チョキで殴るぞ!

自分のことは棚に上げ、他人には一言つっこまずにはいられない、 わがまま“びっきい”によるツッコミ短歌ブログです。

洋梨の山を自宅に送りつけそれとはなしに解雇通告

2006-05-08 05:54:23 | インポート
今日から通常更新に戻ります。
連休明け早々、休みボケの会社員の
眠気が吹っ飛ぶネタで恐縮です。

リストラって、
「される側」はもちろんつらいですけど、
「する側」もまたつらいと思うんですよ。
いわゆる“肩叩き”ってヤツですが、
いくら叩いてもお駄賃はもらえないし、
逆に恨みを買って、定規の角で
眉間を叩き割られる恐れもあります。

そんな恐怖におびえながらも、
人事部長はまず、リストラ対象者を
会社近くの喫茶店に呼び出すんですね、外線で。
部長は20分前からコーヒーを飲んで待機。
そこへ対象者がノコノコと登場。

「どうだ、このところ体の調子は?」
「そうそう、最近は競馬やってる?」

興味のないどうでもいい話にひとまず触れて、
対象者の顔色をうかがう部長。
お互いが引きつった愛想笑いをした後、
部長はコーヒーを一口すすり、
大きく息を吸ってから核心へ迫ります。

「ウチみたいな小さい会社じゃ、
 君はもったいないと思うんだ」

やはりこのキメゼリフが無難ですかね。
自分の会社をおとしめることで、
対象者の相対的価値を引き上げる。
自尊心を傷つけないようにしながら、
気分を害さずにすっぱり辞めてもらうには、
これ以上の言葉はないかもしれません。

不意の呼び出しだったとはいえ、
うすうす感づき出した対象者が抵抗もせず、
素直にこの一件を了承しようものなら、
部長もホッと安堵の笑顔。

「うん、これまでどうもありがとう。
 新しいところでがんばってくれよ。
 君なら絶対どこでもやっていけるから」

心にもないことをヌケヌケと言って、
部長はサッと右手を差し出し、
むりやり対象者の手を握りしめます。
そして、左の手ではポンポンと肩叩き。

大きな役目を果たした部長は、帰宅後、
晩酌をしながら妻に吐露するのです。
またつまらぬものを斬ってしまった…と。

まあね、どこの会社にも
お荷物社員というのはいるわけですよ。
それはどうしようもないことです。
問題は、採用時に“重荷”を見抜けなかった
人事部長自身の節穴の目玉にあるのですから。