早朝、カートに腰かけて草抜きをしていると、どこからか、「ばーちゃん、ばーちゃん」と、ちょっとしゃがれた声が私を呼んでいる。誰かなと、道路を見ても私の車しかない。空耳かと、また作業を始めると「ばーちゃん、ばーちゃん」とかすかに呼ぶ声。誰もいなにのに…もしかしたら、日がな一日、この畑で毎日仕事していた亡き母を、畑の精が呼んでいるのかなと思った。
でも座ったままカートを移動するとその声が聞こえる。ギーコギーコと軋む音が「ばーちゃん」と聞こえていたのだ。
畑の精が亡き母を呼んでいたのでなく、カートが私の重みに耐えかねて悲鳴をあげていたのだ。「ばーちゃん、ばーちゃん、ダイエットしたら?」
ゴマの花が咲き、鞘がつき始めた。左が「金のごま」右が「黒ごま」違いがわからん。