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DAZN観戦 2023年J1リーグ第2節 サンフレッチェ広島vsアルビレックス新潟

2023-03-02 16:00:39 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

「ボールを繋ぐチーム」という触れ込みの新潟に対し、早くも試練が訪れたような第2節。
前年3位かつ、強靭かつ組織的なプレッシングが売りである広島とのアウェイゲームで、逆に言えばこの試合の結果により今後生き残れるかどうかという試金石といったところでしょうか。とはいっても今季の降格枠は1つだけですが
そんな重大なゲームでも、J2を戦ってきた前年と同様の方策、つまり一定数のターンオーバーを敢行してメンバーを組んだ松橋力蔵監督。(前節から舞行龍ジェームズ・島田・谷口・小見がスタメン落ち)
ベンチには新外国人グスタボ・ネスカウの名前も初めて入りました。

試合が始まると、前半2分に早くも川村のミドルシュート(枠外)で脅かす広島。
その後デンがカリファのチャージで倒れ込むなど、最終ラインから繋がんとする新潟に対し、果敢に前からプレッシャーを掛けにいく得意手を発揮。
5分には敵陣で柏がボールカットした所、拾ったカリファに対し今度は逆に藤原が反則。
敵のプレスに苦しみ、こちらのディフェンスは遅れ気味になるという、カテゴリーの違い(あくまで前年までの)が壁になるかのようなシーンを描いてしまう新潟。

そうした強度の違いを受けた新潟ディフェンスにおいて、頼りになったのがパスカット力。
縦パスを前に出てカットするデンや、数的不利な状況で読みを働かせてカットに成功する高の姿に、味方は勇気付けられたでしょうか。
ようやくビルドアップでも本来の姿が見られたのが13分で、GK小島が縦パスをカリファ・満田の間を通して繋ぎ、そこから運ばんとします。
しかしここは中盤でパスミスを川村に拾われて広島の逆襲に遭い、エリア内で満田がシュート。(ブロック)

それでも、プレッシングに負けず縦パスを通すその姿勢は実るのが早かった。
14分、千葉の縦パスを受けた伊藤が反転してドリブル、そしてエリア手前で三戸がカットインという得意手に持ち込み。
ここはディフェンスに遭いこぼれるも、すかさず太田がシュートを放つと、ボールは豪快にゴールネットを揺らします。
少ない手数というややもするも新潟らしくない攻撃ながら、相手のベクトルの向きをひっくり返した末に見事先制点を奪いました。

思わぬ先制パンチを貰ってしまった広島、目の色を変えて攻め上がり。
カリファがサイドに開いてボールを引き出し、松本泰の飛び出しを交えながら人数を掛けて両ポケットを突かんとする攻撃を徹底します。
16分には右サイドでのパスワークを経てカリファが右ポケットを突き、ディフェンスに遭うもコーナーキックで継続。
そのCKでキッカー満田はニアへクロス、カリファのフリックを経てゴール眼前で柏が足から跳び込むという絶好機を作りましたが、放たれたシュートは浮いてしまいゴールバーを直撃。

勿体無い逃し方をした広島、それが響くかのように18分に今度は新潟の決定機。
堀米のパスカットから、三戸・伊藤がそれぞれボールキープ力を発揮して前に運び、三戸のスルーパスで一気にエリア内右を突いた所に走り込んだのは先制点を挙げた太田。
そして再び放ったシュートがGK大迫の左を破りますが、左ゴールポストを直撃してしまい追加点はならず。

20分が過ぎ、広島にペースダウンが見られた所を見計らうかのように、縦横無尽なパスワークを展開する新潟。
クリアボールを収めた鈴木からパスワークが始まり、最終ラインへの戻しも経て24本のパスを繋いだのが23分。(最後は秋山の右→左へのサイドチェンジがオフサイド)
前年までと同様の戦いぶりが発揮されたシーンを演じ、これで手応えを得た新潟、続く25分には秋山のパスカットから好機に持ち込み。
三戸と伊藤のコンビネーションでエリア内を突き、伊藤のシュートはGK大迫にセーブされるも、クリアボールを拾って尚も継続する攻撃。
右サイドからパス4本を挟んだ末に、伊藤が今度はミドルシュートを放ち、大迫が何とかセーブした末にゴールバーを叩き。
カテゴリーが上がっても、その能力を如何なく発揮していく伊藤。

