雛人形を作っている江戸木目込人形職人  ~伝統工芸士 新井久夫~

人形のまち岩槻で、おひなさまや、贈答用の木目込人形をつくっている職人のブログです。

雛人形の修理

2009-01-12 21:45:16 | 節句人形 雛人形
雛人形の修理の依頼がこの時期になると多くなります。
この時期の修理というのは、親の古くなって傷んだ雛人形をなおして、それを生まれた赤ちゃんに使いまわししようとするものが多いんです。

雛人形はその子が病気や怪我をせず健康で、健やかに育って欲しいという想いを負い、身代わりに厄を受けてくれるのが雛人形なのです。

母親の雛人形はもうすでにお守りとしての役割をはたし終えているのです。
もう十分、働いたわけです。

あるいは、だれかから雛人形を譲り受けるということは、前の持ち主の厄もそのまま譲られる、ということにもなります。

大事にしていた、思い出深い、傷んだ人形を直してあげたい、というやさしい想いは、尊重したいと思います。私どもの工房でも、出来る限り、ご相談にはのりたいと思います。実は古い人形を修理するという事は、人形職人としてとても勉強になります。

しかしながら、人形の修理はとても時間がかかるので、3月3日が過ぎてからにお願いしたいと思います。

はるか古き時代には人形は「ひとがた」とよばれ、紙などで作られた「人の形」のものに身の汚れや、厄を託して川や海に流したそうです。これは現代でも「流しびな」という風習として各地に残っています。

この「流しびな」がひとつのひな祭りの起源だと言われています。
現代のひな祭りのかたちになるまでには、様々な変遷があったようですが、また、いずれの日にか触れたいと思います。
http://arai-kimekomi.co.jp/