中学の頃
音楽の教科書に載った
この歌は
いわゆるフォークの名曲だったことを
僕はまだ知らなかった。
ギターを、始める少し前
多分中学に入りたての夏前だったのか
音楽の授業での出来事。
若い女の先生が音楽の担当だった。
体育の教師とできてる
と
もっぱらの噂で
いわゆる
「ヒューヒュー! あついぜ!」ってやつで…
ほとんど音楽の授業にならない事が多かった。
女の音楽教師の話は聞かない。
冷やかす。
ピアノの伴奏にわざと音を外す。
など
男子はこぞってからかっていたのだ。
この音楽教師は合唱部の顧問もしていたから
クラスの一部の合唱部の者たちだけが
苦虫を噛みしめた顔をして
授業の成り行きを見ていた。
その日は合唱をする授業だった。
音楽の教科書を開くと
「遠い世界に」
があった。
まだ歌謡曲少年で
吉田拓郎が好きになってハマりかけていた少年だった僕は
フォークの大御所
五つの赤い風船
なんて
知らなかった。
しばし
教科書のページに釘付けとなる。
詩を読み返して
なにやら唱歌のような
NHK みんなのうた
で歌われるような歌だなぁ
と思いながら、
「ふぅ〜〜ん」って程度で
音楽の教師が弾きだすピアノの伴奏に
耳を傾けてていた。
その日の授業は合唱。
からかうのには
もってこいの授業内容。
確かこの歌を輪唱する内容だったと思う。
クラスの男子は面白がって
音を外すもの
奇声を出すもの
手拍子を打つもの
ほとんど授業の程をなしてなかった。
それほど僕らには音楽の授業が退屈だったのだ。
その日はまたいつもに増して
授業を受ける態度が悪かった僕らだった。
そんな状況で
音楽の女の教師は
ついに泣いてしまったのだ。
というより
僕らが
その教師を泣かせてしまったのだ。
授業が荒れる
というより僕らがからかっていた態度で
受けていた音楽の授業に対して
教師のとるべき態度は
怒るのだろうが、
なにぶん優しい 大人しい女の教師だったから
僕らはそこにつけ込み
からかっていたのだ
積もり積もったその事が
泣く
という行動となった。女の音楽教師。
怒る事ができなかったのか?
怒る事をしなかった女の音楽教師。
若い女の教師に年齢差を感じなかったところ、いわゆる
先生と生徒としての距離
尊敬の念がなかったのだろう、僕ら。
姉さん先生。
そんな言葉が
ピッタリだった。
僕らは甘えていたんだろうか?
音楽教師は
遠い世界に
の伴奏途中でピアノの鍵盤に顔を
埋めて 声を上げて泣き出した。
その光景は今でも忘れられない。
そして程なく
教室の前のドアから出て行ってしまった。
授業は止まり
僕らは取り残され
静寂な空間にいた。
誰かが、言った。
『あゝ 泣かしちゃった…』
後日 学年主任の先生から僕らのクラスは
こっ酷く絞られた。
その後 音楽の授業は
後にも先にも
荒れる事なく
淡々と行われる事となる。
遠い世界に…
この歌の持つ時代背景は混沌とした頃に出た歌だったのだから
その事が呼び戻されたように
音楽の授業に再現されたかのごとく
何故かしら優しい歌なのに
争い事 いさかいごと 騒がしい雰囲氣を呼び起こす嵐を巻き起こす歌のように
僕の中で思えてならないのだ。
何故僕たちは女の音楽教師を泣かせてしまったのか?
遠い世界に
を聞くたびに
ふっと
考えてしまう。
音楽の教科書に載った
この歌は
いわゆるフォークの名曲だったことを
僕はまだ知らなかった。
ギターを、始める少し前
多分中学に入りたての夏前だったのか
音楽の授業での出来事。
若い女の先生が音楽の担当だった。
体育の教師とできてる
と
もっぱらの噂で
いわゆる
「ヒューヒュー! あついぜ!」ってやつで…
ほとんど音楽の授業にならない事が多かった。
女の音楽教師の話は聞かない。
冷やかす。
ピアノの伴奏にわざと音を外す。
など
男子はこぞってからかっていたのだ。
この音楽教師は合唱部の顧問もしていたから
クラスの一部の合唱部の者たちだけが
苦虫を噛みしめた顔をして
授業の成り行きを見ていた。
その日は合唱をする授業だった。
音楽の教科書を開くと
「遠い世界に」
があった。
まだ歌謡曲少年で
吉田拓郎が好きになってハマりかけていた少年だった僕は
フォークの大御所
五つの赤い風船
なんて
知らなかった。
しばし
教科書のページに釘付けとなる。
詩を読み返して
なにやら唱歌のような
NHK みんなのうた
で歌われるような歌だなぁ
と思いながら、
「ふぅ〜〜ん」って程度で
音楽の教師が弾きだすピアノの伴奏に
耳を傾けてていた。
その日の授業は合唱。
からかうのには
もってこいの授業内容。
確かこの歌を輪唱する内容だったと思う。
クラスの男子は面白がって
音を外すもの
奇声を出すもの
手拍子を打つもの
ほとんど授業の程をなしてなかった。
それほど僕らには音楽の授業が退屈だったのだ。
その日はまたいつもに増して
授業を受ける態度が悪かった僕らだった。
そんな状況で
音楽の女の教師は
ついに泣いてしまったのだ。
というより
僕らが
その教師を泣かせてしまったのだ。
授業が荒れる
というより僕らがからかっていた態度で
受けていた音楽の授業に対して
教師のとるべき態度は
怒るのだろうが、
なにぶん優しい 大人しい女の教師だったから
僕らはそこにつけ込み
からかっていたのだ
積もり積もったその事が
泣く
という行動となった。女の音楽教師。
怒る事ができなかったのか?
怒る事をしなかった女の音楽教師。
若い女の教師に年齢差を感じなかったところ、いわゆる
先生と生徒としての距離
尊敬の念がなかったのだろう、僕ら。
姉さん先生。
そんな言葉が
ピッタリだった。
僕らは甘えていたんだろうか?
音楽教師は
遠い世界に
の伴奏途中でピアノの鍵盤に顔を
埋めて 声を上げて泣き出した。
その光景は今でも忘れられない。
そして程なく
教室の前のドアから出て行ってしまった。
授業は止まり
僕らは取り残され
静寂な空間にいた。
誰かが、言った。
『あゝ 泣かしちゃった…』
後日 学年主任の先生から僕らのクラスは
こっ酷く絞られた。
その後 音楽の授業は
後にも先にも
荒れる事なく
淡々と行われる事となる。
遠い世界に…
この歌の持つ時代背景は混沌とした頃に出た歌だったのだから
その事が呼び戻されたように
音楽の授業に再現されたかのごとく
何故かしら優しい歌なのに
争い事 いさかいごと 騒がしい雰囲氣を呼び起こす嵐を巻き起こす歌のように
僕の中で思えてならないのだ。
何故僕たちは女の音楽教師を泣かせてしまったのか?
遠い世界に
を聞くたびに
ふっと
考えてしまう。