流れを変えたい広島は、27分に佐々木が前に出ての反則気味のボール奪取からショートカウンター。
エリア内でパスを受けた満田がシュートするも、千葉のブロックに阻まれます。
キャプテンのその姿勢を見てか、再びプレスの圧力を強めにいく広島。
しかし新潟も31分に再びGK小島の縦パスでそれをいなす(その後中盤まで運ぶも反則で止められる)など、応戦の姿勢は崩しません。

前半のうちに再度スコアが動く予感は高まりつつあり。
そして笑顔に辿り着いたのはまたも新潟で、ここもGKからのパスワークvsプレッシングというシーンになるも、今度はロングフィードを選択する小島。
これを荒木との競り合いを制して収めた鈴木からギアを上げての攻撃、中でも伊藤の前進からのエリア内を突くパスはもはや芸術的といった感じで、今度はミドルパスが太田に綺麗に繋がって決定機を生み出し。
そして冷静に横パスを選択した太田、走り込んだ鈴木のシュートで仕上げてゴールに辿り着きます。

難敵相手にも屈せず、2点のリードを奪った新潟。
こうなると流れもしっかりと握り、41分には敵陣エリア内でパスカットした末に太田がシュート。(ブロック)
続く42分には再び自陣からパスワークで広島のプレッシングをかわしきり、そして伊藤のエリア内へのスルーパス。
走り込んだ鈴木のシュートは左サイドネット外側に終わるも、長所を十二分に発揮するその姿は、数多のJ1のファンをも唸らせるものだったでしょうか。
最後は広島のセットプレー攻勢を凌いだ末のカウンターで、三戸がエリア内からシュートを放つもブロックに防がれた所で前半が終了。

逆に広島にとっては誤算続きといった前半であり。
立ち上がりは何度も新潟のビルドアップを阻んでいただけに、だからこそ徹底的に封じて一縷の隙を与えてはいけなかったといった所でしょうか。
しかし終わった事は仕方無く、反撃の狼煙を上げるべくハーフタイムで3枚替えと大胆に動いてきたミヒャエル・スキッベ監督。
柏・中野・松本泰に代え、森島と東にピエロス・ソティリウを投入。
そして野津田をアンカー・満田を右ウイングバックとして3-3-2-2(3-1-4-2)へと布陣も弄ります。

前線を4人+2WBにしたその影響は、やはり前線のプレッシングに色濃く表れ。
2センターバック+ドイスボランチ(+GK小島)でのビルドアップの姿勢を保っていた前半の新潟ですが、この相手の変節をまともに受けてしまい、立ち上がりからロクに攻撃機会を掴めず。
「同数で嵌められても、GKを交えれば数的優位は変わらない」なんて余裕を見せる事も出来ずに、ひたすら攻撃を浴びる事となってしまいます。

狙い通りにゲームを支配した広島、後半5分に多彩なパスワークを経て、東ミドルパス→カリファ胸で落とす→ソティリウシュート。(ブロック)
直後には左サイドから東がクロスと見せかけてゴールに向かうボールを送り、GK小島が何とか弾いてCKに、という具合に短い時間に波状攻撃を掛けていきます。
この5分と、9分にCKを含めてそれぞれ3度ずつ攻撃機会も得る始末。
特に9分のCKでは、野津田ニアにクロス→佐々木フリックがこぼれ球となり、拾った川村がシュート(千葉がブロック)という紛れも起きる決定機となり。

何処かで流れを切りたい新潟ですが、11分にはプレスにいった所に、前に出た右サイドバック・藤原の裏を突かれるという目も当てられない展開に。(ここはスライドしてのカバーで何とか遅らせる)
こうなるとゾーンディフェンスに切り替える他なく、上記のシーンの反省を踏まえ、サイドを2人でしっかり守り数的不利を作らない事に比重を掛けます。

こうして守備は何とか整えるも、逆に攻撃を仕掛けようとしても、既にビルドアップは成り立たない状況であり。
19分にはあろう事か自陣深め左サイドで川村に奪われると、そのカットインを止めようとした藤原が倒してしまい反則。
これでCKに近い状態での左サイドからのFKを得た広島、野津田のクロスからカリファがヘディングシュートと、ターゲットが仕留めんとするも枠を捉えられず。

