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安呑演る落語

音源などを元に、起こした台本を中心に、覚え書きとして、徒然書きます。

崇徳院

2014年11月25日 | 落語
崇徳院

父親: おい、あっ、熊さんかい? さあさ、こっちィ入っとくれ。いやあ、いそがしいところ、ご苦労さま
熊: いえ、どういたしまして、とんでもない。いえいえいえ。それよりね、あのォ、あっしゃねェ、若旦那ァさあ、具合(グエエ)が悪いってのァ知ってンですよォ。知ってるんだけどもねえ、見舞いに来なきゃァいけねえと思ってながらねェ、どォもここんところやけに仕事が忙しいんでねァ、ええ。もう、来てえと思っても来られなかったんで、すっかりご無沙汰しちゃいまして、どうもあいすいません。えェ、で、若旦那ァ、具合はどうなんですゥ?
父親: (沈んだ様子で) んん、ありがとう。いやァ、それがねえ、どうも、・・・弱ったよォ
熊: そうっすかァ。弱りましたかァ・・・。じゃァもう誰か・・・、葬儀社や寺のほうに人が行きましたか?
父親: (むっとして) おい、うちの伜はまだ死んじゃいないんだよッ
熊: あ、死んでねェんですか? あーあ、そうですかァ・・・。なァんだ
父親: ンな、な、なァんだよ。・・・がっかりしちゃやだよ。えゝ? いやァ、その弱ったというのはねえ、その・・・、なんの病気だかわからない。つまり病名がわからないてんだよ
熊: お医者様に
父親: いや、それァ診せたさ。えゝ? おお、あっちのお医者様、こっちのお医者様。ねえ? いっぱい診せたんだけれども、どのお医者様もただ首をこうかしげるだけ。え? 病気がわからないんだから手の施しようがないってン・・・。ねえ?(しみjみ)よわったよォ。もーう、当人どんどんどんどん痩せ細っていく・・・。
ねえ。ところがね、二、三日前に来てくだすったお医者様、なかなかのお上手な方と見えて、
『あたしが診てどこも悪いところはない。ただああやって弱っているというのは、これは気の病だ』 と。
『何か腹に思っていることがあるに違いないから、それを訊き出して、その思いをかなえてやれば、きっとあの病人は良くなる』 と、こう言ってくれたんでね、うん。それからァ、yんべですよゥ、あたしと番頭さんとねえ、二人で一生懸命伜に訊いたんだけれども、いやァ、内気な性分ていうものも、そういうとききには困ったもんだよ。なァんとしても言わないんだ。ええッ。で、とどのつまりね、まあ熊さんにだったら話をしてもいいと、ま、こういうところまで漕ぎ付けたんだ。ねッ? そこでま、忙しいところきょう来てもらったんだが、ひとつねェ、ェェ、伜ンところ行って、その、腹に思ってることを訊き出してもらいたいんだ
熊: あーァ、そうですか。(旦那が恐縮するので)いえいえいえいえ、お安い御用でござんすよ、そんなことァ。
へえ、(自信たっぷり) えェえェ。いえ、それァね、あっしァあの、若旦那の贔屓役者ですからね、それァあっしにはなんだってしゃべりますよ。え、大丈夫です、ええ、必ず、訊き出してきますから。ェェもう、しゃべたなかったら、張り倒したって吐かせますから
父親: おい、うちの伜、罪人じゃないんだよ、えゝ? そんな乱暴なことしちゃいけないよォ。なにしろお医者様の言うにはね、この分でいくってェと、五日ともたないやなんか言ってるんだから、いいかい?
体はすっかり弱り切ってんだから、お前さん、大きな声で耳元でガンガンガンガンやるってェとね、エ?
ん、体に障るから、いいね、なるべく、この、やんわりと・・・、いいかい、ねッ? うん、やさしく訊いてやっておくれよ
熊: えいッ、わかりました。心配いりませんよゥ、大丈夫ですよォ。えエ、えエ。若旦那は? え、うん、離れ?
ああそうですか。へい、じゃ、わかりました。行ってまいりますから。どうも、へいッ。
・・・(歩きながら独り言) 冗談じゃねえや、なァ! えゝ? そうやって甘やかすから病気がよくならねェんだい。本当にしょうがねえ。少し威勢つけてやろう。なッ。ああ、ここだよッ。ふん(離れを開け、大声で)

おやッ! 若旦那ァッ!・・・若旦那ァッ!・・・んだよう、本当にまァッ!!・・・えェ? そんなところィ寝ててェ。どうしたんですよォッ。本当に、だめだよッ。病は気からttんだよォ! えゝ? ん、自分でもってよくなろうとしなきゃァねえ、どうやったって病ってのはよくならねんだよォッ! しっかりしなさいな、しっかりィッ!
