
寮生活になった
最初の寮。
その時僕は19歳。
車通勤なので車と身の回りの最低限の物を取り揃えて
寮生活にはいった。
同室は
同じ部署の先輩。
井上陽水ファン。
僕は吉田拓郎ファン
拓郎も好きだったその先輩
意見の合う気さくな先輩。
はじめての寮生活不安いっぱいな中
兄貴のように僕に接してくれた。
今でも思い出すと
その時の事がありがたく、
懐かしく思う。
九州男児で気さくな人だった。
でも、怒らせると怖そうな人だったと聞くが 僕に対しては怒ったところをみせなかった、優しい先輩だった。
いつも一緒に行動していた。ご飯や、会社に行く時も 風呂も
休みの日もパチンコとかもよく出かけた
ただ先輩は彼女さんとのデートの時だけは僕と別行動。だった。
その先輩が結婚して、寮を出るまでずっと行動を共にしてた。
ちょうど井上陽水さんの
この
「とまどうペリカン」という歌がリリースされ、ヒットしていた頃だった。よく、先輩のカーステレオから流れていて、口ずさんでた。
とまどうペリカン…
社会生活にとまどいを覚えたエピソード。
僕は寮に入ってまだ新入り、新入生と変わらない立場だった。
いわゆるその寮の「しきたり」「挨拶まわり」なるもの「礼節」といったら大袈裟だけど
先輩への挨拶まわり
をしてなかった。
というより知らなかったし、そんな情報とか疎かったから
同じ部署の先輩からもそんな気の回し事も聞いてなかったし、
気にすることじゃない感じで日々寮生活をしていた。ある夜
ロビーで
酔っ払って帰ってきた
古参の寮生の先輩三人が
僕を呼び止めた
どうやら僕が気に食わなかったようだ
新入りなのに挨拶に来ないで、大きい顔してるように思われたらしい。
そのまま その先輩の部屋まで連れて行かれた
ライオンのように威嚇する
この先輩は
酒癖が悪いとすぐわかる感じだった。
他の二人はなだめるように
でも逆らえないライオンのような先輩につきながら僕の方にも
気をつかってる目線を送っていた
その二人もほどよく酔ってはいたもののライオンの如く吠えまくる先輩におされて
太刀持ちのような立場だった。
僕を正座させて
威嚇するその先輩
殴りかかりそうなのと
蹴られるそぶりを見せながら
二人の静止を受けながらでも
僕をずっと威嚇しつづけてる
よっぽど虫の居所が悪かったのか
なかなか僕を解放してくれない
同室の先輩が心配して探しにきてくれないかなぁと
心の中で思いつつ
早く酒癖の悪い酔っ払いの悪態から解放させてほしかった。
ただ、ただその場をやり過ごしていた。
なだめていた二人が促すように
僕を頃合いをみながら解放させてくれた。
もう、部屋に戻りな、と…
軽く頭を下げて部屋を出て
自分の部屋へ戻って行ったら
もう、先輩は布団をしいて寝ていた。
ある意味それで良かったようだ。
あとから他の人に聞いたら
同室の先輩も喧嘩っ早く
もし、その場に鉢合わせたら
大乱闘になってたかも…
という話だったので
事なきを得た。
でも、寮の管理人さんに話が漏れて
その酔っ払ってた先輩は説教を受けたと聞いた。
でも僕は
その数日後
その先輩に
お酒一升瓶
詫びのつもりで、おくれた挨拶代わりに部屋を訪ねて
届けに行った。
その時シラフだったその先輩。
バツが悪そうに僕の差し入れを拒んだけど
僕も今後のことも、あるから
いわゆる僕も平和主義者なので
穏便にという気持ちで酒を置いて部屋を後にした。
とまどいは
その度ごとに訪れずれる。
出る杭は打たれる。
目立とうとしてなくても
目立ってしまう僕。
その後
寮生活は続いていくわけだが、
次の寮では平穏だったが
その次の寮ではまた、同じように
(生意気だ!と因縁をつけられたり)
そこの寮でも僕は下っぱだったから
頼りになる先輩数名の元
虎の威を借る狐よろしく
ジャイアンにこびるスネ夫の如く
先輩にとりつくろって
僕に因縁をつきてきたその先輩の事を話して
そちらから話をつけてもらおうとしたり、した。
上が下をいたぶる、威厳を光らせる
その行為は
もう、いまの時代もあるだろうが
それこそパワハラで問題視される。
僕の若い頃はまだ往々あったものだ。
とまどうペリカン
を聞いていると
あの当時のほろ苦い思い出が
蘇る。