ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

TV観戦 天皇杯 第102回JFA全日本サッカー選手権大会決勝 ヴァンフォーレ甲府vsサンフレッチェ広島

2022-10-17 16:00:54 | サッカー視聴記(2022年その他)

<甲府スタメン> 3-4-2-1
GK 河田
RCB 須貝 CCB 浦上 LCB エドゥアルド・マンシャ
RWB 関口 DH 石川 DH 山田 LWB 荒木翔
IH 長谷川 IH 鳥海
FW 三平
<広島スタメン> 3-4-2-1
GK 大迫
RCB 塩谷 CCB 荒木隼人 LCB 佐々木
RWB 茶島 DH 野津田 DH 川村 LWB 柏
IH 森島 IH 満田
FW ドウグラス・ヴィエイラ

前回の天皇杯の記事- 準決勝・京都vs広島

鹿島までもを破り、とうとう決勝戦まで辿り着いたJ2・甲府。
「お前らの奇跡はもう終わった」とばかりに立ちはだかってきたJ1クラブを、悉く退けて決勝の舞台・日産スタジアムに降り立ったメンバー。

まるでフィクションの物語内のような展開ですが、反面非情な現実は、リーグ戦において嫌という程突き付けられており。
準々決勝(福岡戦・2-1)以降、リーグ戦では勝利どころか勝ち点を全く積み上げられない状態に陥ってしまい。
1週間前の40節・岡山戦でも敗れ(1-2)、とうとう7連敗というその成績は、リーグ戦を捨てているのかと揶揄されかねず。
かくして今週予定されていた41節(町田戦)は、勝ち上がりにより水曜に回される事となり、大事な大事な一戦を迎えました。

共に3-4-2-1をフォーメーションとするミラーマッチ故、プレッシングサッカーが主体の広島にとっては、中途半端なポゼッションに拘るクラブは格好の餌。
前半1分に早くも佐々木が敵陣でパスカットし、そこから(森島の)クロスにまで持っていくという具合に持ち味を発揮させます。

そのため普段は繋ぐサッカーを根底とする甲府も、裏狙いの姿勢を一定割合で見せなければならずといった所ですが、それは前回の準決勝・鹿島戦でも同様なので大したギャップにはならず。
5分山田の裏へのミドルパスに三平が走り込み、エリア内で受けましたがこれはオフサイド。
このシーン以外は広島の圧力に苦しみ、満田にボール奪取された浦上がすかさず反則を犯してしまったり、自陣でスローインを受けた三平が手に当ててハンドを取られるなどで広島にセットプレーを与える苦しい流れを描きます。

そんな試合絵図が変わったのが15分。
石川が中盤中央で反則気味にボールを奪うと、広島のゲーゲンプレスを山田がドリブルでかわしての好機。
荒木翔の縦パスを受けた長谷川がエリア内左へ切り込みシュートにいき、ミートせずDFに当たったボールをさらに鳥海が詰めてシュートしましたが、オフサイドディレイで実らず。
しかしこれでペースを掴み、直後の攻撃では一旦途切れるも右サイドで関口がカットして継続、そのまま広島・佐々木の股を抜くスルーパスを通し。
受けた長谷川がエリア内でシュート(GK大迫セーブ)と、ゴールに近付くシーンを見せました。
20分には須貝が右サイドを駆け上がってクロス、流れるも逆サイドで拾って継続し、長谷川が広島・佐々木のマークを離れた隙を突いて中央からパスで前進。
そして鳥海がミドルシュートを放つ(広島・荒木隼がブロック)という具合に、普段の攻撃さながらの流動性も表れるに至り。

逆に広島が攻めあぐみを見せ、相手に奪われない事を重視したようなビルドアップも却って甲府の守備意識の前に通じず。
そうした流れで迎えた26分、中盤からのフリーキックで放り込みを選択した甲府、その後GK河田のフィードからの再攻撃で左サイド奥を突いてコーナーキックに。
この左CKでキッカー長谷川はショートコーナー、山田の返しを受けたのち左ポケットへのスルーパスを選択し、走り込んだ荒木翔からマイナスのクロス。
これをストライカー・三平がニアサイドで綺麗に合わせ、ゴールネットを揺らして欲しかった先制点に辿り着きます。
戦力的に不安が過る中で、セットプレーをモノにして以降リードを凌ぎに掛かるという、トーナメント戦ならではの必勝パターンに持ち込んだ甲府。
同じ天皇杯決勝という事で思い出させるのが、2018年の浦和vs仙台の戦いでしょうか。