若旦: (息も絶え絶え) は・・・は・・・お前・・・・・、お・・・大きな声を出しちゃ・・・、は・・・は・・・は・・・、嫌だよおォ・・・ォ・・・ォ
熊: ・・・こら葬儀社行った方が早えや、これァ。・・・・・若旦那ァ、だめですよ、みんな心配してるんですよォ。
わかりました、大きな声はだしませんがね、えェ? ちょいと話をしてください。ねッ? あたしがね、あのォ、若旦那にね、えェ、ちゃんとね、いいようにしますから。ねッ? そのォ、病名がわからねェってじゃありませんかァ、え? 何なんです、その、病気ってのァ?
若旦: ・・・・・い、医者にはわからなくたってェ、・・・あたしには、わかってる
熊: ふうん? 医者にわからねえで、お前ェさんにわかるンすかァ? じゃァ若旦那が医者になった方が早えですね、それァ、へえーェ。何なんです?えッ? 何なんです? あっしにならしゃべれるんでしょう?
若旦: ・・・うん、(と言ったがためらい) ・・・・・でも、お前、・・・笑うと嫌だなあ
熊: いやァ、笑やしませんよォ。人が患ってんじゃありませんか、それ聞いて笑うってやつがありますかァ。えゝ? 笑やァしませんよ。え? おっしゃってください、え? 何です? なんです?
若旦: ん・・・。それじゃァ、話すけれどね。・・・実は、・・・(何を思うのか力なく笑い始め) ふ、ふ、ふ、でも、お前、な、なァ・・・んだか、わ、笑いそう・・・
熊: (じれったく) お前ィさんが笑ってんだよォッ。・・・・・あたしゃ笑ってねェんだから、ねえッ? さあッ!おっしゃいなさい、え? おっしゃいなさいよッ!
若旦: うん・・・、じゃ言うけど、・・・(恥ずかしそうにごく小さく) こいわずらい
熊: ・・・なんですゥッ?
若旦: (やるせなくあえぎ) は・・・ァ、は・・・、(思い切って) 恋患い
熊: ・・・(びっくりし大声で) 恋患いッ? (威勢よく吹き出す) プフーふッ!
若旦: ほらァーッ、・・・(泣きそうに) 笑ったじゃァないか
熊: いやァ (慌てて笑いをこらえ)、う、うふ、うふ、あいすいません。勘弁してください。いっぺんだけ笑わしてください。はははッ!・・・・・へええ! そうですかァ? いやァ、話には聞いてますよ。あるてェ話は聞いてますけれどもねェ、その病にかかった人に会うのは、あっしァ初めてだ。あっしの周りにはそんなの一人(シトリ)もいませんからねえ。たいそう古風な病ですなァ、どうもォ。そんな病気を、いってェどこでェ背負い込んできたんですゥ?
若旦: 実は・・・、今から二十日ばかり前(マイ)だった。定吉を供につれて、あたしゃ上野の清水(キヨミズ)さんへお詣りに行ったんだよォ
熊: ああ、いいことをしやしたねえ。え、信ありゃ徳ありってェますからね。えェ。またあのね、清水さんてェのは高台にあるから見晴らしがいいんですよ。(陽気に) あっしも好きだよ、あすこァ。ねえ。ちょいと下見るってェと弁天様の池がツウーッとあってね、ええ? 向ヶ岡・湯島の天神、ねえ、神田の明神、こっちの(と右手を指し) ほう見るってェと待乳山(マツチヤマ)聖天(ショウデン)の森。なァんとも言えねえやァ、ねえ。
そィでねえ、またねえ、あのお堂の脇のあの茶店、あすこへ寄りましたかァ? あすこはまた乙なうちでねえ、え? 腰を掛けるってェと苦いお茶に羊羹が出る。あのまた羊羹が乙な羊羹でねェ。あれ、いくつたべましたァ?
若旦: (じれて)よゥ・・・、羊羹なんか・・・どうでもいいんだよォ。・・・・・まもなくあたしの目の前にね、供の女中を三人連れた、どこかのお嬢さん風の人が腰を掛けた。あたしゃそのお嬢さんの顔を見て驚いたよォ
熊: ヘェえ、・・・目が三つ?
若旦: そうじゃないよゥ・・・・・水の垂れるような人なんだ・・・
熊: そうですかァ、それァかわいそうにねえ。へーえ。じゃァ早ェ話が、みかんを踏んづけた様な顔なんすかァ?
若旦: ・・・(ますますじれて)違うよォ。・・・元気ならぶつよ、もう。・・・・・いい女のことをね、水の垂れるような・・・と言うんだよゥ
熊:   あーア、そうんなこと言うんすかァ? 知らなかったもんですから、ヘェヘェ、なるほどォ
若旦: あたしがそのお嬢さんの顔をじいっと見ている。お嬢さんもあたしの顔を見ていた。しばらく経つと、お嬢さんが立ち上がるとたんに、膝の上に置いてあった茶袱紗(チャブクサ)が落っこったんだが、それにも気がつかないでお嬢さん、行きかけた。あたしゃ急いでそれを拾ったんだよォ
熊: 高く売れましたか?
