての再建を余儀なくされ這い上がり。
そんな全く異なるプロセスを描く近年でも、まるでお互い根底は同じかと思わせるような対戦成績となりました。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« DAZN観戦 2020年J2リーグ第2... | トップ | DAZN観戦 2020年J2リーグ第2... »

コメントを投稿