雛人形を作っている江戸木目込人形職人  ~伝統工芸士 新井久夫~

人形のまち岩槻で、おひなさまや、贈答用の木目込人形をつくっている職人のブログです。

5月5日、端午の節句です。

2012-05-05 22:34:45 | 木目込人形職人
        5月5日です。
        今年の人形業界の「際」が終わりました。

  


ところで、5月5日の端午の節句ですが、なぜ兜や鎧、太刀や弓など戦の道具を飾るのでしょうか?
今日はこのへんのお話を少々…。

五月の人形類を飾る意味は、決して戦を好んだり、相手を痛める事ではなく、兜や鎧は「魔よけ」や、「災いを防」ぐ、お守りなのです。


武道とは戦うことを好む事ではなく、自己確立の道なのです。
私も若い時は個人的に、ずっと武道(少林寺拳法)にどっぷり浸かっていました。

尚武とは武道・武勇を重んじることです。
一方、菖蒲の花や葉の香りには、古来より健康を保ち、邪気を祓う力があると信じられていました。

菖蒲(しょうぶ)の音が、武を重んじる「尚武(しょうぶ)」と同じであることから、古来より、とりわけ武家では菖蒲の花を魔よけや、一族の繁栄の象徴として大事にしてきました。

「武」という字の由来は、「二」「戈」「止」の三つの文字の組み合わせによる「二つの戈(ほこ)を止める」と言う会意文字であるとする説が知られています。

二千年前の書物『春秋左氏伝』には「それ武は功を定め、兵をおさむ。ゆえに戈を止むるを武となす」という楚の荘王の言葉があります。

後漢の許慎は『説文解字』の中で「武とは撫(ぶ)なり、止戈(しか)なり。禍乱を鎮撫するなり。禍乱を平定して人道の本(もと)に復せしめ、愛撫統一することが武の本義なり」と説いています。

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