若旦: 売りゃァしないよォ。後を追ってってお嬢さんに渡すと、真っ赤な顔をして、蚊の鳴くような声で礼を言ってから、女中と何か話をしていた。そのうちにね、包の中から短冊を取り出すと、筆の運びも軽やかにさらさらと何かしたためて、あたしにその短冊をくれて、(感動のあまり軽く洟をすすり) 軽く会釈をすると行ってしまったんだが、(涙声になって洟をすすり) ねえ、熊さん、その短冊というのがこれなんだ (と、泣いて)。 ご覧。『瀬をはやみ岩にさかるる滝川の』 として、うぅ、うぅ・・・・う (嗚咽)
熊: 泣くことァねえじゃァありませんか。えゝ? な、なんですってェ? 瀬を早みィ、岩にさかるる滝川のォ?短っけえ都々逸ですねェ
若旦: 都々逸じゃないんだよゥ。これは崇徳院様の御歌で、下の句が 『われても末に逢わんとぞ思ふ』。今は別れ別れになっても、末には夫婦(メオト)になりましょうという心の歌なんだ。さあ、これをもらって帰ってきてからというものは、何を見てもお嬢さんに見えるんだよ。床の間の掛軸の達磨さんがお嬢さんに見える。鉄瓶がお嬢さんに見える。火鉢がお嬢さんに見える。こうしていたってお前さんが・・・・・
お嬢さん・・・・・には見えない・・・
熊: ・・・なんであっしだけ外すんだよ。えゝ? そうですかァ、(小膝を打ち) わかりましたァ。じゃァ早ェ話がね、若旦那。そのお嬢さんとこの、一緒ンなれりゃァ、ねえ? 夫婦になれりゃァ、その病気ってェのは治っちゃうんですね? なァーんでェ、本当にィ。早くおっしゃいよ、早くゥ、えゝ? んなァ、そら、大丈夫ですよッ。あっしァね、これからね、大旦那ンところ行って掛け合ってね、そのお嬢さんと一緒ンなれるように、なんとかしますから、んな、心配ェすることァありません、えゝ! じゃァ、すいませんがね、ちょいと話ァしにくいから、そこにある、その、なんてんですか、短冊ってェの? それちょいと貸してください。いエ、大丈夫すよ、すぐに返しますから。へい(と受取り) えい、どうも。じゃ、ちょっと借りますよ。うん。(旦那のところへ戻って) ・・・えェ、行ってまいりました
父親: ああ、ご苦労さんご苦労さん。で、倅は、ん? 何と言ってた?
熊: ええ、実ァ、倅はね
父親: お前まで倅てェことァない。えゝ? なんだい?
熊: ヘッ、 えェ実ァね、ええ、今からね、二十日ばかり前だそうですよ。へえ。ェェ、なんか、定吉と一緒に上野のね、清水さんへお参りに行ったんだそうですって
父親: うん
熊: でね、あのお堂の脇にね、茶店があるでしょ? え? あすこィ入ったんですって。またあの店(ウチ)が乙な店でね、ええ、腰をかけるってェと苦いお茶に羊羹が出つくる。この羊羹がまた、べらぼうにうまいン
父親: あーァ、そうかそうか、倅は下戸だからな、ン、その羊羹が食べたいてェのか?
熊: いえェ、そうじゃァねえン。羊羹はあっしが食べたいんで
父親: なァにを言ってるんだよ。何なんだ? 早く話しな
熊: いえ、ちょい、ちょい、ちょいと待つっつくんなさい。ね、話はこう、順を追っていかねえってェとわかんなくなっちゃうン。ね? ええ。で、ま、まもなくね、そのォ、若旦那の前に、女中を三人連れたどっかのお嬢さん風の人が腰を掛けた。ひょいと顔を見たときに驚いたそうですよ
父親: どうしたんだい?
熊: ええッ、そのお嬢さんの顔ッ。・・・みかんを踏んづけたような顔
父親: ・・・・・そりゃァお気の毒だァ
熊: いやーァ! そゥそゥそゥ・・・それァ違う。あっしもそう思ったン。お気の毒じゃァないんですよ。ほらァ、えゝ? よく言うでしょ、いい女のことを、えゝ? 水がこぼれたようなと
父親: 水の垂れるようなてんだ
熊: あァ、どっちにしたって濡れてますな
父親: 何をくだらないことを言ってン・・・うん、で、どうしたんだい?
熊: で、お互いに顔と顔をこう見合しているうちに、ゥ、お嬢さんのほうがつっと立ち上がったン。ね、膝の上に乗っけておいた茶袱紗を落っことしたのにも木がつかないでスゥーッと行きかかったんで、若旦那、ね?すぐにその茶袱紗ってェのを拾って・・・売ったと思いますか?