あろう事か先制された広島。
意気上がる甲府に対し、31分には野津田の(甲府・鳥海への)アフターチャージによるFKから、須貝のヘディングシュートでゴールを脅かされ。(GK大迫キャッチ)
続く32分にはパスカットした甲府・マンシャを引っ掛けてしまった森島が反則・警告を受けるなど、反撃したい意識が空回り気味となり。
その後何とか試合を落ち着け、自身がボールを握る展開に持ち込むも、前回鹿島が嫌という程味わったように守備を固める甲府の背中を追い掛ける戦いを強いられます。
野津田が最終ラインに降り、塩谷を前に押し出すという可変の色を強める事でボールは回せるようになったものの、次に待ち構えるのは甲府の5-4-1ブロックをどう崩すかという課題。

こうなると、比較的薄いサイドからの前進を余儀なくされるしか無く。
41分にはスルーパスに走り込んだ川村が奥からマイナスのクロスを入れるも、ニアに走り込むヴィエイラには合わず。
このシーン然り、ターゲットになるべく中央で張っていたヴィエイラですが、それ故に甲府の守備の前にボールが来る事は稀であり。
サイドは他の選手で崩すという役割が明白な分、相手にとっても守り易いといった状態に陥っていたでしょうか。
結局リードされたのちはフィニッシュに辿り着く事は無かった広島。

前半を終えて1-0で甲府リードと、大アップセットへの期待が高まる中で過ぎ去ったハーフタイム。
勝負を賭けるべく2枚替えを敢行した広島のミヒャエル・スキッベ監督。
ヴィエイラと森島に代え、ナッシム・ベン・カリファとエゼキエウの両助っ人を投入します。

立ち上がりは一進一退。
裏狙い中心にエリア内を突かんとする甲府に対し、広島も裏狙いを敢行しますが、その橋頭堡となったカリファの動きが旺盛であり。
明らかに甲府DFの方が近いというスルーパスにも、スピードで追い越して先に追い付き脅威を与えるカリファ。
広範囲に動き、サイドに開く事も厭わないというヴィエイラとは異なるその働きに、前半とは違った守備対応を強いられる甲府サイド。
後半9分、ボールカットした荒木翔がすかさず無理目のロングシュートを放つ(枠外)など、そうした恐怖と相対した故の焦りが見え始め。

そんな相手の隙を突きたい広島。
13分には浮き球を収めようとしたカリファが甲府・須貝に倒され、中央やや右という位置での直接FK、キッカー野津田は直接シュートを狙いますが壁に当たって枠を外れ。
16分には佐々木の裏へのロングパスを例によってカリファが走り込み、クリアされるも川村が繋いだボールを、反転シュートに持っていったカリファ。(甲府・浦上がブロック)

守備で奔走させられるようになった甲府。
17分に交代カードに手を付けて2枚替え、三平と鳥海に代え、ウィリアン・リラと松本凪生を投入。
さらに21分には荒木翔→野澤陸へと交代、入れ替わるように須貝が左ウイングバックに回るという具合に、早くもクローザー投入を余儀無くされます。
その後は前線にリラだけが残り、クリアボールが彼に繋がれば……という姿勢を強いられる事となり。

一方の広島は25分に茶島・柏→野上・松本泰志へと2枚替え。(川村がボランチ→左WBに回る)
何とか攻勢を結果に繋げたい所で、29分に甲府が一糸の流れを掴んでの好機。
即ち1トップのリラへボールが繋がった事で、ドリブルでエリア内右へと持ち込んだリラがシュートを放つと、ボールは伸びる軌道で広島ゴール上部を襲い。
しかしゴールバーに当たって枠外と、試合を決める追加点は得れず終わりました。

広島にとっては肝を冷やすシーンでしたが、気を取り直して甲府陣内へ圧力を掛け。
33分には直前に浦上がボールを腕に当てるもハンドを取られなかった事で、広島サポーターから上がるブーイング。
これに動揺したのか山田がボールを空振りしてしまい、野津田が奪って広島の好機。
満田がエリア内を突き、ディフェンスに遭いこぼれた所を野津田がミドルシュート(枠外)と、ミスを突いて攻撃するも実りません。

