安呑演る落語

音源などを元に、起こした台本を中心に、覚え書きとして、徒然書きます。

夕立や(改)

2013年08月16日 | 小噺
夕立や(改)

旦那: 植木屋さん、ご精が出ますな・・・植木屋さん、ご精が出ますな・・・植木屋さん!!
夕立: アッ、あっしのことで? あっしァ植木屋じゃァねんでして
旦那: いゃいゃ、そのようなことはないでしょう、屋敷の庭でタバコを吸っているのは須らく植木屋でしょう
夕立: えー、確かに、植木屋はお屋敷の庭でタバコを吸うことンなってるんですけどね、
お屋敷の庭でタバコを吸っているのが必ず植木屋とは限らないんで…
旦那: ほー、左様か。では、あなたは誰なんです?
夕立: あっしですか? あっしは『夕立~、夕立屋でござい』 と、夕立屋でして
旦那: 夕立屋?あまり聞かない御商売ですな。何を商っているので?
夕立: へい、お長目、お代を頂いて雨を降らせます
旦那: はー、お題を・・・・・では、『夕立』と掛けまして・・・
夕立: いえ、そのお題じゃぁなく・・・・・もう、お屋敷の旦那ってのはわがまま・・・
わかりました。では、『夕立』と掛けまして
旦那: ん、夕立と掛けて?
夕立: 『あっしが酒飲んで朝帰り』と解きます
旦那: して、その心は?
夕立: 女房のカミナリが落ちます・・・・って、そうじゃなくて、お足、お金を頂くんで
旦那: ほー、左様か。では、どの様になっていますか?
夕立: へい、上・中・下 と別れてまして
旦那: ほー、では、その上 というのは?
夕立: へい、お屋敷だけでなく、辺り一帯に雨を降らせます
旦那: ほー、中 は?
夕立: こちらのお屋敷にだけ降らせます
旦那: ほー、そのようなことができますか。では、下 というのは?
夕立: ジョウロで水を撒きます
旦那: 植木屋さん、ご精が出ますな
夕立: だから、植木屋じゃ・・・確かにね、植木屋はジョウロで水を撒きますけどね、
ジョウロで水を撒くのが必ず植木屋とは限らないんで
旦那: ほー、左様か。では、金に糸目はつけません、その上とやらをお願いしますよ
夕立: ありがとうぼざんす、上ですね
*というと、スッと立ち上がり、胸のところで訪印を組んだかと思うと、一転にわかにかき曇り、
ポツ、ポツ、ポツ、ザーッと降りだし、暫くするとスーッと止んだ
旦那: いゃー、降りましたなぁ。お見事お見事。とても人間業とは思えませんな
夕立: 恐れ入ります。実は、あっしは人間ではございませんで。天に住む辰でございます
旦那: 辰? あー、龍というやつですな。それならば聞いたことがあります。
龍というのは、雲を自在に操り雨を降らすことができると・・・・・
時に植木屋さん、ご酒はおあがりか?
夕立: だから、植木屋じゃ・・・さおれに、酒?酒でしたら、この時季はかせげなくなっちまうんで、
飲まねぇことにしてるンで
旦那: ほー、どうしてです?
夕立: 辰が寅になります
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