父親: 思やしないよ。・・・倅のこった、ちゃんと届けてやったんだろ
熊: そうなんですよ。へえ、あとを追いかけてって、落としましたよってんで渡すってェとお嬢さん、顔を赤らめて、蚊の鳴くような声でもって礼を言う。ね? 女中となにか話をしていたが、包ンなかから短冊を出して、筆の運びも鮮やかにすらすらとなにかしたためて、若旦那に渡して行っちゃったってんですよ。ね、それがね、それがね(と短冊を)、えェ、旦那、これなんです。これ、これッ。ほらッ、ここィ書いてあんでしょ。
ねッ? (うまく読めず) ほらッ、あのね、ん、ん、読んでごらんなさい?
父親: (受取り) なァんだ・・・。・・・・・えー、『瀬を早み岩にせかるる滝川の』
熊: 短っけえ都々逸だと思うでしょ?
父親: 思やしないよォ、これは崇徳院様の御歌だァ。なあ。下の句が、われても末に・・・な? 逢わんとぞ思う・・・ってんだ
熊: へーえ(感心して)、親子ですねえ。・・・やっぱり言う事が似てるなァ
父親: 馬鹿なことを言うんじゃない。親子でなくたっておんなじことを言うよォ。・・・はあはあ、なるほど。へえへえ
熊: で、これをもらって帰って来てからてェものはとにかく、若旦那ァもーう、何をみてもお嬢さんに見えちゃうン。
ねえ? ああ、床の間の掛軸がお嬢さん、こっちの鉄瓶がお嬢さん、火鉢がお嬢さんってんで、・・・ゥ、あっしだけ違うんですけどね。もーう、そうたっちゃったン
父親: (深く) そうか・・・。わかったよ。親ばかちゃんりんだ。なぜそこに気が付かなかったかな。そーうかい。あたしゃ、いつまでも子どもだ子どもだと思ってた。恋患い?
熊: そうなン
父親: (納得し、腹を決め) うーむ、よしよし。じゃ・・・あの、そのお嬢さんと一緒にさせてやれば、倅は治るんだな?
熊: そうなんすよゥ
父親: (安心して) そーゥかァ。倅が気に入った娘さんだ、えゝ? 間違いはなかろう。うちの嫁にしてやろうじゃないか。うん、で、どこのお嬢さんなんだ? え、どこのお嬢さんだ?
熊: へえ、それがね (と勢い込んだが一転) ん、・・・・・そ、それが・・・・・ねえ、どこなんですかええ?
父親: どこなんですかねえって、お前なぜ聞いてこない?
熊: ・・・聞いてこないって・・・ねえ、・・・若旦那のほうが言わねえからねェ
父親: (叱るように) 言わないからじゃァないんだよ。それじゃァ子どもの使いちおんなじじゃないか。なぜお嬢さんの名前を聞かないんだよ?
熊: 聞かねえったったねえ、んー、それァ・・・そこまでたちいるのはね
父親: (苛立ち) 強情なんだよォ、お前はッ。素直に謝んなさい。えゝ? なぜ聞いてこなかったかい?
熊: ええ・・・、若旦那もそそっかしい
父親: まだ言ってやがら。早く行って聞いてきな
熊: へいッ。・・・(とって返し) わかだんなァッ、若旦那ァ・・・
若旦: (泣きべそで) また・・・大きな声を出しちゃ揖屋だ・・・
熊: そんなこと言ってる場合じゃねんすよッ。肝心なことをあっしは聞き忘れました。えゝ? どこの、お嬢さんなんですゥ?
若旦: ・・・(つぶやくように) わからない
熊: わからない? じゃあの、名前ェもところもわかんねんすかァ?・・・弱ったね、そりゃァ。(責めるように強く)患うぐらいだったら、なぜ聞かねんすよッ?
若旦: だってあたしゃ・・・、短冊もらってポーッとしてたから、聞けなかった・・・
熊: (がっかりして) ふーん。本当にしょうがね・・・。定吉だって付いているんだから、そのぐらいのこと気を利かせりゃいいんだよ、まったくどうもねえッ、えゝ? よわりましたねえ、それァ。そのお嬢さんだってそうだい。ねえ。歌を半分ばかり書いて寄越すぐれえだったら、その短冊にねえ、名前ェと町所でも書いといてくれりゃァ手間ァ省けるんだい、しょうがねえなァ、弱ったねえ。じゃァ (吹っ切るように)、・・・
若旦那ァッ。も、よしなさいッ。ねえ? (さすがに少し忍びなく) んな・・・名前ェもところもわかんねえ・・・
そんな・・・ものあたくしはどこそこのどういうモンですって、ちゃんと言うもんだァ。ねえ? うん、それが・・・
その、ただありがとう・・・。そんなくだらねえ歌をしみったれに半分ばかり寄越・・・。そ、(改めて宣告する
ように) よしなさァい! そんな女、ねえ。・・・他所(ワキ)ィなんか見つけましょう
若旦: 嫌ァだよおぉーゥ。その女じゃなきゃ・・・(泣き崩れる)
熊: (手におえず) だーァ、そ・・・、んじゃ・・・わか、わかりましたよ。泣いちゃしょうがねえなァ、どうも。わかった! ちょっと待っててくださいよォ・・・・・(旦那のところへ戻り) 行ってきましたァ
父親: わかったかい?