着実に相手のダメージは高まっていくも、肝心の得点が得られない広島。
34分に野津田→ピエロス・ソティリウに交代と勝負手を打つ(満田がシャドー→ボランチへ回る)も、時間も押し迫りビハインド故のプレッシャーとも戦わなければならない状況となります。

38分右サイドで野上が甲府・須貝の股を抜くスルーパス、これに松本泰が走り込んでクロスを入れるも、中央のソティリウには合わず。
ターゲットを増やしたうえでサイド奥を突き、クロスを入れるという姿勢で何とか得点を奪えれば……といった感じでしたが、それを逆手に取るような攻撃でついに結実。
続く39分左サイドから、エゼキエウのキープからの持ち運びでアタッキングサードに進入すると、またも甲府・関口の股抜きでのスルーパス。
しかし今度はエリア内左を突くパスで、走り込んだ川村もクロスでは無くシュートを選択すると、GK河田のセーブを掠めてゴール上部へと突き刺さるボール。
堅守をとうとう打ち破り、同点に追いついた広島。

しかしラストパスを出したエゼキエウが足を痛めてしまい、倒れ込んでプレー続行は微妙なものとなってしまいます。
既に交代枠も無く、何とかピッチに復帰したエゼキエウですが足を引きずりながらのプレーを強いられ。
その後1トップの位置に入り、後半終了まで凌ぐ事となりました。

それに併せ、野上と塩谷のポジションを入れ替える策も敢行した広島。
その右サイドから前進する姿勢を見せつつ、突入したアディショナルタイムでは満田のロングパス一本で裏を取ったカリファ、エリア内へ進入してループシュートを狙い。
しかし前に出たGK河田がブロックして防ぎ、勝ち越しは許さず。

ATは6分もあったものの、やはりエゼキエウの負傷により実質数的不利なため際立った攻勢は掛けられない広島。
一方の甲府も、一度後ろ重心となった意識を少ない残り時間で戻すのは並大抵の事では無く。
結局、甲府はリラが、広島はカリファが1本ずつヘディングシュートを放ったのみに終わり。(両者とも枠外)
1-1のまま後半終了を告げる笛が鳴り、延長戦に突入となりました。

交代カードが1つ補充されたものの、前述の通りエゼキエウ負傷のため、即使用する事を余儀無くされた広島。
投入されたのは住吉ジェラニレショーンで、これにより満田がシャドーに戻り、野上が右WB・塩谷がボランチかと勝手に予想を立て。
しかしシャドーに入ったのは塩谷で、満田はボランチのままという変節を見せました。(野上は予想通り右WBへ戻る)
前線をフィジカル重視へと舵を切った形となったでしょうか。

その入りの延長前半1分、ロングボール攻勢からソティリウが甲府・野澤陸に反則を受けた事で早々に直接FKを得た広島。
左ハーフレーン・エリアからすぐ手前という絶好の位置で、キッカー満田は当然直接シュートを放ち。
これがゴール右上を襲うもバーを叩いて跳ね返り、拾った荒木隼がハンドを取られて終了と、惜しくもモノに出来ず。

以降はパワープレイ気味にロングボールを多用する広島と、それを凌いでハッキリクリアしたい甲府による蹴り合いといった絵図となる試合。
着実にダメージを与えていくスタイルを採った広島、カテゴリの違いを存分に活かすといった立ち回り。
10分にはスルーパスを左サイドでカリファが受け、戻しを経て満田がミドルシュートを放ちますがGK河田がセーブ。
12分には再び左サイド奥でカリファが持ち、戻しから川村がグラウンダーでクロスを入れ、塩谷のスルーを経てソティリウがシュート体勢に入るもブロックされて撃てず。
15分には再度カリファのボールキープから、パスを受けた河村が左ポケットを突いてグラウンダーのクロス。
シュートともとれるようなこのボールに、ファーサイドでソティリウが足から跳び込みましたが惜しくも合わずと、甲府を押し込み続け。
一方の甲府は11分に長谷川→ジェトゥリオに交代するも劣勢は明らかで、何とか失点は防ぎ延長前半を終了させます。

迎えた延長後半、再び開始1分で甲府・松本凪の反則により、広島が直接FKのチャンス。
しかし今度は距離が遠く、中央から満田が放った直接シュートはゴール上へ大きく外れ。