直後に動いた新潟、伊藤・秋山→谷口・島田へと2枚替え。
その後も広島の攻勢は続き防戦一方が続く中、23分に広島のビルドアップのミスから、パスのズレを太田が直接エリア内へスルーパスを送る場面が。(三戸が走り込むも繋がらず)
こういう試合展開で、このカウンター気味の攻撃で相手の後方にどれだけプレッシャーを与えるかで今後は違ってきそうですが、今現在はそうした余裕が殆ど無い状況なのは変わらず。

27分に再度交代策を採り、鈴木→ネスカウへと交代した新潟。
明確な収め所を置くといった感じで、その通りに彼目掛けたロングボールを軸に何とか余裕を作るシーンが見られます。
31分には広島の攻撃を凌いだのち、三戸のフリックを経てネスカウに収まると、そのまま左サイドをドリブルで持ち運ぶネスカウ。
そしてスルーパスが三戸に渡り、カウンターかと見せかけてその後遅攻に切り替えるという具合に、やはり時間を作って逃げ切りを図る立ち回りという意識が高く。

こうした絵図を経て、広島サイドも野津田が足を攣らせて交代となる(松本大弥を投入)など、ダメージを隠せなくなってくる時間帯へ。
言わば、それが深刻化する前に1点を入れ望みを繋ぎたい状況。

それが具現化したのが33分で、新潟がパスを繋ぐ展開となるも、無理に繋がんとした島田がスライディングした結果勢い余ってソティリウを削ってしまい反則。(島田に警告)
これでFKを得た広島、遠目の位置でありキッカー満田は放り込みを選択するしか無く。
しかし跳ね返されたボールを、右ハーフレーンの位置で待ち構えていた塩谷が綺麗にボレーシュートを放ち。
ゴール左隅に突き刺さる、GKにとってはノーチャンスの得点となり、望み通りに1点を返します。

前節はゴールを取り消されたような恰好(実際誤診が認められたという事であり)で無得点に終わった広島、ようやく得点に辿り着いた事で尚も意気軒昂。
38分には相手のクリアを跳ね返した塩谷、そのままエリア内へと上がった末に満田のクロスに合わせにいくなど、ゴールした本人もその心意気を前面に押し出します。

新潟は最後の交代を敢行(39分、堀米・太田→田上・松田)し、リードを守るのみとなった終盤戦へ。
投入された松田は攻撃型の選手で、43分には佐々木にまでプレッシャーを掛け、左サイドに穴を開けた末に左ポケットを突かれるというシーンを作るなど守備では不安定さが露呈。
塩谷のゴール以外には目立ったフィニッシュが無かった広島も、その隙を突くかのようにゴールに迫ります。

45分には中盤での奪い合いの末に森島が持ち出して広島の好機、満田が細かいタッチでのキープでエリア内を突き、そしてシュート。
新潟サイドもこれを決死のブロックで凌ぐと、広島サイドは一斉にハンドをアピールするなか試合は続き、ヒートアップした状態で森島がネスカウに反則を犯してしまい。
尚もボールを叩きつけた森島に対し異議で警告が出されるなど、判定に不服な態度を隠せません。
前節も判定の不運で勝てなかったとあり、フラストレーションが溜まるのは仕方ありませんが、こうしたシーンを見せる事で運気が逃げていくのも避けられず。

荒木→越道へと交代した広島が総攻撃を掛ける体勢となったアディショナルタイム。
得たセットプレーではGK大迫も前線に上がるというまさに総動員体制で、同点ゴールを狙いにいきます。
そのFKでも、エリア内で合わせにいった佐々木がデンに倒されるといった、再度の異議を呼び込むシーン(ならびにVARチェック)が生み出され。
一方もはや逃げ切るしかない新潟も、反則の際にネスカウがボールを蹴り出して警告を受ける等、形振り構わない姿勢。

ATが5分→7分に伸び、尚もVARチェックの影響で長引く中、広島の放り込み攻勢を凌ぎ続けた新潟。
ようやく聴く事が出来た試合終了の笛は、遥か昔の味となったJ1での勝利を告げる物でもありました。
揺るぎ無いサッカースタイルを築き上げたチームも、その事実よりもトップカテゴリで勝つ喜びの方が何物にも代えがたいものであり。
そんな歓喜の瞬間を、今季は何度味わう事が出来るでしょうか。

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