熊: わからねえんすよォ
父親: え?
熊: いや、聞かなかったんです
父親: ・・・しょうがないねえ、どうもォ。うーん。ところもわから・・・
熊: いえ、ところもなんにもわからないン。もう名前(ナマイ)もなんにもわからない。とにかく若旦那ァ短冊をもらってポオーッとしちゃったんで、なんにも聞かねえうちに、そのお嬢さんいなくなっちゃったんで
父親: ・・・そうか。・・・弱ったな
熊: 弱りましたよォ
父親: (困り果て) うーん・・・。どうしよう?
熊: そうっすねえ・・・・・まあ、しかたがねえから、このまんま静かに息ィ引き取ってもらうことに・・・
父親: なん!・・・・・お前ィ、なにしに来たんだい、うちにィ! 本当にまあ・・・。倅を助けるんですよォ。・・・探しなさい!
熊: え?
父親: 探しな
熊: な、な、何をですか?
父親: そのお嬢さんを探すン
熊: お、お嬢さんで、どこの誰だがわかんねェン
父親: (厳しく) どこの誰だかわかんないから探すんだよッ。えゝッ? わかったら探すことァないんだ
熊: そ、それァ、ま、理屈は、ま、そうですけども。・・・・・だけどォ、そんな・・・、そ、それ、雲をつかむような話・・・
父親: 大丈夫だよッ。どうせ日本人なんだからッ
熊: そら日本人・・・には違ェないけれども、・・・日本人もォ、ずいぶんいますよォ? ええ。これァ弱りましたなァ
父親: そんなこと言わないで頼む。やっておくれよォ。ええッ、倅のためなんだ。なッ。ただは頼まないよ。もしそのお嬢さんを見つけてきたらばな、お前が住んでいるあの三軒長屋、お前にやるよ、えェ? うちにある借金もすっかり棒引きにしてやる。やんなッ!
熊: ・・・いや、そりゃお話しはありがたいんですがねェ、うう、でもねえ、それ、第一そのねえ、何の手掛かりもない
父親: そんなことァないよ。え? ここにあるこの (と短冊を取り)、崇徳院様の御歌だ。これが手掛かりンなる。
あ、ちょっとまちなさい。(店の者に) おいおい、そこに硯と紙があるだろう? うん、それにちょっと
書いとくれ。うん。『瀬を早み岩にわかるる滝川の われても末には逢わんとそ思ふ』。おッ、書けたか?
書けたらこっちィ持ってきな。うん、はい (と受取り) はいはい (と確認)、で、これはな (と短冊を)、倅が大事にしてるだろうから、え?返してやんなさいよ、うん。さあ、(と写しを渡し) おい、さ、これ持ってッ
熊: いや、ちょっと、待って・・・。も、『持ってっ』ったってさァ。弱ったねえ、こんなもんで探せますかねえ?
父親: (押し付けるように) 探せるんだよ! その気になってやっておくれ。いいかいッ。なにしろお医者様がね、五日ぐらいしかもたないとそう言ってるんだから、いいめ、(強く) その間に娘さんを見つけてきなさい!もし、お前が見つけてこないで、倅に万が一のことがあったときには、あたしゃァねッ、(睨み) ・・・お前を倅の仇として、名乗って出るッ!
熊: ちょっちょっちょっ、ちょっと待っつくれ。冗談じゃねえ。わかりましたよォ。(と外へ出) こりゃァ大変なことンなっちゃったなァ、どうもなあ。とにかく一旦家ィでも帰ェって茶でも飲んで、落ち着いて考ェよう。
・・・・・今帰ったよォ
女房: ああ、お帰りなさい。何だったィ、えゝ? お店のご用ってのァ?
熊: (吐き捨てるように) ばかばかしい話だよォ。えゝ? へっ、これッ (紙を出す)
女房: なんだい、それ?
熊: ええ? 歌の文句が書いてあるんだよ
女房: なァに?
熊: え、若旦那がね、恋患いしたんだ、恋患いを。え? 一緒にしてやりゃァ病は治るんだよ。ところがね、その、どこのお嬢さんだかわからねえ。それ、探して来いってんだよ
女房: あらァ、たいへんじゃないかねェ。手掛かりってのはァ?