度重なる広島の攻勢で甲府はダメージを隠す事すらままならなくなり、4分にはスルーパスに走り込んだソティリウを防ぎにいった浦上。
ソティリウに反則を受けると同時に足を攣らせてしまったようで、一旦はプレーを継続するも交代措置が採られる事となります。
この土壇場でディフェンスリーダーを代えざるを得ないというスクランブルで、代わって投入されたのは大ベテラン・山本。(7分・同時に山田→フォゲッチへと交代)

山本はボランチに入り、3バックは須貝が再び右CBへと戻り、中央が野澤陸に。
タイトルを獲るかどうかという中で、甲府の象徴的存在がピッチに立つという運命的な試合となり。(なお山本の最後の出場は35節・大宮戦、スタメンフル出場)
しかしその山本自身が、試合を左右するシーンも演出してしまうとは予想不可能だったでしょうか。

9分に野上のグラウンダーのクロスを塩谷が合わせシュート、これを須貝がブロックと、相変わらず際どい凌ぎを強いられる甲府。
続く10分には広島の攻撃を断ち切るも、自陣で拾ったリラがノールックでヒールパスという難しい繋ぎを選択した結果、再度広島ボールとなり右サイドから住吉のクロス。
これをブロックで防ぐも広島はスローインを素早く入れ、受けた満田がエリア内へスルーパスを送ると、それをカットにいった山本。
しかしここで開いた左腕に当ててしまうと、無情にもハンドの反則を告げる笛が鳴り、エリア内という事で広島にPKが与えられてしまいます。
圧力にとうとう屈したというような形で、絶体絶命のピンチ。

決めれば勝利は濃厚という重要なPK、キッカーを務めるのは満田。
細かい助走からゴール左へとシュートしますが、GK河田は読み切って跳び付き、これをセーブしゴールライン外へと掻き出します。
守護神の大ファインプレーにより寸での所で凌いだ甲府、まだ勝負は判らず。

どちらに転ぶのか全く不透明な展開を受け、その熱気はピッチ外でも同様であり。
15分にリラが広島・満田のドリブルを反則で止めてしまうと、激しく判定に抗議を行う甲府・吉田達磨監督。
そして警告を受けてしまうに至りましたが、お構いなしと言わんばかりににその後も攻勢を続けた広島。

しかしPKという決定機を逃した影響は大きく、とうとう得点を奪えぬまま延長後半終了・ならびにPK戦突入を告げる笛が吹かれました。
コイントスにより広島ゴール裏でのPKとなり、先行は広島。

1本目はともに1トップが務め。
広島はソティリウがライナーのシュートを左へ突き刺し成功。(GK河田は届かず)
甲府はリラがGKの逆を突くシュートを左へ決め成功。
キッチリ決めた助っ人により、幕は開かれました。

2本目は広島=松本泰・甲府=ジェトゥリオ。
1本目とは反対に、広島がGKの逆を突き・甲府がGKの取れないコースに蹴り込みという形で両者成功。

3本目は広島・カリファと甲府・松本凪が、ともにGKの逆を突いて成功。

そして迎えた4本目、広島は同点ゴールを挙げた川村がキッカー。
ゴール右へシュートを放つも、反応したGK河田が見事にセーブ。
コースが多少甘かった事含め、試合でのゴールで運を使い果たしてしまった格好だったでしょうか。
一方の甲府は石川が落ち着いてループ気味に左へシュート、GK大迫も届かず成功となり、甲府がリードを得て運命の5本目に。

広島のキッカーは、試合でPKを外してしまった満田。
2度も失敗となれば帰れない、とばかりにGK河田も反応できない程のシュートをゴール右へ突き刺し。
成功させて望みを繋ぎます。

甲府のキッカーは山本、こちらも与PKという屈辱を試合で味わう事となった選手。
放たれた大ベテランのシュートは、勢いを持ってゴール左へと突き刺さり。
プレッシャーを乗り越えて成功させると同時に、甲府の勝利を決定付けました。

打ち破ったJ1クラブは札幌・鳥栖・福岡・鹿島、そしてこの日の広島。
まさに長い道のりという表現をしたくなる戦績で、悲願に辿り着く事となった甲府。
壮大過ぎる物語の結実に、サッカーファンならば感涙は不可避といった所でしょうか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« DAZN観戦 2022年J3リーグ第2... | トップ | DAZN観戦 2022年J2リーグ第4... »

コメントを投稿