私たち夫婦も古くなりましたが、
家の中には、同じように古い物が色々眠っています。
骨董的な価値は全くありませんが
その中で、柱時計と黒電話を引っ張り出してみました。
柱時計は親方の実家にあった物です。
親方は巣鴨の生まれですが、空襲で家を焼かれて、戦後、暫くしてから
池袋に家を建て移り住みました。
池袋駅から歩いて20分。
当時は周りになにもなかったそうですが、高速道路と高層ビルが出来て
急激に変化していきました。
柱時計は家を新築したときに義母が買った物だそうです。
義父は親方が二十歳の年に亡くなりました。
義父はこの時計を見ていません。
気丈な義母が下宿屋をして家計を支えてきたのです。
近くの立教大学の学生さんのお世話をしていました。
当時、南こうせつさんの神田川の世界でしたね。
昭和39年、親方と付き合っている頃、家に電話をすると、電話の向こうで
コチコチと時計の時を刻む音が聞こえていました。
時折、ボーン、ボーンと言う音も。
時が過ぎ、池袋の家に棲む人が居なくなり、親方がその柱時計を
我が家に持ってきました
30数年前のことになりますかしら。
暫くは使っていたのですが、深夜、コチコチと音を刻む音が耳障りだと、
親方が取り外してしまいました。
暫くぶりに取り出して綺麗に拭いてあげ、ねじを巻きました。
息を吹き返したように時を刻み始めたではありませんか。
コチ、コチ、コチ・・・
柱時計は生きていました。
不思議な感動を覚えました。
今は鬼籍の人となった義母や義兄弟の顔が浮かびます。
黒電話
50年前、家を建てたときに付けました。
当時は電話債券を買ったと思います。
新しいファックス付きに取り替えた時、当時の電電公社の人に引き取りましょう
かと言われましたが残しておきました。
まだ、回線が残っていて、使用出来ます。
電話が掛かってくるとこの黒電話もリーンリート鳴ります
我が家はレトロです。
6月10日、今日は時の記念日でした。
柱時計を見た親方に教えて貰いました。