熊: この・・・歌だよ
女房: それが手掛かり? ふうーん、それはたいへんだァ
熊: でね、ん、もしィ見つけてきたら、五日の間に見つけてきたら、お前が今住んでいる三軒長屋をやるって、こう言うんだよ
女房: (そわそわと) 行っといで行っといで・・・・・行ってきなさい!
熊: ・・・お前、い、行ってきなさいって言うけれども、見つからなかったらどうなんだい?
女房: 見つかる、みつかるんだよ、それは。大丈夫だよ。えゝ? 見つけて帰ってくりゃァ、お前さん、なんじゃァないか、大家さんなれるよ。ねえ、うん。あたしだって大家のおかみさんなんだからね。行っといで行っといでッ、さァッ、早く行っといでッ
熊: (やりきれなく) ちょっと待っつくれ、茶の一杯ぐらい・・・・・
女房: 生意気なことを言うんじゃないッ。見つけないうちは飲ませない
熊: ひでえこと言やがんなァ、本当に
 *あっちィ探し、こっちィ尋ねて、一日中歩き回りましたが、その日はわかりません。あくる朝早く起きて弁当持ちで出掛ける。それでもわかんない。そのあくる日もだめ。またそのあくる日も・・・わかりません。
女房: なァにをしてんだ、もう本当にこの人ァ!・・・・・もーう、じれったいねェ。まァだ見つかんないのかよッ
熊: うるせえな、こんちきしょう。何を言ってやんだい。こっちだって一生懸命探して歩いてんだよォ、本当にィ
女房: どういう探し方をしてんだよォ?
熊: だから、この辺に水の垂れるのはありませんかって
女房: ・・・・・水道の蛇口を探してんじゃないよゥ! お前さんねぇ、歌の文句を書いてもらってきたんでしょ?
えゝ? 手掛かりだってェ・・・。なぜそれを大きな声でやらないんだよォ?
熊: う、ゥ、やったよォッ、おれだってェ、えェ? ずうーっと往来でそれ、大きな声で、(歌のように)これこれェ・・・、やってきたんだよォ
女房: 往来を大きな声出してそんなもの言ってたってだめッ。ねッ? 売り声と間違えらいちゃうよ。ねえ?うん、下手するってえと前さん、気がふれたのかと思われるよ
熊: ああ・・・、そら、そう思う・・・かもしれねえ。子どもがずいぶんついてくるから
女房: ばかだね、この人ァ。あのねえ、湯屋とか髪結床とか、そういうところへ飛び込むんだよォ。ねえ、ああいうところはね、みんなが噂を持ち寄って来るんだよ。そこでもってやってごらん、その歌を。ねえ? そうするってェと、あっ、その歌だったらあすこのお嬢さんが、どこそこの娘さんがってんで、これが手掛かりにまってくるんじゃないか。いいかい? だからね、空いてる店(ウチ)はだめだよ。ね、なるべく混んでいる床屋、湯屋を探して飛び込んでって、やるの。わかったかい、本当に。きょう探して帰って来ないてェと、もう家ィ入れないからッ、早く行っといでェッ!
熊: うるせえッ、こんちきしょう! (歩き出し、つくづく嘆いて) もう・・・、嫌だねえ、どうも・・・もう。あーあ、情けねェなァ、どうも・・・。ああ、毎日(マインチ)毎日歩いてもう足が棒のようンなっちゃったしなァ。これ、下手するってェと若旦那より俺のほうが先逝っちゃうかわかんねえ。弱っちゃったな、どうもな。ああ・・・
(力なく、なげやりに)『瀬を早みィ、岩にせかるる滝川のォォ』 だあ、本当ォねもう、自棄(ヤケ)だねえ、どうも。ゥゥ、お、床屋があった・・・。そうそう、ね、こういうとこへ入ェれってそう言ってたからなァ、うん、ここへ入ェってみよう、ね。(自分を励ますように歌い調子になり) ♪ううう・・・とォ、・・・ええー、
床屋さんですねえッ?
床屋: そうですよ
熊: (見回し) あらァ・・・、やけに空いてんな。誰もいねえやァ・・・。(主人に) 誰もいないんですねェ?
床屋: ええ、すぐに出来ますよォ
熊: ああそうですかァ。・・・じゃァまた来ますから
床屋: ・・・いや、あァた、すぐに出来んだよ
熊: 出来ちゃいけないんだよォ・・・。(歩き出し) しょうがないねえ、どォも。混んでる床・・・あれえ? 
ここはこんでるなァ。ここは混んでらァ、ね、よいしょ (と中へ入り) へっ。アハハ、いっぺえだ。えへへ。えェ、たいそう、詰ってますなァ?
床屋: ええ、五、六人待っていただかないってェとね、ならないんです。へい、お急ぎでしたらどっか他へ・・・
熊: いえェ、いいんですよ。あたしの、詰ってンのを探してあるいてんですから
床屋: どぶ掃除みてェな人だね、この人は。そうですか。お待ちいただける? あ、はい。わかりやした。えッ。じゃァあの、どうぞお上がりンなって。え、かまいません。そこンとこで一服しててください
熊: ええ、そうすか。どうも、じゃ、ちょいとごめんなさい。え。(待ち合いの畳に座り)えええ、あッ(周囲の客に)どう、こんちはァ(キセルと煙草入れを取り出し)。アッハッハッハ(と軽い愛想笑い)。ええ、結構な、ねえ、お天気でよろしゅうござんすな。へええ。雨もいいんですけどね・・・たまにはよござんすかねェ、どうもねこの、おもてェ歩くモンにァね、足元が悪くなっていけません。へえ。(一服吸い) それにね、気が滅入りますからなァ。へえ。やっぱり晴れていたほうがよござんす、へい。・・・・・(もう一吸いし、独り言) そろそろやってみるかな、うん(キセルをはたき)・・・・・(大声で) 『瀬を早ァみィ~~!』
客: あァ、おっどろいたァッ。なんだい、お前さん?
熊: いや、いや、気に、気にしちゃァいけません。ええ。気にしちゃいけませんよゥ。
(なおも高らかに)『瀬を早みィー、岩にせかるる滝川ァのォ~~~ッ!』
別客: ・・・・・もし、あなたァ? ええ、失礼なことを言うようですが、お職人には似合わない歌をご存知ですなァ
熊: え? ええ。あの、ごく、ェ、あれなんでござんす。えッ・・・。つい二、三日前に・・・。ええ、そうなんで、えェ、ええ、もう覚えました。も何度も言ってますから、へェ。(はばかるように) ええー、いけませんかァ?
別客: いえ、そんなことはございません、ええ。ェ、崇徳院様の御歌ですから、驚きましたよ
熊: そうなんです、崇徳院様・・・。(意外な反応なので、もしやと思い) よく知ってますね、あァた? そうなんすよゥ。崇徳院てェ人の歌だっつってました
別客: ええ。も、なにしろねえ、近頃どこで覚えてきたんですか、娘がその歌ばかりやってますんでねえ
熊: ヘェェェ・・・・・。(目の色を変え) ちょいちょい、どいどいど、ど、どい・・・どいて(かき分けて相手に近づき)
ちょ、ちょっとあァた! ちょいと、あのお話がありますがねえ、あのォ、今ァ、なん、なんか娘さんが、どうの
別客: ええ、娘がその歌が好きなン
熊: (息を飲み) ・・・これが・・・、好きッ? (大きな期待に声をひそめ) そうですかァ? ・・・あのう、娘さん、
・・・・・水が垂れますか?
別客: (怪訝に) べつに水は垂れませんですな
熊: そうっすか。・・・みかんを、踏んづけたよう・・・
別客: みかんなんか踏んづけませんよゥ。こないだ大福踏んづけて、おっかさんに怒らいてました
熊: あの、い、いーい女ですかァ?
別客: ゥ、そらまあ、えェ、近所でトンビが鷹だ、なんてェ噂してくれてますなァ
熊: (胸ふくらみ) ・・・そうですかァ。・・・おいくつですかァ?
別客: 八つです
熊: ・・・・・(がっくり) 『瀬を早みィ~』
 *湯屋へ二十軒、床屋へ三十六軒ばかり。もうやっこさん、顔がピリピリピリピリしちゃって、ふらふらンなって、
熊: ・・・(魂が抜けたように) こんちはァ
床屋: いらっしゃい
熊: ・・・床屋さんですねえェ?
床屋: そうですよォ
熊: やっていただけますかァ?
床屋: それァ、やれってェばやらないことァないが、あァた、さっきいっぺん来た人でしょ?
熊: ・・・・・ええ、そうかもしれません。なにしろ三十六軒目ですから
床屋: へーえ。ねェ、やりようがありませんなァ
熊: じゃァ、髭、植えてくれますかァ?
床屋: そんなことやったことァありませんが、ま、せっかくおいでンなったんだ、こっちでェお休みなさい
熊: へえ、ありがとうぞんじますゥ。(朦朧と) 『瀬を早みィ・・・・・』
床屋: だいぶ弱ってきてるねェ、おい
鳶頭: (外から) ごめんよう!
床屋: へいッ。おお、どうもこれァ鳶頭(カシラ)ァ、しばらくでしたねえ!
鳶頭: あァ、ここンところ忙しくってでえ
床屋: お仕事?
鳶頭: いやァ、そうじゃねェんだい。もーお、ばかな話なんだよッ。えゝ? お店のお嬢さんが患っちゃってねえ。これがいくら医者に診してもわからねェってんだよ。えゝ? もう大旦那なんぞァもう、たいへんな騒ぎだ。ええ! いろんなところからね、お医者様ァね、紹介してもらって、で、診てもらうんだけれども、どうしてもわからねえ。ね? ところがね、うん、えー、今からねえ、三、四日前にね、ァァ、お医者様が見立てて、これは気の病、ね? 誰かに訊かしたほうがいいってんで、宿下がりしているばあやを呼んできて、訊いてみたら、これが恋患いってんだよ。えゝ? さあ、恋患いだったらその相手と一緒にさせりゃいいんだ。
わけェ聞いてみるってえと、なんだかね、あのォ、お茶の稽古の帰りに、清水の観音さまへお参りして、で、それが終わってから掛け茶屋へ入ェったら、自分の座ったその目の前にね、どっかの若旦那風のいーい男というのが座っていて、もうそれでポーッときちゃったらしいんだね、えゝ? そいでもって立ち上がって出てくる、ゥ、自分の膝の上に乗っけといた茶袱紗ってェのを落っことしたン。気が付かなかったんだけれど、それをその、いい男の若旦那ってェのが拾って届けてくれた。いい男ってのァ何してもね、得なもんだい。えゝ! うん。それ、お嬢さん受け取るときにァね、ブルブルッと震えてね、もう三日三晩震えが止まらなかった点だ。えゝ! あァ、まあ、帰ってきてからてェものはもうとにかくねえ、もう、なんいも喉をとおらないね。えゝ? おまんまが通らない、お粥が通らない、雑炊が通らない、ね、重湯が通らない、水が通らない、電車が通らないバスが通らない。も、こんーなに細くなっちゃったよ。ええッ。もうたいへんな騒ぎ。ね? うん。こりゃ、なんとかして探さなくちゃいけない、なんとか見付けよう。その若旦那だぞォ、若旦那見つけるんだよっ。見つけた者には褒美として百円やるからなァ! ってんでまあ、百円にみんな目が眩んじゃってさ、え? 出入りの者だってなんだってみんなもう目の色変えてタァーッて探して歩いてんだ。あァ。おれもなんとか見つけて・・・今百円ありゃ助かるんだよォ。ええ、うん。で、もうあんまり忙しくってね、湯にも入ェれねえ、髭もあたれねェんだよ。おお、弱っちゃったよォ
床屋: はァあ、たいへんですなァ。で、なんですか、なにか手掛かりがあるんすか?
鳶頭: その手掛かりってェのがばかな話なン、くだらねェんだよ。えゝ? そのお嬢さんがね、なんだか知らねえけれどもね、歌をね、半分ばかりね、うん、短冊に書いて、その若旦那ってェのに渡したってんだよ。
『瀬を早み岩にせかるる滝川の』、ええ、『われても水に逢わんとぞ思う』 って、こーんなつまんねえ歌、ねえ? それで半分やりっこして、(あきれ返ったように) わからねえね、若ェもんってェのァねえ!
熊: (朦朧と這い出して) 三~軒~長~屋。・・・・・さんん~げんん~ながやッ!
鳶頭: ・・・・・なんだァ、これァ? 何か妙なものが出てきやがったな
熊: さん~げん~~ながやッ。たッ (と鳶頭に飛びつき、胸ぐらを取る)
鳶頭: (びっくりし、必死に相手の手を外そうと) ・・・おいッ、なッ、なッ、何をすんだ、おいッ、離せッ (揉みあう)
熊: 離さない! (なおも揉み合い、男泣きし) こんなところに三軒長屋がいたン。・・・これを探さんためにおれァもう毎日足を棒のようにしてあるいて、(洟をすすり) 今日だって湯屋へ二十軒、床屋ィ三十六軒、顔なんかピリピリピリピリしちゃってるン。(高揚し) ちきしょうねーェ、やっと見つかったーァ。おめえの出入り先のお店のお嬢さんにようがあるんだ。『瀬を早みィ、岩にせかるる滝川の』 ッ
鳶頭: (揉み合いつつ) ちょっちょっちょっと待て、ちょっと待て、この野郎こんちきしょう! (と激しく振りほどき)妙な歌、おめえが知ってる・・・。おいッ、するってェとなにかァ? おめンところの・・・お店の・・・若旦那がその短冊を持ってるゥ?・・・・・百円・・・野郎めッ、たあ! (と、またつかみ合う)
熊: なんだッ
鳶頭: なんだじゃねえ、こんちきしょうッ。さあァッ、うちのお店ィ来いっ!
熊: いやあ、お前がうちのお店ィ来い!
鳶頭: お前がこっちィ来い!
熊: お前が・・・
床屋: (慌てて) ちょっちょっちょちょいとちょいと! おい、二人して何してんだよ? 危ないよ、そんなところで。
話せばわかるんだからさァ。取っ組み合いをして、危ないってんだ。しょうがないね。お、おい、ちょっ、ちょいと、おい鳶頭、やめとくれってェの! なァんだい鳶頭ァ! 鏡ィ割っちゃったじゃァないかッ
鳶頭: なあに親方、心配ェすんねえッ。割れても末に買わんとぞ思う
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